舞台の効果音

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それでもボクはやってない3

今回のテーマは、映画『それでもボクはやってない』

周防正行監督の作品って、
たいてい公開された最初の頃に、
賞賛の声が8割、
かなりきつい批判的な声が2割は出てくるような気がする。
そして1年が過ぎて、なんらかの映画関係の賞を受賞すると、
その批判めいた声がちょっと静まるというパターンがお定まりだ。

その批判の代表的な例として、
「芸術性に乏しい」だとか、「オリジナリティがない」
「誰かがやったことの、ものマネにすぎない」
「一般大衆受けをねらいすぎて、俗っぽい」

特に、今回の『それでもボクはやってない』ならば、
「刑事裁判がどう経過するかのマニュアルにすぎない」
「裁判事件の取り扱い方が一面的である」
「笑いも少なく、娯楽性に欠ける」
などなど…。

この『それでもボクはやってない』も公開から1年の時間が経過して、
大方の傾向としては、高い評価を受けているものの、
その批判的な声は、特にクセのある何人かの映画評論家などに根強く残っているようだ。
関わった役者には、非常に好かれる監督でもあるし、
あまつさえ、『Shall we ダンス?』をきっかけとして、
日本のトップバレーダンサーの草刈民代と結婚もしてしまった。
これも、妬まれる原因のひとつだろうか?
周防正行

さて、まずは周防正行監督とは、いったいどういう人なんだろう?
現在52才の周防監督、監督生活20年以上の経歴のわりには、
その作品があまりにも少ない。
以下にあるように、せいぜい7作品ぐらいなものである。
最近の多作なテレビドラマの演出家やプロデューサーに比較すると、
こんなに少なくて生活していけるのかと思うほどの寡作ぶりだ。
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■ 周防正行監督作品

1984年『変態家族 兄貴の嫁さん』
1987年『マルサの女をマルサする』
1988年『マルサの女をマルサする2』
1989年『ファンシイダンス』
1991年『シコふんじゃった。』
1996年『Shall we ダンス?』
2007年『それでもボクはやってない』


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このラインアップを眺めていると、
なんだかとっても余裕をもって映画作りをしているように思えてしょうがない。
羨ましい限りだ。
それが、ある種の映画関係者にとっては、
時に妬ましく感じる時があるのではないだろうか。



1984年に『変態家族 兄貴の嫁さん』で監督デビューしているわけだが、
タイトルの割には、別に妖しげな映画ではない。
ひたすら大好きな小津安二郎の映画の引用で構成されている映画だったりする。



1987年、1988年には、
敬愛する伊丹十三監督の『マルサの女をマルサする』・『マルサの女2をマルサする』
というメイキングものを作った。
これは、まるで伊丹十三監督の演出のすべてを絞り取るような作品でもあった。



1989年の『ファンシイダンス』では、主演の本木雅弘を坊主頭にさせて、
修行する若い僧侶たちと現代仏教のあり方を描いた。
現代における仏教組織を楽しみながら揶揄しているようでもあり、
また当時、流行始めていたトレンディドラマを
ちょっと皮肉っているような感じもする作品だった。



さらに1991年の『シコふんじゃった。』では、
大学の相撲部を題材にし、ついでに今度は本木雅弘君にはまわし姿にさせた。
地味で脚光の当たらない相撲というスポーツを生き生きとしたものに変質させていた。



1996年の『Shall we ダンス?』では、
これも当時今ひとつ人気がなかった「社交ダンス」にスポットを当てて、
中年サラリーマンの自己実現とでもいうべきものを描いた。
(ちなみにその後、ピーター・チェルソム監督が
2004年にリメイクをしたというのはご存じの通りでもある)



そして、最新作である2007年の『それでもボクはやってない』では、
意外と知られていない日本の刑事裁判の状況を描いた。

さてさて、基本的にそれぞれに共通していることって何だろう?

①周防監督が興味をもった題材のみを撮っていること。
しかもその興味をもつ題材は、やや世間からは、
ある種の偏見もしくはまったく興味を持たれていないものを選んでいる。

②また、『ファンシイダンス』~『それでもボクはやってない』の主人公たちは、
当たり前ながら、すべて周防監督が興味をもったジャンルの中に
やむを得ず踏み込むことになり、
結局、その世界のとことん奥まで探求するはめになること。

③特に顕著なのは、ある程度定まった形式美のある世界、または形骸化された世界を
一度は風刺し、破壊したくなるような衝動がドラマの展開の中に実は流れること
(例えばそれが、仏教・相撲・ダンスそして、刑事裁判であれ、
それぞれ突き詰めていくうちに、
通俗化され澱のようにこびり付いた腐敗や汚れを常に批判する感じがある)
それが「青春」っぽい感じで表現される場合もあれば、
今回のドキュメント風に描かれるという場合もある。

いつも笑顔が絶えなくておちゃめな周防さんなので、
まったくもってその笑顔にだまされそうになる。
『周防正行の「いつもデジカメ撮っています」』という、
彼のブログを読むとふだんの彼の面白さが無意識によく表れている。
http://soreboku.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/2006920_2504.html
でも、この人の本質は、実は武骨な男であり、
よく考え抜いた末、用意周到に物事を進めていくタイプなんだろうと思う。
どこかアナーキーで、何かと戦っている人でもあるような気がする。
それでもボクはやってない1

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■ あらすじ

朝の通勤ラッシュで事件は起きた。
警察の取調室で、
自分の言葉をまったく信用してくれない刑事や警官たちに焦る主人公、金子徹平。

その日、金子徹平は朝から気持ちが落ち着かなかった。
フリーターである金子徹平は、ついに会社の面接試験を受けることにしたのだ。
電車に乗ったものの、履歴書を持ってきたかどうかを確認するために途中下車。
不安は的中、履歴書は忘れてしまっていた、
やむえず、そのまま朝の通勤ラッシュで大混雑する通勤電車に、
駅員に押されながら乗りこんだのだが、スーツの一部がドアに挟まってしまった。
ドアにはさまれたスーツの背中の一部分を抜き取ろうもぞもぞ動いているところを、
隣のOLにじろりとにらまれる。
「すいません」とは言ったけれども、まだスーツは挟まれたまま。
その後しばらくして、
背後から「やめてください!」という小さな叫び声。
徹平が目的の駅で降りると、後を追いかけてきた女子中学生から
「いま痴漢したでしょ!」と身に覚えのない痴漢容疑を掛けられてしまう。
周囲の乗客から取り押さえられて駅員に引き渡され、
「ちょっと話を聞かせて」とそのまま駅の事務室へ。
それでもボクはやってない2

事務室では、駅員から何も聞かれないまま、
駆けつけた警察官に引き渡され、今度はパトカーで警察署へ。
「ぼくは何もやっていない」という訴えもむなしく、
「お前がやった」と決めつける刑事の取り調べに嫌気がさした徹平が、
席を立って帰ろうとしたその瞬間、
刑事から「お前は逮捕されているんだ!私人による現行犯逮捕だ」と手錠を掛けられ、
そのまま留置場に入れられてしまう。
しかし、その時、徹平はまだ日本の裁判制度の恐ろしさには気づくよしもなかった…。

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それでもボクはやってない6

「現実に近づけるために映画を面白くさせる小細工はしなかった」という周防監督。
確かに、
周防映画の中でのお笑い担当である竹中直人の出番もマンションの管理人として、
もたいさん(徹平の母)とのからみで、登場しただけになっているのが象徴的だ。
(『シコふんじゃった。』や『Shall we ダンス?』などでも、
竹中は青木富夫という役名で出演しているのが可笑しい。
ちなみに、この役名は「突貫小僧」の名で小津安二郎作品に
出演した青木富夫からとっているんそうだ。)

20件あまりの刑事裁判を取材し、約200回もの裁判を傍聴した周防さん。
それだけでなく地道な調査活動を数年続けた上での作品だ。
相変わらず、自分が気になった対象に対するのめり込み方は凄い。
「普段の生活の中で、自分が驚き興味を持ったものを皆に伝えたいというのが、
僕の映画作りの発想の原点」と語る周防監督ではある。

今回の作品は、
日本の刑事裁判の現状を痛烈に批判する映画でもある。
痴漢冤罪、
2002年に東京高裁で逆転無罪判決が出された事件をきっかけにして、
監督が自らの手で取材した実在のエピソードを作品中に散りばめている。

事件があった場合の警官の調書の取り方、
留置所での実際、
弁護士との接見でのやりとり、
実際の裁判の様子、
裁判官自体の裁判に対する姿勢、


その取材の仕方の徹底ぶりと、効果的なエピソードの入れ方がさすがに上手い。
そんな累積された取材を元にした表現によって、
日本の刑事裁判の実態を映像化している。
観客としては、その画面の中に何度も、「へぇー、初めて知った」と
思うような内容がちりばめられている。
それがために、
「オリジナリティがない」とか、
「刑事裁判がどう経過するかのマニュアルにすぎない」と言われるのも分かるほど、
その描き方がドキュメンタリー風に淡々としている。

しかし、これは個人的な感想だけれども、
周防さんの最大の特徴は、前述からあるように、
自分の好きな対象をいかに吸収し咀嚼して、表現するかということにある。
その対象を取り上げる部分で、
すでに彼のオリジナリティが発揮されているのだと考えた方がいい。

しかも周防さんが選んだ対象については、
その後になんらかのブームを巻き起こすだけの凄みを持つようになる。
こういうタイプの監督というのは、まずいない。
それだけで、もう大したもんだと思う。
それでもボクはやってない4

取材を極めつくした結果、
「無罪を争う法廷の空気は厳しい」とも、周防監督は言っている。
ほとんど有罪にされていく裁判事例の中で、
無罪を争うことの緊張感と恐ろしさを映画『それでもボクはやってない』は、
的確に私たちに伝えてくる。
観客だけは、主人公の無実を知っている…、
だからこそ、この物語が展開すればするほど、
しだいに司法制度に対しての怒りがこみ上げてくるようにできているわけで。
それもこれもやlっぱり取材の力の賜だ。
したがって、
もうそれだけで充分に「表現することの本来的な目的」を果たしているように思う。
今後、待ち受けている陪審制度とのかねあいもタイムリーだ。



ところで最後に、
妻である草刈民代さんが、
周防監督の日常について語っていたものがある。
興味深いので、ぜひ、読んでほしい。

彼は彼のペースを崩すことがない。
というか、崩せない。
彼は丹念に立てた計画通りに物を進める人なのである。
たまに料理をするときは、材料、手順をメモし、それを見ながら作業を進める。
部屋の整理をするときも、日にちを決め、どの日にどの部分の整理をするか、
まず計画を立てて、イメージをしてから実行する。
捨てるか、捨てないか迷ったものは、確実に捨てようと決められるまで取っておく。
一念発起で突発的に行動する私とは、正反対の性格なのだ。
過去に数回、夫が別の作業をしているときに、
いる物といらない物の判別を強要したら、夫が爆発した。
「そんなこと、いま言われても、わからねー!
」』
面白い。
こういうのは、
普通の夫婦によくありがちな風景。
が、しかし、
よく読むとこれこそまさに映画監督周防正行の思考パターンなんだなぁと思う。
はからずも映画人「周防正行」を端的に表している。

料理でも掃除でも、そして、映画でも、
きっちりと計画を立てて、イメージしながら計画通り進める男。
そうでなければ気が済まない男。
彼は彼のペースを崩すことがない。
というか、崩せない…。

結果的にかなり時間がかかる人なのかもしれない。
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■ キャスト

金子徹平(主人公):加瀬亮   荒川正義(徹平の主任弁護人):役所広司
須藤莉子(弁護人):瀬戸朝香  金子豊子(徹平の母):もたいまさこ
斉藤達雄(親友):山本耕史   青木富夫(徹平のマンションの管理人):竹中直人
大森光明(公判担当裁判官):正名僕蔵  室山省吾(公判担当裁判官):小日向文世
古川俊子(痴漢被害者の女子中学生):柳生みゆ  土井陽子(徹平の元彼女):鈴木蘭々
佐田 満(痴漢冤罪事件の被告人):光石研 広安敏夫(控訴審担当裁判長):大和田伸也
市村美津子(徹平の無実を知る目撃者):唯野未歩子 月田一郎(目撃者):田口浩正
新崎孝三(徹平の公判立会検事):尾美としのり 板谷得治(傍聴人):高橋長英

