舞台の効果音

演劇、ドラマ、映画、効果音、音効、サントラ、サウンドトラック、 プレゼン、劇、学校祭、音楽、BGM、SE、音、曲、学芸会、学園祭、発表会など ドラマについてや場面に応じた音楽などの話題を中心としたブログです。

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ターミネーター 11
『ターミネーター4 』(Terminator Salvation)が、ついに公開とあいなった。
現在、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーが、
ただのボディービルで鍛えた肉体美だけを誇る俳優ではないということを
とりあえず証明した出世作シリーズだ。
『ターミネーター』(『T1』)から続くシリーズの4作目であり、
この『T4』には、すったもんだの末に、
結局かなりの予算をかけたCGによって、
若々しいT-800の姿で登場となっている。
(もちろんご登場の際にはターミネーターのテーマが流れるのもご愛敬)
ターミネーター 1
それにしても、
最初の作品の『ターミネーター』(原題 The Terminator)が公開されたのは、1984年。
もう、25年も前になる。
『T1』を書いたジェームズ・キャメロンの脚本では、
本来的に1話完結のものだったという。
ただ、続編については、ほんのちょっぴり頭の隅っこにあったらしいのだが、
『T2』・『T3 』と物語が続けられ、
ついでにTVヴァージョンとして、
『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』まで
制作される状態になってしまっている。
ハリウッドの企画力のなさというか、節操のなさというべきか、
どっちにしても、無理やりな感じで、やむを得ず続編をつくることに携わってしまった人間は
相当大変であるのは間違いない。
ターミネーター 3
『T1』でのあらすじは、それだけでSFとしては充分素敵なものだったと思う。
反乱を起こした機械と、それに抵抗する人間が互いに戦い合う近未来、
人類側の抵抗軍指導者として一人の男が立ち上がった。
彼の名はジョン・コナー。
脅威を感じた機械は未来から現代にターミネーターを送りこんだ。
目的は人類側の指導者を歴史から抹殺するため、
後のジョンの母親となるサラ・コナーを殺害する為だった。
いいですね~、実に古典的な設定だ。

特に、個人的には『T1』のラストシーンが好きだ。

サラの目の前には砂漠を貫いて続く果てもない道。
憂いを秘めた横顔を風が駆け抜けていく。
戦いの中で鍛えられたタンクトップからのぞく二の腕。
カイルとの間の息子ジョンを宿したサラは、ジープを走らせながら、
テープに音声を吹き込んで日記を作成していく。
死んでしまったカイルの残した言葉と
未来に訪れる「審判の日」を思い浮かべて。

ひとりの女性には背負いきれないほどの悲しみ…
人類の終焉をたった一人の自分が防ごうとしているというどうしようもない不安と
それを思いつつも決然とした覚悟。
そんな諸々の感情が抑制されストイックな感じで表現されている。

ちっぽけな一人の人間が、人類全体の終焉を防ぐために、
巨大な敵に立ち向かっていくという構図がいい。
ターミネーター 7
『ターミネーター4 』(Terminator Salvation)では、
『チャーリーズ・エンジェル』のMcG(マックジー)が監督。
新3部作ということで着手することになった。ようするにさらに続編を作るわけだ。
制作費は約2億ドル(280億円)!

この作品では、
やがて人類の抵抗軍指導者となるジョン・コナーと
過去にタイムトラベルをして、ジョンの父になるカイル・リースと
謎に満ちたマーカスという機械化された人間、
三者の物語となっている。

ターミネーター 6
2018年。地球上のあらゆる都市が、
超高性能コンピューター「スカイネット」による核攻撃を受けた「審判の日」後の
荒廃した世界。
「審判の日」を生き延び、ジョン・コナーはまだ一介のレジスタンスの部隊長。
敵であるスカイネットの「暗殺リスト」に
自分の名前と、
最重要ターゲットとして「カイル・リース」の
名前があることを知った彼は少年カイルを救うべく、
スカイネットの拠点へと乗り込む。
記憶を一切を失っていたマーカスは、
自身の体が脳と心臓以外すべて機械の体と化していたことを知り愕然とする。
ジョンはマーカスをレジスタンス軍から解放し、カイルの救出へ。
しかし、彼は知らなかった。母が警告していた未来が書き換えられた事を…。
ターミネーター 8
脚本は「ザ・インターネット」「ゲーム」の
ジョン・D・ブランケットとマイケル・フェリスのコンビが中心になって作っている。
新三部作の第1話ということもあって、
次に向けての伏線やらプロットにも苦労しているのだと思う。

「スカイネットが人々を生け捕りにし、生体細胞を複製しようとしている」という設定
「記憶を一切を失ったマーカス(機械化された男)」という新しいキャラクター
などにその苦労の跡がほの見える。

ともかく、
あの駄作の誉れ高い『T3』よりは、ずっと好評なスタートをきっているわけだ。
第3部目でどんな終結を想定しているかは実に気になるものの、
お久しぶりの『ターミネーター』の世界観を楽しむのもいいかもしれない。

ホントに最近のハリウッドは、
「スタートレック」やら、「ターミネーター」なども、
かつて成功した設定やキャラクター、世界観を借りて、
物語を生み出さざる得ない状況に追い込まれているのだろうか。
一種のシェアワールドとは言っても、ぜひ、練りに練ったものを見たいものだ。
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ターミネーター 4




FC2 Management
『スタートレック』が帰ってきた。
もちろん監督は、
「LOST」『クローバーフィールド/HAKAISHA』のJ・J・エイブラムス。
この人は、ホントに今の時代の波に乗っている感じだなぁ。

とにかく「スター・トレック」シリーズは、懐かしい。
もちろん自分だけでなく長い歳月を経て、
世界中にコアなトレッキーたちもいるわけだ。
振り返ってみれば、1966年にオリジナルのTVシリーズがスタートですものね。
もうかれこれ40年以上の歴史があるシリーズ作品群になってしまった。スタートレック 13
そもそもNBCネットワークにおいて
1966年から1969年まで全3シーズンが制作され放送されたとはいうものの、
本当は局の方からも、全く期待されない企画だったというし、
当然ながら、超低予算の中で作品は作られた。
たとえば、スタートレックではおなじみ「転送」なんてなシステムも、
特撮に金をかけられなかったからこそ生まれたアイディアだったというのも、有名な話だ。
そんな低予算だからこそ、
SFにしては珍しいほど、人間的ドラマの部分に演出の重点をおくようになった。
おかげで誕生したカーク船長とスポックとの「人間性」、「論理」、
「感情」などにまつわる会話なんかは、実に良かった。
また、各話ごとに、
「老い」や「時間」、「人種問題」にまつわるテーマなどなど、
けっこう今でも通用するエピソードが成立していたんだよなぁ。
スタートレック 8
日本では、当初『宇宙大作戦』と名付けられて放送。
このかつてのスタートレックの配役は以下の通り

ジェームズ・タイベリアス・カーク、(ウィリアム・シャトナー)
スポック(レナード・ニモイ)。
レナード・マッコイ(ディフォレスト・ケリー)
モンゴメリー・スコット(日本語版ではチャーリー)(ジェームズ・ドゥーハン)
ウフーラ(日本語版ではウラ)(ニシェル・ニコルズ)
ヒカル・スールー(日本語版では加藤)(ジョージ・タケイ)
パベル・チェコフ(ウォルター・ケーニッグ)
スタートレック
これらのスタッフは、いわばシンボリックな国連みたいなもので、
それぞれの代表的な民族のイメージがその役柄に担わされてもいたわけだ。
宇宙船の名は、エンタープライズ号。
アメリカ合衆国主導による明るく脳天気で、
夢のある未来を思い描いて作られて作品でもあった。
(現在の複雑怪奇な国際状況とは雲泥の違いだ)
スタートレック 12
「宇宙、それは、人類に残された最後の開拓地である。
そこには、想像絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない…」
若山弦蔵さんのオープニングでのナレーションも素敵だった。
そのテレビ画像を食い入るようにして見ていた子供も、
いい大人になってしまっている。
また、ウィリアム・シャトナーやレナード・ニモイなどの
役者たちも老人となってしまった。
いやはや、時の流れは早いもんだ。
ともあれ、
スタートレックの原点の作品は、予算がないため映像的にはしょぼくとも、
その精神は後に巨費を投じて制作された映画版よりも、
内容は芳醇で豊かなものがある。
だからこそStar Trek: TOS(TOS = The Original Seriesの略)と
呼ばれる価値があるのだろうと思う。
スタートレック 10

今回のスタートレックは、エピソード0とでもいうべき作品。
再び、若きカークやスポックが私たちの目の前に登場してくる。

あらすじは…。

幼い頃、惑星連邦軍艦隊の優秀なキャプテンであった父親を
亡くしたジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)だが、
父を知る人物からその英雄的な最期を聞かされ、
連邦艦隊への入隊を志願する。
しかし、カークは惑星連邦軍戦艦・USSエンタープライズのクルーとして、
宇宙へ旅立つものの、トラブル続きで、
クルー仲間のスポックから反感を買う…。

いいですね~。
スタートレック 6
JJエイブラムス監督が、スタートレックシリーズの最新エピソードを
あえて描こうとしなかったところに意味がある。
当然、原点であるテレビシリーズスタート前夜の物語から始まったということは、
新たな「スタートレック」を
これから先も次々と制作していく意図が背景にあるのだろう。

建造中の巨大な宇宙船エンタープライズ号を
見上げている若き日のカークという今回の映像がとてつもなくいい。
さまざまな物語を予感させる素敵なワンシーンだと思う。

原点の精神をふまえつつ、
まったく別の物語が今始まった。

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スタートレック 20




『CASSHERN』の紀里谷和明監督が、
5年ぶりに送り出す監督第2作目は『GOEMON』。
ということで、すでに5月1日に公開されていますね~。
ご覧になった方も多いのではないかと思います。
goemon 6
豪華な役者たちと過剰なまでに手の込んだCG。
なにせ、あの紀里谷監督ですからね。
先日、あるインタビューの中で、こんなことを監督は語っていました。
「『CASSHERN』が最左翼だったら『GOEMON』は最右翼。
今回はジェームズ・キャメロン的なエンターテインメントで、
ほんとにみんなが分かる作品です。
『CASSHERN』では“分からない”という人たちがいたので、
そういう人たちをなくそうという意識は大きかったです。」と。
goemon 3
監督が自ら言っていた観客にとって“分からない”作品である『CASSHERN』は、
冗談抜きにホントに心底わけのわからない作品でした。
ただ、映像に関してはとんでもなく凝っていて、
圧倒的な独自の世界をCGを利用してこんなにも描けるのかと
驚かされたものでした。
紀里谷監督は、実に映像面に関して突出した才能を持ち合わせているんでしょう。

ただ、これまでの作品やインタビューなどを総合的に考えると、
紀里谷監督って、やっぱりバランスの悪い人なんではないかと思う。
自分は映像のみにして、
脚本や編集、演技指導などは他の頼りになる相棒(専門家)に
任せきってしまえばとも思うのだけれども、
全部ご自分でやろうとするから、逆に歪みがでてしまう。
goemon 5
というわけで、今回の『GOEMON』の物語は、
自由を求め自分の運命と闘う五右衛門、
侍になることを願いながら皮肉な運命を辿る霧隠才蔵、
権力欲に燃え闇に墜ちていく豊臣秀吉、
それぞれが、
織田信長暗殺の秘密が封印された南蛮渡来の箱を巡って運命は変化して行くというもの。
goemon 4
「世界を創造したい、という欲求があるんです。
今は、ですが。ちょっと“神コンプレックス”かもしれないんですけど。
映画を創るときは、極端な話、空のデザインから始まっちゃいますからね。」
と、話す紀里谷監督ではあるが、この言葉も彼の性質をよく表してる。
撮影スタッフや役者らの意見も踏まえながら、
総合的に作品をつくればいいものを、
欲張りな紀里谷監督は一人何役もこなしてやってしまうから、
どんどん勝手な思い込みと歪みが作品に反映されてしまう。
それこそ神のごとく、すべて自分でやってしまうわけだ。
きっとかなり自信家なのでしょうし、
自分のセンスからちょっとでもはずれると許せないのかもしれない。
残念だなぁ。
goemon 7

ただ、今回の『GOEMON』は、「意外にいい」という
感想を述べられる方も多い。
なにせ比較しているものが前作の『CASSHERN』なんで、
はじめっから期待していない観客にしてみれば当然こういう評価になるのでしょう。
また、実際にわかりやすい筋立てにはなっている。
(ただ、映像の緻密さに比べてなんと貧相なものであることか)
goemon 2
「もっと人間ドラマ、もっと恋愛をやるかもしれない。
そして英語劇ですね。
というのも今、製作費が限界にきてて、
これ以上のバジェットを求めるならマーケットを
世界に拡大していくしかないんです。
でも、もし日本で撮るなら、カルマ(輪廻転生)を
テーマにしたものをやってみたいなと思います」
これは、今後についての方向性を監督が話した言葉ではあるが、
やっぱりそういうのって、監督自身が自分をきちんと認識していないんですよ。
ムリだろうなぁ
特にこの人にとっては、「人間ドラマ」はやはり似合わないのではないかと思う。
監督本人がある意味人間臭くない人だからしょうがない。
前回の離婚体験みたいな人間っぽい体験の絶対量がきっと少ないんですよ、きっと。

とにかく、とんでもないほどの映像を生み出す才能という武器をもっているのだから、
できれば「輪廻転生」にまつわる映像に対して、
紀里谷監督が関わると、
かなり面白いものになるんじゃないかと思う。
今の日本では、このようなタイプのイメージの限界を超えられる人は何人かいるけれども、
紀里谷監督はその最有力候補。
もちろん、脚本は他のプロにまかせて、
なんだけれども…、できるかなぁ…、
紀里谷監督の映像に対する才能を無駄に消耗するのは、
もったいない。
彼の人間的な成長が必要なのかも。
そして、
彼のそばに優れた参謀がつくことを願うばかりだ。

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goemon 1




『スラムドッグ$ミリオネア(原題:SLUMDOG MILLIONAIRE)』が、
ついに公開されましたね。
(2008年のイギリス映画。
インド人作家のヴィカス・スワラップの
『ぼくと1ルピーの神様』をダニー・ボイルが映画化。)
スラムドックミリオネア 8
ムンバイの汚れた路地を駆け抜ける子供たち。
電車の乗客から金を盗み、
インチキ観光ガイド、
泥棒と売春
兄とみなしごラティカとともに強烈な貧困の中を生き抜いてきた。
餓えと戦い、ゴミと糞にまみれても、明るさと誠実さは失わなかった。
刑事に語る主人公ジャマールの過酷な生い立ち。
なぜ、無学な彼がミリオネアで数々の難問をクリアできたのか。
しだいに、明かされていく彼の人生とそして彼が求めたもの…。
スラムドックミリオネア 7
インドかぁ、懐かしいなぁ…。
昔、インドをひとり旅していたんだよなぁ。
旅の記憶っていうやつは大事だ。

そう、あの時…。
ガンジス河が滔々と流れていた。
熱気とと喧噪のバザールを抜け、
執拗につきまとい続ける物乞いたちの手を振り払うようにして、
ガンガーのほとりに出た。
遠くにカート(沐浴場)が見える。
静かだ。
あれほど騒々しかったオートリキシャの雑音もない。
褐色の肌をした人々は、短い旅の中で鮮烈な生き様を見せつけてくれた。
人はどんな風にしても生きていけるようだ…。
そんなことを思いながら、
リュックにホテルで買ったミネラルウォーターを突っ込んでは、
インドの路地をふらついていたことを思い出しちゃいますね。
5ルピーもあれば、ニューデリーの市内だったらどこにでもいけるし、
ぶらぶら歩いてもそれなりに楽しめる。
時には、スニーカー(運動靴)なのに、靴磨きされそうになったり、
たまに出くわす日本人とも、なんとなく友達になれる。
特にインドに長く滞在していた大阪外語大学の某教授とも知り合って、
インド文学についてのレクチャーをうけるついでに、
いろいろとご馳走になったり…、
旅は出会いですよね。
「インド人にとって、赤痢なんかは風邪みたいなもんです」と
旅の途中で一緒になったアメリカの若者が
ニヤリと笑いながら言っていたのも印象的だった。スラムドックミリオネア
さて、
『スラムドッグ$ミリオネア(原題:SLUMDOG MILLIONAIRE)』
スラム出身のジャマールが、
100ドル札の大統領の名前や、
ピストルの発明者を知っていたのか? 
ミリオネアのクイズと、
警察での尋問の中で語られるジャマールの人生が
オーバーラップするアイディアはいいですね。
さすがアカデミー賞を総なめにしただけのことはある。
スラムドックミリオネア 5
ちなみにインドのテレビ番組って、
どれもこれも踊りの場面が含まれていたような感じがする。
インド映画はもちろんだけれど、
歯磨きのCMでもシタールにあわせてインドの男女のダンスが
無関係にしかもむやみに挿入されていたのがおかしかった。
しかも、テレビで流される映画の字幕スーパーは主に中国語だったし…。
おもしろい国だよなぁ。

スラムドックミリオネア 9
クイズ番組 "Who Wants To Be A Millionaire?" に挑戦したスラム育ちの若者の物語を
監督はどんな思いで取り組んだのだろう。
しかも、主人公は生き別れになった幼なじみの
少女ラティカ(フリーダ・ピント)との再会もこのクイズに賭けているという設定。
監督は
「インドがあってムンバイがここにあって、
という感じで海外の観客に説明するような形で描きたくはなかったんです。
最初からみなさんをスラムにお連れし、
そこに暮らし、縦横無尽に走り抜ける子供たちの視点で
スラムを見てもらえるようにしました。
ただ、スラムを描くからといって観客が“貧困”という点に
とらわれ過ぎないようにもしました。
もちろん、映画の中で貧困は描かれますが、
決してこの映画は貧困をテーマにした作品ではないのです」と語っている。
スラムドックミリオネア 6
貧困で薄汚れ、犯罪が渦巻くスラムの中を瞳を輝かせながら疾走していく子供たち。
そんなシンボリックなシーンを含め、
インドがもっている生命感みたいなものが全編に通じて表現されている。
運命を乗り越え「夢」をつかむ者たちの物語。
結局、
全米でほそぼそと10館のみで公開したこの映画が、
あっという間にアカデミー賞最多8部門を制覇した事実と
スラムドック(負け犬)がミリオネアになっていく映画の構図とが、
なぜか類似しているわけで、不思議な力に満ちた作品と言えるのだろう。

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スラムドックミリノエア


レッドクリフ 4

再び春は巡ってきて、
『レッドクリフ Part Ⅱ/未来への最終決戦』も4月10日に公開。
赤壁の戦いも、やっとクライマックスに突入するわけで、
孫権軍と劉備軍との連合軍vs曹操の大軍の戦いがダイナミックに描かれる。
いいですね~。
レッドクリフ 7
それにしても、ジョン・ウー監督っていう人は、
この映画で何を伝えたかったのだろう?
ふと思ってしまう。

早くも『レッドクリフ Part Ⅱ/未来への最終決戦』の試写会などを経た人たちから、
さまざまなレビューが寄せられている。
ただ、その多くは映像は素晴らしいものの、
脚本があまりにも弱いという批評が多い。
それは、前作の 『Part Ⅰ』においてもそうだったけれども、
特に今回は散々な言われようだ。
レッドクリフ 6
かつて香港時代に監督したアクション映画でブレイクしたジョン・ウー監督。
アクションシーンにおいて、たとえ暴力的で血なまぐさい場面であっても、
非常に美しく撮影する。
その美意識のために、
「バイオレンスの詩人」と言われていることは周知の事実。
いわゆるジョン・ウーアクション。
彼の作品で多用されたアクション表現のパターンとしてよく挙げられるものは、
・ 両手に銃をもって華麗に立ち回る「二丁拳銃」アクション
・ 戦闘中に飛ぶ白い鳩
・ 同時に拳銃を向け合う2人の人物
・立て続けのカット割りからのスローモーション
そんなことは、多くの人が知っているわけであり、
今回の『レッドクリフ』においても、銃を剣や槍に変え、同じ手法で挑んでいる。
ご本人は、自分は「暴力否定論者」だと語っているし、
スラム街で育った子供の頃に、
まわりから暴力を受けたという嫌な思い出がたくさんあるらしい。
暴力の残酷さを訴えたいとか、
「鳩」には、「平和」の意味を込めているともインタビューなどで答えている。
レッドクリフ 12

だが、その割にはどうも根っからのアクション好きなんではないだろうか。
それは戦争反対と主張する哲学者や思想家などに、
意外と戦車好きや戦闘機マニアが密かにいたりするのと同じなのではないかと思う。
むしろ、徹底的に暴力を描き、その中でしぶとく生き抜いていくヒーロー的な存在に
何かしら自分の憧れを投影しているかのように思えてならない。
周瑜(トニー・レオン)と孔明(金城武)などについては、
きっと監督自身がスラム街の中で、
虚弱でみじめな自分を忘れるために、
わくわくしながら読んでいた子供の頃の思い入れが、
ストレートに表現されているんだろうと思う。
レッドクリフ 3
しかも超人的に強くて格好いい趙雲子龍などは、
特にジョン・ウー監督のお気に入りなんだろうし、
だから、三国志の後半に登場してくるはずの趙雲と赤壁時代の周瑜が、
本来だったら出会うはずもないのに、一緒になって戦ったりしている。
監督の自分の子供の頃のコンプレックスを昇華させたものが、
『レッドクリフ』なんでしょうね。
そう考えると、意外と暴力好きな矛盾する自分を自重する意識というか、
自戒としてのシンボリックなあらわれが、
やたら出てくる「鳩」の存在なんじゃないかと思う。
レッドクリフ 8
西暦208年、魏呉蜀が争う中国・三国時代。
もうこの舞台設定でなんでもありなんですよ。
別に三国志演義などに気を遣う必要はない。
ただ、赤壁の戦いで基本となる2つのシーンは、当然はずしていないわけで…。
①「10万本の矢」の場面
大切な武器である4万本の矢を持ち去った劉備の責任を問われた孔明は、
わずか20隻の船を藁で覆い尽くし、
あえて濃霧の中を敵船の待つ領域まで漕ぎ出して、
弓矢の一斉攻撃を受けてまんまと10万本の矢を収集する。
レッドクリフ 14
②「曹操軍の2000船にもわたる大船団への火計 」の場面
風向きの変化を計算に入れて連合軍が放った“火の玉攻撃”が、
風に煽られて2000隻を炎で包み込んで行くクライマックス。
これらの非常に有名な場面は、
それこそ子供の頃のジョン・ウー監督そのものが、
自分の目で直に見て確かめたかった場面なのではないかと思う。

結局、100億以上の制作費をかけて、
ジョン・ウー監督は無意識のうちに子供の頃の夢を、
映画というものに体現させたのだ、きっと。
レッドクリフ 1
ちょっとだけ、子供の頃と違うのは、
ジョン・ウー監督がそれなりの大人なわけで、
「女」の存在も映画としての厚みをつけるために、
描きたいという欲にかられたふしがある。
周瑜の妻・小喬(リン・チーリン)が曹操の陣中へ行くエピソードや
曹操軍に潜入した尚香の恋愛とその悲劇が、
彼の「欲」のあらわれなんでしょう。
同時に、そこが脚本の弱さと世間から批評される理由にもなっている。
個人的には、一見脚本上の弱点に見えるところが、
本来描きたかったものであり、魅力なのだと思う。
したがって、
この『レッドクリフ』のⅠとⅡは、
どちらも監督がやりたくてたまらなかったものが、きっちり表現されている作品なのだ。
世の批評家がなんと言おうと、
そして作品の善し悪しよりも、
やりたいことを表現したからいいのだ。

ついでに、それをやり抜いてしまったそのこと自体が実に羨ましい。

ともあれ、春ですね。
みなさんが、新しいそれぞれの場所で良いスタートをきれるように願っています。

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レッドクリフ 2



今回は、映画『昴-スバル-』について。

「天才は万人から人類の花と認められながら、
いたるところに苦難と混乱を惹起する。
天才はつねに孤立して生まれ、孤独の運命を持つ。」~ヘルマン・ヘッセ

曽田正人さんの漫画『昴-スバル-』(週刊ビッグコミックスピリッツ連載)が、
とうとう映画化されてしまった。
漫画を原作にしたTVドラマも映画も、
昨今やたらと多いけれども、
ファンにとってはその世界観が上手く反映されない場合が多いわけで、
『昴』もあまり原作のイメージを追わない方がいいのでしょうね。
昴 11 
とりあえずスタッフは充実しているし、それなりの特徴がある。
『グリーン・デスティニー』『HERO』のビル・コンがエグゼクティブプロデューサー、
『不夜城 SLEEPLESS TOWN』のリー・チーガイが監督ということで、
ほとんどが中国人の撮影チーム。
要するにおもいっきりアジアに向けての輸出用仕様という感じ。
(実際、日本での公開をスタートとして、中国・日本・香港・シンガポールで上映予定)

主演はもちろん黒木メイサ。(1988年5月28日生まれで沖縄県名護市辺野古区出身)
この人の顔って、実に独特だと思う。
ある種の戦闘性や苦悩とでもいうような表情が、
普通の状態でもにじみ出ている感じで、
ふだん彼女のそばにいる人たちはちょっと疲れるんじゃないだろうか。
ただ、映画や舞台などでのシチュエーションがぴたっと決まると、
たとえセリフまわしは下手でも、
その存在感だけで、ドラマ全体の雰囲気を支配してしまうタイプの女優でもある。
昴 12
エグゼクティブプロデューサーのビル・コン(Bill Kong)氏によると、
主演女優さがしは、2005年からオーでションを行ったものの、
何百人の応募者を見ても、どうも決め手に欠けて、
ずるずると決断がつかないままになって困っていたという。
その後、無理を承知で、やむを得ずアメリカやヨーロッパなどで、
バレエを習っている日本人にもあたってみるなどのこともしたのだそうだ。
だが、それでもだめで1年の歳月が流れた。
あずみ
最終的には、
2006年前半に、舞台「あずみ」での主演をしていた黒木メイサを観て、
「やっと我々のすばるが見つかった!」ということで、
一瞬のうちに決定したと語っている。
だが、ダンスはそれなりにアクターズスクールでマスターしていて、
そこそこに上手いけれども、バレエについてはずぶの素人の黒木メイサ。
そのため、バレエを徹底的に学ぶことになった。
が、その準備期間は3カ月。
毎朝、起きるとすぐにダンススタジオへ出掛け、
7時間に及ぶ凄まじいレッスンを受け続けたらしい。
「練習後に帰宅してからもバレエのことばかり考えていました。
家でもずっとトウシューズを履いていたんですよ」と話している。
撮影が行われた中国・上海でも、
さらに現地のダンススタジオに通い、
その結果、6ヶ月あまり訓練をせざる得なかったようだ。
そんな彼女の努力も実って、
ダンスシーンはなかなか見応えのあるものになっている。
昴 6
舞台挨拶で、
「1年前に撮り終わってから、4キロ太りました。それだけバレエがきつかった」
と言っているが、本当に黒木メイサはやや太ってみえる。
切れのいいアゴのラインもぽちゃっとしかかっているわけで、
なんだかしらないけれど、これから20年たって40歳ぐらいのおばさんになった時の、
体型が崩れた黒木メイサの幻影が一瞬ほの見えるんだよなぁ。
この人、きっと太る体質なんじゃないだろうか。
華のある時期を大切にしてほしいもんだ。
つかこうへいにも愛され、倉本聰にも贔屓にされる彼女、
できれば、あの鋭い目の形にも似合うように、
体型はシャープでいてほしいと願うばかりだ。
かつて、舞台の「何日君再来 」で、
披露していたモダンダンスのソロやJAZZダンス…、
黒木メイサの舞台での動きは体のラインとともに、見事にキレがあった。
「テレサは軍事機密を握っている」と、
テレサを追う中国共産党の諜報員リン役だったが、実にはまっていた。
あのきつい眼が役柄とマッチして、存在感をあたえていた。
予想以上の演技力で、驚かされたもんだった。
それでも、まだ彼女はあの時、10代だったんだよなぁ。
昴 1
さてと、
今回の映画のおおざっぱなあらすじは…、
仲の良い双子の姉弟、宮本すばる(黒木メイサ)と和馬。
ある日和馬は脳腫瘍になって入院してしまう。
弟のために、すばるは毎日のように即興のダンスを踊る。
しかし、和馬は亡くなってしまう。
ふと足を踏み入れた小劇場パレ・ガルニエのオーナー五十嵐鈴(桃井かおり)と出会い、
いっそうダンスにのめり込んで行くすばる。
やがて、彼女は、ついに上海でのバレエ・コンクールに出る決意をする。
すばる・真奈・リズ3人の人生を賭けた真剣勝負の幕があがる。
というような感じ。
昴 7
ただ、気になるのは、
原作のストーリー展開を端折ったり、
余分な恋のネタを入れ、
さらには、韓国女優アラに、主人公すばるに対立する天才バレリーナ、
リズ・パク役を生み出して演じさせたりもしている。
女子フィギュア・スケートの浅田真央とキム・ヨナの関係を
意図的に彷彿とさせるようにしているけれども、ちょっと微妙だ。
昴 4
もちろん桃井かおりは、相変わらず桃井かおりだし、
題材がバレエだけあって、
かつて本格的にバレエをしていた経歴も大きなバックグラウンドになっている。