-----------------------------------------------------------------------------2008/03/01、『それでもボクはやってない』がフジ系列で放映されるので、
もしご覧になっていないか方がいらっしゃったら、すぐに観られますね。
制作は、あの亀山千広さん、またひと儲け。
きっとニヤニヤしてるんだろうなぁ。

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『ロス:タイム:ライフ 第4節「看護師編」』を観た。
「例え試合に敗れても、
世界が終わるわけじゃない。 
元セルビアモンテネグロ代表監督 イヴァン・ブラジェリッチ」
ロスタイムライフ看護師4

なかなか良かったですね。
今回は、なんとドラマ開始後、
3分18秒で、ロスタイムの時間が表示されるという最速のペース。
「起承転結」でいうなら、「起」の部分を短縮し、
「承」と「転」の部分をゆったりと表現した。
エピローグにあたる松永由紀子(上野樹里)のその後の生活を、
エンディングロールが流れる電光掲示板に映し出すという工夫もあって、
「結」の部分も充実した形となった。
恋人への復讐の仕方も、上野樹里、渾身のビンタで終わるのも爽やか。

やっぱり、
脚本の鈴木智尋さんの頭の良さと、
演出の永山耕三さんのキレの良さが光るという感じですね。
予想通り、
のだめのイメージを引きずる上野樹里さんを死なすわけにはいかなかったのも、
しょうがないのでは。
ただ、延長戦とは…、作り手っていう奴はいろんなことを考えるものです。
幼なじみ編2

それにしても、この「ロス:タイム:ライフ」は頭の体操には最適。
この第4節まででも、さまざまな死の形というか
ロスタイムの使い方の表現がされている。
考えてみれば、
以下の第1節から第9節までのタイトルと
主演と脚本・演出の配列にもきっとそれなりに考え抜かれたものがあるのだろうと思う。

第1節には瑛太と筧さんを配置して、
スタートでの視聴率をそこそこ得ようとし、
またついでに第4節までに視聴者にこの「ロス:タイム:ライフ」の
ドラマのスタイルを定着させようとして、それも成功している。

第3節は主演が友近であっても平均視聴率12.3%を獲得することができたのも
その影響かもしれない。
ともあれ、
さぞかし演出の鈴井さんの顔も立ったことだろうと思う。良かったですね。

中島久美子プロデューサーがスタート段階で話していた、
「この9本のドラマを通して、生きていることがいかに貴重で、
前向きにその生命を燃焼してほしい」というようなテーマを貫くとするなら、

一番最後の第9節の「ヒキコモリ編」主演大泉洋に与えられている意味合いは
けっこう重要で、この全9話のまとめ的なものになる。
どうしようもないヒキコモリがロスタイムをあたふたと使う過程で、
「生きる意味を見いだす」のではないかと楽しみにしているわけで…、
そうなると、
第4節に続いてヒキコモリの大泉洋も
延長戦になって再び生きる可能性が高いような気がします。

さらに第6節~第8節のタイトルや主演などを眺めていると、
ここではかなり視聴者の気を引く「お遊び」の要素を
ふんだんに入れようとする企みを感じる。
後半になればなるほど、
視聴率が上がるようにする作戦も背景にあるのじゃないだろうか。

さて、そうなるとちょうど真ん中の次週放送される第5節「幼なじみ編」に
与えられている意味合いは、何だろう?
幼なじみ編1

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第1節「カメラマン編」主演:瑛太 「人生の最後に何かが起こる!」
「カメラマン編〜謎の審判団は天使か? 悪魔か!? 」脚本:筧昌也森ハヤシ演出:筧昌也
平均視聴率:11.4%

第2節「刑事編」主演:小山慶一郎(NEWS)「正義は勝つ!!」
「奇跡の捜査線〜新米刑事が暴く迷宮事件の真実」脚本:橋本博行  演出:筧昌也 
平均視聴率:8.7%

第3節「スキヤキ編」主演:友近 「決戦はスーパー!?」
「母は走る家族の為! すき焼きの為!!」脚本:矢沢幸治  演出:鈴井貴之
平均視聴率:12.3%

第4節「看護婦編」 主演:上野樹里
「看護師の涙が起こすドーハの奇跡!〜人生をあきらめないで」
脚本:鈴木智尋  演出:永山耕三

第5節「幼なじみ編」 主演:伊藤淳史
脚本:土田英生  演出:大木綾子

第6節「ヒーローショー編」主演:田中直樹(ココリコ)
脚本:上田誠

第7節「極道の妻編」主演:常盤貴子
脚本:吉田智子

第8節「部長編」主演:真木よう子
脚本:渡辺千穂

第9節「ヒキコモリ編」主演:大泉洋
脚本:鈴木智尋

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というわけで、
次週の第5節「幼なじみ編」(主演伊藤淳史)の
すでに紹介されている予告を読んで、
その展開を考えるという遊びをまたもやちょっとしてみましょうか?
幼なじみ編4

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■第5節「幼なじみ編」
森保甫(伊藤淳史)は幼いころからの夢がかなって、
自作の漫画が漫画誌の新人コミック大賞でグランプリを受賞し有頂天だった。
受賞作が載っているその漫画誌を何冊も買っては母親にあきれられている。
ある日、新作漫画を編集部に届けるため家を出た甫は、
大型書店の前を素通りできず、つい入ってしまった挙げ句、
また例の漫画誌を手に取っては、
たまたまそこにいた他の客(温水洋一)にまで自慢する始末。
甫がレジに向かったとき、大爆発が起こった。
審判団にロスタイムを提示され、自分が死んだことに気付いた甫。
編集部に向かって猛然と走り出したが、途中で行き先を変更し、
幼なじみの由香里(美波)の家に向かった。
甫はそこで由香里の結婚話を知り、ショックを受ける。
落胆し、あてもなく歩いていると、近所の公園で、
由香里とばったり会う。しかしロスタイムは刻々と過ぎていき…!?

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幼なじみ編3

①主人公の人物設定が、新人コミック賞を受賞したばかりの漫画家。
 調子に乗りやすくて、親や見知らぬ人間にも自慢するタイプ。
 (そういう調子に乗りやすくて、強気を弱気が常に表裏一体の性格であるがために、
  けっこう失敗を重ねてきているし、
  その上、漫画家なのであらゆることを妄想しがちの人間というところだろうか)

②大型書店の爆発!(美術さんはかなり力を入れていたそうではある)

③タイトルが「幼なじみ」ということなので、
その相手である由香里(美波)の存在が大きいのは明白。
演出の大木綾子さんは、
「小さい頃は思ったことを言い合えていた2人が、
中学校になってあまり口をきかなり少しずつ距離がひらき、
やがてそれぞれに彼女や彼ができたりして、別々の人生を歩んできた。
でも自分が死ぬことになって会いたいと頭にふと浮かんできたのは幼なじみで。
ところが実際に会ってはみても照れや大人としての葛藤もあって
なかなか素直になれなかったり…。」と語っている。
ここが、ドラマの骨の部分になる。

④由香里(美波)の結婚話と公園での会話。
もうすぐ死を迎えることがわかっているのに気持ちを伝えられない臆病な甫と、
その気持ちに薄々は気づきつつも自分にも婚約者がいる負い目もあって
それを口に出せない由香里。
ふたりが気持ちを摺り寄せていく、小さな世界での心理戦。
幼なじみ編6

全体を通して、
幼なじみふたりの実に細やかな心情の変化を描くところが
きっとお楽しみの一つになるのだろうと思います。
甫が漫画家になろうとしたことのきっかけも、
幼い時の彼女との会話をきっかけにしているのであろうし、
グランプリを受賞した処女作となるマンガの内容そのものもドラマの小道具として、
使えるのでしょう。
例えば、恋愛物でダメな男が恋をして、
なんらかの恋の師匠みたいな人物から「恋を成就させるテクニック」を学ぶとか…。
または伊藤淳史君なので電車男的なセレブの彼女の心をつかむ内容のマンガとか…。

それに、幼なじみのふたりであり、
互いに好きどうしでもあったふたりなのに、
なんで疎遠になっていたかの理由付けがもっともらしいといいですね。

調子に乗りやすい主人公が「世界最高の漫画家」になるまでには会わないとか…、
逆に彼女を傷つけることを言ってしまったとか…。
中学生あたりで、何か誤解めいたものがあったりとか…。

さらには、彼女の側が主人公の甫に「~になってほしい。」というような
実現不可能そうなお願いをしたりして、
もちろん男である主人公甫はけっこうマジでその実現のためにがんばってきたとか…。
まぁ、いろんなヴァリエーションがありますね。

そんな不器用なふたりが気持ちを擦り寄せて行くためには、
やっぱり誤解や思い違いのような部分が何気ない会話から
少しずつ解きほぐされていくのが自然なのでしょう。
公園での思い出話の積み重ねが重要になりますね、これは。

主人公甫のなんとも情けないおずおずとした感じで、
「すっ、好きです」とでも言うのかな、
そんな告白の瞬間も後半には用意されているのでしょう。
幼なじみ編5

由香里(美波)にしても、
本当は好きだったのに、何かが原因で今の彼と結婚しようと決意しているわけだし…。
ともあれ、やがてすべてのことが分かり、
ふたりの気持ちが逆にぴったりと寄り添って、
「一緒にいたい!」と思うときにロスタイムのエンドが訪れる。

エピローグには、
甫の出版社に渡せなかったマンガが書店の爆発でも無事で、
由香里がそれを読んでいるのかな。
もちろん、そのマンガにはもう一つの彼のメッセージが込められているといいなぁ。
または、やがて彼女から生まれた赤ちゃんに甫の霊みたいのが宿っているとか?
脚本家の趣味によって、いろんな変化があることが予想できますよね。

とりあえず、
平凡な日常の中にある生きていることの意味の貴重さを
丁寧に描いてくれるんじゃないでしょうか。

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感謝を込めて
銀河系一朗さん、ありがとうございます。
先週の私の記事『上野樹里主演、「ロス:タイム:ライフ第4節看護師編」は、ロスタイムのルールを無視する掟破りの展開か? (02/17)』をきっかけにして、銀河系一朗さんがオリジナルの「ロス:タイム:ライフ」の小説を書いてくださいました。
銀河系一朗さんのブログは
こちら(http://gingak.blog117.fc2.com/)です。
他にもたくさん興味深い小説があります。

永岡ともよしさん、ありがとうございます。
すでに多数の方が訪れる人気ブログの「穏やかに日々創想」を書かれている永岡さんには、
登録したサイトの記事を集約するRSSリーダーの設定について、きちんと保たれていないことを教えてくださいました。
また、その設定等についてを変更修正するために
「RSS用のURLは正常に登録されていますか? 」という記事も
忙しい中、親切に書いてくださって、感謝です。

「穏やかに日々創想」(http://blog.livedoor.jp/dirtmann/)には
アニメなども含めて幅広い記事が載せられています。

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人が『本物』の何かを表現しようとする時、
どれぐらいの数の人間が、
どれだけの集中力とエネルギーをその表現に注げば実現するのだろう?