孤独な天才宮本すばると彼女を取り巻く人々という構図。
天才を陰ながら支援する者、
天才の才能をねたむ者、
天才の行動に翻弄される者…。
通常、天才といえば聞こえが良いが、
偏った才能の持ち主であるため、非常識であるケースが多いわけで、
平凡で道徳的な物事に対しての逸脱なんぞはざらに出現してしまう。
『昴』の主人公宮本すばるも、
ある意味、そういう天才たちの中のひとりなのかもしれない。
昴 3
だから、そんな「天才性」を描くとするならば、
監督や脚本家のセンスや人生観が問われてしまうのはしょうがないのだろう。

「すばるというキャラクターは天才という役ですが、
私が思うに、全ての人の内に天才はあるということなんです。
ですから、自分のその天才を信じ続ける、
そして貫き通すことが大切だと思います。
この作品は英語で言うと“フィールグッドムービー”という、
観ていて気持ちが上がる作品だと思います。」
と、プロデューサーのビル・コンは語っている。
昴 8

黒木メイサの演技に、内なる自分の天才を重ねて観ることができるか?
ここが問題ですね。
ちなみに、原作者の曽田正人さんは、
「ぼくにとって宮本すばるとはほとんど実在の人物であり、
こうしている間にも彼女は世界のどこかで
踊ったりトラブルを起こしたりしているのだと思っています。
フィクションならぼくの勝手に描けるのですが、
実在の人物だと思っているからこそ彼女を描くにあたり、
いつも自信がないのです。
あの時ほんとは彼女はこんなこと思っていなかったのではないか?とか
あの描き方は彼女の本当の姿ではなかったのではないか?
だからぼくではないクリエーターの方が
宮本すばるを描くとどうなるのかずっと興味があった。
この映画化は本当に楽しみです。」と言っている。

原作者ですら、「天才性」を描くことについて、
我々と同じ思いを抱いて作ってきてことがわかって興味深い。
映画『昴』は、いろんな視点で見ることができる作品だと思う。

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昴 2


『ウォンテッド』(Wanted)のDVDが、最近リリースされたので、
遅ればせながら今回はこの話題でいきましょうか。
wanted 2
昨年の映画公開段階では、アクションというより血なまぐさい映画であり、
コアなファンが喜ぶ作品だとかというようなレビューも多く、
結局、観ていなかった。
けれども、
アンジェリーナ・ジョリーが魅力的なのは予想どおりにしても、
それにもまして、
作品全体が、どうしてどうして結構いい仕上がりじゃないですか。
ちょっと驚きです。
wanted.jpg
ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)は、顧客管理担当のダメダメなビジネスマン。
変化のない仕事に行き詰まり、しかも日々、上司からはいびられ罵られている。
恋人と同棲してはいるものの、同僚に寝取られ、嘲られ続けている毎日。
何に対しても、まったくやる気も起きず、ひたすら無駄な人生を生きている。
ついつい口から出てしまう言葉、「すいません…」
惨めな人生…、不運?
彼に足りないもの、それは人生の不運に耐え抜くための“何か”だった。
だが、謎の女・フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)が現れた日を境に、
彼を取り巻く環境が一変。話によれば、ウェスリーが、アキレスの時代以来、
神に代わり「運命の意思(will of the Fates)」を実践してきた、
秘密の暗殺者組織の暗殺者の血を引いているという…。
ウェスリーは、堕落、私欲、裏切りが渦巻く世界で
戦い抜くだけの潜在的超能力を覚醒しなくてはならない。
wanted 5
ダメ男がヒーローになるっていうパターンは古今東西よくあるけれど、
今回の主人公ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)の
小心者かつ無目的で鬱々とした人生と
それに対比されるその後の変貌ぶりが丁寧に描かれていて心地よい。
『スパイダーマン』にしても、その物語の本質は似たようなものだが、
こちらの方が、鬱屈した部分をきちんと表現できている分、
単純で偽善的な正義のヒーローになることもない。
などと思いながら、
英語版のウィキペディアを読んでいたら、
このグラフィックノベルの原作者であるマーク・ミラーは、
映画化される際、脚本の第1稿を読んで難色をしめしていたらしい。

その理由はこんな感じ…。
I wanted the film to basically be the opposite of the Spider-Man movie,
the idea of someone getting powers and realizing they can do what they want,
then choosing the dark path. The script  I read was just too tame.
It just seemed a little bit Americanized. But Timur came in
with his Eastern European madness, and he really made it nasty.
He went closer to the spirit of the book.
要するに、原作者も『スパイダーマン』とは、真逆の雰囲気で行きたかったみたいだ。
wanted 4

そんな意向を監督のティムール・ベクマンベトフは見事に実現した。
独創的で危険な魅力に満ちたカーチェイス、
CGを駆使した物理法則の限界に挑戦するアクションシーン、
おまけに、アンジェリーナ・ジョリーの全身タトゥーの披露シーンなどなど
とまぁ、アクション映画に必要なサービスは満点だ。
しかも、主演のジェームズ・マカヴォイが予想以上に演技も上手いし、
この作品の撮影のためにかなりの肉体改造もやり抜いたようだ。
話によると、かなりのアクション系のトレーニングも
ついでにやりこなしてきている人物らしい。
したがってそんな彼だから、
サエない平凡な羊のような男が、
しだいに自信に満ちた危険な暗殺者に成長?していくのも、
妙にリアリティーがある。
wanted 6
特に、暗殺者として鍛えられていくシーンの中で、
主人公のウェスリーが、
ひたすら殴られながら、「なぜお前はここに来た?」と
何度も問われ続ける場面がある。
ボロボロに殴られて、
正直に「最低の人生だったから…」と答えても、
どうも正解ではないらしくさらにめちゃくちゃに殴られる。
何をどう言っても殴られる。
最後の最後に、彼の口からこぼれた言葉は、

「自分が誰なのかがわからないから」

こういうのって、いいですね。
別にMっ気があるわけではなく、
殴られるうちにその人間の人生で培ってきてしまった虚飾が
思いっきり剥ぎ取られていくのがいい。
まるで禅寺の修行みたいだ。
アクションシーンがどうとかというよりも、
自分の人生をきちんと歩んでいない世のほとんどの人々に向けて
強烈なメッセージが込められているのがこの作品だ。
wanted 10
すべての物語が終わった時、
ラストシーンで、
"This is me taking back control of my life. What the fuck have you done lately?"
と、ウェスリーが観客に問いかける。

直訳すれば、
「僕は自分自身の生き方を取り戻した。ところで、君は、最近どんなことした?」
というところだろうか。

これにはやられた。


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wanted 3
A young man named Wesley Gibson works at a dead-end desk job with an overbearing boss, takes anti-anxiety medication for panic attacks, and has a live-in girlfriend who cheats on him with his best friend. During one of his trips to the pharmacy, Gibson is told by a mysterious woman named Fox that his father was a recently murdered assassin, and the killer, Cross, is behind him. Cross and Fox engage in a shoot-out followed by a car chase in the streets of Chicago. Fox brings Gibson to the headquarters of The Fraternity, a thousand-year-old secret society of assassins. The group's leader, Sloan, explains that Gibson's panic attacks are actually the untrained expression of a rare superhuman ability; when stressed he has drastically increased heart rate and adrenaline levels that result in bursts of superhuman strength, speed and reflexes. The Fraternity can teach him to control this ability, so Gibson can follow in his father's footsteps as an assassin, beginning by inheriting his fortune. Gibson is initially reluctant and returns to work, only to finally snap when discovering his online bank account balance is over 3 million dollars. He tells off his boss in front of the entire office and on his way out, hits his "friend" in the face with his keyboard. Fox is waiting outside to take him back to the Fraternity headquarters - an unassuming textile mill.
wanted 9
Gibson is then subjected to brutal training; among other forms of combat, he learns to curve bullets fired from smoothbore firearms around objects. Afterward, Gibson is shown the Loom of Fate, a loom that gives the names of the targets through binary code hidden in weaving errors of the fabric. Those the loom identifies are apparently destined to cause tragedy in the future; but only Sloan sees and interprets the names that "Fate" wants to kill. Gibson is initially reluctant about killing people. Then Fox reveals that in her childhood, a hired killer burned her father alive in front of her—and said hitman was supposed to be killed by the Fraternity. She considers that preventing such tragedy is now her mission.
wanted 11
After several routine missions and a chance meeting with Cross, in which Cross shoots him in the arm with a deliberately traceable bullet, Gibson becomes impatient and demands to be allowed to avenge his father. Sloan grants his wish, saying that Cross's name had come up on the loom, but then secretly gives Fox a mission to kill Gibson, saying that Gibson's name had come up as well. Analyzing the bullet that hit Gibson, it is discovered that the manufacturer was Pekwarsky, a bullet-maker that lives in eastern Moravia. Gibson and Fox travel there and capture Pekwarsky, who arranges a meeting with Cross. Gibson faces Cross alone on a moving train. Fox steals a car and crashes it into the train, eventually causing a derailment when the train reaches a bridge over a deep ravine. After Cross saves Gibson’s life by preventing him from falling into the ravine, he is shot by Gibson. Before dying, Cross reveals that he is Gibson's real father. Fox confirms the truth and explains that Gibson was recruited because he was the only person that Cross wouldn't kill. Fox then reveals the kill order on Gibson and raises her gun, but Gibson escapes by shooting out the glass underneath him and plunging into the river below.
wanted 7
Gibson is retrieved by Pekwarsky, who takes him to his father's apartment, located across the street from Gibson's old home—Cross was "only a camera-click away", as Pekwarsky states showing the photos Cross kept of Gibson since childhood. Pekwarsky explains that Sloan started manufacturing targets for profit after discovering that he was targeted by the Loom of Fate, and didn't tell the Fraternity members that they were now nothing more than paid killers. Cross discovered the truth and went rogue, and started killing Fraternity members to keep them away from his son. Pekwarsky departs stating that Gibson's father wished him a life free of violence. Gibson, however, decides to take out Sloan after discovering a secret room containing all of his father's weapons and maps. Upon entering Sloan's office after killing nearly every Fraternity member, he reveals Sloan's deception to the master assassins present in the room. Sloan then states that all of their names had come up in the weaving, and that he had merely acted to protect them. Were they to follow the code, every one of them should kill themselves on the spot. Otherwise, they should kill Gibson. Fox, who believes in the code more than anyone due to her own experience, turns on her fellow assassins, and "curves" a bullet that kills every Fraternity member in the room, including herself, but not Gibson. Sloan manages to escape.
wanted 12
Gibson, penniless once again, does not know what to do with himself. While Gibson provides a voice-over, the audience sees a man sitting in front of a computer much like Gibson did at the beginning of the film. Sloan appears and points a gun at back of the man's head. At that moment, the man turns around and is revealed to be a decoy. Sloan is then killed by Gibson using a long-distance untraceable bullet. Similar to the comic, the film ends as Gibson turns to the camera and breaks the fourth wall, saying, "This is me taking back control of my life. What the fuck have you done lately?"

wanted 13


「われわれは戦争に負けたのであって、奴隷になったのではない」
毅然として放たれた白洲次郎の言葉は、
今の時代に生きる日本人である我々が真剣に
受け止めなくてはならいないものだろう。
白洲次郎 10
NHKドラマスペシャル「白洲次郎」が
2月28日(土)、3月7日(土)に放送された。
このドラマは実にいい。
最近のテレビドラマと称されるめったやたらにある作品群の中で、抜群の出来だ。
また、今の時代状況を打破するために必要な要素が、
意図的に盛り込まれているのも素晴らしい。
実際、この「白洲次郎」という素材に目をつけた鈴木圭チーフプロデューサーは、
古めかしい言い方を借りるなら「慧眼の士」とでも言うのであろうか。
時代の趨勢をよく読んでいるんじゃないかと思う。
白州次郎 5
白洲次郎のエピソードとして、
例の「田中角栄とのやりとり」が個人的には気に入っている。
どうせドラマにとりあげられないと思うが…。
とりあえずこれは、かなり有名で、
どちらかというと最近のこと?でもあるので、
ウィキペディア(Wikipedia)にも掲載されている。
白洲次郎が運営するゴルフクラブに、
突如、田中角栄の秘書から
「田中がゴルフをしますのでよしなに」 と慇懃かつ高圧的に依頼された。
ところが、白洲次郎は
「田中という名前は犬の糞ほどたくさんあるが、どこの田中だ」と。
「総理の田中です」
「そいつは、このクラブの会員なのか?」
「会員ではありませんが、総理です」
「ここはなぁ、会員のためのゴルフ場だ。そうでないなら帰りなさい」
ときっぱりと断ったという逸話。
当時、全盛期であった首相の田中角栄に対してさえも、
ルールと信義を全うすることを要求したという。
立花隆さんもかつて「田中角栄」研究に燃えていた時期のあるインタビューで、
この話題にふれていたことがあったと思う。
年をとり晩年にさしかかっても、白洲次郎は白洲次郎だったというのがいい。白州次郎 1
ともあれ、「白洲次郎」というお方そのものが、
本来的には謎に包まれている人物。
書店ですぐ手に入る資料などを読んでも、
(「風の男 白洲次郎 」(新潮文庫) 青柳 恵介
「プリンシプルのない日本」 (新潮文庫) 白洲 次郎
「白洲次郎 占領を背負った男」上下 (講談社文庫) 北 康利などなど)
真実の姿は、実はよくわからない。

ケンブリッジ大学クレア・カレッジに留学し、
ベントレーを駆ってジブラルタルまでのヨーロッパ大陸旅行をした。
帰国してからは、
近衞 文麿のブレーンであり、
終戦直後の連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官のマッカーサーを一喝し、
吉田茂の懐刀で、かつ「日本国憲法」誕生の現場に立ち会った男。
交友関係も川上徹太郎を含めて超一流ぞろい。
ちょっと、かっこよすぎるなぁ。
白州次郎 6
ドラマで演じられているような存在と同じかどうかは、
不明ではあるものの、白洲の信念であった「プリンシプル」(自分の原則)を
全うしたのであろうことは前述のエピソードひとつだけでもよく分かる。
占領軍であるGHQ本部と堂々と対峙する姿に、
かつての「誇りある日本人」の一面が感じられて清々しい。

よくぞまぁ本格的に白洲次郎を映像化したものだ。
とにかく、
このドラマに関わっているスタッフの実力たるや凄まじいものがある。
細かい面において、本物志向であり、
照明の入り方などについても、繊細にやっている。
特に、
映画界から引っ張ってきた美術監督の都築雄二さんの仕事は、
このドラマのグレードを上げているし、
さりげなく出演者が着こなしている衣裳にしても、
伊藤佐智子さんの丁寧なセレクトによってドラマの質感を
アップさせているのもよく分かる。
白洲次郎 9
さて、時に、首相を陰で操ったラスプーチンだとバッシングされても、
「世の中の人がすべて敵になっても、俺は自分の信念を信じる」
と白州次郎は生きてきた。
終戦直後の場面の中で、
吉田茂に「これからの帰着地点は、誇りある日本の再生だ」
と言わせているが、残念なことにそれはまだ実現されていないような気がする。
なにせそんな吉田茂の孫が、
わけのわからない常に軸がぶれる首相として君臨しているというのも皮肉だ。
今流行の苫米地英人氏によると、
「GHQは日本に対して徹底的に洗脳を施した」と言っているが、
その影響は現在であっても、
政治、経済、文化の至る所の日本人の無意識層に食い込んでしまっていると思う。
いわば「奴隷の国、日本」というわけだ。白州次郎 2
そんな中で、唯一洗脳を免れた日本人とでもいうべき存在が白洲次郎なのだろう。
「ディフィカルト ジャパニーズ」
「頑固な日本人」
「古き良き日本人」
「古き良き日本のジェントルマン」
そんなタイプの大人が必要な時代になってきた。
吉田茂役の原田芳雄さんが、大腸がんで昨年の10月末に入院し、
11月に手術を受けていたということで、
その回復を待つということもあって、
第3話は8月に放送予定だそうだ。
この第3話で、白洲次郎はかなりのバッシングを受けるという。
出る杭は打たれるわけで、
それでも、へこまない頑固な白洲次郎を観たいと思う。

ちなみに、
福山雅治さんが主演をつとめる2010年放送のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の
チーフプロデューサーも、鈴木圭さんであるという。
どんな仕事をしてくれるのか、これもまた楽しみだ。

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白州次郎  7





宮藤官九郎4年ぶりの監督作『少年メリケンサック』について。

宮藤官九郎って、希有な才能の持ち主ではある。
この人と同じような感覚の持ち主というのは、いそうでいないじゃないだろうか。
とにかく、
ある一定の題材をお笑いに変える独自の方程式を持っているのではないかと思う。
今回の題材は、パンクロック。
もともとパンクって、反逆と反骨精神の一種の表現みたいなものですが、
『少年メリケンサック』は、どっちかというとマニアックなタイプかな。
ピストルズなど、懐かしいと言えば、懐かしい1980年代の風俗ですね。
少年メリケンサック 2
『少年メリケンサック』では
あの宮崎あおいが中年パンクバンドを相手に、
まぁ見事なほどにいろんな表情を見せてくれる。
アキオ(佐藤浩市)からは
「ウ○コ女!」と言われ続け、
ついでに足蹴にされたうえに、殴られたりもする、
結局、ハルオ(木村祐一)からは、ホントに牛の糞まで顔面にぶつけられてしまう。
バンドの移動の車中では、おっさんたちのオナラに苦しめられ、叫び、泣きわめき、
ぐだぐだに酔っぱらい、メロメロに彼氏にいちゃつく栗田かんな(宮崎あおい)。
そんな演技を嬉々ととして、宮崎あおいはやっている。
しかも、この撮影は昨年の3月17日にクランクインし、5月に撮影終了したという。
あの超フォーマルな『篤姫』の撮影との掛け持ちをしていたわけで、
よくバランスをとってお仕事をしていたもんだと思う。
それとも、いいストレス発散の場になっていたのだろうか。
少年メリケンサック  7
さて、
メイプルレコード会社で新人発掘を担当する栗田かんな(宮崎あおい)は、
契約期限切れ寸前のOL。
新人発掘をする中、ネットでパンクバンド「少年メリケンサック」を発見する。
バンドのサイトをたどって、働き先を訪ねてみると、
そこには五十歳過ぎの男(佐藤浩市)が酔いつぶれていた。
かんなが見たのは、バンドの25年前の映像だったのだ。
その男アキオは、かんなを相手にくだを巻くやらゲロを吐くやら…、
ホントにもう汚いことおびただしい。
でも、会社がバンドの動画を配信すれば、アクセスは急上昇。
しかも、中年バンドとは知らない社長(ユースケ・サンタマリア)は
「少年メリケンサック」のデビューに積極的。
自分の未来を賭けて、かんなは、
4人の中年パンクバンド「少年メリケンサック」とともに、全国ツアーへ!
とまぁ、こんな感じのあらすじ。
少年メリケンサック 5
舞台挨拶などで、「兄弟の愛憎劇をやりたかった」と宮藤監督は語っているが、
もともと彼の手法は、異質なもの同士を組み合わせて起きる笑いの化学変化が持ち味。
三谷幸喜が、ドラマの主人公たちを特殊な「~をせざる得ない」という状況に追い込んで、
笑いをとるのとは、別な道をたどってきている。
とにかく奇想天外な発想には驚くばかりだ。
これまでの作品でも、そんな異質な組み合わせによる「“そんなバカな!”みたいな内容」が
盛りだくさんに入れられている。
少年メリケンサック 6
たとえば、
●祇園の舞妓と野球拳をしたいという夢を追い求めるために
 そこまで阿部サダヲはやってしまうのかという「舞妓Haaaan!!!」

●愛する留美子は抜群の記憶力を持つ中年男の田町と衝突し、時々いれかわってしまう。
 数々の困難を乗り越えるバカカップルに幸あれ!!という「ぼくの魔法使い」

●「タイガー&ドラゴン」にしても、
 長瀬君の落語の世界(江戸時代)と現在進行形の物語が、バカバカしくもリンクする。
ヤクザが落語を真面目に追求するという発想がいい。

●はたまた、キャストの名前に以下のようなアルファベットがついていて、
 A 赤羽伸子(タクシー運転手) - 小泉今日子 B 別所秀樹(振付師) - 及川光博
 C 千倉真紀(脚本家) - 森下愛子      D 土井垣 智(声優) - 松尾スズキ
 E 江本しおり(アナウンサー) - 酒井若菜  F 船越英一郎(俳優) - 船越英一郎
 G 蒲生 忍(マンハッタンのアルバイト) - 塚本高史
 Aから始まる恋愛相関図が複雑に絡み合う「マンハッタンラブストーリー」

●満腹になると周りの人の20年後を予見できるという、変な超能力?を持った塾講師を
 深田恭子が演じた「未来講師めぐる」
少年メリケンサック 10
個人的に思うには宮藤官九郎さんの本当の持ち味は
発想の奇想天外な派手さもさることながら、
本当は地味な根気のいる「緻密さ」なのではないだろうか。
これまでの作品から類推するに、
彼はとりあえずなるべくバカみたいな無謀な設定を
シナリオを作る最初の段階でするんだろうとは思う。
特に、各シーンでやっていた笑いのネタがどこかで、
意味ありげに関連させるということにも、かなり神経を使っている。

たとえば、恋人マサル(勝地涼)の薄っぺらで、無味無臭の歌に辟易して、
自販機で何かを買おうとした時に、
手のひらにあるたくさんの500円玉の山を見つめるかんなのシーンなどは、
まさにクドカンの作戦成功という感じなわけだ。
(500円玉は、おっさんたちが車中でオナラをする度に罰金としてとりあげたもの)
無味無臭のアイドルふうの歌と人間臭いパンクとの対比を
「オナラ」の小ネタの笑いを連続させたことによる着地場所として用意するわけだ。
なるほど、
クドカンの意図的な小ネタの笑いの連続性を利用して、
ゴールを決めるパターンは、よく観ると随所に発見できるのだ。
少年メリケンサック 8
今回ならば、
かんな役の宮崎あおいと社長役のユースケ・サンタマリアとの、やり取りは見事だし、
常に次につながるフリが密かに仕込まれている。
メンバーのアキオ(佐藤浩市)とハルオ(木村祐一)兄弟の青年時代の仲違いは、
今回のドラマの縦軸として上手に伏線もはっていてご立派。
宮藤官九郎のパンクバンド「グループ魂」でドラムを担当している三宅弘城も、
痔もちのドラマー?(こういう細かさがクドカンらしい)として、いい味を引き出した。
また、田口トモロヲ演じるジミーは、
兄弟げんかのもらい事故による言語障害という設定プラス、
本人自身の妙な怪演で変な存在感がある。
しかも、ジミーが歌う「ニューヨークマラソン」の歌詞が
最後にはっきりしてオチになるなんてな技もやっている。

下品であろうとお下劣であろうと、
笑いの小ネタを次々に繰り出しながらやってくるので、
125分間があっという間に過ぎてしまう。
少年メリケンサック 9
ちなみに問題点なのは、
これは宮藤官九郎さんの脚本家としての資質にあるんだろうけれども、
彼の作品を何度も繰り返して観たいとは思えないということが実は気になる。
(不思議なことに、三谷幸喜の作品はものによっては何回か観られる物もある)
何度も笑わせてくれるのはいいけれど、結局何も残らない。
それが「お笑い」の本質なのか、
それとも決定的な何かが欠けているのか…。
そんなことがやたらと気になってしまう。
まさに今回のキャッチコピーの「好きです! パンク! 嘘です!」というような感じ。
『少年メリケンサック』という映画自体が、
一種のパンクロックの変形なのかもしれない。
パンクロックのコンサートで、
むやみやたらに大騒ぎをした後の虚しさと同質の感情と疲労が、
映画館を出た様々な観客たちの顔に浮かんでいるような気がする。

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少年メリケンサック 3





『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』
(Terminator: The Sarah Connor Chronicles 通称『TSCC』)を
今年の1月7日から観ることができるようになった。
この『TSCC』の設定はこんな感じ。

コナー親子が軍事システム「スカイネット」の研究データを破壊して5年。
1997年に起こるはずだった「審判の日」は阻止。
サイバーダイン社の技術者、ダイソンの殺人容疑で
自分たちの素性を隠し、追跡から逃れつつ生活しているジョンとサラの前に、
未来から新たな刺客のターミネーターが現れた。
スカイネットは、彼らを抹殺するつもりなのだ。
しかし、反乱軍からも親子を守るために美少女ターミネーター・キャメロンが
送り込まれていた。
キャメロンから「審判の日」が
2011年に迫っていることを知らされ、再びコナー親子の戦いが始まる。
ターミネーター 14

この古くて新しい『ターミネーターシリーズ』、
アメリカでの視聴率はそこそこあったという。
ともあれ、
『ターミネーター』(The Terminator)がこの世に登場したのは、1984年。
もう25 年も前の昔の話。
ターミネーターことアーノルド・シュワルツェネッガーが、
その筋肉美を見せつけるかのような裸で、
タイムスリップして来るシーンは実に懐かしい。
その彼も、今ではご存じの通りカリフォルニア州知事ですから、
時の経過というのは空恐ろしい。
ターミネーター  6
この25年間に渡って、
『ターミネーター』というある種の世界観を持ったSFが、
意外にもというか、
熱烈に愛され続けてきた。
『T2』・『T3』と時期をおいて発表され、
カリフォルニア州知事が出演していなくても、
『T4』も今年の6月には観ることもできるようだ。

荒唐無稽なSFなのに、
なぜ、この物語は愛されるのか?