さて、
それこそどういうわけか、ひょんなことから映画『Happy Feet』を観てしまった。
これがいいんですよ、なかなか。
南極を舞台に、歌って踊れる皇帝ペンギンたちの世界を描いた冒険CGアニメ。
(2006年に公開されたものが、現在はDVDとなって観ることができます)
どうせ子ども向けのありがちなCG物とあなどっていたら、
実に面白いわけで…。
画面から、
作り手のなんというか、溢れんばかりの「気魄」と「遊び心」といったものが
むやみやたらと感じさせられるものとなっていた。
確かにCGなんだけど、伝わってくるものが「本物」だった。
踊るペンギン!?という設定なんですが、
久々に見るタップダンスはとっても素敵でした。
それにしても最近のモーションキャプチャの能力は果てしないなぁ…。

いったい誰がこの作品を作ったのだろう?と調べてみたら、
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監督・脚本・製作:ジョージ・ミラー    脚本:ジョン・コリー
監督・脚本:ジュディー・モリス / ウォーレン・コールマン
製作:ダグ・ミッチェル / ビル・ミラー   音楽:ジョン・パウエル
美術:マーク・セクストン キャスト

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happy feet 7

監督がジョージ・ミラーだったのでびっくり!
あの『マッドマックス(Mad Max)』の監督だった。
『マッドマックス』がこの世に出たのは1979年。
スピード感のあるアクションやバイオレンス・シーンによる世界観が
話題を呼んでヒットしたんですよね。
作りは荒っぽいけれども、鮮烈な若さがそこにはありました。
ただ、見終わったあとに荒んだ気分が残ってしまうものだった。
そういえば、『北斗の拳』なんかの最初の場面、
荒廃した大地をバイクが疾走するシーンなんかにも真似されていますよね。
それでも、とりあえず監督のジョージ・ミラーと今や名優と言われるメル・ギブソンが
初めて世間に認めらるきっかけにもなった作品だった。

あれから約30年。
ジョージ・ミラーも63才。
考えてみれば『ベイブ』も、彼の作品です。
ちょっとまるくなったのかなぁ。
監督自身が長い年月の中で、人間的な「智恵」を身につけてきているような…、
そのせいか愛らしい作風の映画が増えてきているような感じもします。

happy feet

■とりあえず『Happy Feet』のあらすじ
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凍てつく大地、
すべて氷に覆われ尽くした南極大陸の冬。
皇帝ペンギンの国では、
厳しい冬の季節の中、
オスたちは卵を守り、
メスたちは魚を捕りに海へ遠出する。
春、
エンペラー帝国で卵が一斉に孵り始める季節になった。
たくさんの卵たちが次々に孵る中、
やっと最後にもごもご(英語でマンブルとはモゴモゴ)と、
くちばしからではなく、
なんと足から生まれてきたのがマンブル(イライジャ・ウッド)だ。
パタパタと足を動かす息子のクセを、
母親のノーマ・ジーン(ニコール・キッドマン)は
“マンブルらしい”と可愛く思い、その個性を認めていた。
父親のメンフィス(ヒュー・ジャックマン)は
“ペンギンらしくない”と不安に思い、何かしでかすのではないかと心配になった。
マンブルがペンギン小学校にあがると、
メンフィスの不安は的中。
彼らにとっていちばん大事な“心の歌”の授業中、
幼なじみのグロリア(ブリタニー・マーフィー)が
美声を披露する一方で、マンブルの致命的な歌声が発覚!
マンブルは、どうしようもない音痴だったのだ。 
仲間たちは、そんなマンブルをバカにした。
メンフィスは、
何とかマンブルの音痴を直そうと試みるもののうまくいかなかった。
だって、マンブルは心を伝えようとすると、
歌よりも足が勝手に動き出してしまうのだ。
卒業式の夜、みんなからも疎まれて、
ひとりぼっちで踊っていたマンブルは、気がつけば流氷の上。
たどり着いた異国の地で出会ったのは、ラモン(ロビンウィリアムズ)を
リーダーとするアデリーペンギンの5人組アミーゴス。
彼らはマンブルのダンスを「すっげぇー、サイコー!」と超ほめまくる。
そして、世の中のすべてを知るというあやしい教祖サマ、
イワトビペンギンのラブレイス(ロビン・ウィリアムズ)にも
“お目通り”を果たし、
皇帝ペンギンとはまったく違うユニークな仲間たちを知るマンブル。
しかし、エンペラー帝国へ戻った彼を待っていたのは、
長老ノア(ヒューゴ・ウィービング)からの追放命令!
伝統をかき乱すマンブルの振る舞いが
ペンギン界に災いをもたらしていると言う。
最近の魚不足の原因もマンブルのせいにされてしまったのだ。
マンブルは、アミゴースやラブレイスとともに、魚を根こそぎ捕ってしまうエイリアンたちにかけあうために、さらに旅を続けるが…。

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と、あらすじを紹介しても、
そんなにこの作品の良さが伝わらないんですよね。
また、ストーリーに難ありと批判する評論家の方もいるが、
それほど文句を言われるようなものでもないと思う。
監督の映画にかける力の置き所を理解してあげるべきではないかと思う。
この『Happy Feet』は、
映像と歌とタップダンスに主力が置かれているわけで、
そういう意味で、声優陣もやたらと豪華な顔ぶれとなっている
ワーナーだから、やっぱりお金に糸目はつけない。
現在、妊娠中なのに『ライラの冒険』のPRのために来日したニコールキッドマンなども
声優として名を列ねている。
しかも、実に考えられた配置になっている。

■贅沢な声の出演者たち
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マンブル :イライジャ・ウッド/(幼児期): E・G・デイリー
グローリア :ブリタニー・マーフィ /(幼児期):アリッサ・シャファー
メンフィス :ヒュー・ジャックマン
ノーマ・ジーン : ニコール・キッドマン
ノア : ヒューゴ・ウィービング
ミス・バイオラ : マグダ・ズバンスキー
ミセス・アストラカン : ミリアム・マーゴリーズ
アミーゴスのメンバー
ラモン : ロビン・ウィリアムズ
ラウル :ロンバルト・ボヤー
ネスター : カルロス・アラズラキー
ロンバルト : ジョニーサンチェス三世
リナルド : ジェフ・ガルシア
ラブレイス : ロビン・ウィリアムズ(二役)

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『Happy Feet』の核心にあるのは、
音痴でペンギン仲間から疎外されている主人公マンブルのタップダンス。
心の歌を歌えないかわりに、心の中にある思いや感情がタップに表れる。
そんな主人公や他のペンギンたちのタップダンスが、見事だった。
モーションキャプチャ(関節部に加速度センサーを付けたダンサーに動作を行なってもらい、
その動作をデジタルデータに変換してコンピュータに取り込むこと)のおかげだと思うのだけれど、その動作のデータのもとになったのは誰かと思えば…。

happy feet3

それは、タップの天才セヴィアン・グローバーだった。
こんな超一級の人物が加速度センサーをつけて踊っていたとは。

セヴィアン・グローバーと言えば、
ドレッドヘアにオーバーサイズなTシャツ、
目にも止まらぬ驚愕スピードでの激しいリズムタップ。
そんな独特のスタイルで一躍タップ界のトップスターとなっている。
間接的には、北野監督の『座頭市』のタップシーンにも影響を与えた人でもある。
happy feet4

『Happy Feet』のメイキング映像がYoutubeにあって、
ゼヴィアン・グローバーがこんなふうにインタビューに答えていた。
僕の足は一種の道具なんだ。
そして、
僕の足は言葉なんだ。ペンギンのマンブルと同じようにね
」(私の自己流の訳)
そんなセヴィアン・グローバーがそれこそ「本気」になっているからこそ、
今回のような映像になったのだろう。
一見可愛らしいペンギンのダンスの本質には、
幼い頃から磨き上げられたゼヴィアンの高度な技術と努力の集積があったわけだ。
happy feet 8

また、ペンギンたち全員による「群舞」も、CGをコピーして増加させているのではなく、
アナクロ的にタップダンサーたちを集めて「群舞」をさせている事実が凄い。
それだけ、人間が生み出す『本物』の表現に迫ってきているように思う。
happy feet 9

さらに、『Happy Feet』のダンスの精度を高めているのは、
振付師のケリー・アビーの存在だった。
この優れた振付師があまたのペンギンの動画や本物の動きを観察して、
ペンギンらしい動きやダンスを探っていった。
ペンギンの動きに関する彼女の結論は、
人がペンギンの歩き方を思い浮かべるとき、
両足のかかとを背中合わせにくっつけた姿を思うでしょ。
チャーリー・チャップリンの歩き方みたいな。
でも、現実にはほとんど平行に歩くの。
腰に芯になるポイントがないから、
ペンギンのすべての実際の動きは首から出てくるのよ

ということなのだそうだ。
彼女は、ダンサー全員にペンギンの動作の指導をしまくったようで、
前述のゼヴィアンによると、
彼女はもはや人間じゃないね。なんというか、そうペンギンそのものなんだよ

そんな風にタップの天才からも言われているほどになっているのが面白い。

歌についても、とにかく資本がワーナーなので、
管轄のレーベルを好き放題に使える状況も『Happy Feet』に幸いしている。
イライジャ・ウッド以外の、
すべてのキャストたちが、プリンスやEW&F、シナトラなどの名曲を歌っている。

スティービーワンダーの「I Wish」では、
子ども時代のマンブルのかわいらしさが全面に出てるし、
アースウィンド&ファイアーの「Boogie Wonderland」においては、
グローリアの素敵な歌声とペンギンたちのタップが渾然一体となって素晴らしい、
さらには、ロビンウィリアムスが自分で歌っている「My Way」は、かなり聞き応えがある。
どれもこれも、いいですねぇ。



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・Song Of The Heart - Prince
・Hit Me Up - Gia Farrell
・Tell Me Something Good - Pink
・Somebody To Love - Brittany Murphy
・I Wish - Fantasia, Patti and Yolanda
・Jump n' Move - The Brand New Heavies (featuring Jamalski)
・Do It Again - The Beach Boys
・The Joker - Jason Mraz mash-up with "Everything I Own" - Chrissy Hynde
・My Way - Robin Williams
・Kiss - Nicole Kidman mash-up with "Heartbreak Hotel" - Hugh Jackman
・Boogie Wonderland - Brittany Murphy
・Golden Slumbers/The End - k.d. lang
・The Story Of Mumble Happyfeet - John Powell

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happy feet2


『本物』に迫ろうとすると、激しい痛みにも似た苦労という障害が存在するのが常だが、
そこを乗り越えるとしだいに面白さが増してくる。
監督をはじめとして、スタッフ全員がひとつの方向に全力を尽くした結晶であり、
そしてそれが、CG物の作品でも金字塔となった。
大人が鑑賞しても耐えられる、
というか、大人じゃないと分からない部分を暗号のようにひそませている子ども向け作品。
それが映画『Happy Feet』なのだと思う。
また、1950年代頃のハリウッド映画全盛時代の
懐かしのタップやミュージカルの伝統がCGの中で意図せずに蘇ったようにも思う。
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「夢をかなえるゾウ」(水野敬也 著、飛鳥新社)を読んだ。
装幀はいまいちなんだけれども…、
とりあえず、出だしはこんな感じで話は始まる。
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「自分、そんなことやから、『夢』を現実にでけへんのやで」
突然、
僕の前に、「ガネーシャ」という自称神様があらわれた。
インドで買った置物みたいな姿をして、
どういうわけか関西弁で話しかけてくる。

「自分みたいに、
いっつもぐだぐだしてて自分で決めたことも実行でけへんしょうもないヤツでも、
できる感じにケアしたるから、その辺はワシにまかせてとき」
そんな、やたらとあやしげな“神様”と、
成功契約を結んでしまった僕。

いつもどんなことをやっても三日坊主で終わってしまっていた僕。
でも、変わりたいと思う。
いつしか「変わりたい」という思いは、
「どうせ変われない」という思いとワンセットでやってくるようになっていた。

「自分な」
「はい。なんでしょう?」
「今まで、自分なりに考えて生きてきて、それで結果出せへんから、
こういう状況になってるんとちゃうの?」
「そ、それは…」
「ほなら逆にききたいやけど、自分のやり方であかんのやったら、
人の言うこと素直に聞いて実行する以外に、何か方法あんの?」
うぐぐ…。
「それでもやれへんていうのは、何なん?
プライド?
自分の考えが正しいに違いない、いうプライドなん?」

自分が出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する
というガネーシャ。

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さて、
僕は自分を変えることができるのだろうか?

最近、
「成功マニュアル」的な著書があまた出版されている中で、この本は実に面白い。
著者は、水野敬也さん。
1976年生まれの32才。
かつて『ウケる技術』(共著)がベストセラーになっている。
慶応義塾大学経済学部卒。
高校時代に「高校生パチプロ」として誌上連載を持っており、
在学中に早稲田大学の友人と、新橋・新宿・渋谷の路上にて、
1分100円で人をホメちぎる「ホメ殺し屋」を始め
各メディアに取り上げられ話題となる。
解散後、ライターなどの活動を経て現在にいたるという。
けっこう妖しげな経歴の持ち主だ。
ただ、この人は才能がある。
『ウケる技術』でのお笑いの分析は、共著ではあるものの、なかなかいい。



今回の『夢をかなえるゾウ』でも、
夢を実現するための方法を笑わせながらわかりやすく、もっともらしく語っている。
もともと、ガネーシャ (गणेश, gaNeza)というのは、ヒンドゥー教の神様で、
サンスクリットで「群衆(ガナ)の主(イーシャ)」を意味するんだという。
見た目はちょっと変で、太鼓腹の人間の身体に、
片方の牙の折れた象の頭をもった神で、4本の腕をもつ。
障害を取り去り、また財産をもたらすと言われ、
商業の神・学問の神ということで、
今もインドでは信仰の対象となっている。

そういえば、ニューデリーの街なんかを散歩していると、
いたるところの露天で、インドのおばちゃんたちが、
ガネーシャをプリントした布なんかを売っていたのを思い出す。

まっ、それはともかく。
『夢をかなえるゾウ』などに書かれてあることは、
さまざまな著書の受け売りを自分流に解釈し、
表現を変えて「ガネーシャの課題」といった形式で、
主人公にさせるというふうになっている。
ただ、その語り口がいい。
また、その各話の中におりこまれる著名人の成功の蘊蓄もそれなりに楽しめますよ。

後半で、ガネーシャと主人公が以下のような会話をするのですが、
これは、ちょっと個人的には身につまされるような会話でした。

ちょっと読んでいただきたい。
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「もし自分がかわれるとしたら、行動して、経験したときや。そん時だけやで」
「分かりました」
「ほんまに分かってるか?」
そしてガネーシャは僕の両目をのぞきこむように見て言った。
「じゃあ聞くけど」
「は、はい」
「今、この瞬間。今ワシの話を聞いているこの瞬間、自分は、なにしとる?」
「それは……」
僕は頭に浮かんだ回答を、素直に口に出した。
「あなたと話をしています。あなたの教えを聞いています」
するとガネーシャは「ちゃうな」と言って険しい表情をした。
「『座っとる』だけや」
「自分は今、『座っとる』だけや。この意味、分かるか?
確かに自分は何かを学んで、知識を吸収して、
成長しとる思てるかもしらんけど、本当はな、成長した気になっとるだけなんや。
ええか?
知識を頭に入れるだけでは人間は変われへん。
人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』や」

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お見事ですね。
世の中の「Howto成功本」というのは、
著者が実際に成功して書いた場合と
その成功本で成功したいとたくらんでいる者によって書かれたものの、
2種類がある。
作者の水野敬也さんは、どちらかといえば後者なんだろうけれども、
非常に面白い個性の持ち主なんでしょう。

ここのところ、テレビドラマも映画も、
人生について振り返るようなタイプのストーリーがどういうわけか多いけれども、
たまにこのような本を読んで、
自分の考えを整理していみることも大事かもしれませんね。

『夢をかなえるゾウ』を期待しないで読んでくださるといいなぁと思います。
きっと、「期待しなかった分」だけ、知的な喜びを手にするかもしれません。

■ 内容紹介:「夢をかなえるゾウ」著者コメント
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「成功法則書を読んでも人が成功しないのはなぜか?」
世の中にはこんなに多くの成功法則書、ビジネス書があふれているのに、
成功者が増えたという話は聞いたことがありません。
なぜだろう? ずっと感じていた疑問でした。
そしてこの疑問に対する1つの解答を用意したのが本書です。

主人公は「人生を変えよう」として何かを始めるけど
全部三日坊主に終わってしまうサラリーマン。
しかし、ある日突然、彼の目の前にゾウの姿をした奇妙な生き物が現れます。
「ガネーシャ」という名を持つ、インドからやってきたこの神様は、
主人公の家にニートとして住みつき、ゲームをしては寝るだけ。
たぶん、史上最悪のメンター(師匠)でしょう。
しかし、ガネーシャはこう言います。
今から自分が出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する――。
成功を願う普通のサラリーマンとぐうたら神様ガネーシャ。

この二人が
「成功するためにはどうしたらいいか?」
「そもそも成功とは?」
自己啓発書のメインテーマを、
従来とは少し違った形(具体的に言うと、慢才です)で深めていきます。
拙著『ウケる技術』や企画・脚本を担当したDVD『温厚な上司の怒らせ方』でも
意識した「笑えてタメになる」という形式を
さらに深めた本に仕上がったと思います。
ぜひ読んでみてください。

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スキヤキ編1

「ロス:タイム:ライフ」の第3節「スキヤキ編」を観た。
とりあえず、6ブロックのピース分けをしてみますか。
ちなみに6ブロックというのは、
ちょうどコマーシャルを入れることがやりやすい定番の分け方だ。

さて、鈴井監督はどう戦ったか?
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①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分。
※この段階で、すでにロスタイムの使い方の布石をしなくてはならない。
主人公の生きる目的・理想、もしくは、負の部分、負い目、罪など


井原淑子(友近)は節約術が特技の専業主婦。その日は朝から、
長女・理香(田島ゆみか)と長男・健一(永嶋柊吾)から「けち」呼ばわりされた。
家事の途中でふとスーパーのチラシが目につく。牛肉のタイムサービスの告知だ。

②主人公が、事件・事故もしくは病気によって死にかける場面
※なるべく主人公が無念な感じになるような死の設定がほしい。


豚肉ではない本物のスキヤキを家族に食べさせようと思い立った淑子は、
夫・利彦(松澤一之)にも今夜は直帰するようメールして、スーパーへ自転車を飛ばす。
近所の主婦達とのデッドヒートを裏道へと抜け出した淑子は、
理香がほしがっていた振袖の展示即売会のポスターに目を奪われ、階段から転落!!

スキヤキ編3

③主人公がロスタイムを知らされて、とまどいながらも動きだす場面。
※主審と副審と掲示係が、なだれ込んでくる。残されたロスタイムの表示。


階段から転落!!・・・というその直前に世界がスローモーションとなり、
サッカーの審判団が現れ、淑子に2時間29分というロスタイムを提示した。
淑子は、自分がまもなく死ぬということは理解したものの、
再び牛肉を買うためにスーパーへ急いだ。
タイムサービス開始にギリギリ間に合った淑子は、
主婦達の激しいせめぎ合いの列に割り込む。

④自分のロスタイムの目的を果たそうと悪戦苦闘する部分。
※自分のために、ロスタイムを使うか。
※自分以外の人間のために、ロスタイムを使うか。
どちらにせよ、①での主人公の紹介部分の布石が効果的になるように。


しかし、突き飛ばされて腰を打ったあげく、
肝心の特売の肉も手に入れられずに最後の1パックを目の前で持っていかれてしまう。
座り込んで途方に暮れていた淑子だが、
立ち上がると精肉コーナーに進み寄り
特売になっていない特上牛肉を大量に買い込んでしまう。

⑤ロスタイムを使い切る段階での、主人公の変化または何らかの悟りを手にする。
※あがきながら、もがきながら、自分のロスタイムを消費しようとする中で、
何らかの真実や真理、または新しい状況に気がつくところがいい。


帰宅後、少なくなっていくロスタイムに泣きそうになる淑子だが、
そんなことを知らない家族は下着やハンコのある場所がわからないと訴えたり、
頼んだ買い物を忘れてきたりと淑子を頼ってばかりだ。今後の生活に不安を募らせ、
家族に言葉をかけていく淑子。
やがてスキヤキが完成。いざ食べようとする淑子に
主審からロスタイム終了間近の知らせが。
審判団を振り切ってかろうじて牛肉を一口食べた淑子は
事故現場に戻ると慌ててメールを送った。
その時、ロスタイム終了のホイッスルが鳴る。

⑥エピローグ
同じ頃、メールを受け取った理香が
ぬかどこを探すと淑子がへそくりを溜め込んでいた通帳が出てきた。
そして、洗面所には淑子が書いた「ありがとう」の文字が残されていて…。
-------------------------------------------------------------------
スキヤキ編2

1時間の中で、人生のロスタイムという、
設定上の枠組みというか、縛りを利用しながら、
1話完結型のドラマを撮るというのもやっぱり大変なことなのだと思う。
今回の主演は友近さんであり、演出は北海道で活躍している鈴井貴之さんだった。

鈴井監督のものの描き方というのは、
「水曜どうでしょう」などでのミスターの言動とは違って、
かなり丁寧だし、なるべくかっちりと決めようとする傾向がある。

冒頭の白黒によるドラマのガイダンス的な表現や、
最初から「ぬかどこ」を見せていたり、
バックに流しているのが「上を向いて歩こう(スキヤキ)」(どうかと思うが)だったり、
ありがちな節約術の紹介部分、
マーケットなどでのサッカーのパロディー的解説、
鏡に書いたリップスティックでありがとうの文字と
井原さんの死の瞬間のリップスティックの使い方、
ぬかどこの貯金通帳(ありふれているとは思うが)、
などなど、かなりがんばって考えた小ネタが満載だった。

また、このドラマの中には今回も5回ほどCMが入れられていたが、
CMからCMにいたる物語の展開がよく計算されていて、
視聴者がCM後も観たいを思わせるような作りを意図的にしていた。
ただ、視聴者というのは贅沢なもので、
作り手側の苦労や努力を踏み越えて、勝手な注文もしたくなる。
今回なら、脚本の展開に意外性がまったくなかったのが残念ですね。
その展開の意外性がないために、
「友近」という役者の魅力が十分には引き出されないということも起きてしまった。

でも、
とにかく、鈴井監督は与えられた枠の中で、よくがんばったのではないかと思う。
やっぱりね、フジの土曜深夜のチャレンジ枠に参加するからには、
地方出身者としてもなんらかの実力のあるところを示さないとならないし、
あんまり冒険はできないのが辛いところなのかもしれない。

さぁ、次回は第4節「看護師編」、上野樹里さん主演だ。
ロスタイムライフ看護師1

■とりあえず予告されているあらすじ
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看護師の松永由紀子(上野樹里)は、
結婚まで考えていた恋人荻野政一(設楽統)に婚約者がいることを知って絶望し、
勤務先の病院の屋上から飛び降りた。
ところが落下していく途中で審判団が現れ、
由紀子のロスタイムが始まる。
しかしサッカーのルールもよくわからず、
生きる気力もない由紀子は、
審判団を振り切って再び屋上に戻ってしまう。
するとそこには今まさに飛び降りようとしている男尾元勇蔵(温水洋一)がいて…。
何の因果かロスタイムを初対面の尾元と過ごすことになった由紀子。
まずは部屋の大掃除をして、元カレにもらったプレゼントは質屋へ、
その代金で高級寿司店へ行く。
美味しい食事をしながら尾元と話すうち、
"死んだこと"を少しずつ後悔しはじめる由紀子。
由紀子は「最後のお願い」と尾元を連れ出し、あるところへ向かった。

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ロスタイムライフ看護師3

この予告から、物語の展開をどれだけ予想できるか?
頭の体操の時間ですね。
ポイントは…。
①恋人に裏切られたための自殺という設定。
②松永由紀子(上野樹里)は、サッカーのルールも知らないので、
 ロスタイム自体を無視 した行動を繰り返すということ。
③まったくロスタイムを有効に使うことをしないということ。
④だめだめな尾元勇蔵(温水洋一)との会話からうまれるもの。
⑤「最後のお願い」と「あるところ」とは、何か?
ロスタイムライフ看護師4

質屋の場面で、結婚まで考えていた恋人荻野政一(設楽統)が
プレゼントしてくれた物の数々も、
きっと本物もあれば、
そのお付き合いの後半にもらった物はイミテーションだったり、
超安物だったりもするだろうから、
主人公としては悔しくてたまらなくなるだろうし…。
ダメダメ男の尾元勇蔵(温水洋一)なんかの情けない話を聞いていると、
よっぽど、自分の方が幸せであることも分かるので生きる動機づけにもなる。
しかも、
恋人に裏切られたわけですから、これは「復讐」しないといけません!?
「復讐」の手口も何か気の利いたことであれば、楽しいですね。
「復讐」なんてな気持ちを持つと、今度は自分が死ぬのもバカらしくなるわけで、
彼のもとで、何らかの仕返しをした後、松永由紀子(上野樹里)はロスタイムのルールを無視して、死に場所に行かないかもしれない。
「ロス:タイム:ライフ」初の主人公が生き返ってしまうというか、
死なない話になってしまう
なんだかそんな感じがします。
主人公がのだめのイメージをどうしても引きずる上野樹里なので、
強烈なハッピーエンドの形態の方が似合うのではないだろうか?

またそんなこんなで、物語の展開を想像しながら、土曜日を待ちましょうか?