とりあえず個人的には、サラ・コナーのモノローグのシーンが好きだ。

『T1』のラストシーンでは…。
サラの目の前には砂漠を貫いて続く果てもない道。
憂いを秘めた横顔を風が駆け抜けていく。
戦いの中で鍛えられたタンクトップからのぞく二の腕。
カイルとの間の息子ジョンを宿したサラは、ジープを走らせながら、
テープに音声を吹き込んで音声日記を作成していく。
死んでしまったカイルの残した言葉と
未来に訪れる「審判の日」を思い浮かべて。

ひとりの女性には背負いきれないほどの悲しみ…
人類の終焉をたった一人の自分が防ごうとしているというどうしようもない不安と
それを思いつつも決然とした覚悟。
そんな諸々の感情が抑制されストイックな感じで表現されている。
ターミネーター 15
『ターミネーター』の各シリーズは、
どれもシュワルツェネッガーなどによるさまざまなターミネーターたちの
ど派手なアクションシーンが目立つ作品だ。
近未来の荒廃した世界で戦闘を繰り返している部分のCGも、
現代でのカーチェイスなどのアクションも
その時々に応じて観客の目を惹くものにはなっている。
ただ、個人的に思うには、
それらのアクション部分は、『ターミネーター』の本質ではないということだ。
ターミネーター 4
やがて来る人類の終末、
ついでに本当は人類の終末でなくてもいいのかもしれないが、
(今の経済不況の発生の仕方とその展開もなんだか人類の終末っぽいけど)
なんらかの「悪夢のような悲劇的な結果」が出現してしまうことを阻止するために、
「孤独な戦いに挑む人間の姿」という設定。
そんな物語のスタイルがいい。
救おうとする者たちからでさえ、非難され追われる孤独な存在。
これこそが『ターミネーター』という物語の本質なのだと思う。
そういう意味で、サラ・コナーという女性のキャラクターは、
それ自体が非常に魅力的な存在だ。
今回は、ハミルトンではなくレナ・ヘディが演じている。
得体の知れぬ不安に耐えているという雰囲気の演技が上手い。
「審判の日」を生き延び、レジスタンスのリーダーとなる息子のジョン・コナーを
守りつつ、常に大人としての決断をくだしていく。
派手なアクションもあるが、そこに重点をおかず、
サラをはじめとするキャラクターたちの心の動きを
丹念に表現しようと試みているのもなかなか。ターミネーター 1
もちろん、
『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』には、
キャメロン(サマー・グロー)という美少女?の姿を
したリプログラムド・ターミネーター(TOK715)の存在もある。
2027年の未来からコナー親子を守るため、
未来のジョンにより送り込まれたという設定。
できれば、後半あたりにキャメロンには隠された本来のミッションなり、
本編を揺るがす秘密を担ってくれているといいなぁと思いますね。
それが『T4』につながっていると素晴らしいなぁ。
(ちなみにキャメロンという名前は、ジェームス・キャメロン監督へのオマージュなんだろうか)
ターミネーター 13
その『T4』では、
新しい謎の登場人物マーカスと反乱軍の指導者となったジョン・コナーは
ついに「スカイネット」の核心にたどり着くという。
そこで彼らを待ち受けていたのは、
かつてジョンを抹殺すべく過去にターミネーターを送り込んだ黒幕の正体、
そして人類全ての未来に関わる驚愕の真実だった…らしいのだが…、
さて、どう脚本をまとめているのだろう?
どんな物語のパズルのパーツをあてはめると美しいのだろう?

そんなことを考えながら、
春を待ちましょうか。

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ターミネーター 9

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
何と示唆の多い、そして寓話的要素にあふれた映画なんだろう…。
久々に素晴らしい映画だと思う。
きっと子供には分からないタイプの作品だ。

老人福祉施設の階段に
捨てられていた老人のような不気味な赤ん坊。
その赤ん坊の名はベンジャミン・バトン。
80歳の姿で生まれ、若返っていった男。
1918年に生まれ、
しだいに若返りながら死んだ男の数奇な物語。
ベンジャミン・バトン 1
どれだけ心を通わせても、
どれほど深く愛しても、
出会った人々と、同じ歳月を共に生きることができない。
ニューオーリンズで置き去りにされていた赤ん坊は、
黒人女性のクイニーに育てられた。
1930年の感謝祭。
ベンジャミンは少女デイジーと出会い、
ふたりは心を通わせ、ベンジャミンは自身の秘密を明かにした。
そこから二人の愛の物語もはじまる。
ベンジャミン・バトン 5
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
いい作品だと思う。
ついにデヴィッド・フィンチャー監督は、傑作をものにした。
そんな感じだ。
皆さんもご存じの通り、原題は、『The Curious Case of Benjamin Button』。
F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説集
「ジャズ・エイジの物語」の中にある同名の作品ががもとになっている。

現在、主演のブラッド・ピットは、1963年生まれで46歳、
そして、ケイト・ブランシェットは、1969年生まれの40歳。
10代のデイジーから、老年まで、ケイト・ブランシェットは演じているが、
CGで加工された若々しく艶のある肌やら、死を迎えようとする老女のメイクと、
年齢が変化することに応じたメイクやベースにあるCGも実に見事だった。
ついでに、
杖をたよりにヨタヨタあるく老人のベンジャミン(ブラット・ピット)の
精密な特殊メイクと合成技術は非常に自然に見えて完璧だ。
シーンごとで、時の流れを逆行する「若返り」の表現にも見応えがある。
さすが150億円の制作費も伊達じゃない。
ベンジャミン・バトン 2
ただ、この映画を観た後のさまざまな批評などを読んでいると、
その「若返り」や「恋愛」の側面に重点をおいた感想が多い。
また、何を言いたいのかが分からないという、
ようするにテーマが不明などというのもかなりあって、残念な感じがする。
この映画は、観る側の方に年齢や人生経験もしくはセンスを要求してくる作品だ。
ベンジャミン・バトン 7
なぜなら、
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』というタイトル通り、
確かに、主人公が人生を逆行していくという設定は荒唐無稽で「数奇」ではある、
だが、そこに散りばめられて描かれている「不条理」・「それぞれの死」・
「夢」・「出会い」・「時間」「老いる悲しみ」・「永遠なるものと瞬間の美しさ」
といったテーマは、荒唐無稽でもなく
「数奇」でもない、
それこそ私たちの人生そのものだからだ。
ベンジャミン・バトン 10
雷に7回撃たれた老人の人生は不条理そのものだし、
最初の友人であるピグミー族の男の孤独は、
誰もが無意識に抱えているものだ。
たびかさなる老人施設の老人たちのそれぞれの死、
育ての親であり、周囲に愛情を注いで生きたクィーニーの死、
本当はアーティストになりたかった船長のマイクの死と
彼の人生を支えた作品としての入れ墨、
ロシアで出会ったエリザベス・アボットが
老境になってドーバー海峡を横断する夢を実現すること、
ボタン工場で財をなし、ベンジャミンを捨てた父トーマス・バトンの死などなど

そのすべてが、私たちのすぐそばにある誰かの人生、
もしくは自分自身に重なってしまう。
ベンジャミン・バトン 12
それにしても、なんと多くのシンボリックなものが
暗号のように込められている作品なのだろう。
それに気がつかなかったり、感じることがなければ感動することもままならない。

作品の冒頭に語られる「時計職人」の話もシンボリックだ。

ある時計職人が戦場で大事な息子を失った。
息子を戦争へ送り出した事への慚愧の思い…。
駅のために、
彼が作り上げた巨大な時計はなんと針が逆に戻るものだった。

人は時として、時を遡りたいと願ったり、
あの時こうしていればという「IF」の念に襲われる。
けれども、針が逆回りする時計を作り上げても、時は戻らない。
本作品の「ベンジャミン・バトン」という存在も、
そういう意味では「逆回りする時計」にすぎないのではないか。
ベンジャミン・バトン 14
また、
作品の中で、何度か登場する「ハチドリ」もシンボリックな意味を背負わされている。
hummimgbirdというぐらい、
絶え間ない羽ばたきをしなければ飛ぶことのできない鳥。
それはまさに必死に「生」をまっとうしようとする人間の姿にも重なる。
映画の中では、人の体から抜け出した魂魄の様に旋回しながら空へ舞っていく。
ベンジャミン・バトン 3
セリフもまた象徴的だ。

「私はベンジャミン・バトン。
とても不思議な人生を送った。
誰もが老いていくのに─私は若返っていくのだ。独りだけ」

「人生は驚きの連続」

「誰もが自分は人と違うと思うもの。
でも行き着く先は同じ。通る道が違うだけよ。」

ベンジャミン・バトン 8

「残念だな、永遠のものがないなんて」
「あるわ」

ケイト・ブランシェットのバレリーナとして、
またダンサーとしての体のラインは、
「儚い永遠と一瞬の美しさ」を言葉以上に表現していた。

たくさんの寓話的なシンボルの意味をこの映画の中からくみ取れなければ
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を楽しむことはできないと思う。
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ベンジャミン・バトン 11




ついに第2章の公開ですね。
とうとう成長したカンナがケンヂたちの過去との邂逅を果たすわけだ。
もちろん、
マーク・ボランが率いたT・レックスの曲「20th Century Boy」も、帰ってきた。
20世紀少年7
とりあえず観ちゃいました。
2時間20分は、けっこう長いですね~。
60億円をかけて、おじさん世代の思い出を何度も行き来する映画『20世紀少年』。
今回は、
“血の大みそか”から15年が経った2015年が舞台。

高校生のカンナ(平愛梨)は、
洗脳を目的として造られた施設「ともだちランド」に潜入し、
成績優秀者だけが行くことのできるボーナスステージへ。
そこには、
ケンヂたちの子供時代が。
つまり彼らの1971年のヴァーチャルな世界が存在していた。
いいですね~。
非常にユニークなタイムトラベル的な設定。
物語の筋なんて、基本的にはどうでもいいわけで、
観ているとただひたすらついつい感傷的になってしまう。
20世紀少年  8
しかもカンナがたどり着いた先は、
彼女が会いたくてたまらなかったケンヂおじちゃんの子供部屋。
その頃の遠藤健児くんはまだ6年生。
布団で寝ているケンヂのそばには、少年サンデーや少年マガジンがあり、
携帯ラジオは、FENがつけっぱなしになっているらしく、
バッド・フィンガーの『嵐の恋』がかすかに聞こえてくる。
すやすや寝ているケンヂ。
そんな少年ケンヂを見つめながら、涙ぐむカンナ…。
カンナの落とした涙のひと雫で、
ふと目をさましたケンヂを 
抱きしめて「私があなたを守る」とつぶやく。
20世紀少年 6
カンナ役の平愛梨さんって、3000人の中から選ばれたそうなのだ。
そんなに上手くはないけれども、そこそこ適役だ。
瑞々しくて、
少年ケンヂを見つめる目がなんともしれず切ない感じでいい。
ちょっとだけ柴咲コウっぽい戦う面構えというか、
凛とした雰囲気もそれなりで、
へぇ~、こんな子がいたんだぁという感じではある。
インタビューを受けていたりする素の平愛梨さんは、それほどでもないのだが、
このカンナに扮した平愛梨さんは実に魅力的に撮られている。
堤幸彦監督の力でしょうか。
ともあれヴァーチャルの過去で、
カンナは、かつて事件があった小学校の理科室に行き、
“ともだち”の真相に近づいていく。
20世紀少年 3
ちなみにカンナの「ケンヂおじちゃん」
なんてな声が、自然で清々しかったなぁ。
ケンヂおじちゃんかぁ~。
ところでその主人公「遠藤健児」のモデルは、
かつてフォークソングのスタート時期に活躍した「遠藤賢司」。
長渕剛なんかは、自分のディスクジョッキーで、
「ほそぼそと、ホント生きるか死ぬかの瀬戸際で、
あまりにも無意味な歌を歌っているというタイプの人。
思わせぶりで、何を歌っているのかな?と思ったら、
カレーライスがただ単純に好きというスリーフィンガーでかもしだす歌だった。」
と、話している。
でも、そんなことを言ってはいても、
初期の長渕剛は、遠藤賢司の「カレーライス」という実に暗くしょうもない曲などもひっくるめて、
確実に音楽的には影響受けているのだ。
20世紀少年 1
また、カンナの同級生の小泉響子に扮した木南晴夏もいい。
ちょっとした拾いものかもしれない。
よくぞこのキャラにぴったりのタレントを発見したものだ。
浦沢直樹の漫画のキャラクターとそっくりな「驚き顔」を見ていると、
本来の物語の展開とはまた別に楽しめる。
20世紀少年 9
さぁ、第3章は、どうやら8月に公開予定のようだ。
ケンヂは、どういうわけかスクーターにまたがって北海道を疾走中。
もちろん漫画を読んでしまっている皆さんには、
それがどういう意味なのかも分かっているとは思いますが、よく作られている。
ギターを背中にしょって、
自分の持ち歌を歌いながら第3章に向かっていく。

さて、第2章での表現の仕方で、
ストーリーの展開の仕方が整理されただとか、
結局、漫画をなぞるだけのものだとか、
いろんなお声があるのだが、
世間の批評家があんまり触れていないことの一つに、
「群衆」の描き方のうまさがあると思う。
意外とこいういうことはエキストラにも金はかかるし難しい。
これに関しては、
「ともだち」が権力を手にしたという部分に比例して、
前作よりはるかに進化している。
ついでに言うと、
「群衆」の描き方の進化は、
きっとさらに第3章につながるものなんだと勝手に思ったりもするわけだ。

もし、第3章が映画として成功するならば、
ケンヂのしょぼい歌に、
何万人という群衆が耳を傾け、
歓声をおくるという場面がどれだけ効果的に表現できるかにかかっている。
あの「ウッドストックの伝説」のように。
20世紀少年 5
1969年8月15日(金)から17日(日)までの3日間、
ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)には、
一種の奇跡が起きていた。
30組以上のロックグループ。
入場者は40万人以上。
当日入場者は20万人を超えると予想していたものの、
ふたを開けてみれば、それをはるかに上回る40万人以上が参加。
ウッドストックを目指すおびただしい数の人また人…。
しかも恐ろしいことに、半数以上が入場料金を払わなかった。
さらにロックにひかれて押し寄せる人々、
人の数がここまで増えるともうそれだけで圧倒的な感動がある。
ロックという旗印のもとに集った40万人の「群衆」の強烈な熱狂!
当時のヒッピー文化の絶頂ともいうべき、
伝説的な野外コンサートだった。

20世紀少年の第3章にも、
そんなウッドストックっぽい「群衆」の熱い奇跡が表現されると、
なんだかちょっと報われるような気がする。
つい感動して、泣いてしまうかもしれない。

とにかく、現在、不況の真っ只中で先行き不透明なこの時代。
苦しみもがく2009年の大人たち。
愚直に、不条理な経済状況に中に置かれて、自分を見失いそうになる大人たち…。

『20世紀少年』は、
そんな彼らへの、
1970年代に子供だった大人たちへのレクイエム(鎮魂歌)になるのではないかと思う。

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20世紀少年

第81回アカデミー賞授賞式が、
2月22日(日本時間23日)に開催されますね。
皆さんもご存じの通り、
外国語映画賞(Foreign Language Film)部門に、
『Departures おくりびと』がノミネートされていますね。
どうなるか分からないけれど、すでにこれだけでも充分に素晴らしい。
また、長編アニメ賞には、『Wall-E ウォーリー』がノミネート。
これがうれしい。
ウォーリー 8
これまでの映画観客動員数を調べてみると、
公開以来5度も首位になっているし、
まぁ、たまにちらりと「地球が静止する日」に首位の座を渡したけれども、
結局、「レッドクリフ Part1」とほぼ同じぐらいの興業結果を残しているわけだ。
凄いなぁ~。
メインの作品賞の結果よりも、『おくりびと』と『Wall-E ウォーリー』が
どうなるかの方がよっぽど気になってしょうがない。

子供も大人も楽しめるという点で、
『Wall-E ウォーリー』は、かなりの傑作なんだと思う。
もうちょっと世間でも、
それなりのお褒めの評価をいただいてもいい作品なんじゃないかと
思ってしまいます。
ウォーリー1
舞台は29世紀。
人間は、汚染され尽くした地球を捨て、
宇宙船「アクシオム(AXIOM)」で生活している。
オープニングで、宇宙空間から大気圏を突き抜け、
霞がっかった雲の層から透けて見える地球の地上がズームアップ。
巨大な摩天楼のような高層ビル群かと思いきや、
そのすべてがゴミの山だったというのがいい。
そんな林立する高層のゴミの塔を
たったひとりになっても処理し続けているロボット、それがWALL・E(ウォーリー)。
人類が地球を去ってから700年間!、
他の仲間たちが壊れて動かなくなっても、
ただ黙々とゴミを圧縮し、積み上げ、塔を建て続けてきた。 
ウォーリー6
前半のWALL・E(ウォーリー)の孤独。
その『孤独』の描き方がこれまた実にいい。
大都会に一人ぼっちで生活している律儀なサラリーマンみたいな生活だ。
身につまされる大人も多いことだろう。
そこそこ身ぎれいにしていて、
わりとしっかり暮らしている。
が、VTRでミュージカル『ハロー・ドーリー!』を
憧れながら、羨ましそうに観る毎日。
ほんとにこれって、独身男の孤独な生活ですよね。
この丁寧な描き方が、後半に向けて、
相手の指に自分の指を絡ませることで思いを伝える動機づけ
というか大事な愛情表現のための布石として、
非常に効果的なものとなっている。
この部分で昔の『ショートサーキットの№5』とは、
似て非なるものとなった。
ウォーリー4
ともあれ、まったくのセリフ無しで、
映像と効果音のみで表現される実に人間的なロボットの『孤独』…。
そんなのを観ていると、
「死は孤独であるかもしれない。
しかし、生きているほど孤独であるはずがない。」
なんてな厳しいことを精神科医のアクセル・ムンテが言っていたのを
ふと思い出してしまう。

ちなみに、
監督であるアンドリュー・スタントンは、
「主人公がひとりだけ地球上に取り残されたロボットというのがあり、
地球上に誰もいなくなるという状況がどんなものかを考えた時に、
住めないほどゴミが貯まってしまった世界にしようと思いついた。
そのゴミの山を片付けているロボットというのは、
人類の尻拭いしているようなところもあって面白いし、
彼がゴミの山から、
かつてどういう人類がそこにいたのかということを発見の過程も描けるからね」
と、語っている。
「ファインディング・ニモ」の制作中に、
アンドリュー・スタントンは、そんな発想を得ていたとは、いやはやではある。
大したもんだと思う。
ウォーリー5
そして、
ある日、上空から巨大な宇宙船が着陸し、
中から現れた白く輝くロボットEVE(イヴ)。
WALL・EとEVEとのやりとも非常に上手くできている。
それは、
WALL・Eのこれまでの孤独の終わりであり、
ともに生きる者たちとの新しい絆の始まりでもある。
特に、EVEが地球の再生のシンボルである植物を体内に収納したとたんに、
まったく動かなくなってしまう場面でのWALL・Eの動きが切ないなぁ。

再び訪れた孤独…

「孤独を味わうことで、
人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。
いずれにせよ、人格が磨かれる。」
byニーチェ

「孤独とは、港を離れ、海を漂うような寂しさではない。
本当の自己を知り、この美しい地球上に存在している間に、
自分たちが何をしようとしているのか、
どこに向かおうとしているのを知るためのよい機会なのだ。」
byアン・シャノン・モンロー
などと言った格言めいた言葉もあるけれど、
なんにせよ、WALL・EとEVEを観ていると、
『孤独』の重みを感じるぶんだけ、
他者と手つなぐことのぬくもりの有り難さと貴重さを思ってしまう。
そういう意味で、
この映画『Wall-E ウォーリー』は、
ファミリー向けのアニメなのかもしれないが、
非常に品格のある作品であり、
ピクサー社の作品の中でも相当に秀逸なものだと思う。
どうでもいいことなのかもしれないが、ぜひ、賞などひとつ手に入れてほしい。

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ウォーリー2

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アカデミー賞、ノミネート作品資料

作品賞[Best Picture]
[ノミネート]
●『The Curious Case Of Benjamin Button ベンジャミン・バトン/数奇な人生』
●『Frost/Nixon フロスト/ニクソン』
●『Milk ミルク』
●『The Reader 愛を読むひと』
●『Slumdog Millionaire スラムドッグ$ミリオネア』

長編アニメ賞[Animated Feature Film]
●『Wall-E ウォーリー』
●『Kung Fu Panda カンフー・パンダ』
●『Bolt ボルト』

外国語映画賞[Foreign Language Film]
●『The Baader Meinhof Complex』(ドイツ)
●『The Class』(フランス)
●『Departures おくりびと』(日本)
●『Revanche』(オーストリア)
●『Waltz With Bashir』(イスラエル)

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ウォーリー3




フジ系列の『ヴォイス~命なき者の声~』(月曜後9・00)がスタートしましたね。
昨年の民放のTVドラマについては、
どういうわけかそんなに興味がひかれなくて、
結局のところ一年間を通して映画の話題を書きつないできちゃいました。
ところが、先日、TVをたまたまつけていて、
『ヴォイス』の冒頭を何の期待もなく観たら、
最初の3分ぐらいで、これはそれなりの実力の持ち主が作った脚本であり、
演出なんだなぁということをふと感じてしまいました。
不思議なもんです。
凄いというわけではないが、
そこそこのクオリティーを持っている。
そういうタイプのドラマなんだと思います。
ヴォイス 2
しかもドラマでの表現というか描き方のクセが、
どこかで観たことのある感じ。
「医大の法医学ゼミに所属する学生たちの奮闘を描く」
という遺体を題材にした法医学的なドラマのパターンは、
海外ドラマの『CSI』や『BONES』などにもあるけれど、
『ヴォイス』からうける印象はちょっと違う。
その妙な感触って何だろうとずーっと思っていたら、
これって2007年の4月からやっていた『プロポーズ大作戦』から
受けた印象と同じなんだなぁ。
全然シチュエーションも違うんだけれども同じ匂いがする。

もちろん調べてみれば、『ヴォイス』の脚本家は、
「プロポーズ大作戦」も手がけた金子茂樹さん。
脚本 - 金子茂樹
プロデュース - 瀧山麻土香、東康之
演出 - 成田岳、松山博昭、石井祐介
音楽 - 吉川慶
ヴォイス 21

なるほど~。
やっぱりね、人間って脚本上でドラマや会話を転がすためには、
それぞれやりすいベースというかパターンがあるんだなぁと思ってしまう。

瑛太の連続ドラマ及び月9枠初主演作『ヴォイス〜命なき者の声〜』の
キャストとドラマの基本となる会話の転がし方は、
突き詰めると『プロポーズ大作戦』と同質なわけで、
たとえば、以下のキャストの配置の仕方をご覧になっていただきたい。

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『ヴォイス』           『プロポーズ大作戦』
加地大己(瑛太)   ←→ 岩瀬 健(山下智久)
久保秋佳奈子(石原さとみ) ←→ 吉田 礼(長澤まさみ)
石末亮介(生田斗真)  ←→ 多田 哲也(藤木直人)
桐畑哲平(遠藤雄弥)   ←→ 鶴見 尚(濱田岳)
羽井彰(佐藤智仁)   ←→ 榎戸 幹雄(平岡祐太)
夏井川玲子(矢田亜希子) ←→ 奥 エリ(榮倉奈々)
佐川文彦(時任三郎)   ←→ 妖精(三上博史)
-----------------------------------------------------------------------------
いやはや構成的によーく似ています。
さらにもうちょっと抽象度を上げて分類すると以下のような感じ。
①物語の主軸であり(恋愛感情も含む)、柱となる主役とヒロイン
②会話のお笑い部分を担当しながら、会話に厚みをつける男のコンビ
③ヒロインとはちょっとタイプの違う女性キャラ1名
④イケメンで主役とは対極のタイプの男性キャラ1名
⑤物語の指針やテーマにまつわる台詞を担う年長者の役柄
ヴォイス 15
とにもかくにも、
①~⑤のキャラクターでドラマを動かすのが、
きっと金子茂樹さんにとってはやりやすいのでしょう。
金子さんは、これまでの脚本からしても実に頭がいい人なんだと思う。
たとえば、
単純で直線的になりやすい会話の部分を
ちょっとした小ネタの笑いのやりとりで緩和する技術が上手だ。
ヴォイス 3
さらに金子さんの特徴は、
あえて物語の「枠」を自分なりに定めて書こうとしている形跡があること。
『プロポーズ大作戦』ならば、主人公が過去に戻り、
彼女との距離を縮めようとして努力して、
不完全なままに現在にかえってきて、
思い出のスナップ写真が若干変わるのを見るという「枠組み」。

今回の『ヴォイス』ならば、当然ながらドラマごとに新しい遺体に直面し、
その遺体に秘められた真実を、
主人公らが想像力を駆使して追求する。
その追求の仕方を定型的な枠として定着させようとしている感じがする。
今回のドラマ作りの難しさは、
気の利いた「遺体の真実」のアイディアをどう捻り出すかですよね。
第1話なら、「手のひらを空に向けて死んだ中年男の真実」でした。
第2話は、
「生卵を入れたビニール袋を持ったまま、
自宅の近所で倒れていた35歳の男の真実。
しかも警察は急性の心臓死を疑うが、妻は、
最近までアメフトの選手だった夫が急死するとは信じられない。
東凛大の佐川は佐野の手に感電した痕を見つける。そこで…。」
これぐらいの予告を見ると、
自分だったら、どんなドラマにするだろうとついつい考えてしまう。
ふーむ、ハテ?、けっこうなパズルだ。

ともあれ、第1話「失われた命を救う医学」の平均視聴率は17.7% だったらしい。
好調な出だしですね。
第2話の内容を勝手に想像しながら、来週を待ちましょうか。
ヴォイス 20
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「別れの場に立ち会い、故人を送る。それは何より優しい愛情に満ちている…。」
                                             『おくりびと』より

1月8日、
「キネマ旬報」によると、2008年邦画第1位は『おくりびと』と発表された。
下馬評通りというのも何なのだが、
『おくりびと』は、
昨年公開された他の優れた邦画作品を一歩リードし、第1位を受賞した。
この映画は、身内の大切な誰かをおくった後に観ると、実にこたえる映画ではある。
「笑って、泣けて、深く心を打つ…、そんな映画をつくりたい!」
というのが、監督をはじめとする制作スタッフの願いだったのだそうだが、
それがまさに実現化した。
昨年の邦画界にはさまざまな良い作品が排出されている。
この『おくりびと』は、
コミカルな面とそれこそ品格のある部分がほどよく共存して、
いわば賞をとりやすいタイプの映画なのではないだろうか。
【邦画ベストテン】
第1位 おくりびと  第2位 ぐるりのこと。
第3位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
第4位 トウキョウソナタ 第5位 歩いても 歩いても
第6位 闇の子供たち 第7位 母べえ
第8位 クライマーズ・ハイ 第9位 接吻 第10位 アフタースクール
おくりびと8
さて、『おくりびと』の内容についてですが、

みなさんも感じられているように、
まずは映像が美しかったですね。

舞台になっているのは庄内平野。
時が流れ、季節が変化していくその様は、
まるでそれぞれの人間たちの一生にも似て、ほのかな哀愁も含まれているようだ。
苦悩しながらも、納棺師として成長して行く主人公大悟。
そして、
心に優しい緑の山河、
時折うちつける時雨、
目に鮮やか紅葉、
切なく降りしきる雪、
季節は巡って、再び満開の桜と風に流れる花びらたち、
どれもこれも、実に品の良い風景の中で物語は展開されていた。
登場人物たちも、ある種、風景の一部のようでした。
おくりびと10

ともあれ、チェロ奏者がひょんなことから納棺師に
なってしまうという伊丹十三監督風の企画は、
もとはと言えば、主演の本木雅弘さんがプロデューサーにもちかけたものだという。
「旅のお手伝い」という文句と高額の給料なんかに目がくらみ、
旅行代理店か何かではないかと勝手に勘違いして納棺師の事務所に入るところや、
本木くんが死体役で葬式のPVを撮られてしまうあたりは、
実に上手に描かれている。
おくりびと3
物語で描かれるさまざまな遺体たち、
老女の腐乱した遺体と現場の異臭…。
若い女性の遺体と思いきや性同一性障害で悩んでいたニューハーフの死化粧、
無念にも幼い子供を残して死んでしまった若い母親の死と家族、
女子高生のように憧れのルーズソックスを履かされるお婆ちゃんの遺体、
女好きで、けっこう家族に迷惑をかけたはずなのに、最後までモテモテのお爺ちゃんの亡骸。