ロスタイムライフ刑事編1

「ロス:タイム:ライフ」の刑事編を観た。

「ロス:タイム:ライフ」は、頭の体操にはうってつけのドラマだと思う。

1時間の枠の中で、ある一定の構成のしばりがある中で、何をどう表現するのか?
というパズルのような楽しみが、事前に想像することから始まって、
放送中も現在進行でどう展開させたらいいか?
と自問自答しながら、その結果との差を味わうのがいいですね。

第2節の「刑事編」について言うならば、非常によくできていると思う。
短い時間の中にそれなりのサービスもあり、
小山慶一郎君の若い魅力もほどよく出ていた。

ただ、ストーリー展開については、
意外性がまず足りないので、
誰もが予想するような起承転結での結末となってしまっていたのが残念だった。
よく言えば予定調和なのかもしれないが、
やっぱりこの話どこかで観たことがあるというような感じがしてしまうのが、
とにかく惜しい。

また、下のような構成分けをするとよくわかるのだが、
「①の主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分」っていうやつが、
意外と難しい部分なのだと思う。
主人公の説明だけでなく、
ベテラン刑事五味さんの紹介も同時進行に自然に行わなければならないので、
けっこう時間がかかってしまった。
(実質15分以上を費やしてしまった、これは痛い)

プロの脚本家にとっても、
この一話完結型のドラマはかなりやっかいなのでしょう。
ロスタイムライフ刑事編3

脳科学者の茂木健一郎さんなどもその著書で、
何度も語っている『偶有性 (Contingency)』
(予想可能なことと意外性が混在してこそ脳は楽しいと感じる)が、
ドラマの展開には必要なんだと思う。
とりあえず、まずは第2節「刑事編」を自分流でブロック分けしてみた。
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①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分。
※この段階で、すでにロスタイムの使い方の布石をしなくてはならない。
主人公の生きる目的・理想、もしくは、負の部分、負い目、罪など

新米刑事の都並浩太(小山慶一郎)は意気揚々と初出勤するが、
配属先が空き巣やひったくりを扱う捜査第三課と知って落胆する。
ドラマに出てくる刑事のように、凶悪犯を捕まえて取り調べることを夢見ていたのだ。
都並は引退間近のベテラン刑事・五味慎三(平泉成)について捜査に出かける。


②主人公が、事件・事故もしくは病気によって死にかける場面
※なるべく主人公が無念な感じになるような死の設定がほしい。

何を追っているのかも知らされないまま、五味と一緒に喫茶店に入った都並。
と、窓越しに見える路上に怪しい男の姿をみとめるや
五味は目の色を変えて店を飛び出した。驚いた都並は後を追った。
袋小路に追いつめられた男は、やおら拳銃を取り出し、
都並に向かって発砲した。
とっさに都並も男に向け引き金をひくが・・・。

③主人公がロスタイムを知らされて、とまどいながらも動きだす場面。
※主審と副審と掲示係が、なだれ込んでくる。残されたロスタイムの表示。

すると都並の目にロスタイムが表示された電光掲示板と
サッカーの審判団が飛び込んできた。
残された時間は3時間21分。
とっさに男の指紋を採って走り出した都並は、
警察に戻って指紋照合や似顔絵検索をするが前科者の中に該当はなかった。
五味の異常な反応を思い出し、
五味の私物が入ったダンボールを探ると、
16年前に管轄外で起きた信用金庫強盗殺人事件の資料が出てきた。


④自分のロスタイムの目的を果たそうと悪戦苦闘する部分。
※自分のために、ロスタイムを使うか。
※自分以外の人間のために、ロスタイムを使うか。
どちらにせよ、①での主人公の紹介部分の布石が効果的になるように。

その中には発砲した男の似顔絵が。再び走り出した都並は五味の家を訪ね、
五味の妻・房江から16年前の事件で信用金庫に
就職したばかりの娘が強盗に遭遇し亡くなったことを知る。
そして犯人がつかまらないまま時効をむかえてしまったことも。
時効を知り、うなだれてベンチに座る都並


ロスタイムライフ刑事編4

⑤ロスタイムを使い切る段階での、主人公の変化または何らかの悟りを手にする場面。
※あがきながら、もがきながら、自分のロスタイムを消費しようとする中で、
何らかの真実や真理、または新しい状況に気がつくところがいい。

そんな折、房江から五味へと預かった封筒から
男が使っていたと思われる偽装パスポートが落ちた。
被疑者が海外逃亡した場合、時効が延長されることを思い出し、
立ち上がり走り出す都並。
派出所に寄り、防弾チョッキを着用すると現場に戻る。
残り3分。構える都並だが、そこで五味にも銃弾が向かっていることを発見する。
考えた末、防弾チョッキを五味に着せると静かに元の位置に戻る都並。
そして終了のホイッスルが…。


⑥エピローグ

1年6ヵ月後。自宅にて男に死刑判決が下ったとの新聞記事を見る五味の姿があった。
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このような流れを見ていても、
ロスタイムとなってからの描写をする部分が
時間的にも量的にも薄くなってしまっている。
人生のロスタイムと犯罪のロスタイムなどをかけたのはいいと言えばいいが、
きっと視聴者の多くは、何か不完全燃焼な感じを受けてしまっていたのではないだろうか。
本当に惜しいなぁ。これは、どう直せばよかったんだろうか。いやはや。
などと思っているうちに来週の第3節がやってくる。
友近主演のけちな主婦が死ぬ話ではあるそうな。
今現在、分かっている内容をブロック分けすると…。
ロスタイムライフ刑事編5

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①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分。

井原淑子(友近)は節約術が特技の専業主婦。
その日は朝から、
長女・理香(田島ゆみか)と長男・健一(永嶋柊吾)から「けち」呼ばわりされた。
家事の途中でふとスーパーのチラシが目につく。
牛肉のタイムサービスの告知だ。
豚肉ではない本物のスキヤキを家族に食べさせようと思い立った淑子は、
夫・利彦(松澤一之)にも今夜は直帰するようメールして、スーパーへ自転車を飛ばす。


②主人公が、事件・事故もしくは病気によって死にかける場面

近所の主婦達とのデッドヒートを裏道へと抜け出した淑子は、
理香がほしがっていた振袖の展示即売会のポスターに目を奪われ、
階段から転落!!・・・


③主人公がロスタイムを知らされて、とまどいながらも動きだす場面。

階段から転落!!・・・というその直前に世界がスローモーションとなり、
サッカーの審判団が現れ、淑子に2時間29分というロスタイムを提示した。


④自分のロスタイムの目的を果たそうと悪戦苦闘する部分。

淑子は、自分がまもなく死ぬということは理解したものの、
再び牛肉を買うためにスーパーへ急いだ。
タイムサービス開始に間に合った淑子は、
主婦達の激しいせめぎ合いの列に割り込むが…!?


⑤ロスタイムを使い切る段階での、主人公の変化または何らかの悟りを手にする場面。
↓ ??????????
⑥エピローグ
  ??????????

■主なキャスト
井原淑子 :友近 節約が趣味の専業主婦で、子供達からはケチ呼ばわりされている。
井原利彦 :松澤一之 淑子の夫。
井原理香 :田島ゆみか 井原家の長女。
井原健一 :永嶋柊吾 井原家の長男。
スーパーの店長 :森崎博之

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「①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分」で、
どれだけケチで(ケチの徹底ぶり)、
どれだけ子どもたちからそれを嫌がられていたり、
文句を言われていたりしていたか、をばっちりコミカルに描くのでしょう。
できるだけ、そのケチぶりに文句をつけていがみ合ってほしいもんだ。
また、
長女・理香(田島ゆみか)が振り袖をほしがっていたということは、
成人式を迎える日が近いということかな。
ケチな井原淑子としては、
「レンタルでいい」とか「そんなもの贅沢!」とか言って一蹴するのでしょう。
それでも、とりあえず子どもたちのためにと、
特売品の超極安の牛肉のチラシを見て、ママチャリを飛ばして爆走するんだろうなぁ



当然、ロスタイムでも牛肉は熾烈な主婦たちの奪い合いの中で、簡単には手に入らない。
牛肉を手に入れるまでの部分も何かいいアイディアがあるといいですね。

さらにロスタイムの僅かな時間に料理し、
すき焼きを囲んでの最後の一家団欒…。
この部分は、笑いながら悲しいわけで、
元気にばくばく食らっている子どもたちや夫を
眺める友近の表情を大切に撮ってほしいもんだ。



自殺してしまった伊丹十三監督の映画「タンポポ」の中に、
「危篤の妻にチャーハンを作らせる」という有名なシーンがあったが、
あれは実に人間くさくて切なかったなぁ。
このすき焼きを家族が食べているのを見守る母としての井原淑子の部分は、
きっと、ドラマの構成がどうのこうの以前に文句なしに哀しいと思う。

ついでに、気の利いたエピローグにするために、
なぜ井原淑子は、ケチだったのか?
ためたお金はどうなっていたのか?
などのことが解き明かされるといいなぁ。

日本人は、
山本周五郎の小説「日本婦道記」みたいな妻や母の秘められた思いがわかる結末に弱い。

井原淑子(友近)も何か残しておいてくれるといいのだけれど。

ちなみに、エピローグの部分は、
当然、成人式で振り袖を着ている娘の井原理香(田島ゆみか)と
残された家族のシーンなのかなぁ。
とまぁ、いくらでも想像してしまうわけです。



さて、
この「スキヤキ編」の演出を担当するのが、鈴井貴之さんですね。
大泉洋も所属している「CREATIVE OFFICE CUE」の代表取締役社長で、
「水曜どうでしょう」では、ミスターと呼ばれている鈴井さん。
映画もすでに3本ほど監督していたり、演出を学ぶために韓国に留学もしている。
鈴井さんが、どうこのドラマを料理するのかが、楽しみです。


L2.jpg

映画「L チェンジ・ザ・ワールド」が9日から公開されている。
もちろんこれは「デスノート」に出てくる天才探偵Lを主人公にしたスピンオフ映画。
松山ケンイチ君主演、中田秀夫監督による作品だ。
見どころは、「Lが変わっていく」ことなんだそうだ。



この公開にあわせて、
先日、テレビの方でも「デスノート」の2作が放送されていたので、
再び懐かしく観た人も多いのではないかと思う

■「デスノート」スタート段階でのあらすじ
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高校生の夜神月は、ある日奇妙な黒いノートを拾う。
それは死神・リュークが落とした、
人間の名前を書き込むと書かれた人間が死ぬデスノートだった。
犯罪者が存在しない理想の新世界を作るため、
月は世界中の犯罪者名を次々とノートに書き込んで葬っていく。
やがて犯罪者を葬る者の存在に気付いた大衆は殺し屋(=Killer) の意味から
「キラ 」と呼び始め、キラを「神」と崇拝する者まで現れた。
一方、キラの存在を察したICPO(インターポール)は、
手がけた事件を必ず解決に導く、
全世界の警察を意のままに動かせる唯一の存在である、
謎の探偵Lにキラ事件の調査を依頼。
キラを悪と見なすLは綿密な方法で、
キラが日本の関東地区にいることを証明し、
日本に捜査本部を設け、キラに挑む。

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映画「L」では、本編でキラ事件を解決するために「究極の選択」をしたLが、
残された23日間という“最期の時間”に何が起きたのか、
描かれなかった謎が解き明かされるという。

それにしても、この「デスノート」の設定をこれまでよく維持してきたと思う。
嘘に嘘を重ねたあげくに、その嘘をもっともらしいものにする技術に長けている。
「名前を書かれたものは死んでしまう」という死神のノート「デスノート」の設定と、
それを取り巻く人物による事件、
デスノート自体のルールなどなど、
マンガでありフィクションだから…とはいっても、
もっともらしいリアルな感じを演出するには、かなりの力業が必要だ。
そうい点で、原作者の大場つぐみさんは異常な力量の持ち主だと言っていい。
さて、
この大場つぐみさんについてだが、
本人そのもの自体がナゾのベールにつつまれていて、本当は誰だか分かっていない。

本当に誰なんだろう?

全くの新人というふれこみだが、そんなことは絶対にないと思う。
超ベテラン作家という説もあるし、
マンガ家の「ガモウひろし」だというまことしやかな声もある。
ネットなどでも、諸説紛々である。



誰も答えを教えてくれないので、
自分なりに想像すると、
これまでのマンガと映画での表現のされ方からみて、
原作者「大場つぐみ」というのは、
実は複数の人間のことをさすのではないかと思う。


それも、「ある程度の年配でドラマの構成力がある人間」と
素材のアイディアを出す人間」が、確実に存在しているように思う。

なぜなら、たとえば、
デスノートの設定に類似したものとして、
よく言われるのが水木しげるの「不思議な手帖」であるのは有名だが、
そんなもの、新人作家なんかはその生育歴において手にする機会もまずないだろう。
また、このマンガや映画でのFBIや警察組織の描き方が実は古い。
さらに、「L」の設定がそもそも「世界的な名探偵」だというのも、
いやはやで、原作者が1960年代~1970年代ぐらいの時にティーンエイジで、
創元推理文庫なんかを読み耽っていたんではないかというような
名残りが感じられてしょうがない。
「デスノート」の世界観で、今どき「名探偵」という設定はないでしょ。
ある程度の年寄り?というかベテランの考えそうな基本ベースが、物語の根底にある。
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しかし、それに反して夜神月やLの言動や
彼らを取り巻く環境や現象に対しての描き方の感覚はやたらと若々しく新鮮だ。
今の匂いが濃厚にある。
とても同一人物が併せ持つ感性ではないのではないだろうか。



『DEATH NOTE 13 How to read 真相』などによると、
漫画家の小畑さんは、
常にネームの4~5話先までしか知らされていなかったという。
思うに、複数でストーリーを作る時には、
なかなか先の見通しがつかない場合が多い。
ようするに、大場つぐみが小出しに渡していたのではなく、
それぐらいのペースでしかストーリーを生み出すことができないという
複数作業にはありがちの現象がおきていたはずだ。
「デスノート」の売りは、
主人公夜神月=キラと天才「L」との熾烈な頭脳戦であり、
その頭脳戦のありようが「今」のゲーム感覚に近いものがある。
その表現ができたのは、
きっと若い無名のスタッフ(少年ジャンプ系統の若手の売れない漫画家たち)が
どんどんアイディアを出していたからに違いない。
「大場つぐみ」という名前が、「大×(バツ)組」という
少年ジャンプのマンガ連載没候補としての
ダジャレにも読み取れるのは、もしかしてそのせいかもしれない。
(前述のガモウさんだって、絵は下手だし、長年やっていても×候補だったろうし…)

したがって、若手の様々な考えをまとめるベテラン作家にしても、
やや消化不良ぎみで物語を構成し直していたのではないかと思われる。
だから、漫画でも映画でも、思わせぶりで意味不明な部分が存在しているのは、
物語をコントロールしきれなかったために、
そのアイディアの切れ端や残骸が残ってしまっているからだ。

さらに、
この大場先生が言うには、
『DEATH NOTE』で表現したかったテーマはないのだそうだ。
これも、若手のアイディア重視による物語展開をしたがために、
物語を貫いて訴えるテーマなどはもともとできなかったと言うべきなのだろう。
また、ここで描かれている「死」は、テレビゲーム感覚の死に思える。
養老孟司ではないけれど、死のむごたらしさや汚さ、
そして匂いというものがまったく欠落している。
まさに、現代の若者が描きそうな「死」なのである。

なんてなわけで、原作者「大場つぐみ」は、実は一種のグループ名であり、
それがために世間に顔を出すこともできないのではないかとかってに推測している。
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さて、今回の映画「L チェンジ・ザ・ワールド」について。
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本編でキラ事件を解決するために「究極の選択」をしたLが、
残された23日間という“最期の時間”に何が起きたのか、
描かれなかった謎が解き明かされる。

物語は、キラとの戦いの最終局面を迎えていたころ、タイの小さな村が消滅する。
Lは残された時間で未解決事件を次々と片づけていたが、
村の生き残りの少年BOYと、父が非業の死を遂げた少女真希と出会い、
村消滅の裏に人間の作り出した“死神”を巡る大きな事件があることを知る。
Lは、二人を守りながら、不得意分野の「体を張った」戦いに臨む。

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「L」というマンガのキャラクターは、実に魅力的である。
松山ケンイチ君演じる「L」は特に、その今の若者の濃厚な一面を感じさせられる。
病的で、負けず嫌いな子供じみた性格。
些細な勝負でも負けを嫌い、あらゆる手段を使っても真実を追求する。
外には出ず、ひたすらモニターを眺めつつ、
甘い物をずーっと食べ続けながら思索している。
どんな状況下でも膝を抱えて座り、
その不健康な蒼ざめた表情で上目遣いで物を見る…。
実に、今の若い世代のニートっぽい男の代表例みたいな感じなわけだ。
(年配の人間っていうのは、こういうタイプは上手く描けないと思う)

その「L」を松山ケンイチ君は上手に演じている。
素の松山君と「L」での表情が非常に落差があって素晴らしい。

金子監督からバトンタッチして、常にタオルを頭に巻いてがんばっている中田監督も、
この松山ケンイチ君の「L」に対しては、
長い手足をもてあましているかのような彼の存在感に、凄みさえ感じた。
変幻自在な展開で、夢魔的魅力を持ったLをお見せします
。」と語っている。

今回の映画では、「L」はモニターの前だけでなく外に出て事件解決に向かう。
苦手な子ども(BOY)の相手をしたり、
変な体勢で走ったり、
自転車を漕いだりと…、「デスノート」前2作より、「L」が濃くなっている。



「『デスノート』ではスマートな面しか見せなかったLが、
今回は翻弄され、違った一面を見せる。
恥ずかしくもあるが、多くのメッセージが込められた作品。
悪に絶望して『自分が立ち上がらなきゃ』という夜神月たちに対し、
Lは社会の外で生きてきた傍観者。
社会から何かもらってるはずなのに『おれは関係ねえ』と言うのは“悪”だと思う。
だけどワタリを亡くして“死”の重みを感じたLは、
外へ出て人とかかわって人間性を取り戻し、社会に希望を持った
」と
松山ケンイチは「L」の変化について語っていた。

きっと、それなりに面白いのではないかと思う。
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■ キャスト一覧
L:松山ケンイチ     久條希実子:工藤夕貴   二階堂真希:福田麻由子
駿河秀明:南原清隆  松戸浩一:平泉 成   BOY(ボーイ):福田響志
的場大介:高嶋政伸  小西朝夫:正名僕蔵   吉沢保:金井勇太
三沢初音:佐藤めぐみ  加賀見シン:石橋蓮司 F(エフ):波岡一喜
二階堂公彦:鶴見辰吾 ワタリ:藤村俊二 南空ナオミ:瀬戸朝香
FBI捜査官レイ:細川茂樹  佐々木:田中要次 リューク:中村獅童
弥海砂:戸田恵梨香    夜神月:藤原竜也

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少林少女1

前回のブログで、「椿三十郎」の惨敗によって、
「踊る大捜査線」の次回作が現実味を帯びてきたと書いたものの、
考えてみたら、フジにはあの亀山千広プロデューサーの存在がある。
この人がどう考えるか?

ここ数年、フジテレビ映画事業は、
日本の全邦画興行収入の約3割程度を占めるようになってきているし、
収益率も抜群に高い。
この現象の牽引者として、
かつて「神の手」ならぬ「亀の手」とも呼ばれた亀山プロデューサーの存在が大きい。
現在のところ、亀山さん一押しなのが、柴咲コウ主演、「少林少女」だ。
これは今年の4月26日に公開されるという。
一昨年あたりから、
同時並行にさまざまな企画を進行させつつ、
現時点では、この映画「少林少女」のプロモーションに着手する時期となってきた。

ちなみに、昨年の4月17日に、この映画の制作発表がなされていたのだけれども、
それから、あっという間に月日が流れてしまった。
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■あらすじ
祖父の道場を継ぐために中国の
「少林拳武術学校」に修行に出ていた凛(柴咲コウ)。
3000日の厳しい修行に耐え、帰ってきた凛を待ち受けていたのは、
つぶれた道場と少林拳を辞めてしまった兄弟子たち…。
独りで少林拳を広めようと奮闘する凛は、類まれなる身体能力を活かし、
ひょんなことから大学のラクロス部の助っ人になることに。
チームは勝ち進み、道場再建に向け着々と準備が進む中、凛の後を追う黒い影が…。
凛を狙う黒い影の正体は?
なぜ兄弟子たちは少林拳を辞めてしまったのか!
凛は道場を建て直し、少林拳を広めることが出来るのか?

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「少林サッカー」から6年。
「少林少女」は、その続編となるわけだ。
「少林サッカー」の監督・脚本・主演を務めたチャウ・シンチーも
プロデューサーとして参加するという。
4年前、シンチーの過去作品の上映が行われた「お台場冒険王」で、
亀山さんと出会ったことをきっかにして、この企画はスタート。
「少林サッカー」続編の構想を練っていたシンチーが、
亀山さんとアイデアを出し合ううちに、
日本女性を主人公にした話へと変化したらしい。
いやはや、この辺が、亀山さんの抜け目ない所というか、
企画力のあるところというか、
ちょっとずるいところというか…。
少林少女2

ともあれ、
主演の柴咲コウは、この亀山プロデューサーの指令をうけて、
1年間かけて、本格的な格闘技の訓練を習得させられた、
というか、本人も相当意欲的にがんばっちゃったようだ。
猛特訓につぐ、猛特訓だったという。
亀山さん曰く、「柴咲コウには、最初の3カ月間は基礎体力の増強に努めさせ、
次の3カ月は少林拳の基礎動作を学び、残り6カ月で少林拳を本格練習させた」という。
これは、大変ですよ。
この訓練の過程で、「どろろ」や「ガリレオ」の撮影も挟んでいるので、
柴咲コウにしてみたら、そうとうハードな1年間であったのでしょう。
そういえば、いまいちだった「どろろ」も、
今回のためのワイヤーアクションの練習としては良かったのかもしれない。
初のワイヤーアクションの時も、
妻夫木君に負けじと体を張って取り組んでいたのを思い出すなぁ。

先週、めざましテレビのコーナーで、
柴咲コウが、頭に蹴りを入れられ、
顔をゆがませているメイキング映像が紹介されていた。
(めざましテレビって、世間にさきがけて、
たまに芸能コーナーで一瞬焦るような映像を流す時がある。)
ふつうこのタイプのアクションだと、
頭部など急所への攻撃は女優生命への危険を伴うため、
通常はスタントマンか特撮でごまかすんですよね。
ところが、柴咲コウは、
「どうせなら誰もやってないことに挑戦したい」と自ら志願したという。



あのメイキングだけでも、テイク4までやっていたので、
足蹴の直撃を顔面に最低でも4回は受けていたことになる。
もちろん、蹴ったのは武術指導では定評のある西冬彦さん。
(「SP」では、岡田准一君に逆に思いっきり蹴られていましたが)

あの柴咲コウの顔を本気で蹴るのだから、
西山さんの方がよっぽど緊張と集中が必要だったようだ。
「あの時の彼女はただの女優ではなく、
修練を経て技術を習得したプロ。
だから、本気の角度とタイミングで蹴りを叩き込む。
それが礼儀です。」と本人もブログで語っているぐらいのできごとだった。
武術指導のプロにここまで言わせているのだから、
柴咲コウは、どうやら今まで以上に本気で仕事に賭けている感じだ。
大したものです。
少林少女5

しかも、今回の設定は、カンフーだけでなく、「ラクロス」も入ってきている。
まだ日本ではハンドボールよりもさらになじみの薄いラクロス。
大学のお嬢様がやりそうなスポーツで、
貴族的なもののように思えるけれども、
その本質はけっこう激しい。

もともと、ラクロスの起源は17世紀で、北米のインディアン達が、
自分たちの神との繋がりを深める儀式の一環として行っていたものだそうだ。
本来は広大なフィールドで、
戦闘や狩りに必要な耐久力、勇気を養うためのものだったという。
それがスポーツ化され、インディアンたちが使用していた道具が、
僧侶の持つ杖(crosse)に似ていたことから、
ラクロス(La-Crosse)と呼ばれるようになった。
世界的な競技人口は約60万人もいるんだそうだ。

こんな部分に対しても、亀山さんの目の付け所が面白いと思う。
亀山さんは、映画事業を明確にビジネスと割り切って仕事していることでも有名だ。
ようするに、金にならないことはしない。
話題性があり、逆に儲けられる企画なら、拍車をかけてバンバン行く傾向がある。
少林少女4