大事な人が逝ってしまうのは、
それがどんな人物であれ、
当然ながらあまりにも悲しい…。
そんな悲しみに暮れる家族や親族を前に、
流れるような所作でことをすすめる納棺師。
葬式という日本的な美意識に満ちた儀式の中、
卓越した精神とそれを能のような一分の隙もない身体表現の見事さ。
山崎努も相変わらずクールな怪演でいいし、
脇役たちも地味にうまい。
まして、バックに流れる久石譲さんの効果音(チェロの作品)も、
これまた品良くはまっている。
おくりびと6

結局、映画を見終えると、
つい「広末涼子の演技が一本調子だ」とか、
「脚本の後半、30年ぶりに出会う父親の死と握りしめていた「石」にまつわるくだりは、
やや強引すぎて、もうちょっと脚本段階で
深めることができたのではないかと悔やまれる」
なんてなことも言いたくはなる。
ただ、そんな部分を圧倒的に越えて伝わってくるのは、
納棺師たちの遺体に対する「リスペクトの念」であり、
一つの人生の終焉をいかに大切に扱うかという思いやりの形だ。
最近の日本人がどこかに忘れてしまった感覚のひとつではないかと思う。

おくりびと7
エンド・タイトルでも再度見せてくれる本木くんの納棺の所作の美しさ。
この納棺の様子はなんと1カット長廻しで撮影されており、
編集も何もされていないことが充分にわかるだけに、
かなり凄みのあるものになっている。
この映画のためにチェロ演奏と納棺師のそれぞれの技術を同時にマスターし、
しかも相当に高いレベルにまでどちらも達した本木くんの努力はまさに賞賛に値する。

ご存じの通り、不況、派遣切り、パレスチナ情勢、火災や殺人、強盗事件、
定額給付金がなんやらなどというお粗末な政局の不安、
いやはや本当に殺伐とした時代ではある。
この時代に、
『おくりびと』で表現されていた死とそれへの対峙の在り方は、
改めて「生きていること」についてを考えさせられる。

そういえば、最近流行っているセラピー関係の書籍の最後にこんな一節があった。
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今日という日…。
「あなたがくだらないと、
思っている今日は、
昨日亡くなった人が
なんとかして生きたかった
なんとしてでも生きたかった
今日なんです」

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おくりびと9

※ちなみに、日本アカデミーでは、「優秀作品賞」に以下の作品が選ばれた。
『おくりびと』
『母べえ』
『クライマーズ・ハイ』
『ザ・マジックアワー』
『容疑者Xの献身』

最優秀賞については2月20日(金)に発表されるそうだ。
今回はけっこう粒ぞろいの作品群なので、どうなるかちょっと気になる。

ついに『天地人』がスタートしました。
昨年の『篤姫』は、これまでにない高視聴率を誇る物凄いドラマになっちゃいましたが、
この『天地人』はどうなるのでしょう?
天地人2
なにせ『篤姫』全50回の平均視聴率は24.5%!
まず、幕末を舞台とした大河ドラマとしても過去最高、
しかも過去10年の大河ドラマとしては最高の視聴率なのだそうだ。
恐るべし『篤姫』。
『篤姫』がなぜ良かったのかということについては、
主役の宮崎あおいをはじめとする役者たちが素晴らしかっただとか、
全話通じて「ホームドラマ」であり、それが分かりやすかったなどと、
その理由についてのご意見もさまざまだったりする。
でも、基本的にはベースとなる脚本が良かったのでしょうね。
あの分かりにくい宮尾登美子の原作『天璋院篤姫』を
魅力的なものに変化させた田渕久美子さんの力量たるや大したもんです。
ちなみに、私の知り合いの某脚本家くんは、
「篤姫なんかは何もドラマティックなことをしていなくて、
どこが面白のよくかわからない!無血開城だってそれほど大したことじゃない」と、
言い張るのですが…。
そういうのって、極論すると「戦争好きな男の意見」なんじゃないかと思う。
私の周りの女性陣は、ついつい録画した映像を何度も観てしまうという人ばかり。
「女の道は一本道」とか「人には役割がある」など、劇中に台詞として語られた思いが
きちんと50話の脚本の中に貫徹していたのが素晴らしいんですよ。
天地人1
あんまり世間の評論家たちが、
批評として言葉にしていないのが不思議なのですが、
この『篤姫』という物語は、
本質的には「人間関係改善」の物語なのだということですよね。
男たちの血なまぐさい戦闘のシーンなどはなくても、
篤姫がステップアップするたびに直面する人間関係について、
ともすれば敵対状態となってしまう人々との関係を、
彼女のまっすぐな言動によって打開していくさまが心地よかったのだと思う。
篤姫の前に何らかの障害として、
かつて立ちはだかった調所広郷、島津斉彬、英姫、島津斉興、
徳川斉昭、徳川家定、和宮、井伊直弼、徳川慶喜…など、
全員が篤姫と見事に融和していく。
天地人3
私たちの日常にふいに訪れる「戦闘」は、
刀の斬り合いでもなければ、殴り合いでもなく、
ただひたすらに「人間関係の悪化」、これしかない。
ご存じのとおり、人は会話している際には、同時に2種類の交流をしている。
一つは声に載せた「言葉」の交流であり、
もう一つは、言語にならない無意識的な「好悪の感情」のやりとり。
ドラマ『篤姫』における脚本・演出で特筆すべき優れた点は、
会話におけるその2種類の交流の変化を丁寧に描いたことにある。
そこにこそ人間関係に対して繊細な人(例えば女性の視聴者)が
このドラマに惹かれる部分であったのだと思う。
そして「家族」というもっとも絆の強い人間関係の描き方にほっとさせられた。
会社でも学校でも家庭でも、人間関係をとりむすぶのには大変で、
つねに悩まされる今という時代に、
まさにぴったり適合していたドラマだったのではないかと思う。天地人8
さて、前置きが長くなってしまったけれども、
これから続く『天地人』という物語、NHKの制作スタッフとしては、
当然ながら『篤姫』で成功した今という時代へのリンクの仕方を
なおさら意識してドラマ作りをしているのだと思う。
今回、それを端的に表現しているのが兼続の「義」と「愛」。
薄汚れ、欲望に満ちた「利」を求める数多くの人間たちの生き方と、
それとは対照的に、「愛」を重んじ、「義」を貫き通した直江兼続の生き方。
これが、今回のテーマとなるんですね。
世のサラリーマンが喜びそうな現代社会とのオーバーラップも当然意識しての主題。
原作は、火坂雅志さんの小説『天地人』。
脚本は、テレビ小説『どんど晴れ』を手がけた小松江里子さん。
天地人7
火坂さんの小説は、読んでみるとそれなりに楽しめるものの、
これを50話の脚本に直すとするならば、かなりの智恵がいる。

第1回「五歳の家臣」(75分)にしても、
まずは、秀吉と兼続とのやりとりで、
「利」と「義」のテーマ性をシンボリックに表し、
「義」を重んじる上杉謙信のキャラクターを
好戦的になっている上田衆とのシーンで描き、
主人公の与六(直江兼続)と喜平次(上杉景勝)との幼き日々の出会いとその家族を、
表現するという超過密な内容になっていた。
頑張っていたなぁ。
この大変な1本分だけでも、小松さんの実力がよくわかる。

期待できると思う。

天地人4
ただ、もともとの火坂さん小説の欠点なのだけれども、
次はどうなるのだろうというような意外性のある部分が足りない。
昨年の『篤姫』などでは、歴史の流れは予定調和で分かっていても、
どこらへんで「人間関係が改善されるのか」
という妙にハラハラドキドキさせられるような部分が意図的に用意されていた。
(ひとえに脚本のうまさによるのだが)
今回の『天地人』ではそのあたりをどう処理するのだろうか?
ちょっと気になる面ではある。
天地人6

また、第1回の中で、意図的に表現されている兼続の母お藤の「紅葉の教え」と
「北斗七星」のたとえは、原作にはなく脚本家小松さんの手によるオリジナル。
これが、50話を通して効果的に全編を貫けるだろうか。
さらには、与六(兼続)の泣くシーンが意図的に多い、
弱さと優しさを抱えた兼続がしだいに強く成長していくための布石のようにも思える。
子役の加藤清史郎くんの演技はかなり上手であったし、
その後を引き受ける妻夫木聡は、もともと泣き上手。
(ぐじゃぐじゃに泣いている妻夫木くんはかなり魅力的ではある)
弱さと人間味をさらけだした演技が、うまくはまってくれることを祈るのみだ。
オープニングから察するに、大がかりな撮影やCGなどについても見所は多い。
ちなみに、武田双雲くんの書がタイトル「天地人」だけでなく、
劇中の旗の「毘」や「龍」に使われていて、
いいんだけれども、それを見るとふと現代に引き戻されるような気分になる。

また、大島ミチルさんの効果音については、
これまでの仕事ぶりをからしてそんなに期待はできないし、
ある程度の平凡さでやむなしというところ。

さわやかに、清々しく、1年間を駆け抜けてくれたらとも思う。
何はともあれ、来週を楽しみにしたい。

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天地人5


新年あけましておめでとうございます!
新しい年になっちゃいました。
みなさんにとって、最良の年になりますように願っています。
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さて、今回は、第59回NHK紅白歌合戦について。

過去10年で最少の53組で行われた紅白。
昨年の58組と比較しても、その少なさは特徴的でした。
2003年では62組、2005年でも60組だったわけで、かなり少ない。
少数精鋭?という感じであり、エンターテインメント番組部の近藤保博部長さんによると、
「歌をじっくりと聴かせる紅白」ということなんだそうだ。
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確かに、下のそれぞれの歌手やグループの持ち時間も、
ほとんどが4分以上なわけで、過去の紅白に比べても珍しい状況だ。
(昔は、初出場だったら2分!という扱いの歌手もいた)
紅白での歌手たちの持ち時間にはご存じの通りいろんな意味合いがある。
たとえば、
その歌手のNHKにおけるステータスであったり、
制作サイドの歌手に対する視聴率への期待であったり、
芸能事務所の思惑や貢献度、今後の関係性であったり…などなど。
それはもう大変な重みがあるわけだ。
北山たかしさんなんかも、北島三郎事務所の強力なプッシュというかねじ込みが
あってこそそれなりの持ち時間をもらって、
舞台の上に立っていられるという、いやはや。
逆に、相変わらずNHKは、
「桑田佳祐」、「竹内まりや」、「B’z」ら大物たちに振られっぱなしで、
今回はとうとうドリカムさえも呼ぶことはできなかった。
結局、交渉で成功したのは、北京五輪のテーマを手がけたミスチルで、
下の持ち時間の一覧を見れば分かるとおり、6分~7分も彼らに渡し、
NHKでももっとも広い101スタジオで演奏していただくという
超VIP待遇とあいなった。
(結果的に、2分、3分、4、5分と、歌手に対してのランキング付けができあがっている。
ちなみに、5分の持ち時間が与えられれば一流歌手扱い)
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また、ジャニーズ事務所も、SMAPとTOKIOという2枠のしばりがずっと続いているため、
他の人気者たちはいつまでたっても紅白に出場できない。
そんなお家の事情というのか、お抱えの他の歌手やグループの不満のはけ口として、
今年も大晦日の民放で「ジャニーズ・カウントダウンライブ」に参加させるという処理を
せざる得ない状況が続いている。

ついでに、とうとうハロプロ枠もアキバ系枠も無くなった。ハロプロの衰退です、さらばモー娘。
小室哲哉の例に漏れず、時代の流れを感じさせられます。

NHKの「歌の力・ひとの絆」という路線は、
3年間もので、来年までのプロジェクトだそうだ。
それはそれでいいのだけれども、
ただね~、NHKの裏方の実力そのものの低下が今年は特に目立つ。
酷いですよ、今回は。
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企画力・展開力・運営力など、
日本の株価と同じようにことごとく低落傾向にあるみたいだ。
担当ディレクターやカメラ関係、舞台関係のスタッフのメンバーが、変わったのだろうか。
やたらと超基本的なミスが多い。
まず、単純なカメラの切り替えでも、
あたふたしながら大小のミスをやらかしていたのは明白。
舞台裏を見せるというのは、一つのおもしろい趣向ではあるが…。
意図せずに舞台裏を見せてしまうのは恥ずかしい。

さらにいくつかピックアップして述べると、
①舞台転換で右往左往しているスタッフがむやみにカメラの枠に入っていた。
 例えば、
 下手の花道での司会者と歌手との会話の場面で、
 舞台袖に出入りするスタッフの姿が入っていたり…。(これ、わざとですかね)

②審査員とのインタビューのカメラの前を人が通過。(ありえない)
または、スモークで審査員(松坂慶子)の顔が見えなくなりそうになる…。
 (予想していないのか、慎重さに欠けるのか)

③フロアカメラの担当者が下手すぎる。司会者や歌手をうまくとらえられない。

④北京五輪のオープニングの影響なのか分からないけれども、
 舞台バックのマルチビジョンによるCG映像などは、時には効果的だが、使いすぎ。
 引きの映像では良いが、
 歌手がアップになった際のバックとしては悲惨(ドットが汚い)。
 経済的で、転換の時間も短縮できる長所はあるにしても、
 今年は、NHKホールの舞台担当の名人芸的な技術がまったく見られなかった。 

⑤大道具の転換でのスタッフの罵声(指示する声)が密かにマイクに拾われていたり…。

そんな基本的なミスと並行して、もともとの企画の練り方が浅く、
エコ、2008年の話題、ブラジル移民100周年、エンヤなどと繰り出しても、
インパクトは少ないは、重みはないはで、どうしようもない。
 結局は、民放で売れた素材を「羞恥心」「相棒」のイメージに頼るしかない。
ただ、かといって、羞恥心&Paboの応援に来た一発屋系の芸人たち(小島よしお、
ダンディ坂野、金剛地武志、波田陽区)もぎこちなく、
特に、波田陽区なんかは、わざとかどうかは知らないが、
こけた上に他の芸人の旗竿で顔面を強打したりと、実に惨めだった。
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昨年の平均視聴率が39.5%、
平成11年までは少なくとも50%は越えていた怪物番組のはずだった。
今年はさらに、麻生首相の支持率のように落ち込むのだろうか。

とにかく紅白歌合戦は、良くも悪くも日本の「今」を表現してしまう番組ではあると思う。
NHK制作スタッフとしては、意図的に日本を盛り上げようとしたり、
不況を乗り越える人間同士の絆の力を表現しようとしたのかもしれないが、
無意識的に伝わってくるのは、得体の知れない不安だったりする。
昨年の食品偽装、金融不安、株価暴落、政局混迷、大量解雇などなど、
先行き不透明な変な胸騒ぎというか、
不安というのが意図せずに表現されてしまった「不況の紅白」であったように思う。

ただ、氷川きよしが歌い終わった段階で、予定よりきっと遅れていたはずだったのに、
最後の蛍の光の合唱のエンディングをぴたりと11:45に帳尻を合わせたのはお見事。
当たり前であるところに、実はそれなりの職人芸がまだ存在していたように思う。
結局、
仕事に対する丁寧さと誇りの堅持、これが課題なのではないだろうか。
日本人全体の「人間性の向上」が、
今の閉塞した状況の打開に必要なんだと、いまさらながら痛感させられた。

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前半 第1部
1浜崎あゆみ (10) 「Mirrorcle World」 4分
2布施明 (24) 「君は薔薇より美しい」 4分
3GIRL NEXT DOOR (初) 「偶然の確率」3分
4美川憲一 (25)「さそり座の女2008」4分
5 伍代夏子 (15) 「京都二年坂」3分
6北山たけし (4)「希望の詩」 4分
7 藤岡藤巻と大橋のぞみ (初) 「崖の上のポニョ」4分
8東方神起 (初)「Purple Line~どうして君を好きになってしまったんだろう?」 4分
9水森かおり (6) 「輪島朝市」4分
10 Aqua Timez (2)「虹」 4分
11 木山裕策 (初)「home」4分
12 秋元順子 (初) 「愛のままで…」4分
13 キマグレン (初) 「LIFE」4分
14いきものがかり (初)「SAKURA」 4分
15前川清「東京砂漠」4分
16川中美幸 (21) 「二輪草」 4分
ブラジル移民100周年
宮沢和史 in ガンガ・ズンバ & ザ・ブーム
「島唄~ブラジル移民100周年 紅白スペシャル・バージョン」
17 藤あや子 (16)「紅い糸」4分
18 WaT (4)「36℃」 4分
19 中村美律子 (13) 「河内おとこ節」 4分
20ポルノグラフィティ (7) 「ギフト」 5分
21 大塚愛 (5)「愛」5分
22 平井堅 (6)「いつか離れる日が来ても」 5分
23 坂本冬美 (20)「風に立つ」4分
24 秋川雅史 (3)「千の風になって」4分
SAVE THE FUTURE
エンヤ
「オリノコ・フロウ~ありふれた奇跡」
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後半 第2部
1Perfume (初) 「ポリリズム」 3分
2ジェロ (初) 「海雪」 4分
3SPEED (4) 「White Love (Re Track)」5分
4TOKIO (15)「雨傘」 4分
5 青山テルマ feat.SoulJa (初) 「そばにいるね」4分
6水谷豊 (初) 「カリフォルニア・コネクション」 4分
7 絢香 (3) 「おかえり」4分
8徳永英明 (3) 「レイニー ブルー」4分
9 倖田來未 (4) 「TABOO」4分
10 五木ひろし (38)「凍て鶴」4分
11 アンジェラ・アキ (3)「手紙~拝啓 十五の君へ~」5分
12森山直太朗 (3)「生きてることが辛いなら」4分
13( aiko (7)「KissHug」4分
14 羞恥心 with Pabo (初)「羞恥心~陽は、また昇る 紅白スペシャル」 5分
15 コブクロ (4) 「時の足音」5分
16平原綾香 (5)「ノクターン」 5分
17EXILE (4) 「Ti Amo」5分
18小林幸子 (30)「楼蘭」 5分
19 北島三郎 (45)「北の漁場」 5分
20一青窈 (5) 「はじめて」 5分
21 中島美嘉 (7) 「ORION」 5分
22Mr.Children (初)「GIFT」 7分
23 石川さゆり (31)「天城越え」4分
24SMAP (16)「この瞬間、きっと夢じゃない 紅白SP」 5分
25天童よしみ (13)「道頓堀人情」4
26森進一 (41) 「おふくろさん」 5分
27和田アキ子 (32)「夢」 5分
28氷川きよし (9)「きよしのズンドコ節」 5分
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みなさん、この年末いかがお過ごしですか?
本当に久々の更新になります。hinamiraiです。
この2ヶ月は、障害だらけで、いやはやもう大変。
というか、今年はやたらと障害の多い一年でしたね。
とりあえず、映画自体はけっこう観ているものの、
それについてコメントを書くヒマもないまま、今日になっちゃいました。

ともかく書くことができる時間が生まれたことに感謝しつつ、
ついでに、何度かこんな拙いブログに来てくださっている皆様にも感謝して、
更新を再開したいと思います。
k-20 7
さて今回は、『 K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』について。
今更なんで怪人二十面相なんだろうと思いつつ、
まったく期待しないで観た映画ではあったけれども、
それなりに楽しめる作品であったのには驚いた。
ホントに意外でしたね~。
北村想さんの「完全版 怪人二十面相・伝」をたたき台にして、
佐藤嗣麻子監督のセンスで、けっこうな娯楽作品に仕上がっている。
金城武の主演、ヒロインの松たか子、明智小五郎を仲村トオル。
脇を固める、國村隼、高島礼子、本郷奏多、益岡徹ら。
そして、製作総指揮の阿部秀司、
『ALWAYS 三丁目の夕日』のROBOTのスタッフの丁寧な作り込みが光る。

とは言うものの、世の中には批判もけっこう多い。
内容が無いだのアクションがちゃちであるとか、
はたまたヒロインの松たか子が年嵩なうえにが棒読み…、
というのもあれば結末がいまいちなどなど。
k-20 3
架空都市「帝都」。
その帝都は「華族制度」が続き、極端な格差社会。
そんな社会の中で、怪人二十面相は富裕層のみを狙って、
美術品や骨董品を華麗なテクニックで次々と盗みだしていた。
ある日、サーカスの曲芸師の遠藤平吉は、
謎の紳士から、羽柴財閥の令嬢である羽柴葉子と名探偵明智小五郎との
結納の儀に潜入し、写真を撮ってくれとの依頼を受ける。
しかし、それは二十面相の罠。
「オレは怪人二十面相じゃない!」
平吉の叫びもむなしく、否応もなく二十面相との戦いに巻き込まれる。
k-20 5
批判的なレビューなどの声は多々あるにせよ、
この映画は娯楽作品としてとてもいい。
まずは、制作陣であるROBOTのスタッフの
「三丁目の夕日」とはまた別の東京の描き方が素晴らしい。
架空の都市「帝都」とは言っても、東京には変わりはないわけで、
そこにはスタッフたちの「下町に対する愛情」みたいなものが
見え隠れしているように思える。
帝都のCGによる風景はもちろんのこと、
長屋に生きている言わば庶民の撮り方などなど、
そこには、
リーダーである阿部さんの信条である「リアリティーはメッセージを強くする」
というのがここでも生きているようだ。
"映画のリアル"の際限のない追求という感じなのだ。
“ディティール”へのこだわりが客席にも伝わってくる。
ちなみに、
パナソニックの「心をつなぐ長編CM」でも、
このROBOTのスタッフがかかわっている。
「もっと、心と心をつなぎたい」をテーマに製作されたものなのだそうで、
実話に基づいた3つのストーリーで成り立っている。
「オキナワブルーの風景」「小さな命の物語」「姉妹のファッションショー」
一度、意識的にご覧いただきたい。
短い時間の中で作り込んではいるけれど、
そしてそれなりに美しいけれど、
感動の押し売りみたいな印象を受けざる得ない。
凄腕のスタッフといえども、とかく表現というのは難しい。
まっ、CMだからしょうがないか。
k-20 4
さて、話をもどして、怪人二十面相、懐かしいですね~、
子供の頃、図書館の片隅の書棚に、
誰も借りられずに、ただひたすら埃をかぶって置かれていたポプラ社の
『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ』。
それをどういうわけか発見して、
夢中になって読んでいたのを思い出しちゃいました。
怪人二十面相、明智小五郎、少年探偵団…と、
レトロな雰囲気を漂わせている江戸川乱歩の世界。
ついでに、
「人間椅子」、「パノラマ島奇談」、「陰獣」、「芋虫」、「黒蜥蜴」、「二銭銅貨」、
「D坂の殺人事件」、「心理試験」などなど、
結局、「江戸川乱歩 全集」をすべて読み切ってしまっていた。
考えてみれば、こういうのって、子供が読む小説としては、
なんだかなぁ~ではある。
なんたって、サディスティックでグロテスクな面もあり、
かつエロティックで淫靡な感じの作品もやたらと多い。
今にして思えば、ちょっと空恐ろしい。
明治、大正、昭和と生きた江戸川乱歩って、
かなりの変人なのかもしれない。
激しく時代が変遷していく中で、
強烈な知性をベースに、
なんともはや変態的でアクロバティックな精神世界を構築し、
さまざまな障害を駆け抜けていった男、江戸川乱歩。
(実際、小説「屋根裏の散歩者」なんかでは、
自分の屋敷を使って、床の間の天井から屋根裏に入り込み、
ふらふらと徘徊していた経験をもとに書いていたともいうし…)
k-20  11
今回の映画では、泥棒修行ということで、平吉こと金城武くんが、
帝都の街をむちゃくちゃに障害物を乗り越えて、
一直線方向をめざすトレーニングをやっていた。
こういうシーンは楽しいですね。
これって、
フランスで生まれたパルクール(Parkour)とか、
フリーランニング(Free running)と呼ばれているものですよね。
特別な道具を使うことなく、
効率的に障害物を越えることを目的としたスポーツ。
ビルの谷間をジャンプし、
壁を駆け、
屋根によじ登る、
重力を無視したようなその身のさばきが、けっこうかっこいい。
k-20 1
金城武くんのパルクールについて、佐藤嗣麻子監督によると、
「ものすごいですよ。俳優さんであそこまで動ける人を私は知りません。
身のこなしもキレイだし、動きもキレがあって素速いですし。
もともと、『Returner〈リターナー〉』を見て
彼のアクションには確信がありました」ということなのだそうだ。
架空の帝都の風景に、
CGなどを使わないリアルな身体運動の映像が挟まってくると、
映像にちょっとだけ説得力がでてくる。
監督の佐藤嗣麻子さんというのは、
妙にしたたかだったりするわけだ。
彼女が指揮した「アンフェア」などでもそうだったが、
画代わりを多用して、なるべく観客を飽きさせない工夫を随所にしている。
金城くんと国村さんとのやりとりも、ステロタイプでなかなかいい。
ROBOTの阿部社長の無理難題もなんなくこなし、
ほどよいエンターテイメントとして完成させた力量は大したものだと思う。
結局、したたかというより、相当にキャパの広い監督なのかもしれない。
「続編のご要望があったらまた撮りたい」
と彼女は気楽に言っていたのだそうだが、
今回の結末で、次はどんなストーリーを出せるのだろうか?
知的なパズルの一つとして考えるとおもしろい。
ちょっと楽しみではある。
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k-20 8

今回は『レッドクリフ(原題:赤壁)』について。

琴を互いに弾きながら、
互いの心を知る孔明と周瑜、
赤壁の戦いがやがて近づいてくる。
いいですね、こういうの。
子供の頃、英雄たちの胸のすくような活躍も楽しんではいたけれど、
関羽も張飛も孔明も、時代の流れの中で死んでいくのが悲しくてしょうがなかった。
だから、
小説ならば、吉川英治の『三国志』、
マンガならば横山光輝の『三国志』、
などと、何度も何度も形を変えては、同じ物語を追体験してしまう。
最近になっても、
北方謙三やら宮城谷昌光らによる新しい『三国志』やら、
もちろん連続ドラマ『三國志演義』のDVD-BOX 全7巻なんてのも面白い。
レッドクリフ1

野望に燃える英雄が、天下統一を目指し、
権謀術数を駆使する軍師が、頭脳の限りを尽くす、
はたまた戦場で一騎当千の豪傑が、己の力を振り絞って闘う歴史ロマン。

かつて、
千年前の北宋の詩人蘇軾(蘇東坡)も、
ゆったりと流れる長江に舟を浮かべ、
広大な夜空に浮かぶ満月をかたわらに見ながら、
酒を飲み、杯を交わし、
曹操や孔明・周瑜などの英雄たちを心に思い浮かべて『赤壁の賦』を書いた。
もちろん、蘇軾が詠んだ赤壁は、
三国時代の実際の古戦場ではなかったというが…。
『三国志』のことを考えると、
つい詩の一つでも書きたくなる気分もホントによくわかる。
レッドクリフ10
美麗な漢文で語れるのもいいのだけれど、
現代の漢詩は、
スクリーンいっぱいに繰り広げられる闘う英雄豪傑たちの映像そのものだ。
北京五輪開催に合わせた関連商品シリーズの最後の大物『レッドクリフ』が、
11月1日から公開されている
さすがに『三国志』だけあって、
観る前からそれぞれの観客になんらかのイメージがある上に
期待度もやたらと高いわけで、
結局、映画に対するレビューは賛否両論というか、
どっちかというと批判めいた声が多いような気がする。
「作品に深みや詩心がなく大味」
「男たちに魅力はなく、女たちも美しく撮影されていない」
「大作感はあるものの、内容的には失望する」
「長い予告編を見せられたという感じ」などなど…。
レッドクリフ12
製作費100億円が投じられた大作であり、
ジョン・ウー(呉宇森)が監督を務めるアクション映画である『レッドクリフ』。
ずいぶん前からちまたに流されていた予告編を観るだけでも、
過度に期待は高まってしまう。
そんな過剰な期待がある分、
自分のイメージとの落差があると文句もいいたくなるというわけだ。
個人的には、これはこれで非常に良い仕上がりの作品なのだと思う。
なんやかんや言っても、
『三国志』をこれだけの迫力のある映像でまとめた人間はこれまでいない。
ジョン・ウー監督の仕事は、それだけでも賞賛されていいのだと思う。
どのキャラクターでも主役をはれる要素のある登場人物を
場面ごとに紹介しつつ、そして生かしながら、
本筋の物語を進めていくのは実に難しいことだ。
しかも中国の国技のような人海戦術による大量のエキストラの投入と掌握、
このコントロールも至難の業だ。
レッドクリフ4
「赤壁の戦闘シーンの前で、part1が終わってしまった。」と
不満気に書かれたレビューも読んだが、
『三国志』がもともと膨大な物語を内包しているわけだから、
そんなことは分かりきったことなんだと思う。
ともかく、
主人公である周瑜役のトニー・レオンは、魅力的だし、
諸葛孔明の金城武はちょっと役柄には不向きかも知れないが、
二人でが協力して行った「九官八卦の陣」での戦闘シーンは良く仕上がっていた。
それにしても、やたらと兵士が殺される映画だった。
殺戮という感じだ。
例えば、心の優しい女性が観るには少々残酷過ぎるのかも知れない。
この人海戦術的感覚。
北京五輪のオープニングにしてもそうだったが、
人一人の存在感というのは薄く、ひたすら巨大な集団のコマにすぎないし、
『レッドクリフ』でも、ガンガン簡単に殺されて行く。
レッドクリフ11
ジョン・ウー監督は、記者会見などで、
「戦闘シーンは、『七人の侍』のクライマックスの
あの雨中の合戦をいつも意識しながら撮っていました。
それから、他者のために身を投げうつ姿勢、
黒澤映画のヒューマンな精神も大好きですね。
『PartⅠ』でも“長坂の戦い”で
豪傑な武将・趙雲(フー・ジュン)が単身敵陣に乗り込み、
君主である劉備(ユウ・ヨン)の子どもを救い出すシーンがあります。
そういう人間性に、強く私は心魅かれます。
黒澤映画のリズム、カメラワークなどもいろいろ参考にしましたが、
まだまだ黒澤さんのような高い境地には達していないので、
これからもっと精進していきたいと思います」と語っている。
日本での会見なので、多少のリップサービスも入っているだろうが、
もし、黒澤監督が生きていて、ジョン・ウー監督と同じ経済力とバックを持っていたら、
どんな『三国志』を撮るのだろうと、ふと想像してしまう。
殺戮の激しさは、
観客にショックは与えても感動は与えない。
黒澤監督ならば、
少なくとも、周瑜の心情についてはもう少し掘り下げて、
もっと陰影の深いものに表現するのではないだろうか。
映像の凄さだけが映画ではないから。
とはいえ、
赤壁の戦いを中心に描かれる第二部「赤壁:決戦天下」は
2009年4月(春節、旧正月)に公開だそうだ。
これもまた楽しみですね。

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レッドクリフ6

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■やたらと詳しい英語版のあらすじ
Episode 1
In the Imperial Court of the Han Dynasty in Xuchang in the summer AD 208, Prime Minister Cao Cao requests for the Emperor Xian's permission to launch a campaign against the warlords Liu Bei and Sun Quan in southern China, whom he considers rebels against the Han Dynasty. The Emperor hesitates, but reluctantly agrees after Cao Cao speaks of his contributions and loyalty (rescuing the Emperor when he was in exile, uniting northern China). Court official Kong Rong openly challenges and denounces him as a traitor, with the intention of usurping the throne. Kong claims Liu Bei and Sun Quan have no intentions of rebelling, especially when the former is the Emperor's uncle. Subsequently, Kong Rong is executed and Cao Cao placed in command of the Imperial Army, setting forth his campaign.
レッドクリフ2

Cao Cao's mighty army swiftly conquers the southern lands. Meanwhile, Liu Bei abandons the city of Xinye and leads his army and 100,000 civilians unwilling to be under Cao Cao's rule on an exodus. However, Cao Cao's cavalry catches up with Liu Bei, igniting the Battle of Changban. Zhang Fei, sworn brother of Liu Bei, personally leads a small group of soldiers armed with reflective shields to hold off the enemy while buying time for the civilians to escape. As the enemy soldiers approached, Zhang's troops uses their shields to reflect sunlight into the eyes of the enemy's horses, throwing them into chaos and seizing the preemptive attack. At the same time, Zhao Yun is in search for Liu Bei's wives and son. He finds Lady Mi desperately trying to protect the infant Liu Shan from being seized by enemy soldiers. Severely wounded, she commits suicide by throwing herself in a well after entrusting Liu Shan to Zhao Yun. Zhao Yun fights bravely and manages to break out after being surrounded by the enemy.

Zhuge Liang, Liu Bei's chief advisor, brings Guan Yu, sworn brother of Liu Bei, to assist Zhang Fei. Zhao Yun, Zhang Fei and Guan Yu bravely hold off the enemy until the last group of civilians have evacuated. Guan Yu stays to hold off the enemy and is surrounded, throwing his halberd towards Cao Cao, missing the latter by an inch. Cao Cao orders to let Guan Yu off, saying the general could have killed him earlier, but decided to spare him.
レッドクリフ3
Following the battle, Zhuge Liang sets forth for Wu on a diplomatic mission to negotiate an alliance between Liu Bei and Sun Quan. Sun Quan is in the midst of a dilemma, unsure whether to oppose Cao Cao or surrender. His advisors desperately try to persuade him to surrender, while his military officers advocate war. Zhuge Liang urges Sun Quan to form the alliance, but the young ruler states he needs more time to decide. Lu Su brings Zhuge Liang to meet Wu's viceroy and chief commander of Wu's army, Zhou Yu. Busy training his troops at Chi Bi with Gan Ning, Zhuge Liang discusses about war with the viceroy. Amidst returning home to his wife, Xiao Qiao, to witness the birth of a foal, the two strategists convey their ideas by playing the zither. Through their performance, Zhuge Liang understands Zhou Yu supports war against Cao Cao.

Meanwhile, Cao Cao recruits generals Cai Mao and Zhang Yun, both of whom surrendered to the prime minister and well-versed in naval warfare. At the same time, Cao Cao also boasts of his army's might and expresses his desire to possess the beautiful Xiao Qiao. Following a tiger hunt with Sun Shangxiang and Zhou Yu, Sun Quan finally makes his decision to form an alliance with Liu Bei and launches a war against Cao Cao. He draws his sword and slices off a corner of the table, stating to his subjects, "Whoever who speaks of surrender shall end up like this table!" Sun Quan appoints Zhou Yu, Lu Su and Cheng Pu as the main commanders of the army.
レッドクリフ13

Zhou Yu and his generals tour Liu Bei's camp, exchanging ideas and having insights into his army. They formulate a plan to engage Cao Cao's army, who are moving towards Wu on both land and water. The first battle begins with Sun Shangxiang luring Cao Cao's vanguard into the Eight Trigrams Formation, where they are utterly defeated by the allied forces. Cao Cao learns of the loss, but shows no disappointment, and proceeds to lead his army to camp on the opposite side of the river, directly facing the allied army's camp at Chi Bi. At the same time, the allied forces throw a banquet to celebrate their victory.

Zhou Yu and Zhuge Liang discuss on the new plan to combat Cao Cao's navy. Zhou Yu states Cao Cao's next move is still unclear, even though they scored a victory against Cao Cao's vanguard. The viceroy then says he hopes Zhuge Liang and himself will not become enemies in the future; if that is so, they will continue to serve their respective lords. By sending a pigeon he had cared for the past few days to scout Cao Cao's navy, Zhuge Liang discovers a weakness in the enemy's formation. The film ends with Zhou Yu lighting his miniature-sized ships on a map based on the battle formation with a torch, signifying the plans with the Battle of Chi Bi.
レッドクリフ9


今回は、『ICHI』について。
長い長い旅に出ていて、やっと更新できます。
みなさま、お元気ですか。

25日に、『ICHI』を観てきました。
『ICHI』には、
日本人の原風景というようなものが表現されていて、
なんだかとても懐かしいものに触れたような気がしました。
『僕の彼女はサイボーグ』での綾瀬はるかは、極端に言うと韓国風味のサイボーグ。
たしかに日本人の俳優が、日本を舞台に演技をしているのにもかかわらず、、
その頂点にいて指揮をしているのが韓国人であるクァク・ジェヨン監督であるがために、
その感覚や視点、そして伝わってくる心情や全体のテイストが韓国風だったですよね。
ところが、
『ICHI』での綾瀬はるかは、サイボーグ的な『座頭市』ではあるものの、
孤独や痛みに向かい合い、固く心を閉ざしたまま旅を続ける市の心象風景は、
まさに日本的。
ichi 1
こいうタイプの作品を、かつて『ピンポン』の斬新な映像で、
注目を浴びたCGクリエーター曽利文彦監督が手がけたというのも興味深い。
(ジェームズ・キャメロン創設のデジタル・ドメイン社にて、
『タイタニック』にCGアニメーターとして参加し、
VFXの第一人者である彼がなぜかその技術を抑制しつつ監督した時代劇。)

「何斬るかわかんないよ。見えないんだからさ。」
「私は生きているかも死んでいるかもわからない」
そんないかにも座頭市っぽい決めのセリフもそれなりに気が利いている。
ichi 4
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子供のころから「瞽女」と呼ばれる盲目の女旅芸人たちに育てられた市(綾瀬はるか)。
三味線を弾き、生きる糧を得る瞽女たち。
しかし、ひとたび男と通じてしまえばその仲間からも弾き出される、
それが掟だ。
ある日、市は男に襲われ、一座を追われてしまう。
離れ瞽女となって、
孤独に旅を続ける市の唯一の目的は、
自分に逆手居合いの技を教えてくれた男を探し出すこと。
やがて、旅を続ける市は、刀の抜けない侍・藤平十馬(大沢たかお)と出会う。
少年時代に、母を真剣によって失明させてしまったという十馬は、
真剣を使わなければめっぽう強い。
でも、過去のトラウマのために刀を抜けない惨めさを味わっている。
そんな十馬との出会いで、市は、
人を愛すること、愛されることを知り、
暗闇の世界に一筋の光が差し込むのだが、
平和な宿場町を狙う悪党万鬼(中村獅童ら)たちにより、
市と十馬にまたひとつ大きな悲劇がふりかかる…。
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ichi 2
脚本を担当した浅野妙子さんの構成力も、優れていると思う。
「市が求め続けた父のような存在の男への思慕の念」と、
「十馬が母に抱いていた慙愧の念」という、
ふたつの思いを並行して描き、その二つの絆が途切れかかった時に、
市と十馬との愛が新たに生まれて、互いに求め合うという以下の設定は、
ベタなりに工夫されている。
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①女は、幼い頃から、目の見えない闇の中で父のように慕っていた男と逆手居合いの技、
その男がくれた鈴の記憶…。
②侍は、少年時代に母を失明させたという心の傷が、刀を抜け無くさせていた。
③そんな女と侍が、出会う。触れ合う、指先。
④侍は、目の見えない女の中に母の姿を重ねる。
⑤女は、万鬼との戦いに打ちのめされ、父のように慕っていた男の死の事実を知る。
深い闇に落ちていく鈴と、はじめて心に浮かび上がってくる侍との温かな思い出。
⑥侍は、女を万鬼に渡すまいとして、初めて刀を抜くことができ、敵と相打ちで死ぬ。
⑦女は、愛する男のために、仕込み杖を刃を一閃、敵を倒す。
愛する人を失ったかわりに得た一筋の光…。
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ichi 11
市と藤平十馬とのラヴストーリーは、この映画の縦軸ではるが、
そこをさらに貫いているのは、「人と人との愛情による絆」である。
だから、ついでに、母を失った小太郎(島綾佑)の設定も、
「愛するという行為」の意味づけを無意識に支えている。
市の目としてそばに寄り添うけなげな小太郎が、夜道を照らしながら、
市と会話をするというようなシーンがシンボリックでとてもいい。

静謐なとでもいうべき殺気と、
仕込み杖から振り抜かれた硬質な刀の動きがそれなりに美しかった。
かなりの稽古の跡を感じるし、
綾瀬はるかの殺陣は、予想外にキレがあった。
ichi 9
ちなみに、
目を動かせないという点を実感するために、
(たとえば相手に名前を呼ばれたときに、
どう振り向くかなどの動作などの演技にむけて)、
撮影前に盲学校に行き、杖のつき方なども学んだという。
綾瀬はるかの女優としての成長も感じられる作品になっている。
そんな演技に関して、
「監督には、市は心を閉ざしているのでオン・オフのメリハリを
うまくやってくれと言われました。
感情を出すときはバッと出し、後はグッと押し殺す。
感情を表に出さない女の子なので、ひと言ひと言がすごく大事だなと思いました。
市が背負ってきたものを背景ににじませるのは、とても難しかった。
市は普段、心を閉ざしていて、感情も表に出さない女性なんです。
それだけに十馬に対して感情をわっと吐き出し
“わたしには境目が見えない”と気持ちをぶつけるシーンでは、
そのメリハリを表現してほしいとおっしゃっていました。
それはすごく印象に残っている言葉ですね。」と綾瀬はるかは語っている。
逆に、
綾瀬はるかが成長している分、虎次役の窪塚洋介や敵役の中村獅童の
相変わらず『ピンポン』のままの停滞ぶりには、ちょっとがっかりさせられる。
 ichi 3
愛を信じられない人間が、人に出会い、少し前を見て歩き出す話であり、
心に傷や悩みを抱いた人間がこの作品を観れば、
日本人的な「人の心の痛みとの対峙の仕方」を思い返すようなきっかけにもなる。
あえてCGを抑え、
厳しい冬の雪道を旅する映像や
中村獅童らの衣装は、歌舞伎風に色鮮やかにしてみたり
曽利監督の映像に対しての細かい計算が生きた作品でもある。
批判などは当然あるだろうが、単なるアイドル映画にはなっていないと思う。
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ichi 12


映画『容疑者Xの献身』とテレビドラマ土曜プレミアム『ガリレオΦ』を観た。

まず映画『容疑者Xの献身』の原作は、
ご存じの通り東野圭吾の推理小説。
第134回直木賞受賞作でもあるという。
かつてこの『容疑者Xの献身』をめぐる本格ミステリーかどうかの論争も
あったぐらいで、それなりの価値のある作品ではある。
読んでみると、
犯罪トリックなどについても巧妙な伏線があり、
同時に人物描写もいつになくいい。
東野圭吾さんの作品にしては、良くできているようにも思う。
容疑者Xの献身
しかし、映画『容疑者Xの献身』を観た後の感想としては、
これは『ガリレオ』ではない。
湯川学という主人公をはじめとして、脇役もほぼ同じなのにである。
個人的な感想としては、もともと東野圭吾の作品は、
どれもこれもアイデア勝負だけで、本当の意味での深みや面白みがない。
そういう彼の長編『容疑者Xの献身』が映画化されるとするならば、
制作スタッフと脚本家はどうするのか?
それが、事前から興味のある点であった。
テレビドラマ『ガリレオ』シリーズ全10話は、
2007年フジテレビ10月クールで放送され、
平均視聴率は、21.9%という驚異的な数字を残している。
その人を惹きつける作品になった原因は、
プロデューサーをはじめとする制作スタッフや脚本家のアイデアによって、
東野圭吾の作品を換骨奪胎したり、構成を変化させたことにある。
なのに今回の映画『容疑者Xの献身』は、
かなりの面で東野圭吾の原作にほぼ忠実な進行の仕方となっていた。
テレビドラマでの『ガリレオ』の黄金パターン形式はとっていなかった。
ちなみに、この黄金パターンというのは、私が勝手に言っているだけのことなので、
ちょっとだけ紹介しておきます。
容疑者Xの献身6
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①殺人事件が起こる。
(それは、通常の殺人事件に比較して、
超常現象的要素を感じさせるものでなければならない。
それが、薫(柴咲コウ)が湯川のもとに行く建前となる)
②湯川学(福山雅治)のもとで事件の概要を説明する薫。
(ここでは、湯川こと福山君の魅力を引き出す何かをさせていなければならない)
③湯川と薫の調査。
(ここでは、事件の本質もさることながら、
二人の資質の差が(感情的なタイプと論理的なタイプ)が
もたらす妙な会話が展開されなければならない)
④そして、湯川が事件を解くカギに気がつく。
 (なぜか、数式をそばにあるもので変人っぽく描く。)
⑥湯川の推理を実証する場面。
(謎解きの部分になる。作家にとっては、アイデアが要求されるのでつらい)
⑦湯川と薫の二人のシーン。
 (事件にまつわる小ネタで集結)
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容疑者Xの献身2
ともあれ、映画のシナリオ上の骨格は、基本的には原作通りになってしまっていた。
なぜなんだろう?

今回の脚本も担当しているのはあの福田靖。
このお方の昨今の仕事ぶりは凄まじい。
テレビシリーズでのガリレオ(2007年、フジテレビ)、
CHANGE(2008年、フジテレビ)
上海タイフーン(2008年、NHK)
ドラマ土曜プレミアム『ガリレオΦ』(2008年、フジテレビ)
そして、映画では、
HERO(2007年)、犯人に告ぐ(2007年)容疑者Xの献身(2008年)
20世紀少年(2008年)などなど、もうたまらなく大忙しだ。
まさか、忙しいから原作通りの脚本にしたわけではあるまい。
上層部からの指示なのか、
直木賞作品という部分に敬意を表したのか、それは分からない。
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30代の花岡靖子は離婚経験があり娘美里とアパートでの二人で暮らしている。
靖子の元夫が富樫慎二が彼女の居所を突き止め、
訪ねてきた。
昔同様に暴力を振るう富樫を殺してしまった靖子と美里。
殺人後の放心状態の母子に救いの手を差し伸べたのは、
隣人の天才数学者石神だった。
そして12月3日、
富樫の死体の発見。
警察は花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、
捜査が進むにつれ、アリバイを崩せなくなってしまう。
困り果てた草薙刑事と内海は、
友人の天才物理学者、湯川に相談を持ちかける。
すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。
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この脚本で、福田さんが原作に対して大きく手を加えた部分は、
湯川と石神が映画の後半で冬山を登山をするシーンだ。
この場面は原作にはない。
こういうあたりに、福田靖の脚本家としての意地みたいなものを感じる。
これも私の勝手な推測だが、
福田さんは、「東野圭吾の描いた湯川学の物語は面白くない」と
思っているはずだ。
また、物語に対しての理解力は、
東野圭吾よりも自分の方がはるかに能力は高いと思っているのではないかとも思う。
「東野圭吾の作品をテレビドラマ化するにあたっては、常に構成を変えなくてはならない。
特に「起承転結」で言うならば、「転」の部分を強化しなくてはならない」と、
思い続けてきたのだと思う。

それが、今回でいうなら、それが登山のシーンなわけだ。
数学と物理の世界で孤高のふたり。
そして、特に石神の心象風景である孤独、二人が対峙する環境を
どうしてもこのような場所に設定したくなったのではあるまいか。

また、『容疑者Xの献身』は、重厚な人間ドラマとは世間的に言われているものの、
東野圭吾というのは、自分のアイデアを生かし切れない作家のようにも感じる。
その典型的な例が、
数学の天才石神が学生時代から取り組んでいた「四色問題」の
取り扱いだ。
(ちなみに、今は四色定理。
いかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗るには
4色あれば十分だという定理)
「四色問題」は、石神という男を表現するには、
実にシンボリックだ。
隣り合う者とはいつも同じにならない…、
四色問題は石神という孤高で孤独な男を説明するのには最高の材料なのに、
なぜか本来の原作を読んでもイマイチ伝わってくるものが少ない。
気がつかない人もいるかもしれないというぐらいだ。
それを鮮やかに、福田靖での脚本では表現している。
この技術、大したものだと思う。
容疑者Xの献身3

同じく「P≠NP問題」や「歯車」という例えなども、
東野さんより切れよく表現している。
こんな箇所にも福田さんの意地とプライドが表れているように思うが、
どちらにせよ『容疑者Xの献身』が、
自分の好みの面白さを備えないと感じていたのだろうと思う。
季節は寒々とした冬であり、
献身とはいってもあまりにも哀しく独善的な献身…、
苦悩するがゆえに年齢不詳の湯川(福山雅治)でさえも、
スクリーンにおいて石神同様に老けてしまったように感じる。
ようするに、
TVでの軽快でポップなテイストがなくなってしまっている。

と、そんなことを思っていたら、
草薙が湯川の才能にじかに触れるきっかけとなった、
大学時代のとある出来事も描かれるスペシャルドラマ『ガリレオΦ』が
10月4日に『容疑者Xの献身』の公開日と合わせて放映されていた。
こういうのって異例なことだと思う。
「作風もさることながら、
秋から冬にかけて撮影された映画と、
この夏に撮影されるドラマは、絵柄の風合いも全く異なりますし、
いろんな意味で対極にある作品となるはずです。
一つの世界観を共有しながらも、どこまで彩りの異なる作品が生まれるのか、
是非とも注目していただきたい。」と、鈴木プロデューサーは語っている。
一つの世界観の中で描かれる、二つの異なる『ガリレオ』ではあるものの、
こちらのテレビ放映の方が、
テレビならではのいい加減さやお笑いの部分を含めて、
本来の『ガリレオ』なのだと制作サイドが主張しているようで、
妙な感じではある。
もしかすると、『ガリレオ』は、東野圭吾の著作権の問題をクリアしつつ、
やがてフジのお抱えの脚本家たちによって、
オリジナル作品として生み出されることになるかもしれない。

ちなみに、NHKは10年1月から放送予定の「大河ドラマ」が、
「龍馬伝」に決まったと発表。脚本を担当するのは福田靖。
これもまた、頭脳の限りを尽くして50話ほどの脚本を描くことになるのだろう。
恐るべきことだと思う。
容疑者Xの献身4


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今回は、『アイアンマン』について。

億万長者で発明家の軍需産業会社社長が、
自分の会社の兵器がテロリストに悪用されていることを知って、
自ら戦闘用のスーツを作り、
“アイアンマン”となってテロリストに闘いを挑むというお話。
この脳天気さは、さすがアメリカンコミック。
軍産複合体の中心人物が、兵器の流用ごときで衝撃を受けるだなんて。
しかも、ついでに正義のヒーローになってしまうという、
なんというご都合主義というか、調子のいい話なわけではあるが、
実に面白かったし、見応えがある。
映像もCGなのになぜか手作りっぽい雰囲気が出ているのが可笑しい。
アイアンマン12
拉致された牢獄で、
軍需産業会社社長である主人公スタークが、
テロリストたちの監視から隠れて創り上げたマークⅠ。
このマークⅠの手作り感溢れる無骨な鉄の感触がいい。
アメリカに戻ってから、人工知能コンピューターと最先端の技術を駆使し、
新たに創り上げたパワードスーツ、マークⅡ。
メタリックな感じ、飛行実験がしだいに発展していく様子や、
さらには、ハイテク戦闘機並に、
氷結するほどの高みまで無茶に上昇していくおじさんの子供心が楽しい。
そして、
ついに全て改良し、超高性能かつスタイリッシュなマークⅢ。
アイアンマン13
億万長者で発明家の軍需産業会社社長トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)の
モデルはあの伝説的な富豪のハワード・ヒューズ。
かつては、自分で航空機のデザインなどもした実業家でもある。
したがって、『アイアンマン』という映画の良さは、ストーリーというよりも、
パワードスーツを自分の工作室で創り上げていく過程にあり、それが実に魅力的だ。
リッチな男の趣味の時間をみんなで観ている感じとでもいうのだろうか。
家族から少しばかり白い目で見られがちの趣味の世界に、
肩身を狭くしながら生きている世のお父さんたちにとっての憧れなんじゃないかと思う。
手伝ってくれるコンピュータに、
文句を言いながらハンダ付けをしているシーンとか、
さながら板金職人ふうに工具をいじっている様子なんかは
たまらないのではないかと思う。
アイアンマン11
また、実業家であり天才的な発明家でもあるトニー・スタークの人物設定と、
なにかとお騒がせなロバート・ダウニー・Jrの個性や経歴が、
妙にマッチしているのも味がある。
子供の頃からのドラッグの問題、
度重なる麻薬不法所持による逮捕歴。
カリフォルニア州立刑務所での入所経験。
離婚と結婚の繰り返し…。
傷もあれば、
叩かれるとまずい部分も秘めながら生きている。
いわば人生の修羅場をくぐり抜けてきた大人なわけだ。
アイアンマン4
アメリカンコミックの主人公を、
酸いも甘いも噛み分けた大人が演じているいることによって深みが生まれた。
『スパイダーマン』でも、『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』では、
ありえない大人の感覚の表現が『アイアンマン』にはある。
したがって、
秘書とかわすセリフにおいても飄々とした大人の男と女のやりとりになっている。

ちなみに、第2作目の企画もあるようだが、
せっかく手に入れた幸運を
ロバート・ダウニー・Jrがまたもや私生活で失敗して逃してしまうことのないよう、
祈るばかりだ。
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アイアンマン1

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■ やたらと詳しい英語版のあらすじ

During a business trip to Afghanistan to demonstrate Stark Industries' new weapon, the "Jericho" cluster missile, Tony Stark's (Robert Downey Jr.) military convoy is attacked. In the ensuing firefight, Stark is wounded by one of his own company's bombs, which knocks him unconscious and embeds shrapnel in his chest, one fragment dangerously close to his heart.

Approximately 36 hours earlier, Stark avoids his own Apogee Awards ceremony to gamble at a Las Vegas casino, leaving his deceased father's friend and business partner, Obadiah Stane (Jeff Bridges) to collect the award. As Stark leaves the casino with his entourage, he is approached by Vanity Fair reporter Christine Everhart (Leslie Bibb), whom he charms into a one-night stand at his Malibu house. As she awakens in the morning, she is escorted from the house by Pepper Potts, Stark's personal assistant (Gwyneth Paltrow), who reveals that Stark is away on a business trip. In Afghanistan, Stark's convoy is attacked, and he loses consciousness. Waking up hours later in an Afghan cave, Stark discovers an electromagnet attached to his chest, powered by a car battery and designed to keep the shrapnel from piercing his heart and killing him.

アイアンマン8
Stark has been captured by the terrorist group known as the Ten Rings, who order him to build a Jericho missile for them. Instead, during the three months of his captivity, he and fellow captive Dr. Yinsen (Shaun Toub) begin building a miniature "arc reactor", a smaller version of a power source previously invented by Tony Stark's father, Howard Stark. With the reactor powering his electromagnet, Stark and Yinsen secretly build a crude but strong power armor as a means of escape. Despite breaking free from their cell, Dr. Yinsen is killed whilst setting up a diversion for Stark in order for the suit to power up in time. In the suit, Stark kills several terrorists, destroys their weapons stockpile and flies away before crash-landing in the desert, destroying the suit in the process. After being rescued by the Air Force and returned to the United States, Stark declares at a press conference that his company will no longer manufacture weapons. Stane tells him shortly thereafter that this move is being blocked by the members of the board of directors of Stark Industries.
アイアンマン6
Returning home, Stark retreats from the public eye and instead focuses on the design of his power suit, refining its size and improving its flight and fighting capability while making an improved arc reactor for himself, which he uses to replace the old one. During his first public appearance at the Walt Disney Concert Hall since his return to the United States, he spots Potts, who is wearing the gown he bought for her as a birthday present and is struck by her beauty and briefly dances with her, causing him to realize that he has romantic feelings for his assistant. As they're about to share a kiss, Potts interrupts by asking for a martini, as a ploy to hide her insecurity because of Stark's previous promiscuity. Stark is also accosted by Everhart, who shows him pictures of Stark Industries weapons in the hands of terrorist groups, including Jericho missiles. He realizes that Stane has been "dealing under the table" by supplying both the Americans and their enemies, and that Stane has been attempting to remove Stark from power. Enraged, Stark modifies his palm thrusters to shoot laser-like blasts, dons the power suit, flies to Afghanistan and rescues Yinsen's village from the Ten Rings. During the operation, Stark inadvertently attracts the attention of the United States Air Force and his friend and company military liaison, Lieutenant Colonel James Rhodes (Terrence Howard), who dispatches two F-22 Raptors to intercept and eliminate the unknown target. During the dogfight, one of the planes is accidentally destroyed, but the pilot is rescued by Stark, who privately calls Rhodes to reveal that he was the unidentified object. Rhodes later classifies the incident as a training accident to the press, at Stark's request.