シンチープロデューサーやこの「少林少女」の企画について、
「『少林サッカー』に着想を得たことは確かですが、今回の企画は全く別物です。
シンチーとの共同作業については、素晴らしい経験でした。
文化の違いを超えた、
単なるアクションでは収まり切らない素晴らしい作品となりました」
と話している。
昨年から、ロケ地も亀山プロデューサーのふるさとの静岡県で行ってきている。
(ちなみに、「UDON」の時は相棒の本広監督のふるさと香川でロケを行った。)

それにしても、亀山さんは、
自分のスタッフに、
本広監督などをはじめとする優れた人材をもっているのがうらやましい。
本広監督だけでなく、
彼のもとには企画プロデューサーの関口大輔さんや臼井裕詞さんがいて、
フジの映画戦略をバックアップしている。
様々な方面でやたらと膨大な雑学の持ち主である関口大輔プロデューサーは、
コメディや幅広いターゲットに向けたの映画制作が得意だし、
無骨で男性向き路線の映画を得意とする臼井裕詞プロデューサーも、
非常にいい仕事をしてきている。
(「海猿」なんかの男っぽさは、彼がいないとできなかった。)

そろそろ亀山さんとしても、
海外での成功という箔をつけたいのではないかというふしもある。
その証拠に、1年前、
亀山さんは、「アメリカでは海外作品の受けが良くないのは確かですが、アクションに言語は必要ありません。『少林少女』は間違いなく、世界で受け入れられるでしょう
と語っている。
今回の「少林少女」のポスターに、
彼女に日本は狭すぎる」というコピーが入っている。
これって、
亀山プロデューサーにとって、日本は狭すぎる」という意味を
自ら無意識にこめてしまったのではないかと勘ぐりたくなってしまう。
「亀の手」は、B級映画「少林少女」で世界をつかむことができるのか?

ともあれ、ちょっと楽しみです。
少林少女3

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■キャスト
国際星館大学女子ラクロス部
桜沢凛(背番号0,AT):柴咲コウ
清水真実(背番号1,MF):山崎真実
近藤あさぎ(背番号2,MF):工藤あさぎ
北野佳奈(背番号3,AT):原田佳奈
国際星館大学教員
田村龍司(ラクロス部監督):岡村隆史(ナインティナイン)

岩井拳児(凛にラクロスを教えた師匠):江口洋介
謎の男(最強の敵らしい):仲村トオル

■スタッフ
監督:本広克行
脚本:十川誠志、十川梨香
音楽:菅野祐悟
エグゼクティブプロデューサー:亀山千広、チャウ・シンチー
プロデューサー:臼井裕詞、安藤親広、西冬彦、中島良明

-------------------------------------------------------------------少林少女





映画「椿三十郎」(森田芳光監督、12月1日公開)の興行収入が、
20億にも達しないという話らしい。
そもそも2ヶ月前の作品なのに、
もうほとんど世間の話題にもなっていないというのも、
その惨敗ぶりをあらわしているようで哀しい。
いやはや。
1962年に公開されたご存じ「黒澤明監督、主演三船敏郎」のリメイク版なわけで、
よくまぁ森田監督はこの仕事を引き受けたもんだと思う。かわいそうに。

この仕事の仕掛け人は、もちろん言わずとしれた制作総指揮の角川春樹氏。
このお方のなんとも理解に苦しむような企画に巻き込まれたわけだが、
興業結果はかなり悲惨ではある。東宝もさぞかしがっくりしていることだろう。
クランクアップの会見の席で、製作総指揮の角川春樹氏は、
目標興行収入について
「40億円は最低ラインとして考え、60億円を狙いたい」
なんて、木村拓哉の「武士の一分」(興業収入40億を突破)を
ライバル視した景気のいい発言もされていた。 
それが、この結果である。
しかも、まずいことには、
角川春樹氏は、個人的に大好きな黒澤監督作品のいくつかのリメイク権を
無理矢理取得してしまっているということで、
「椿三十郎」だけでなく、他の作品もリメイクしたくてしょうがないらしい。
きっとこの「椿三十郎」のリメイクについての監督依頼だって、
いろんな人間にもちかけたのだろうし、
当然ながらクロサワ物なので、ほとんどの監督たちは
怖じ気ついて断ってきたにちがいない。



その貧乏くじを人の良い森田監督が引き受けてしまった。
伊東美咲主演の「海猫」の時も、悲惨だったが、
今回だってほぼ失敗することは目に見えているにもかかわらず、
諸般の事情でメガホンをとって、世の中に出してしまった。


また、森田監督にとって、かわいそうなことに、
現在の日本の監督で、彼のかわりに時代劇をきちんと撮れる能力の持ち主もそうはいない。
森田監督だって初めてだし、
デビュー20周年を迎える織田裕二にとっても初の時代劇主演作だった。
とりあえずシナリオもほとんど変更しないで、リメイクしたわけだが…、
これも実は危険な賭けなわけで…、
実際、あまりにもシナリオ通りにやったために、
本家の黒澤作品よりも20分ほど長い作品になってしまっている。
要するに、黒澤監督が映画の切れ味を良くするために
カットした冗長な部分も再現されているので、なおさらゆるい仕上がりになってしまった。
ただ、織田君自体は、
「台本を読んだら45年前の作品と思えなかった。
(劇中で)イジメとか汚職とか、今を描いてるような作品」と
相変わらずのお気楽ぶりで、インタビューで答えていた。
シナリオがほとんど変わらないということは、
自然に役者の質が良くないと困るわけなのだが、
ここに新旧のキャストを比較して載せてみた。
一目瞭然で、
森田版「椿三十郎」のキャストの面々がいかにも幼く見えてしまう。

■新旧のキャストの対比
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椿三十郎:三船敏郎 ←→ 椿三十郎:織田裕二
室戸半兵衛:仲代達矢 ←→ 室戸半兵衛:豊川悦司
井坂伊織:加山雄三 ←→ 井坂伊織:松山ケンイチ
守島隼人:久保明 ←→ 守島隼人:富川一人
守島広之進:波里達彦 ←→ 守島広之進:戸谷公人
河原晋:太刀川寛 ←→ 河原晋:粕谷吉洋
関口信伍:江原達怡 ←→ 関口信吾:鈴木亮平
広瀬俊平:土屋嘉男 ←→ 広瀬俊平:中山卓也
保川邦衛:田中邦衛 ←→ 保川邦衛:一太郎
八田覚蔵:松井鍵三 ←→ 八田覚蔵:小林裕吉
寺田文治:平田昭彦 ←→ 寺田文治:林剛史
見張りの侍木村:小林桂樹 ←→ 見張りの侍木村:佐々木蔵之介
腰元こいそ:樋口年子 ←→ 腰元こいそ:村川絵梨
睦田夫人:入江たか子 ←→ 睦田夫人:中村玉緒
千鳥:団令子 ←→ 千鳥:鈴木杏
次席家老黒藤:志村喬 ←→ 次席家老黒藤:小林稔侍
竹林:藤原釜足 ←→ 竹林:風間杜夫
大目付菊井:清水将夫 ←→ 大目付菊井:西岡徳馬
城代家老睦田:伊藤雄之助 ←→ 城代家老睦田:藤田まこと

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■みなさん、きっとご存じだとは思うのですが、とりあえず「あらすじ」
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真夜中の森の中。
若侍たちが社殿に人目を避けるように集まり、ひそひそと相談している。
一人の若者が仲間に語りかける。
「次席家老の汚職を城代家老の睦田に告げたが意見書を破られ相手にされなかった」。
失望の色を浮かべる青年たち。
だが「大目付の菊井さんに話してみると『共に立とう』と答えてくれた」と続けると、
一転して場は喜びに沸く。

この脳天気に気勢を上げる若者たちの前に、
奥の部屋からアクビをしながら流れ者の浪人が現れる。
謀議を聞かれたと緊張する一同に、どこ吹く風のこの男はニヤニヤしながら
「岡目八目、菊井のほうこそ危ない」と語る。
その予想通り、実は悪家老の仲間であった菊井の手勢に社殿が取り囲まれるも、
この浪人の機転により若者たちは虎口を脱する。
自分たちの甘さを後悔する一同だが、
あくまで信念を曲げず命がけで巨悪にたち向かおうとする。
頭の固い若侍たちに一旦はさじを投げた浪人だが
「死ぬも生きるも九人一緒だ」の悲壮な声を聞くと、
思わず「十人だっ。お前たちのやることは危なくて見ちゃいられねえ」と怒鳴り、
城下へ一緒に乗り込む。

しかし、一枚上手の悪党たちはすでに藩政を掌握し、
世論を味方につけてしまっていた。
悪党一派との戦いの末に救出した城代家老の奥方と娘によると、
ご本尊の城代は敵の人質になっているという。
浪人と若者たちに助けてもらった睦田夫人はお礼を述べた上で、
容赦なく人を斬るこの風来坊の心に人間同士が作る社会への希望が無いことをたしなめ、
希望を持てば必ずよい結果になると優しく語りかける。
眩しそうに目を逸らしていた男だが、
改めて夫人から名前を聞かれると困った様子になり
「私の名前ですか。…つばき、椿三十郎。いや、もうそろそろ四十郎ですが」と
冗談とも本気ともつかない返事で空を見上げた。

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思うに、純粋な若侍集団の正義感と上司である悪党一派という
単純な構図をベースにしても、
何か工夫が入る余地はいっぱいあるはずなのに、
しなかったというか、できなかったんだよなぁ。
黒澤監督の時代より、
日本人が素直ではなく、
かなりめんどくさい生き物に変質してしまっているのが困る。
ホントに、残念。



ただ、角川春樹さんの性格上この程度のことではめげない…。
それどころか、
もっと悪化してしまうことをやらかすというのが典型的な行動パターンだったりする。
その証拠に、
黒澤監督の「隠し砦の三悪人」が50年ぶりに再映画化され、
嵐の松本潤が主演することが発表されている。
オリジナルは「スター・ウォーズ」に大きな影響を与えたというのも有名。
(C-3POとR2-D2のモデルになった役柄が存在している)
ヒロインを長澤まさみ、
阿部寛、宮川大輔らも共演。
今度のメガホンは、「日本沈没」(これもリメイクか)の樋口真嗣監督がとるのだそうだ。
第2の被害者というわけだ。

男勝りの姫の救出劇と敵中突破という物語。
樋口監督は、
「現代の観客に向けて作る上で、
フリーターやニートに代表されるような
自分のよりどころを探す若者の姿を反映する設定にしたかった」と語っている。

なんだかとても心配だ。

ちなみに、「椿三十郎」が失敗したおかけで、
東宝とフジのトップあたりから
「踊る大捜査線」の次回作を現実的に検討する指示が下るのではないかと思う。
「織田裕二で損した分を、織田裕二で取り返す」のでは。
きっと和久さんの葬儀から事件は始まる…。
まっ、これはかってな憶測です。
可能性は高いと思いますが。
ロスタイムライフ2

「ロス:タイム:ライフ」を観た。 

「人生はサッカーであり、サッカーこそ人生~Diego Maladona」。
もし、人生にロスタイムがあったなら…。
あなたは何をしますか?
サッカー中継さながら、実況付きで送るロスタイム。
審判にイエローカードを出されつつも人生の最後に、主人公がやり残したこととは…?