Determined to amend his mistakes, Stark sends Potts to find the shipping records of Stark Industries, so he can track the illicit shipments and destroy them. While hacking into the system, she discovers that Stane hired the Ten Rings to kill Stark and the group reneged on the deal upon discovering his true identity. She also learns Stane has recovered the power suit prototype and reverse-engineered his own version, but his engineers are unable to duplicate the miniature arc reactor to power the new suit. Stane ambushes Stark in his house, using an experimental Stark Industries device to temporarily paralyze him and removing the arc reactor from Stark's chest to power the new suit. As Stane leaves, the dying Stark manages to re-install his first reactor to save himself. Although his first reactor was not designed to power his latest armor, Stark takes it to battle with Stane atop Stark Industries and the surrounding streets, luring him atop the full-sized arc reactor at Stark Industries. With no more power left for the suit, Stark instructs Potts to overload the Arc Reactor, as Stane's suit is temporarily disabled. Potts overloads the reactor, causing an electrical surge that knocks Stane unconscious, causing him to fall into the reactor itself, destroying the reactor and himself in the process.
アイアンマン10
In the following days, the press has dubbed Stark's alter ego "Iron Man." Rhodey informs a press conference that what happened at the company's site was a malfunctioning of a robotic prototype, and one of Stark's bodyguards bravely donned a prototype exoskeleton he designed to stop it. Before joining Rhodes, Stark briefly made an attempt to establish a romantic relationship with Potts, but is put on hold. During the press conference, Stark considers telling the cover story given to him by his S.H.I.E.L.D. contact, however he inadvertently reveals hints about his new ego. Failing to secure the cover story, Stark instead abandons it and announces much to the surprise and awe of the press before him that he is Iron Man.

Following the closing credits, Stark is visited by S.H.I.E.L.D. Director Nick Fury (Samuel L. Jackson) who warns him that he is not the only 'super hero' in the world, and states he wants to talk to him about the "Avenger Initiative".
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今回は、映画『幸せの1ページ』について。

『幸せの1ページ』の原作は、 『秘密の島のニム』(原題Nim's Island)。
ウェンディー・オルー作の児童文学なんですよね。
彼女は、カナダ生まれのオーストラリア在住の児童文学者。
彼女の著書はすでに世界16カ国で出版されているという。
幸せの1ページ 9
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■ あらすじ

世界中に翻訳されているベストセラー冒険小説家の
アレクサンドラ・ローバー(ジョディ・フォスター)は、
その主人公とは真逆の性格。
なんと対人恐怖症で外出恐怖症であるうえに、
そして極度の潔癖症のために引きこもりの生活をしている。
家の中でも、頻繁に手を消毒しなくてはままならない。
まったく自分が書くヒーロー、アレックス・ローバー(ジェラルド・バトラー)とは,
正反対の生活だ。
そんな中で、
ヒーローが火口に投げ入れられるというような設定を考えていたところ、
ネットの検索で、
ふと孤島の火山のふもとで暮らす海洋生物学者ジャック(ジェラルド・バトラー)の
記事に興味を惹かれる。
早速、ジャックにメールを送って協力をあおぐことに。
幸せの1ページ 1
そんなアレクサンドラの住むサンフランシスコから、
遠く離れた南の島では、
おてんばな女の子、ニム(アビゲイル・ブレスリン)が、
父ジャックと二人暮らしをしていた。
美しい海と森の中で、元気いっぱいに遊んでいる。
そんなニムは、
冒険小説のアレックス・ローバーの大ファン。
幸せの1ページ  7
ある日、
父ジャックは、新種のプランクトンを採取するために船旅に出かけることになった。
ニムは、ひとりぼっちの留守番も、
親友のトドのセルキーやトカゲのフレッドと一緒なので大丈夫。
そして、アレクサンドラからのメールを受け取ったニムは、
送信者の“アレックス・ローバー”という名前を見て、びっくり。
ニムをジャックの助手だと勘違いしたアレクサンドラは、
小説に使えそうなネタをニムに質問していく。
こうして始まった二人の交流。
突然、激しい台風がその海域で猛威をふるい始める。
まずいことには、船が難破したジャックと連絡が取れなくなってしまうニム。
不安になったニムは、アレックスに
「自分を助けにきて!」とSOSのメールを送信。
また、ニムが幼い子供だと知ったアレクサンドラは、
警察に電話してニムを助けようとするが相手にされないし、
もちろんフィジー政府にはまったく信用もされない。
アレクサンドラは、
一大決心をしてニムの島に旅立つことに!
さぁ、アレクサンドラは無事にニムのもとにたどり着くことができるのか?
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幸せの1ページ 10
なぜか大御所女優のジョディ・フォスターが出演しているけれども、
この脚本は、やっぱり児童文学のストーリーの域を越えていないのが残念。
まっ、とは言うものの、
ベストセラー冒険小説家のアレクサンドラ・ローバーが、
対人恐怖症で外出恐怖症で潔癖症であるという設定がそれなりにいい。
もちろん、大人の読み物にするなら、
彼女が引きこもりになってしまった悲惨な原因なんかもきちんと描くべきだし、
また、海洋生物学者親子の履歴にも何らかの傷があってほしいものだが…、
なにせ少年少女向けなので、
一切合切、そのあたりのプロットは淡くほんのりと処理されてしまう。
幸せの1ページ11
ただ、自己啓発本や勉強本のブームにあおられて、
ふらふらとその手のたぐいを何冊も読んでしまっている今日この頃、
自己変革の難しさを感じつつ、
主人公のアレクサンドラ・ローバーを観ていると、身につまされる気分になる。
引きこもりの彼女が、自分の家のドアを開け、
新しい一歩を踏み出す瞬間はベタで滑稽であっても素敵だ。
ついでにジョディ・フォスターが、
ほとんどやったことのないコメディーに挑戦しているのもいい。
シリアスものが似合う不器用で真面目なタイプの彼女が、
慣れないおちゃらけやアフリカン(コニカ)ダンスを踊っているのも、
主人公の自己実現のドラマと重なって、なんだか涙ぐましい。幸せの1ページ 3 
また、ニムのいる南の島へ行く道中でも、
想像上の冒険家アレックス・ローバーとの会話というか自問自答が楽しい。
ユング心理学だと、理想の異性ともいうべきアニムス的な存在に対して、
ぶつくさ文句を言いながらも南太平洋の小島を目指す中、
彼女の荷物がどんどん無くなっていくというのもシンボリックだ。
無駄に多い缶切り、手袋、帽子、無意味な消毒スプレー、
お気に入りのスープ缶…、そして、ボストンバッグそのものが海の藻屑となって…。
虚飾を取り払った本人だけが島に辿り着く。
彼女の存在を形成していた物との関係性が、どんどん純化されていく。
しかも、最後は海に沈みかけた自分を助けたのは、自分より年下の少女ニムだった。
助けるべきはずの者に助けられる…、いやはや。
結局、彼女の心の中にあるコンプレックスがすべてかなぐり捨てられた時、
想像上の英雄アレックスもまた消える。
こういう部分は好きですね。
幸せの1ページ 6
ちなみに、
ジェラルド・バトラーが、ニムの父親ジャックと、
想像上の冒険家アレックス・ローバーの二役を演じ分けているんだけど、
なぜか気がつかない人も多いみたいだ。
ジェラルド・バトラーは、相変わらず逞しいが、ちょっと太ったかなぁ。
「スリーハンドレッド」に出演していた頃の方が、当然精悍だった。
幸せの1ページ 4
この『幸せの1ページ』という映画の主演は、ニムを演じるアビゲイル。
人によって好みの差がでそうなタイプの少女だが、熱演している。
しかも、撮影に入る前まで、思いっきりの都会っ子だったのが、
クランクアップする頃には、野生児と化していたという。
「ニューヨーク育ちの都会的な女の子から、
本物のアクション女優へと変化を遂げた」と。
作品の中でも、
成長する少女の頼もしさみたいなものが上手に表現されていた。
それというのも、
この作品の風景が、やたらと美しい。
砂浜や熱帯雨林のジャングル、火山、珊瑚礁、
そして海そのもののロケーションが素敵だ。
実際に、撮影が行われたのは、
オーストラリア・クイーンズランドのゴールドコースト、
ヒンチンブルック島だそうだ。
ニムの笑顔とそんな美しい風景をスクリーンいっぱいに見ていると、
つい柄にもなく扉を開けて、
アレクサンドラのように、
自分を変える最初の第一歩を踏み出したくなる。
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幸せの1ページ 2

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■やたらと詳しい英語版のあらすじ

Nim (Abigail Breslin) is an 11-year-old girl, whose mother has died. Her father said she was swallowed by a Blue Whale after it was scared by a ship called the Buccaneers. She lives with her father Jack Rusoe (Gerard Butler), a marine biologist, on an island in the South Pacific. She has some local animals for company: Selkie the Sea lion, Fred the Bearded Dragon, Chica the Turtle, and Galileo the Pelican. Jack goes by boat on a scientific mission of two days to find protozoa Nim (a new species of plankton); he wants to take her along, but she convinces him that she can manage on her own on the island; they will be able to communicate by satellite phone.

Nim, who is fond of Alex Rover adventure books written by Alexandra Rover (Jodie Foster), receives an email addressed to her father with an inquiry about his field of knowledge. The sender "Alex Rover" seems to be the explorer, but is actually Alexandra, a neurotic San Franciscan who constantly sees her character Alex Rover (also Gerard Butler). An email conversation follows, where Nim first poses as her father's assistant and then goes to the volcano on the island to see whats inside it and is hurt in the process.
幸せの1ページ 8
Jack suffers a shipwreck, which makes it impossible for Nim and Jack to communicate. Also, he does not return on the planned date. Throughout the movie, Galileo brings Jack things he needs to fix his ship. Nim explains the situation to "Alex". Although she suffers from agoraphobia and therefore never leaves the house or even opens the door, she travels to the island to rescue Nim.

The island is visited by tourists, taken by Nim to be pirates. Without exposing herself, she scares them away by shooting animals at them. One of the tourists, a spoiled rich boy named Edmund, follows her and sees her. He is confused by her presence, and believes her to be another tourist. But when he tells the others, he isn't believed and punished severely by his parents for leaving them. The tourists leave. Alex arrives by helicopter at the tourists' boat and tells about her rescue mission. The tourists do not believe that a girl is on the island, but Edmund tells her what he had seen. Encouraged, Alex goes to the island and is saved by Nim from drowning. At first Nim doesn't want her to stay, but eventually allows her. Later Jack arrives on a raft still holding the plankton and he and Alexandra fall in love.
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今回は、『パコと魔法の絵本』について。
映画『パコと魔法の絵本』は、なかなかの傑作だと思う。
いや、一種の迷作というか、怪作というか…、
とにかくもう幅広い階層にむけての素敵な作品になっている。
もともとの原作は舞台劇。
後藤ひろひと原作の
人気舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」が
ベースになっているという。
舞台劇を映画化するにあたって、
「戯曲の面白さを崩さないようにしたが、
逆に舞台以上に芝居的に描いてやろうと決めました」
と中島監督はいろんなインタビューに答えている。
パコと魔法の絵本16
監督の思いはどうであれ、
原作の後藤ひろひとさんが考えたもともとの人物設定が、やっぱり芝居のキャラっぽい。
人の世の傷つきやすく弱い心の代表例として、それぞれが存在している。

・子供の結婚式にも呼ばれず、ジュディ・オングが大好きなオカマの木之元(國村隼)、
・大人の演技ができずに、昔の幻影に怯える元有名子役の室町(妻夫木聡)、
・自分に自信がなくて、どういうわけか消防車にひかれてしまった消防士の滝田(劇団ひとり)、
・いわくつきで、銃で撃たれて入院してきた傷だらけのヤクザの龍門寺(山内圭哉)、
・どこにでも出没してきて、どこかおかしい堀米(阿部サダヲ)
・メルヘンおたくで、ピーターパン気取りの医者の浅野(上川隆也)、
・恫喝口調はお手の物、タトゥー入りの凶悪な看護師のタマ子(土屋アンナ)、
・ドラキュラのように顔が怖く、将来の社長夫人を目指す強欲な看護師の雅美(小池栄子)、
・その雅美に、いつも噛まれている天然オトボケ亭主の浩一(加瀬亮)、
・そして、
 一代で自分の会社を必死に築いたかなりの偏屈ワガママジジイの大貫(役所広司)

という心に歪みや傷を抱いた人間たちが集まっている病院。
パコと魔法の絵本13
「今回は俳優の芝居を見せる映画にしたかった。
役所さんたち俳優には思い切り芝居をしてもらった。
脚本を超えるぐらいオーバーに」という監督の考えどおり、
その意を受けた役者たちの懸命さというか、
それこそオーバーアクションぎみな演技は一見の価値がある。
また、
「心に傷を持つ頑固で偏屈な老人が純真な少女の心に癒される」
というタイプの物語は古今東西いたるところに出現してきたわけだが、
これほどポップで色鮮やかな映像世界で表現した人はいないのではないだろうか。
パコと魔法の絵本
「これまで見たことのない新しい映像でなければ、作る意味がない」
というのも、これまた中島監督の言葉だが、
この点に関しては、CMディレクター時代からの持論であり、
ずっと実践し続けてきていることでもあるのだろうと思う。
たとえば、
暴走族の土屋アンナが、
不満げにゴスロリしているショットが妙に可笑しい『下妻物語』や
さらにパワーアップした超極彩色の『嫌われ松子の一生』と、
ここのところ、続けて作品を生み出してきている中島監督ではある。
そう言えば、
CMディレクター時代のヒット作もすでにそんな傾向が著しい。
特に、
あの「サッポロ黒ラベル」のCMシリーズは良かった。
ACCグランプリを受賞した「サッポロ黒ラベル~温泉卓球編」が登場した時は、
本当に驚かされた。
豊川悦司と山崎努が、
温泉卓球で大人げない戦いを繰り広げるというヤツだ。
浴衣の豊川悦司が、物凄い形相で打ち込むピンポン球のスローモーション。
卓球台のエッジに当たってバウンドしていくピンポン球を打ち返そうと、
さらにスリッパを吹っ飛ばしてジャンピングする同じく浴衣のおっさん山崎努…。
パコと魔法の絵本12
その後も、
焼き肉編、金魚すくい編、カラオケ編、
温泉卓球リベンジ編、雪合戦編…。
と、高度な技術に支えられた「大人げない戦い」のCMは出現した。

「大人の意地の張り合いの強烈なデフォルメ」と、
「商品であるサッポロ黒ラベルを飲みほす瞬間の爽やかさ」との鮮烈な対比。
お見事でした。
中島監督の本来の姿は、
ヒット作の多い売れっ子CMディレクターなんだと思う。
したがって、
「商品をどう印象づけるか?」というようなCMディレクター的な発想は、
現在の映画の仕事に対しても、その考え方の底辺にあるのではないかと思う。
パコと魔法の絵本2
『パコと魔法の絵本』を要約すると、
「他人に自分の事を考えられるだけで腹が立つと公言してはばからない、
誰にも全く心を開かない性悪で冷酷な老人の大貫が、
一日しか記憶を保てないパコという少女の心に残りたいと願い悪戦苦闘する物語」
もし、105分に渡るこの映画全体が中島監督によるCMだとするならば、
そして、そこに売り出されようとしている商品があるのならば…。

それは…、その商品とは、
自分の心を剥き出すことを常に恐れるあまりに、
抑圧してしまっている現代人の「純粋な感情」の部分なのではないかと思う。
パコと魔法の絵本5
パコ(アヤカ・ウィルソン)のきらきらした瞳や可愛い表情、
毎日、母が贈ってくれたという誕生日プレゼントの絵本を読む時の元気な声、
そういうピュアな感じの部分が、
実は、屈折し・汚れ・歪み・怯えてしまっている大人たちの心の奥にも
あるわけで…。
しかし、そんなことを声高に主張しても意味はないし、事足りない。
それに、かなり照れくさい。
大人は、複雑怪奇な心を持っているからこそ大人たり得るのであって…、
まして、「純粋な感情」をクローズアップし、売り出すとなると、
結局、絵本の「わがままガマ王子」を弱い大人なシンボリックな喩えとして、
デフォルメし、あざといまでのギャグを満載し、
現実離れしたビジュアルでカラフルに勝負するというパターンになったのだと思う。
ど派手なデフォルメと伝えたい何かとの組み合わせ、
思いっきり極論すると、
そういう発想の傾向は、「サッポロ黒ラベルのCM」と同じなのかもしれない。
パコと魔法の絵本3
エンディングロールの最後に、
再び、パコと大貫がベンチに座って仲良く絵本を読んでいるシーンがある。
それを観ると思わず胸にこみ上げてくるものがあるのではないかと思う。

ちなみに、中島監督が、役者の面々に指示したことのひとつに
「感情に嘘はつかないでください」というのがあるのだそうだ。
高度なデジタルによるCG技術とは別に、
役者全員によるアナログな演技の集積と、
それによって役者が表現しぬいた感情たちが、
あの架空の超極彩色の世界にあって、逆にリアルだったからこそ、
「誰の心にも届く童話」になりえているのではないかと思う。

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■大したことではないのですが…
いい映画だったなぁと思いつつ、
そして、上記のようなくだらないことをちまちま考えていたら、
ふと「なんであんなに可愛い女の子の名前がパコなんだろう?」って思ってしまいました。
そう思いません?
なんぼなんでも「パコ」はないでしょ。主役なのに…。
パコと魔法の絵本8
原作者の家族か恋人のあだ名かな?
あーでもない、こーでもないと考えるのも面倒なので、
原作者の後藤さんのブログを読んでみたら、
驚くべきことに「パコ」って、なんと犬の名前でした。

だから、
映画『パコと魔法の絵本』の中で
役所広司さん演じる意地悪じじい「大貫」が
主人公「パコ」と2度目に対面する時に
こんな事を言います。
「なんだ?
 なんか犬みたいな名前だったな?
 ・・・パコ?」
(※上の7行分は後藤さんのブロクの一部の抜粋です。)

※後藤さんによると、「パコ」は相当恐そうな犬だったらしく、
子供たちがそこの前を「駆け抜ける」ことが、度胸試しみたいになっているようでした。
でも、本当は優しい犬だったとか…。

パコと魔法の絵本4

『20世紀少年』の第1章を観た。

よくぞまぁ原作にも忠実に、
しかも、そこそこに緊張感を失わずに仕上げたものだと思う。
編集の仕方も上手い。
堤幸彦監督はただ者ではないですね。
キャストも豪華、
今回の総製作費は60億円。
第2章は、2009年1月31日から
そして、第3章は2009年夏の公開を予定しているのだという。
20世紀少年7
映画のコマーシャルでも盛んに流されているT・レックスの曲「20th Century Boy」が、
妙に耳にこびり付いてしょうがない。
基はと言えば原作者の浦沢直樹さん自身がロック好きで、
仕事をするときは、このT・レックスの曲をやたらと流しているんですよね。
そんな様子が、
2007年のNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられていた。

「少年時代は、秘密基地を作り、正義のヒーローを仲間たちとめざし、
思春期になるとロックに目覚め、
中学時代には放送室をジャックし、
昼休みの校内放送で「20th Century Boy」を大音量で流すも注目されなかった。
結局、大学時代にバンドを結成するが、成功を納める事なくバンドは解散。」
というのは、主人公ケンヂのプロフィールだが、
そのかなりの部分に浦沢さん本人の個性がダブって感じられる。
本人は、「10分の1くらいは自叙伝」とは言うものの、
実際に校内放送で無理矢理「20th Century Boy」の曲をかけたという実体験もある。

それにしても、「なぜ浦沢さんがこの『20世紀少年』を描く気になったのだろう?」
もうすでにマンガの方も20巻となり、『21世紀少年』も出版されているわけで、
今更このヒット作品が描かれた理由を考えなくてもいいようなものだが、
実は非常に気になる。

とりあえず、
今回の物語は1970年代からスタート…。
20世紀少年2
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それは日本というのどかな国が、経済的に高度成長を遂げていた1970年代。
貧しくても、人々には夢と希望と、人情に満ちあふれた時代。
すべては素朴で、人間らしいあの頃。
少年たちは、
原っぱに作った自分たちだけの秘密基地を作って遊んだ。
そんな少年たちが、
空想した未来の世界には、
地球滅亡をもくろむ悪の組織が暗躍し、
ついには、東京をそして全世界を破壊し尽くす巨大ロボットが始動する。
人類滅亡の危機!
その悪の組織に立ち向かい地球を救う9人の仲間たち。
あまりにも幼いこのストーリーを“よげんの書”と、
少年たちは名付けた。
やがて、大人になるにつれ、
そんな子供たちの空想はぼんやりと薄れてしまう。
しかし、1997年、
お得意先の敷島家の失踪、
幼なじみのドンキーの死をきっかけに、
ケンヂの記憶が次第に呼び覚まされていく。
しかも、禍々しい謎の大量殺人が、
幼い頃空想した“よげんの書”通りに起こっていることに気づく。
謎の男“ともだち”が主催する妖しげな宗教団体、
そこには、
子供の頃の秘密基地の掲げた「眼に指を立てた懐かしいシンボルマーク」が…。
2000年12月31日、血の大晦日、
「世界が終わろうとしています。僕らの“ともだち”によって――。」
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20世紀少年6
2000年で、ケンヂは41才。
もちろん浦沢直樹さんも1960年生まれなんで、現在、48才。
手塚治虫の『火の鳥』などに影響を受け、
1960 - 1970年代のロックのファンで、特にボブ・ディランの大ファン。
実際に、今もギターを持ってロックを歌ったりする。
映画でも、唐沢寿明がギターを片手に弾き語るが、
そんな姿にもどういうわけか浦沢さんの歌っている姿が重なって見える。

もちろんマンガ家としては、
「YAWARA!」「MONSTER」など数々のヒット作を生み出してきている。
そういうこともあって、プロフェッショナルでは、
「一億冊を売った男」として紹介されている。
さらには、20年来のつきあいの深い編集者である長崎尚志さんとの交流も興味深い。

マンガを描く際に、
「苦しいのか、
悲しいのか、
悩んでいるのか、
どうともとれる表情になれば、
いい顔が描けたと思いますね」と語っている。

そう考えると、
ここぞというシーンで浦沢さんが描くキャラクターの表情は何とも知れず奥深い。
ついでに、その表情のベースになっているのは、
ちょうど1970年代の頃、ブーイングとバッシングの洗礼を受けている時のボブ・ディランが
ふと見せていた内省的な深みのあるあの表情に原点があり、
もしかするとマンガを描きはじめた初期に何度も模写していたんじゃないかとも、
勝手に思ってしまう。
怒っているのか、
悲しんでいるのか…。
そんな複雑な人間の表情…。
20世紀少年4
ともかく、
今回の映画では、それぞれのキャストがそれなりに、はまっている感じがしていい。
ただちなみに、肝心の主役の唐沢寿明は、
自分の顔がマンガの顔と似ていないことを気にしていたとのことだったが、
そのわりには、ロッカーとしての夢破れたケンヂを実に真面目に演じているのには驚いた。

ロックへの挫折をきっかけに、
ひたすら日常に埋没して、
コンビニで働いているケンヂ。

少年の頃とはうって変わって、自信のなさそうな目をして
「俺…、こんなんでいいのかな?」と果てのない自問自答を繰り返している。
そんなケンヂの人生のひとコマをしっかり唐沢寿明が演じているからこそ、
荒唐無稽な物語に、
ちょっとリアルな存在感を付け加えている。
浦沢マンガ風の奥深い顔の表情のあり方も、
きっと研究したのではないかと思うが、
非常に上手かったように思う。
20世紀少年3
さて、
しつこいようだが、
なぜ浦沢さんがこの『20世紀少年』を描く気になったのだろう?
現在、映画の方は第3章の撮影に入っているということだが、
たとえ第3章まで観ても、その理由は映画だけでは分からないような気がする。
そんな作りになっているような気がしてならない。
ここぞというシーンで浦沢さんが描くキャラクターの表情と同じで、
物語全体に関しても、その中でもっとも伝えたいことですら、
どうとでも受け取れるような表現になっているという矛盾が、
はじめから内包されているような感じがしてならない。
今の時代に対して、
怒っているのか、
悲しんでいるのか、
それとも悩んでいるのか、
それとも…。

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20世紀少年1

今回は『ハンコック』について。

飲んだくれで、
ベンチで寝転んでいるホームレス、
スーパーヒーローなのに、市民の嫌われ者。
無精ひげで、正義感もやる気も全く感じさせない男…。
小さな子供に、「事件だよ!」と起こされ、
うだうだとふてくされていると、
その子供から「アスホール!(クズ)」と馬鹿にされるしまつ。
酔っぱらったままで、空を飛び、
道路標識に激突して、ぶっ壊し、
犯人が乗った車をビルの尖塔に突き刺す。
ビルを壊し、パトカーはボコボコになり、
事件が解決しても、
社会に物凄い損害を与えてしまう。
もちろんロサンゼルス市民からはブーイングの嵐、
いやはや、
そんな嫌われ者のスーパーヒーローが、
主人公ハンコック(ウィル・スミス)。
ハンコック13
さて、映画『ハンコック』が8月30日から公開されている。
アメリカでは、すでに7月4日の独立記念日の週末を含めた5日間で、
1億400万ドル(約111億円)の興行収入を上げる大ヒットとなっているそうだ。
ともあれ、つい先日まで北京五輪の話題で一色だったのに、
あっという間に時が流れてしまった。
今回の映画『ハンコック』の評価に関しては、
何と言っていいやら、なんだかなぁという感じだ。
ウィル・スミス好きのお方には、お勧めかもしれないし、
CGや派手なアクションがお好みの人にとってもいいかもしれない。
ただ、
相変わらずのハリウッド作品らしく、
脚本が大味というか雑というか…。
ハンコック4
とりあえず、「ヒーローが市民の嫌われ者」という設定はなかなかいい。
これまでのステロタイプなヒーロー像と大きく違って、
無茶で、「Too Much Power」をコントロールできないし、
酒臭いツバを飛ばしてスラングを連発、
人から「クズ!」といわれるとキレて暴れ出すというような、
かなり壊れているヒーローの設定をしたのは面白いと思う。

監督は、 ピーター・バーグ。
前作「キングダム/見えざる敵」では、
サウジアラジアを舞台にテロリストたちのかなりシリアスなドラマを撮っていた。
その反動かわからないけれど、
今度は1年も経たないうちに、
アクションコメディー?の『ハンコック』に取り組んだというわけだ。ハンコック1


ピーター・バーグ監督いわく、
「アル中で破滅的なダメ男が、
酔っ払っている時に人を救おうとする話。
ただ、スーパーヒーローものの体裁をとってはいるけれど、
実際は魂の救済を求めている1人の男の物語であるところが気に入っている。
僕は常に作品のどこかにグレーゾーンを残したいと思っているんだ」
なるほど…。
そういう意味では、
主演のウィル・スミスという存在は最適だったのではないかと思う。
彼のこれまでの主演作品でも共通して言えることだが、
メチャクチャなアクションより、
時折見せるウィル・スミスの哀しげな表情が、実にいい。
社会と折り合いがつかなくて、
しかも自分自身がいったい何者かすら分からない。
そんな主人公の寂しげな感じがよく表現されていたと思う。
「社会と自分」という構図での哀しみや寂しさの部分は、
別にスーパーヒーローとしてでなくてもあらゆる人間に相通じる。
ハンコック7
そんな酒好きでキレやすく市民には歓迎されていないハンコックは、
ある日、踏切で立ち往生していた車を
事故から防ぐために列車をエルボーで阻止。
このときに助けられたPRマンのレイ(ジェイソン・ベイツマン)は、
嫌われ者のハンコックに真のヒーローになってもらうべく、
さまざまな戦略を練ることとなる。

ハンコックに、市民から共感の得られるような反省の弁を述べるようにし、
刑務所に服役させ、
犯罪増加とともに、
やがて彼が社会にとって必要になる状況を待ち、
ヒーローらしいボディスーツを仕立て、
ひとたび事件が起きれば、
警官たちの苦労をねぎらって、
「グッドジョブ」と馬鹿の一つ覚え的に言わせるようにする。
なんともぎこちないハンコックの愛されるヒーローぶり。
そんな庶民の好感度を上げていくくだりは、
それなりに面白いし笑える。
ハンコック12
ただ後半になって、
レイの妻メアリー(シャーリーズ・セロン)が
実は身近にいた同類の女性だったと分かるあたりから、脚本がねじれてしまう。
不死身のはずのハンコックが撃たれて血を流し、
担ぎ込まれた病院で彼女から自分の正体と秘密をさらにあかされる。
なんと彼女こそが、
自分の妻であったことを知るというなんとも妙な展開になっていく。
しかも、ハンコックとメアリーが接近すると、
互いのパワーが無くなってしまうという設定もなんだかなぁではあった。
あまりにも安易な展開で、
こういうのがやっぱりアメリカ人好みなのかなぁと、つい思ってしまう。
念のため、アメリカのサイトのレビューなども読むと、
確かに、脚本が単純という声もそれなりにあるものの、
ウィル・スミスの演技を含めて手放しで大好評のようだ。
ハリウッドの脚本家たちに才能がないのではなくて、
いりくんだ深みのあるドラマをアメリカの大衆があんまり受けつけないから、
こういうような大味な感じのレベルで映画を商品化してしまうのでしょうね。
ハンコック10
また、メアリーを演じているシャーリーズ・セロンは、とりあえず現在も魅力的だ。
かつて、反政府組織の戦士イーオン・フラックスという全身武器のヒロインを
ダンサー出身の彼女がやたらと格好良く演じていたのを思い出す。
(ただ映画としては、あの『イーオン・フラックス』もいまいちのSF?だった)
さて、
最近、ピーター・バーグ監督は、やたらと引っ張りだこらしくて、
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスを映画化するらしい、
コミック“Hercules: The Thracian Wars”の映画化ということだ。
さらについでに、ピーター・バーグ監督は、
なんとパラマウント・ピクチャーズの『砂の惑星』のリメイク企画を進めているという。
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ハンコック9
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■ やたらと詳しい英語版のあらすじ

John Hancock (Will Smith) has superhuman powers including supersonic flight, invulnerability,
immortality, and super-strength, but is also a cynical alcoholic. Though he uses his powers to
stop criminals in his current home of Los Angeles, he regularly causes millions of dollars of
property damage due to his constant drunkenness. As a result, he is routinely jeered at the
crime scenes. Hancock also ignores court subpoenas from the city of Los Angeles to address
the damage he has caused.

As public relations consultant Ray Embrey (Jason Bateman) is driving home from
an unsuccessful meeting pitching his All-Heart logo for corporations that perform charitable
acts, his car gets stuck on a railroad track. Hancock saves Ray from an oncoming freight train,
but derails the train and nearly injures another driver. Hancock is jeered by other drivers for
causing more damage, but Ray steps in and thanks Hancock for saving his life. Ray offers to
improve Hancock's public image, and Hancock grudgingly accepts. The consultant convinces
the alcoholic superhero to allow himself to be jailed so they can show Los Angeles how much
the city really needs Hancock. When the crime rate rises after Hancock's imprisonment, the
superhero is contacted by the Chief of Police. With a new costume from Ray, Hancock
intervenes in a bank robbery, rescuing a cop and stopping the leader of the robbers, Red
Parker (Eddie Marsan).
ハンコック5
After the rescue, Hancock is applauded for handling the bank robbery. He becomes popular
once more, as Ray had predicted. He goes out to dinner with Ray and his wife Mary
(Charlize Theron), to whom he reveals his apparent immortality and his amnesia that began
80 years ago. After Hancock tucks a drunken Ray into bed, he discovers that Mary also has
superhuman powers. He threatens to expose her unless she explains their origins, so she
tells him that they have lived for 3,000 years with their powers, having been called gods
and angels in their time.
She explains that they are the last of their kind, who were all paired, but does not tell
him the whole truth. Hancock sets off to tell Ray what he has learned but Mary intercepts
him, beginning a violent battle that takes them to downtown Los Angeles and causes
widespread damage to the area. Ray, downtown in a business meeting, sees and recognizes
Mary using powers like Hancock's.

Hancock is later shot twice in the torso and badly injured when he intervenes in a liquor store
robbery. Mary visits him in hospital and explains that as the pair of immortals get close,
their powers begin to weaken. She also explains that Hancock was attacked
in an alley 80 years ago and his skull was fractured, causing his amnesia. Mary deserted
him then to allow him to recover from his injuries. After her explanation,
the hospital is raided by the bank robber Red Parker and two other criminals with
grudges against Hancock.
Mary receives a serious gunshot wound. Hancock is able to stop two of the men
but is further wounded by them. When Red attempts to finish Hancock off, Ray comes to
the rescue and stops the bank robber with a fire ax. With Mary close to death, Hancock
uses the last of his strength to flee from the hospital so that their parting will allow
her powers to return We catch up with Hancock later in New York City, still working
as a superhero.
Out of gratitude to Ray, Hancock paints Ray's All-Heart logo on the moon and telephones him,
telling him to look up at the worldwide advertisement.
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今回は、『ベガスの恋に勝つルール』について。
世の中、北京オリンピックの話題で一色という今日この頃、
たまにこういうタイプのラブコメを観ると、
なんだか実に新鮮な感じがする。
しかも、意外にもなかなかどうして楽しい作品に仕上がっていた。
やっぱり、主演のお二人さんが良い上に、
脚本が、ラブコメのツボをそれなりに押さえている感じで上手い。
ベガスの恋に勝つルール17
「互いにいがみ合っていた男女が、何らかの理由で一緒に暮らすはめになり、
いさかいや口論をする過程で、やがて、それぞれの良さを理解し
最後には愛し合うようになる」というパターンって、
これまでも何度となく描かれてきたラブコメの王道なんでしょうね。
キャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャーが、
ここまではじけていいんだろうか?というぐらいに無茶しまくると、
どういうわけか、それがそれなりに爽快だ。
(特に、アシュトン・カッチャーが予想以上に好演している。)
ベガスの恋に勝つルール14
さて、
キャメロン・ディアス演じるジョイは、
仕事も恋も完璧主義のキャリアウーマン。
一方、アシュトン・カッチャー演じるジャックは、
一見楽天家だが、自分に自信を持てずにふらふらと暮らしている男。
ジョイは、フィアンセから振られ、
ジャックは、仕事をくびになり、
落ち込んだ二人は、
それぞれ憂さ晴らしにベガスにやって来て、
飲みまくり、踊りまくり、
愚痴をこぼし、意気投合し、
泥酔した勢いで一夜にして結婚、
そしてスロットで300万ドルを引きあててしまう。
慌てて離婚裁判を起こしても、
逆に、判事から6ヶ月の結婚生活を命じられてしまう…。
ベガスの恋に勝つルール10

ありがちと言ってもやっぱり無茶苦茶な設定なわけで…、
しかし、キャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャーのふたりの魅力は強烈で、
大人でも飽きずに観ることができる物語になっていた。

脚本は、デイナ・フォックス作による「What Happens in Vegas」。
もともとは、「What Happens in Vegas ,stays in Vegas.」という有名な言葉からきている。
ひどい直訳をすると、
「夢の街ラスベガスで起きた非現実なさまざまなことは、
そのままベガスに残ってしまう。」となる。
普通は、「旅の恥はかき捨て」と訳する人も多い。

この脚本家デイナ・フォックスは、
「敵対関係や障害を乗り越えて愛を見つけたり、
相手を理解するようになるといった物語に興味があるの。
最初は、離婚調停中のカップルが、
その過程で奇妙にもお互いを理解し合うようになる、
というストーリーを思いついたんだけど、
その頃ちようど何故だか、旅の恥はかき捨てというフレーズをよく耳にして、
映画のタイトルにするのにピッタリだと思ったのよ。」とも言っている。
2004年1月、ブリトニー・スピアーズが、
酔った勢いでネバダ州ラスベガスで幼なじみと結婚するも、
すぐに婚姻無効を申請するという騒動を起こしたなんてな事件も
発想のヒントになっているようだ。
とにかく、
このデイナ・フォックスの脚本は、かなりサービス満点だ。
ベガスの恋に勝つルール13
たとえば、
カウンセリングの精神科医に、
自分の正当性を証明して、賞金をゲットしようと大人げないバトル。
散らかし放題のジャックの部屋の掃除の話題からスタートして、
便器の上げ下げのいざこざやら、
テレビを見ながらポップコーンを食べる瞬間ですらバトル、
ドメスティック・バイオレンスのデッチあげ、
カウンセリングに出席できないように画策したことが発覚して、
結局は競争して、走り、塀をよじ登って行くふたり…。
などなど、
同棲しはじめや新婚生活の初期に、
誰もが感じるような男女間の細かいギャップの表現は、
ふたりの過剰なおバカっぷりにあいまって、実に巧みだ。
ベガスの恋に勝つルール7
また、
互いに意地を張って、対立すればするほど、
最初の段階で、真逆に見えたふたりは、
最終的には「似た者同士」なのだと分かるように演出されているのがいい。
ふたりのおバカなバトルのそれぞれのくぎりで見せるカウンセリングの精神科医の
言葉や表情が、ふたりの心の進展度の客観的なバロメーターになっているのも
気が利いている。
ラストの裁判シーンで、
「ふたりは多大に問題を抱えているけれども、
不思議なことに、このふたりは最高に相性がいい」
と、精神科医に発言させているのも一種の予定調和であり、
客席の「目」を代弁しているようにも感じる。上手ですね。
ベガスの恋に勝つルール4
しかも、それなりに、
ジョイとジャックの性格設定とその変化に対しての描き方が
しっかりしていることも素晴らしい。
キャメロン・ディアス演じるジョイは、
仕事も恋も完璧主義のキャリアウーマン。
計画のための計画をするぐらいにきっちりしていて、その上ハイテンション。
ようするに、恋人に良く思われようとするあまりに、
自分の本心を押し殺して生きている。
仕事でも、バリバリのキャリアであり上昇志向ではあるものの、
本当の意味では、自分のやりたい仕事かどうかも分からずというか、
そういう気持ちを押し殺しているジョイ。
そんなジョイが、ジャックとの生活の中で、
素の自分の姿を表すことができ、自分にとって、もっとも価値のあることに気がつく。
ベガスの恋に勝つルール11
ジャック(アシュトン・カッチャー)の方は、
父親が経営する工場で、仲間と賭けをしながらなんとなく働き、
一見楽天家だが、自分の仕事にも自信を持てず、いい加減に暮らしいる。
家具職人なのに、テーブルでさえ仕上げられない。
しかも、どの彼女からも結婚の対象にみあう「男」とは思われていない。
しかし、そんな彼もジョイとバトルをしながらの生活で、
しだいに自分に目覚め、仕事にも生活にも自立を志す。
ジャックが、しだいに自覚と責任を背中にしょった男らしい人間になっていく。
ベガスの恋に勝つルール15
ジャックの両親が開く家族パーティーで、
子どもたちの遊び相手になっているジャックの爽やかさと笑顔、
ジョイの家庭的でほほえましい一面…。
昇進がかかったジョイの上司が開くパーティーでの
気さくで社交的なジャックのジョークや立ち振る舞いと、
セクシーなドレス姿のジョイ…。
物語の進展に従って、
そんなふたりの大きな変化や成長が背景にしっかりと描かれているので、
子供っぽいバカげたバトルもいたずらも、
相乗効果で引き立つようになっている。
したがって、映画を観ていると、ジョイとジャックのふたりが、
どんどん素敵に感じられるようになっている。
その辺が見事な部分だと思う。
ラブコメとは言っても、
観ている人間は、大多数は大人なので、
どれだけ感情移入もさせて、引き込めるかというのはけっこう難しい。
それを難なくやり遂げたのが『ベガスの恋に勝つルール』なのでしょう。
ベガスの恋に勝つルール5
アシュトン・カッチャー、30才。
16才年上のデミームーアとの結婚生活も順調、ついでに事業も好調だそうだ。
キャメロン・ディアスは、もう36才。
『メリーに首ったけ』(22才の頃の作品)以来、ずーっとラブコメの最前線に君臨しているし、
なにせ総収入は5000万ドル(約54.7億円)なわけで、
すでにベガスのスロットマシーンの賞金300万ドルなんかよりも遙かに高い収入を得ている。
いやはや。

※どうでもいいけど、
電気屋さんなどにあるソフトバンクの携帯を持った等身大のキャメロン・ディアスは、
ちょっと迫力がありすぎるような気がする。

※ちなみに、エンドロールが流れても席を立たないことをお勧めします。
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ベガスの恋に勝つルール2

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■ やや長めあらすじ

ジョイ(キャメロン・ディアス)は、
NYのウォール街で働くキャリアウーマン。
いつもハイテンションの彼女は、
フィアンセの誕生日にサプライズ・パーティーを開くことにした。
しかし、そのフィアンセのメイソンからは、
「ハイテンションで計画魔、君といると休まらない」と
こっぴどくフラれてしまう。
部屋に誕生を祝おうとして、隠れていた友人たちも本人も別の意味でサプライズ…
同じ頃、
父親の経営する工場で気ままに働くジャック(アシュトン・カッチャー)は、
何と実の父親にクビを言い渡される。
一見楽天家だが、
立派な父に敵わない負い目から、
自分に自信を持てずにふらふらと暮らしているジャック…。
ベガスの恋に勝つルール6
そんな落ち込む2人が、それぞれ向かった先は夢の街ラスベガス。
ダブルブッキングで、ホテルの部屋が一緒になってしまったジョイとジャックは、
意気投合し、ホテルのお詫びのサービスでVIP扱いとなって、
いけすかないと思いつつも、ベガスの雰囲気に浮かれて歌って踊って、
大はしゃぎして、挙げ句の果てに泥酔してしまう。
朝、
目覚めるとジョイの薬指には指輪が……。
昨晩、ラスベガスで出会ったばかりのジョイとジャックは、
酔った勢いで結婚していたのだ。
婚姻の無効手続きをするつもりが、
ジャックがスロットマシーンで300万ドルの大当たり。
しかも、ジョイの25セント硬貨を使って……。
ニューヨークに戻った2人は、離婚と大金の所有権をめぐる裁判を開廷。
昔かたぎの判事が下した判決は、
「即席結婚を成功させるために努力をしたと証明すること」。
かくしてジョイとジャックは半年間の仮の結婚生活を送ることになってしまう。
ジャックの部屋で同居生活を始めると同時に、
共通点ゼロの2人は激突の嵐。
しかし、週に1回のカウンセリングでは、
いかに自分が理想的なパートナーであるかをアピールしなければならない。
ジャックもジョイも、有利な離婚をしようと、あらゆるプランを画策するが…
バトルはますますヒートアップ。
6か月間の結婚生活を乗り切って大金を手に入れることができるのは!?
激しい衝突を繰り広げながらも、
いつの間にやらジョイとジャックのお互いを見つめる視線に変化が表れはじめ……。
ベガスの恋に勝つルール9

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■ 英語が好きな方用のあらすじ

In the city of New York, highly-strung stockbroker Joy (Cameron Diaz) is
dumped by her fiance, while laid-back carpenter Jack (Ashton Kutcher) is fired from his job.
Both were very emotionally distraught, they both travel to Las Vegas
with their best friends where they meet in a hotel
room that had been double booked. After clearing up the misunderstanding at the reception,
they proceed to engage in a night of partying resulting in the two getting married
in an inebriated ceremony. Soon they decide to divorce, at which time Jack takes
a quarter from Joy and drops it into a slot machine as she walks away.
He hits a $3,000,000 triple-jackpot. They were supposed to go on their separate ways
but due to the money the two must figure out a way to share it
since they are still legally married. Once back in New York,
a judge declares that the couple cannot divorce until they attempt to co-exist
for six months, while being monitored by a marriage counselor (Queen Latifah) weekly.
They will be permitted to keep half the winnings from Las Vegas if they cooperate.
If either party does not, their fortune will be confiscated. As the newlyweds devise more
and more cunning schemes to undermine one another and keep the other's share,
Jack and Joy ironically find themselves developing an unexpected attraction to one another.
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7年ぶりに、あのアドベンチャーが帰ってきた。
砂塵の舞う広大な砂漠地帯に、
邪悪なパワーを持って甦る死者。
遺跡から襲いかかるミイラと不老不死の秘宝、
激しい戦闘と胸躍る冒険…。
そんな娯楽性たっぷりの映画、それが『ハムナプトラ』シリーズ。
ハムナプトラ11
「砂は立ち上がり、
天は裂ける!
今、恐るべき力が甦る!」
というようなキャッチコーピーで第1作がスタートしたのは、9年前。
「CG技術も進歩したよね~」なんてな会話をしていたもんだった。
原題「The Mummy」の意味はもちろん「ミイラ」、
ハムナプトラは、ご存じのとおり、遺跡の名前だったりする。
ハムナプトラ30
1999年、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(The Mummy)
2001年、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(The Mummy Returns)
2008 年、『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』(The Mummy Tomb of the Dragon Emperor)

この『ハムナプトラ』の第3弾を楽しみにして観た。
まぁ、極楽作品なので、細かいことにはこだわりたくはないのだけれど、
ちょっと残念な仕上がりになっていた。
ハムナプトラ34

前作までは、舞台がエジプトだったのに、それをわざわざ古代中国に変化。
『カンフーパンダ』、『ドラゴン・キングダム』と、
どれもこれも制作スタートの段階で、
この2008年開催の北京オリンピックをあてこんでの企画なんでしょうね。
きっと、企画を立てた時点でのプロデューサー側の予想としては、
中国ブーム的なものが、
相当に盛り上がっているのではないかと考えていたんでしょう。
まさか、チベット問題だのテロの脅威だの、
北京オリンピックを手放しで喜べない状態になっているとは。
映画関係者たちは、あんまり予想していなかったのじゃないだろうか…。
ハムナプトラ 1
ともあれ、前作と比較して、なんだかピントが外れているような気がしてならない。
砂まみれ、埃まみれの中での激しい戦闘と冒険、そしてロマン、
という娯楽映画の王道のような設定を取り扱うか?というのが問題なわけですが、
とりあえず、あらすじを確認してみましょうか。
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1946年、ロンドン。
幸せだがちょっぴり退屈な毎日を送っていたリック(ブレンダン・フレイザー)と
エヴリン(マリア・ベロ)のオコンネル夫妻は、外務省に頼まれ、
“シャングリラの目”と呼ばれる巨大なブルーダイヤを
返還するために上海へやって来る。
そこで彼らを待ち受けていたのは、両親に内緒で大学を辞め、
現地で遺跡の発掘にいそしんでいた息子アレックス(ルーク・フォード)
との思いがけない再会だった。
その驚きに追い打ちをかけるように、
アレックスの発掘した皇帝のミイラが、
2000有余年の時を超えて生き返る事件が勃発。
絶大な魔力を操る古代中国の皇帝(ジェット・リー)が、
再び、世界を我が物にしようと甦ってしまったのだ。
またもやスーパー・パワーを持つミイラと
戦うハメに陥ったオコンネル・ファミリーは、
皇帝の世界征服の野望を阻止するべく、
兵馬俑での戦いと復活、
そして、ヒマラヤのシャングリラから
万里の長城へと冒険を重ねて行くことになり…。
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ハムナプトラ7

という一見いつもと変わらない「ハムナプトラ」っぽい筋立て。
でも、何かが違う。
前2作のスティーヴン・ソマーズ監督から、
『ワイルド・スピード』や『トリプルX』、
『ステルス』で知られるロブ・コーエンに監督にかわったことが、
大きな原因なんでしょうね。

そもそもロブ・コーエン監督っていうのは、
シナリオそのものを 考えるセンスに欠けている人であるように思えてならない。
(特に、アクションだけが売りの『ステルス』はひどかった)
勝手な想像だが、ロブ・コーエン監督は、
ハムナプトラシリーズについての解釈をルーカスの「インディージョーンズ」と
同じもんだと安直に思っているような感じがある。
ただ単純に主人公リックが、インディージョーンズのように遺跡をめぐって
冒険活劇をするだけの話と捉えているのではないかと思う。
だから、
父リックと息子アレックスの関係なんかも、
まさに最新作の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』のパクリの
ように見えてしまうのだ。
リック役の気のいい男フレイザーは
「父と息子はぶつかり合うものだから、
とても共感できた。CGで何でも描くことが可能な時代だからこそ、
こうした人間的な部分が必要なんだ」と脳天気に語っている。
ハムナプトラ2
いやはや、
「ハムナプトラ」での主人公は、
確かにブレンダン・フレイザー扮するリックではあるが、
しかし、よく考えるとこのシリーズ映画の鍵を握っているキャラクターというか、
本当の主人公は、結局、妻のエヴリンなのだ。
映画の視点の置き所がエヴリンの目線で描かれてきたのだ。
前2作では、エヴリンをレイチェル・ワイズが演じていたが、
今回はイギリスの演技派女優マリア・ベロが扮し、アクションに挑戦した。
世間では、女優が交代したのがそもそもダメだという声も多い。
でも、マリア・ベロもよくやっていたのではないかと思う。
やっぱり女優そのものには罪はないわけで、
ただ、何と言っても問題なのは、シナリオ上で、
妻のエヴリンが主体となって物語が進んでいかないことにある。
ハムナプトラ33
ハムナプトラ31
前2作までの設定としては、
「カイロ博物館に勤務している少しドジで好奇心の強いセクシーかつ知的な女性」
というのがエヴリンだった。
その好奇心ゆえにドジを重ね、
その純粋さゆえにトラブルを引き込んでしまい…、
結局は、そういう渦の中にリックたちも意図せずに巻き込まれて行くという構造が
一種の「ハムナプトラ」の個性でもあり、それが良かったのだ。
そういうエヴリンという女性の役柄をセクシーに描いてきた部分があったからこそ、
「ハムナプトラ」そのものが魅力的になっていたのだと思う。
ハムナプトラ21
アクションシーンやCG技術が、
図抜けてパワーアップしていても、
それは映画本来の本質的な魅力のアップにつながらない。
映画の土台となる脚本が何と言っても大事なのだ。
そのうえ、たとえ呪術師の娘、ツイ・ユアンに扮したミシェルや
アレックスと恋仲になる中国人の娘リンを演じたイザベラが、
どんなに魅力的に演じても、シナリオが破綻しているので、
「ハムナプトラ3」という物語の魅力に繋がらないのは本当に残念。
ハムナプトラ24
まして、
敵として登場してくるジェット・リーの使い方に関してはもったいない。
絵柄としては、非常に格好はいいけれども、
本来的な不気味な宿敵としてはちょっとなぁ。
また、せっかく古代中国を舞台としたのなら、
もっと本来の中国の歴史や伝説をスタッフ側が学習して臨んでほしい。
ハムナプトラ6
観ているとついついツッコミを入れたくなるのは、
自分がアジア人だからなのでしょう。
とすると、すでに前2作の「ハムナプトラ」も現地のエジプト人が観ているはずで、
今回と同じような違和感を感じていたのだろうか?

ともあれ、中国ものはそろそろ食傷気味ですね。

※ちなみに、
ジョナサンが経営するバーの名前が「イムホテップ」というのがちょっとだけ可笑しかった。
※ジェット・リー扮する中国皇帝が、シャングリラの霊泉によって、
三頭のドラゴンに変身するシーンで、
わざわざドラゴンの顔を一瞬だけジェット・リーにしなくてもいいのでは…。
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ハムナプトラ4
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■ キャスト一覧
リック・オコーネル:ブレンダン・フレイザー
エヴリン・オコーネル:マリア・ベロ
皇帝ハン:ジェット・リー
ジョナサン カナハン:ジョン・ハナー
ツイ・ユアン:ミシェル・ヨー
アレックス・オコーネル:ルーク・フォード
リン:イザベラ・リョン
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■やたらと詳しい英語版のあらすじ
The film begins with a narration about the rise to power of Emperor Han, the Dragon Emperor. He conquered all his enemies, many of whom were buried under the Great Wall of China, and mastered the five elements, but could not conquer death. To that end, he sought the help of Zi Yuan, who knew where to find the secret of immortality. Han declares to his first in command, General Ming, that no man is to touch her; however, the two fell in love during their search. After Zi Yuan supposedly casts the immortality spell on Han, he ushers Zi Yuan to the balcony to watch as General Ming is pulled apart by horses. He then stabs Zi Yuan. She reveals that she has in
fact cursed the Emperor and his army, turning them into terra cotta statues, and manages to  escape.

The film jumps ahead to 1947. Explorer Rick O'Connell, his wife Evelyn, and brother-in-law Jonathan are now retired. Their son Alex has dropped out of school and become an adventurer like his parents. With the financial backing of Roger Wilson, Alex locates the Dragon Emperor's tomb. Though he is attacked by a mysterious woman, he avoids harm and successfully brings the Emperor back to Shanghai. In the meantime, the British government entrusts the elder O'Connells to take the Eye of Shangri-La back to China as a good faith gesture from the British to the Chinese. All the O'Connells arrive at Imhotep, a night club in Shanghai owned by Jonathan. Alex gives his parents a tour of the exhibit, where it is revealed that Roger Wilson is in league with a paramilitary group led by General Yang and his Second-in-Command Choi. Using the Eye of Shangri-La, which contains water from Shangri-La, they are able to resurrect the Emperor into his terracotta statue form. The mysterious woman from the excavation site tries to kill the Emperor with a dagger cursed by Zi Yuan, but he manages to escape.
ハムナプトラ 3
The mysterious woman reveals herself to be Lin, a protector of the Dragon Emperor's tomb. She explains that the path to Shangri-La can be revealed using the Eye. The O'Connells, Jonathan, and Lin trek through the Himalayas with the help of Rick's pilot friend Mad Dog Maguire and reach the tower that will reveal the path to Shangri-La when the Eye is placed on top of it. General Yang, his soldiers, and the Emperor arrive shortly after. Lin summons a trio of yeti to assist in the battle, but the Emperor ultimately succeeds in placing the Eye atop the golden tower. Rick is stabbed by the Dragon Emperor's sword while protecting Alex. Alex triggers an avalanche, which buys them time to reach Shangri-La first.

They reach Shangri-La first and Rick is healed by Zi Yuan, who was rescued by the yeti after cursing the Emperor. She is revealed to be Lin's mother, General Ming having fathered her shortly before his death. Using the water, they have become immortal and have guarded the secrets of the Emperor for over 2,000 years. The Emperor arrives and is able to bathe in the pool, restoring him to his human form and giving him shape-shifting abilities. He takes the form of a three-headed dragon, kidnaps Lin, and flies to his Terracotta Army at the excavation site.
ハムナプトラ23
The Emperor summons his army, which will become invincible should it cross the Great Wall. To buy time, Zi Yuan sacrifices her immortality and that of her daughter to revive those buried beneath the Great Wall. Led by General Ming, the undead army and the Terracotta army fight. A massive battle ensues, during which Zi Yuan and the Emperor fight one-on-one. Zi Yuan sacrifices herself to steal back the cursed dagger. Alex saves Lin and they find Zi Yuan dying soon after. She gives Lin the dagger and tells her to stab the Emperor through the heart. During the battle, General Yang and Choi go to the tomb to aide the Emperor, only to have their truck hit by a missile.
ハムナプトラ22
While Rick and Alex head off to fight the Emperor, Evelyn and Lin fight General Yang and Choi, who survived the missile and now seek revenge. In the ensuing battle, Yang gets caught in one of the rotating wooden cranks. Choi attempts to pull him out and refuses to let go, killing them both. During the fight Rick and Alex find themselves outmatched against the shape-shifting Emperor, and the dagger is broken during the confrontation. Rick goads the Emperor into fighting fair, and manages to plunge the dagger hilt into his heart. Alex in turn stabs him in the back, fusing the dagger within the Emperor's heart and destroying him in a brilliant explosion.

Back at the Imhotep, Mad Dog is the new owner and the now-mortal Lin is dancing with Alex and they finally kiss. Rick and Evelyn are dancing as well. Jonathan, on the other hand, decides to move to Peru with the Eye of Shangri-La, a place he claims has no mummies. As he rides off, an on-screen caption reveals that mummies were discovered in Peru soon after.
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1979年の『ドランクモンキー 酔拳』で、その若者は、
酒をあおりつつ、ゆらりゆらりと千鳥足であまたの敵を倒していた。
中国武術で鍛え抜いたその身体と妙に愛嬌のある笑顔。
凄惨なカンフー・アクション映画の世界に、
その優れたカンフーテクニックとともに、ユーモアをひっさげて現れた。
ドラゴンキングダム15
同じくもう一人の若者は、
1982年の『少林寺(原題:The Shaolin Temple)』で、
当時中国武術大会5年連続総合チャンピオンの座についていた誇りを胸に、
見事な少林拳を駆使してデビューした。
坊主頭とその並外れた身体能力は、本物の香りを漂わせていた。
ドラゴンキングダム16
1973年に非業の死を遂げたブルース・リー亡き後、
この二人は、
精神的にも、肉体的にも、
「強さ」を求めてしまう男たちにとっての憧れの存在だ。
身体は、無限に鍛えられるのではないか?
ついそう思ってしまうのも、
きっと少年時代がずっと続いてしまいがちの「男」ならではパターン。
ドラゴンキングダム11
そして、それぞれのデビューから20数年、
それぞれハリウッドにも進出し、それなりの辛酸をなめ、
また、大きな実績も残した。
そんな今も変わらぬ笑顔のジャッキー・チェンは、54才になった。
本格派のリー・リェンジエこと、ジェット・リーは、45才になった。
この二人が共演し激突する『ドラゴン・キングダム』 (The Forbidden Kingdom)
中国語題は『功夫之王』が公開されている。
いいですね~。2人の実力は衰えていなかった。
相変わらず、そのパワーは健在だ。
2人のスターのおかげで、
贅沢な時間を味わうことができた。
ドラゴンキングダム
さて、あらすじは…。
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カンフーマニアで、
孫悟空を夢見る17歳のジェイソン(マイケル・アンガラノ)は、
いじめられやすいダメダメの若者だった。
ある日チャイナタウンで、
ギャングたちから、
行きつけの骨董店を襲う手引きをさせられてしまう。
ギャングに撃たれた骨董店の老店主(ジャッキー・チェン)は、
奇妙な杖を正しい持ち主に渡してほしいとジェイソンに託す。
その奇妙な杖は、実は孫悟空の如意棒だった。
如意棒をかかえながら、ギャングに追われるジェイソン。
絶対絶命の瞬間、如意棒の力で、未知の世界に飛ばされてしまうのだった。
ジェイソンが目覚めた場所は、古代中国のとある村。
その村は、乱暴なジェイド将軍の部下に支配され、村人たちは虐げられていた。
今度は、軍隊に襲われるジェイソンだったが、
大酒飲みの男ルー・ヤン(ジャッキー・チェン)に危機を救われる。
その後、やがて白馬に乗ったサイレント・モンク(ジェット・リー)にも出会い、
カンフーを学び、如意棒を石化された悟空のもとへ届ける旅がはじまった。
目指すは五行山。
ジェイソンは、使命を果たして、現代に戻れるか?
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ドラゴンキングダム10
とまぁ、あらすじはご多分に漏れずありがちなパターンで終始している。
どっかで、聞いたり観たりしたことのあるような筋立てだ。
アメリカ人って、やっぱり自国に神話を持っていないので、
どうしても自分以外の国にファンタジーを求めてしまうことになる。
今回のファンタジーの素材は、古代中国。
監督は、
「ライオン・キング」・「ホーンテッドマンション」・「スチュアート・リトル」などを
手がけたロブ・ミンコフ監督。
このロブ・ミンコフ監督って、実にあやしい。
「ライオン・キング」にしても、
手塚治虫さんの「ジャングル大帝」のパクリだし、
とにかく、なりふり構わず収益を上げようとするようなタイプなのかもしれない。

今回は、「カンフー映画の代表格であるジャッキー・チェンと
ジェット・リーが初共演!」ということで、
これまたなりふり構わずに、作品を仕上げてしまった。
両雄の夢の対決シーンについて、
「撮影現場では一ファンとして、2人の対決に見入ってしまいました」と、
ロブ・ミンコフ監督は語っている。
とにかく、この2大スターのバランスをとりながら演出するというのは、
そうとう大変だったのではないかと思う。
まず、最初に脚本には、2人の対決シーンがなかったということで、
「そこには2人の対決シーンが描かれていなかったんです。
それだけ2人の共演に周囲が気を使っていた証拠なのですが
せっかくの初共演。それはないでしょ」
という、したたかなミンコフ監督の要望から対決シーンは実現した。
ドラゴンキングダム3
酔拳vs少林拳、
高度な技術と技術がぶつかり合っていた。
これは見事、スピード感にあふれ、技にきれがあり、
また、意外性のある動きが矢継ぎ早に展開されていく。
40代であろうと50代であろうと、ここまで芸術的な身体運動を
行うことができるということが、驚異的だった。
また、主役のジェイソン君もなんだか風采が上がらないタイプで、
脇役である巨大なふたりのカンフースターに挟まれて、
そのふたりの脇役を引き立てる主役みたいなポジションになっている。
とにかく、
この映画は、ストーリーがどうとかということよりも、
二人の魅力を見せるための映画であると言っていい。

ジャッキー・チェンが、
主人公であるジェイソンにカンフーを教えるシーンでは、
馬脚の構えで、中腰で両手を突き出し…というような、
かつて乞食老人の師匠から酔拳を習ったシーンを
彷彿とさせるようなサービスがあったり、
はたまたジェット・リーの十八番の棒術も披露されていたりと、
カンフー映画ファンの気持ちをくすぐる場面がふんだんにある。
ドラゴンキングダム2
さらに、彼らが二役をそれぞれやるというのも、最初の企画にはなかったそうで、
ジェットリーが、「サイレントモンクや悟空」の二役を演じるのなら、
バランスをとって、
ジャッキーには 「ルー・ヤンとオールド・ホップ(質屋?骨董品店主)」をさせる
というような感じになっていったという。
二人の見せ場のために、
5回も!脚本が書き直されたというのも止む得ないのかもしれない。
安直なハリウッドのファンタジー&アドベンチャー&青春物という感じもいなめないが、
ワイヤーアクションなどをはじめとして、
俳優およびアクション部門の担当者たちの高い技量と熱意が光る。
ドラゴンキングダム12
蛇足だが、
身長170cmのリュウ・イーフェイの
復讐に燃えるゴールデン・スパロウ(金燕子)は、実に魅力的だった。
「五月の恋」など、じょじょに頭角をあらわしてきている。
リー・ビンビン扮するニ・チャン(白髪魔女)も、
美しい感じに演出されていた。
ドラゴンキングダム14
どうであれなんにせよ、結局は、
ジャッキーチェンとジェットリーに尽きる。
ミンコフ監督も思いっきりそれを承知であざとく映像を構成した。
彼らが年老いる前の「今」でなければできない作品なのだと思う。

※関係ないですが、
ジェットリーを観ていると、年々、堤真一に似てきているような気がする。
そんなことを気にすると堤真一がカンフーをしているように見えて妙な気分になる。
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■ やたらと詳しい英語版のあらすじ

The film opens during a battle between Sun Wukong, the Monkey King (Jet Li), and heavenly soldiers amongst the clouds. It is then revealed the sequence was a dream when a young teenager, Jason Tripitikas (Michael Angarano), awakens in his room plastered with vintage kung fu movie posters. After getting dressed, he makes his way to a pawn shop in South Boston's China town to buy some new kung fu DVDs. There, he converses with Hop (a prosthetics-laden Jackie Chan), the shop's elderly owner, and, while thumbing through some DVDs, he is drawn to a room full of antiques and notices a golden staff. Hop tells him that the staff is to be delivered to its rightful owner and then closes the door. On his way back home, Jason is attacked by local bully Lupo (Morgan Benoit) and his cronies who force him to take them to the store so they can steal some money from the old man. Feeling betrayed, Hop tries to attack the thieves with the staff, but is shot by Lupo (much to both Jason and Lupo's cronies' shock). He tells Jason that he must deliver the staff to its rightful owner. Jason takes the staff and runs from the thieves. On top of a building, he is surrounded by the bullies, with Lupo warning Jason that he "saw nothing" (out of fear Jason may turn them in to police). Before Lupo can shoot Jason, he is suddenly pulled off the roof by the staff and travels back through time.

When Jason wakes up he has been transported back to ancient China, dressed in old-century clothing. There he is attacked by Jade Warriors who try to take the staff from him. He is helped by the Drunken Immortal, traveling scholar Lu Yan (Jackie Chan). Later that night, seated in a teahouse, Lu tells Jason a story of how the Monkey King caused havoc at the banquet on the Five Elements Mountain celebrating the Jade Emperor's forthcoming 500 year period of meditation and drank of the elixir of immortality. The Emperor took a liking to the Monkey King and decided to award him a heavenly title, much to the chagrin of the Jade Warlord (Collin Chou), a heavenly general. The Emperor then left the Jade Warlord in charge of heaven before retreating to his period of seclusion. The Jade Warlord later challenged the Monkey King to a duel, and turned him into stone by tricking the Monkey King to set aside his magic staff, Ruyi Jingu Bang. But before he was fully immobilized, the Monkey King cast his staff into the mundane world. Lu Yan ends the tale by stating a person known as the "Seeker" will be the person to find the staff and free the Monkey King. Lu Yan and Jason then get into a fight with the Jade Warriors who track them to the restaurant and are saved by a mysterious young woman, who turns out to be the Orphaned Warrior, Golden Sparrow (Liu Yi Fei). Sparrow's family was killed by the Jade Warlord, and she has vowed vengeance against him. She always refers to herself in the third person as «she».
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The Jade Warlord is notified by his men that they have seen the magical staff. The Jade Warlord then sends his bounty hunter, the white-haired witch Ni Chang (Li Bingbing), to retrieve it for him. When Jason wakes up in the morning he is attacked by a person dressed in white clothes, who takes the staff away. Jason, Lu Yan, and Sparrow follow the trail of the mysterious man. They reach a temple where the man is meditating. There, Lu Yan and the man, the Silent Monk (Jet Li), fight for the staff. The Silent Monk later learns that the staff is meant for the traveler. The four head towards the Five Elements Mountain in a quest to free the Monkey King and end the reign of the Jade Warlord.
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On the way to the Mountain, Lu Yan and the Silent Monk teach Jason kung fu. After crossing a great desert, they are attacked by Ni Chang and the Jade Warriors, but the four escape on their horses with the staff intact. Ni Chang fires an arrow after them, and Lu Yan is hit and falls from his horse. They take refuge in a monastery where they find out that only the Jade Warlord's elixir of immortality will heal Lu Yan. Jason, desperate to help Lu Yan, heads toward the palace with the staff to exchange it for the elixir. Once at the palace he learns that the elixir was promised to Ni Chang if she brought back the staff, but since Jason brought it he has to fight Ni Chang to the death, the winner getting the elixir. The Silent Monk discovers that Jason has left with the staff and pursues Jason along with Sparrow. Back at the palace, Jason and Ni Chang fight. Though Jason had developed a good measure of skill in the martial arts and holds his own, the more experienced Ni Chang easily defeats him. But before she can kill him, the Jade Warlord orders her to stop and, instead, sets his own men on Jason. The boy's life is once again saved when the Silent Monk and Sparrow arrive (with Lu Yan in the rear being carried by monks from the monastery who join in the fight with the Jade Army) and intervene. The Silent Monk duels the Jade Warlord while Sparrow fights Ni Chang. During the fight, Jason manages to grab hold of the elixir and throw it to Lu Yan, who drinks it and becomes immortal, regaining his strength and energy. Lu Yan then fights Ni Chang on the balcony. The Silent Monk is mortally wounded during his battle with the Jade Warlord and throws the staff to Jason. Jason takes the staff and shatters the Monkey King's statue form, freeing him from his imprisoned state. The Silent Monk dies of his injuries and reverts into a golden hair, revealing him to be a magical human familiar created by the Monkey King prior to his imprisonment. The fight between the Monkey King and the Jade Warlord commences. Sparrow tries to kill the Jade Warlord with a mystical jade dart, but is countered by chi. After a long battle, Lu Yan dispatches Ni Chang by sending her off the palace balcony and Jason is able to kill the Jade Warlord with the dart and dropping him into a pit of lava. Jason reaches Sparrow, who thanks him using the first person «I» before dying. He is then praised by the Jade Emperor for fulfilling the people's prophecy. As his reward for his bravery, Jason chooses to be transported back home to modern day Boston.
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When Jason wakes up, he is lying flat on the ground below the building he supposedly fell from and is attacked by Lupo's gang, but this time he uses his newfound kung fu skills, fights back, and defeats Lupo single-handedly. Hop manages to survive the gunshot (the medics stated that the bullet missed his heart), and is taken to the hospital, but not before stating he is immortal (possibly being Lu Yan) and thanking Jason for completing his mission. Before Jason leaves the scene, he sees a girl who looks like Sparrow. She congratulates him for his bravery and tells him she will see him later. She then goes into her store (the Golden Sparrow). Jason, surprised but delighted to see her, leaves and goes home, where he practices his kung fu on the roof with a staff as Lu Yan states: "And so the legend is told that the Monkey King began his journey west in search of truth while the traveller returned to his world to walk the path of the warrior and find his own truth. As one tale ends, so another begins."
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『カンフー・パンダ』(Kung Fu Panda)を観た。
映画『シュレック』、『マダガスカル』などのシリーズなどに続く、
ドリームワークス社の最新作ですね。
ちょっと皮肉っぽいひねりがある笑いと小ネタがいっぱいだった『シュレック』や、
どことなくブラックな笑いが入っている『マダガスカル』と比較して、
今回の作品は、実にシンプルで分かりやすく、親しみやすい作品になっている。
パンダなのに、やがてはカンフーのヒーローになるパンダのポーの設定がいい。
カンフーパンダ7
そして、マスターファイブの動物たちが披露するカンフーの型は、
それなりにリアルだ。
制作の段階で、モーションキャプチャーも一切使用しておらず、
すべてCGによる作画というから驚きだ。

とにかく
「虎拳」「猿拳」「鶴拳」「蛇拳」「蟷螂拳」「豹拳」と、
使い手の動物たちに合わせた本格的なカンフー技は見応えがあった。
カンフーパンダ14
そんな優れたCG技術の上に、
上品な絵柄が素晴らしい。
特に、聖なる桃の木あるカンフーの聖地の描き方は、
アクションとは別に、
中国の文化、その精神性に対する敬意なども感じられるような美しさだった。
ちなみに、アニメーションを担当したスタッフたちは、
実際のカンフーの型や動きのメカニズムを理解するため、
太極拳のクラスやカンフー教室に実際に通ったのだそうだ。
またさらに、スタッフたちは1970年代から1980年代の香港カンフー映画から、
最新のアジア映画まで研究し尽くしていたという。
制作時間は、およそ4年6か月。
制作スタッフ総勢448人が、
全力で取り組んだ結晶、それが『カンフー・パンダ』だ。
カンフーパンダ12
これまで自主制作映画が多く、初めてハリウッドの大作を手がけたオズボーン監督は、
インタビューで、自主制作映画との違いについてこう語っている。
「一番の違いは、才能のある多くの人たちと一緒に仕事をするということでした。
みんなそれぞれが映画のことを真剣に考えている。
そういう人たちと気持ちをひとつにしなければいけなかったんです。
"この映画をみんなで作るんだ"、
"いい映画を作るんだ"と、
みんなに信じさせることが大切だと感じました。
またそういった協力体制を一貫させて、
継続させていくことが重要なんです。それが大変でした。」

今回の『カンフーパンダ』のテーマは、「信じること、それは奇跡を起こすこと」。
それが、実際の制作現場においても同じタイプの奇跡を
監督は引き起こそうとしていたようだ。

今回の作品の内容はシンプルではあるものの、
脚本のつくりが非常に良いように思える。
カンフーパンダ3
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■ あらすじ

中国の奥深くにある“平和の谷”には、一つの伝説があった。
翡翠城の奥に眠る「龍の巻物」の奥義を得た者は、
史上最強の龍の戦士になれるという。
パンダのポーは、父のラーメン屋を手伝いながら、
カンフーマスターに強い憧れを抱いているいわばカンフーおたく。
しかも、食いしん坊で不器用なパンダのポーにとって、
カンフーは縁遠い存在。
そんなポーが、
偶然にも?、伝説のカンフー戦士“ドラゴン・ウォリアー(龍の戦士)”
に指名されてしまう。
伝説を信じるパンダのポーは、
ぶよぶよのメタボ腹に加えて運動神経はゼロ、
師匠であるシーフーも、
最初は彼が伝説の戦士になれるとは全く信じていなかった。
さらに、厳しい訓練を開始しても、
そのダメダメぶりにあきれかえるマスターファイブの面々。

そんなある日、
平和の谷に危機が訪れる。
極悪カンフー戦士のタイ・ランが刑務所を脱獄し、
龍の巻物を狙って谷に向かっているというのだ。
タイ・ランは、かつてはシーフーの弟子であり、
息子のように愛されてきた男だった。
しかし、
「龍の戦士」に指名されなかった無念さから、
破壊衝動に身を任せ、憎悪と復讐だけの存在と化してしまっていた。
マスターファイブたちが束になってかかっても、打ち倒せない強敵タイ・ラン。
迫り来る脅威。
あのぐうたらのポーは、
真の龍の戦士となり、タイ・ランを倒すことができるのか?
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カンフーパンダ6
この脚本の中で、
カンフーの聖地で語られるシーフー老師(ダスティン・ホフマン)と
ウーグウェイ導師(ランダル・ダク・キム)との会話がいい。
指導者として、
相手である弟子の可能性を「信じる」ということの重さを知っているウーグウェイ導師と、
過去に弟子を「信じ、見抜くこと」ができなかったシーフー老師との対比。

風に流され舞い散る桃の花びらは、美しく、
高い境地がそこにあることを映像で表現してくれた。

やがてシーフー老師は、ウーグウェイ導師の言葉を信じ、
一見ダメダメに見えるポーの中にある長所を拠り所として、訓練に向かう。
ポーの食い意地の汚さ、その短所とも思える部分にこそ、
長所の芽が隠れていたというのが、なかなか良い。

そして、無限のパワーを与えるはずの奥義が書かれた秘伝書「龍の巻物」が、
実は白紙だったという、ありがちではあるけれど、それが実にいい。
その白紙ということの意味が、
かつての指導者であったシーフー老師を憎み、他に力の源を求めたタイ・ランと
鈍くさくて不器用でも、自分の内側にある可能性を信じて戦った主人公ポーとの
見事な対比構造につながって行く。
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「自分を信じること」
「心の内側にある真の自分に辿り着くために、素直にひたむきに生きること」
そんなメッセージが格闘シーンの中でさえもシンプルに描かれていた。
成功とは、
本来の自分であることに満足できる素晴らしい機会を得られることであり、
誰もが自分自身の個性を最高のものに伸ばすことができるのだと。
アクションと笑いの中から、充分にその思いが客席に伝わってきていた。

食いしん坊で、ぐうたらでまるまるしたパンダのポーが、
カンフー・マスターである“龍の戦士”に選ばれ、
厳しい訓練の末に、強くたくましく成長していく物語。
それは、
「ヒーローは自分の内側に存在している」という物語とも言える。

未来のある子供たちと、
自信をなくしている大人たちに、ぜひ観てもらいたい作品だ。
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■ 声優(オリジナル版と日本語版)

ポー:ジャック・ブラック 、山口達也
シーフー老師:ダスティン・ホフマン、笹野高史
マスター・タイガー:アンジェリーナ・ジョリー、木村佳乃
タイ・ラン:イアン・マクシェーン、中尾彬
マスター・モンキー:ジャッキー・チェン、石丸博也
マスター・カマキリ:セス・ローゲン、桐本琢也
マスター・ヘビ:ルーシー・リュー、Megumi
マスター・ツル:デヴィッド・クロス、真殿光昭
ウーグウェイ導師:ランダル・ダク・キム、富田耕生
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■ やたらと詳しい英語版のあらすじ
Po (Jack Black) is a panda who works in a noodle restaurant owned by his goose father
Mr. Ping (James Hong). He is a kung fu fanatic with secret dreams of becoming
a great master in the discipline, however his weight and clumsiness seem to make
his goal unattainable;
Mr. Ping hopes instead that Po will one day take over the restaurant, and waits for
the perfect opportunity to disclose the secret ingredient to his family's noodle recipe.

The tortoise Master Oogway (Randall Duk Kim) has a premonition that the evil snow leopard
warrior Tai Lung (Ian McShane), the former student of his own protégé, the red panda Master
Shifu (Dustin Hoffman), will escape from prison and return to threaten the Valley of Peace.
While Shifu sends Zeng (Dan Fogler), a messenger goose, to Chorh-Gom Prison to have
the security increased, Oogway orders a formal ceremony to choose the mighty Dragon Warrior who can defeat Tai Lung. Everyone assumes that one of the Furious Five
— Tigress (Angelina Jolie), Monkey (Jackie Chan), Mantis (Seth Rogen), Viper (Lucy Liu),
and Crane (David Cross) — a quintet of supremely skilled martial artists trained by Shifu,
will be chosen for this honor.

While the Five demonstrate their skills at the ceremony, Po arrives too late and finds himself
locked outside the walled palace square. As a last-ditch attempt to get in, he ties several
fireworks to a chair and ignites them, which sends him crashing into the center of the arena.
Inspired by this sudden appearance, Oogway designates Po the Dragon Warrior.
Despite Po's protests and Shifu's pleas to reconsider, Oogway stands by his decision.

Revolted at having Po under his tutelage, Shifu attempts to make him quit by berating and
humiliating him. The Five similarly dismiss Po as a worthless interloper. Although he becomes
aware of Shifu's true intentions and is deeply hurt by his heroes' disdain for him, Po endures
their abuse willingly for the dream to become something more than the failure he thinks he is. Master Oogway, still certain that Po is the right choice, gives him sage advice to believe in
himself. Eventually, Po endears himself to the Five (except for Tigress) with his tenacity,
good cooking, and sense of humor. At this time Tigress reveals to Po how Tai Lung came to be so evil. Shifu raised him from a cub and treated him like a son. When Oogway refused to make
Tai Lung the Dragon Warrior, he became enraged and laid waste to the Valley.
He then tried to take the dragon scroll. Shifu tried to stop him, but could not bear
to destroy what he had created. Tai Lung was defeated by Master Oogway and imprisoned.
Tigress ends her story by saying that Shifu loved Tai Lung like he never had before, or since.
カンフーパンダ2
Meanwhile, Zeng's errand backfires when a tour of the prison given to him by the overly
confident head of security, Commander Vachir (Michael Clarke Duncan), inadvertently
enables Tai Lung to escape. Tai Lung orders Zeng to send word of his arrival to Shifu.
In the Valley of Peace, Oogway passes away and ascends to the heavens, leaving his final wish
that Shifu train Po. However, upon learning of Tai Lung's return, and realizing that he has to
face the evil warrior, Po attempts to flee. Shifu stops the panda and promises to train him
if he is truly destined to be the Dragon Warrior. When Po confesses his belief that he may
never be a match for Tai Lung, Shifu is at a loss for a solution. Overhearing this argument,
Tigress takes it upon herself to intercept Tai Lung, and the rest of The Five follow her
to assist. The following morning, Shifu discovers that Po is capable of impressive physical
feats when motivated by food. He leads Po to the countryside for an intensive training regime
in which Po is offered food as a reward for learning his lessons. As Shifu hopes,
Po swiftly becomes a skilled combatant.

The Five battle Tai Lung but are eventually defeated with a specialized nerve-striking
technique, and they retreat to the valley. When they return, Shifu decides Po is ready
to face the villain and gives him the sacred Dragon Scroll, which promises great power to
the possessor. When Po opens it, he finds nothing but a blank reflective surface. Stricken
with despair at the scroll's apparent worthlessness, Shifu orders his students to lead
the villagers to safety while he stays to delay Tai Lung for as long as he can.

As Po participates in the evacuation, he meets his father, who tries to cheer him up by
telling him the secret ingredient of the family's noodle soup: nothing.
Things become special, he explains, because people believe them to be special. Realizing that is the very point of the Dragon Scroll, Po rushes off to help Shifu. At this time,
Tai Lung arrives at the palace. He blames Shifu for not granting him the title of
Dragon Warrior just because Master Oogway did not choose him, and the two begin to fight.
For his part, Shifu is crippled by his profound feelings of guilt and responsibility for his
former protégé, whom he loved and raised like a son, turning to darkness.
カンフーパン4

When Tai Lung discovers that the Dragon Scroll is gone, he attempts to kill Shifu in anger.
But before he can, Po finally arrives and challenges him. Although Tai Lung scoffs at
Po's abilities, the ensuing fight proves Po to be a formidable opponent. Despite Po's skill,
Tai Lung temporarily stuns him and gains the Dragon Scroll, but is unable to understand its
symbolism. Po tries to explain the wisdom of the scroll to Tai Lung, but the frustrated
leopard tries to subdue Po with his nerve strikes. The attack proves useless on the panda,
as his nerves are difficult to find due to his body fat. Emboldened, Po counter-attacks with
an improvised combat style that takes advantage of his girth to absorb and deflect
the force from Tai Lung's attacks back at him. In the end, Po uses the Wuxi Finger Hold
on Tai Lung (a technique Shifu had previously threatened to use on Po), destroying him
in a large explosion of golden light that ripples through the valley.

The Five return to the valley to investigate and find a slightly dazed but triumphant Po.
Deeply impressed by Po's victory, Tigress leads the Five to acknowledge him
as a Kung Fu master. Po suddenly remembers that his teacher is badly wounded,
and rushes back to Shifu. At first the master appears to be dying, and Po panics.
But it turns out that he is only resting after such a terrible battle with Tai Lung.

At the end of the credits,
Shifu and Po are seen eating together by the sacred peach tree.
A peach seed planted by Shifu before Oogway's passing has sprouted into a new plant.
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カンフーパンダ9

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