というわけで、脚本は、筧昌也さん。
第1話を観る限り、さすがフジ系列の深夜枠というか挑戦枠。
「SP」もよかったけれども、これはこれでなかなかいいんじゃないだろうか。
筧 昌也さんは、1977年生まれで、まだ31才。
若いですね。
日大芸術学部映画学科映像コースの在学中から、
アンダーグラウンド的な映像作品を作ることすでに20数本だそうだ。
1998年の作品『スクラップ』では、
「ゆうばりファンタ2000」入選。
2003年、「美女缶」で、
ゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリ受賞したという。

「ロス:タイム:ライフ」は、第1節から第9節に渡って、
主役がそれぞれ交代していく一話完結型のドラマ。
この形態は、独特の形式美みたいなものがあって、面白いのではないかと思う。
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①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分。
※この段階で、すでにロスタイムの使い方の布石をしなくてはならない。
主人公の生きる目的・理想、もしくは、負の部分、負い目、罪など

②主人公が、事件・事故もしくは病気によって死にかける場面
※なるべく主人公が無念な感じになるような死の設定がほしい。

③主人公がロスタイムを知らされて、とまどいながらも動きだす場面。
※主審と副審と掲示係が、なだれ込んでくる。残されたロスタイムの表示。

④自分のロスタイムの目的を果たそうと悪戦苦闘する部分。
※自分のために、ロスタイムを使うか。
  ※自分以外の人間のために、ロスタイムを使うか。
どちらにせよ、①での主人公の紹介部分の布石が効果的になるように。

⑤ロスタイムを使い切る段階での、主人公の変化または何らかの悟りを手にする。
※あがきながら、もがきながら、自分のロスタイムを消費しようとする中で、
何らかの真実や真理、または新しい状況に気がつくところがいい。

⑥エピローグ

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ロスタイムライフ3

この流れも、ストーリー展開の一種の黄金パターンでしょうか。
このパターンさえあれば、
筧さんでなくても「ロス:タイム:ライフ」の作品として、世に出せる。
というか、
さまざまな脚本家による知的なパズルのような形で競い合うのもいいのかもしれない。
すくなくとも人が生きている限り、
一人につき一つの「ロス:タイム:ライフ」が存在するのでしょう。
毎回土曜の深夜に、この物語がスタートする。
最初の①から②までの構成を観た瞬間に、
⑤に何が予定されているかを予想する。
そんな頭の体操というか心のトレーニングができそうだ。
今回の第1節のストーリー展開を上記の①~⑥にブロック分けしてみると。
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①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分。

中山春彦(瑛太)は「現場で死ねたら本望」と言う報道カメラマン。
事故や事件の現場では危険をかえりみず誰よりも前へ出て行って、
臨場感のある写真を撮ることだけを考えている。
今日も火災現場で逃げ遅れ泣き叫ぶ少年の写真を撮って夕刊紙に持ち込んだばかりだ。
ある日、
夕刊紙のデスク・篠田(小市慢太郎)からの「麻薬取引のガサ入れがある」という
情報を元に、とあるクラブに潜入した中山。
カメラを手に奥へ進むと、強面の男と鉢合わせしてしまう。

②主人公が、事件・事故もしくは病気によって死にかける場面
隙をついて逃げ出した中山だが、裏路地で別の男に発砲される。
ところが、中山が目を開くと弾丸がスローモーションになっており、
電光掲示板を掲げたサッカーの審判団が現れた。
提示された中山のロスタイムは4時間17分。

③主人公がロスタイムを知らされて、とまどいながらも動きだす場面。
自分の死と、ロスタイムを与えられた状況に戸惑いつつも、
人生最後の写真を撮るべく走り出す中山。

④自分のロスタイムの目的を果たそうと悪戦苦闘する部分。
しかしそう都合良く事件が起きるはずもなく、
スクープ写真を求めて街を歩く中山の前で
産気づいた妊婦(中込佐知子)が助けを求めてきた。
なりゆきで分娩室まで付き合った中山は、
帰り道に自分が撮ったものとは違う写真が夕刊紙に使われていることを知る。
篠田に激しく抗議するも、逆に写真の撮り方を否定され愕然とする。
憔悴して部屋に戻った中山は、
ふと5年前に別れた彼女・岩田百合子(吹石一恵)を思い出した。
残り時間は1時間15分、意を決して百合子のアパートまで行く中山だが、
チャイムを押す勇気がなかった。
そのため電話をかけると百合子から結婚して娘がいると聞かされた。
ロスタイムライフ4

⑤ロスタイムを使い切る段階での、主人公の変化または何らかの悟りを手にする。

そのまま近所の公園で落ち込んでいた中山は、
公園に遊びに来た百合子の娘と鉢合わせする。
会話をするうちにその子が自分の娘であることを察して驚愕する中山。
しかし、残り時間は10分をきり審判団に促されて発砲された現場に
戻ることになった中山は娘にカメラを渡す。
現場に戻ってきた中山が目をつぶると試合終了のホイッスルが鳴った…。


⑥エピローグ
その後、百合子の家には中山が撮った百合子と娘の写真、
娘が撮った中山の写真が並べて飾られていた。

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ロスタイムライフ5

今回の流れでいいのは、
夕刊紙のデスク篠田(小市慢太郎)によって、
「お前の写真には愛情がない」と言われる部分が伏線となって、
中山が最後に撮った愛情溢れる「百合子と娘」の写真という姿に結晶していく部分。
ベタであっても、こういう感じの流れがいい。
また、
自分の娘という存在に出会う前に、
他人の出産シーンに無理矢理付き合わさせられるのも、
一種の擬似父親体験みたいな伏線もあってよろしいのではないかと思う。
なにせ、いつも困っているような顔の瑛太君の表情もぴったり。
さすがに、娘に「らいか」と名付けるのは無理があるとは思うものの、
とりあえず、
脚本家としては上手なロスタイムの使わせ方だったのではないだろうか。
ロスタイムライフ6

第2節は、小山慶一郎君主演の刑事の物語だという。
予告されているあらすじから、物語全体を予想できるだろうか?
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①主人公の紹介と、主人公を取り巻く状況の説明部分。
新米刑事の都並浩太(小山慶一郎)は意気揚々と初出勤するが、
配属先が空き巣やひったくりを扱う捜査第三課と知って落胆する。
ドラマに出てくる刑事のように、凶悪犯を捕まえて取り調べることを夢見ていたのだ。
都並は引退間近のベテラン刑事・五味慎三(平泉成)について捜査に出かける。
何を追っているのかも知らされないまま、五味と一緒に喫茶店に入った都並。
と、窓越しに見える路上に怪しい男の姿をみとめるや五味は
目の色を変えて店を飛び出した。驚いた都並は後を追った。

②主人公が、事件・事故もしくは病気によって死にかける場面
袋小路に追いつめられた男は、
やおら拳銃を取り出し、都並に向かって発砲した。
とっさに都並も男に向け引き金をひくが・・・。
すると都並の目にロスタイムが表示された電光掲示板とサッカーの審判団が飛び込んできた。残された時間は3時間21分。男の指紋を採り、走り出す都並。男の素性を調べるうちに、男と五味の意外なつながりが見えてきて…?!

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すでに、第2節のあらすじもヒントのようにして、ここまで分かっている。
どんなドラマにすると面白いのだろう?
自分のためにロスタイムを使うのもいいが、
人のためにロスタイムを無駄に使ってくれないかなぁ。
ロスタイムの使い方の答えというのは、
それぞれの人間の人生観なり、価値観なり、
さらには大きな意味での智恵の度合いが、その成否をわけるような気がする。
などなど、いろんなことを思いながら、今週の土曜日まで過ごすのもおつなもんです。

ちなみに第1節の主人公が中山で、
第2節の主人公が都並ということは、
この後も三浦とか中田とか中村などのサッカー選手の名前で、
第9節まで行くのでしょうね。

ところで、
ロスタイムって、知っての通り、
サッカーなんかでは、選手の交代か、
負傷者の搬出などで空費された時間を指すのだけれども、
人生のロスタイムって、どこでどうやって生み出されるのだろう?

少なくとも負傷による入院期間ではないだろうし、
たとえば、
不条理にも誰かに裏切られた期間だとか、
神様が間違って、本人に与えてしまった試練の期間だとか…、

なにか気の利いた答えはないものだろうか?

とりあえず
次回も期待して観ましょうか。





伊東美咲1

今期の冬ドラマの視聴率の状態は、かなり厳しいですね。
制作サイドも一生懸命にやっているだろうに、どれもこれもそんなに面白くない。
いやはや。
昨年後半の「医龍2」、「ガリレオ」を楽しみしていた時期とは雲泥の違い。
本当にドラマ制作っていうのは難しいものですね。

現在段階では、「薔薇のない花屋」の独走というところ。
いいのかな、こんなんで。
米倉涼子の「交渉人」は設定の段階で壊滅状態だし、
黒木メイサの「1ポンドの福音」は面白いんだけど中身が薄いし、
伊東美咲の「エジソンの母」にいたってはキャストが空回りしているような状態…。
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薔薇のない花屋 19.93%  斉藤さん 15.90%   相棒(6) 15.57%
SP(エスピー) 15.37%   佐々木夫妻の仁義なき戦い 14.50%  交渉人 14.45%
貧乏男子 ボンビーメン 14.07%  1ポンドの福音 11.83%
エジソンの母 11.40%  鹿男あをによし 11.33%  ハチミツとクローバー 10.55%
だいすき!! 10.50%   未来講師めぐる 9.27%  あしたの、喜多善男 9.05%


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そんな中、ちょっとだけ楽しみにしているのが、
『ロス:タイム:ライフ』(2008/02/02スタート)と『一瞬の風になれ』のドラマ化。
(『ロス:タイム:ライフ』については、そのうちブログに書くと思います。)

『一瞬の風になれ』は、
作家佐藤多佳子による「陸上競技にかける高校生を描いた物語」で、
2007年に本屋大賞、吉川英治文学新人賞も受賞している。

フジテレビ系列で、2月25日(月)~28日(木)4夜連続で放送されるという。

主演は、ドラマ初主演となる内 博貴(神谷新二 役)。
中学卒業までは兄(錦戸亮)に憧れサッカーに勤しむ毎日だったが、
自分には努力ではどうにもならない壁があると分かり、
高校ではサッカーをやめてしまう。
同じクラスの根岸(遠藤雄弥)に誘われ、
親友の一ノ瀬連(長谷川純)と共に春野台高校陸上部へと入部。
陸上競技を通して描かれる青春。
(飲酒喫煙などで、謹慎していた内博貴の復帰作ということだが…)

■キャスト
神谷新二:内博貴
谷口若菜:福田沙紀
一ノ瀬連:長谷川純
根岸康行:遠藤雄弥
鍵山義人:五十嵐隼士
鳥沢圭子:谷村美月
守屋:北条隆博
桃内:中村友也
神谷健一:錦戸亮
三輪先生:内村光良

世界陸上1

走ることに対して、磨きをかけてきた者の走りはたとえようもなく美しい。
『一瞬の風になれ』の主人公たちは、リレーにのめり込んでいく。
そういえば、
昨年の「 IAAF世界陸上2007大阪」でも、
大会最終日のメインイベントは、4x400mリレー決勝だった。
ある種の贅沢な肉体の祭りだったなぁ。
満員のスタジアム全体も織田裕二も妙に大興奮していたわけだが、
やはり、鍛え抜かれたそれぞれのスプリンターの走りは、見事に美しかった。
さて、
原作の『一瞬の風になれ』では、
そんな陸上競技にかける高校生の美しさや爽やかさが大切に描かれている。
サッカーの天才である兄健一(錦戸亮)に対するコンプレックスと憧憬を抱きつつ、
そして、
陸上競技における天才ランナーである親友の一ノ瀬連(長谷川純)の背中を追いながら、
「走ることの美しさ」に目覚めていく主人公神谷新二(内博貴)。
もともと、描写が上手い佐藤多佳子さんの作品なので安心して読める。
大人にとっては、気恥ずかしい会話もないわけではないが、
ちょっとティーンエイジの頃を思い出すきっかけにもなるのでいいのではないだろうか。
天才を見つめながら、不器用な才能の持ち主が大きく成長する話でもある。
やがて、神谷新二は優れたランナーになっていく。
そんな若者の成長につきあってみるのもいいかもしれない。
自分自身の「青春」のために。
sekairikujyou1.jpg

例えば、こんな会話も自然でいい。16才の会話だ。
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「思いきり走れよ」
俺は連に話しかけた。
「なんでよ?」
連はだるそうに聞き返した。
「知りたいんだよ。おまえ、どのぐらい速いのか」
「なんでよ?」
なんでだろう?いきなり答えに困った。
「おまえは知りたくないのか?速い奴がいたらさ。そいつがどのくらい速いかって」
俺は懸命に考えてしゃべった。
「身体で感じてみたくないか?」
連は俺の目を見た。
「そうだな」
連はゆっくりと言った。
「おまえ、速いんだっけね」
「や、俺は…」
むくむくとふくらみかけた劣等感を必死で押しつぶした。引いたらイカン。
連からのこのパスをスルーすることは断じてナラン。
決定的な場面だ。もしかして。
「速いよ。わりと」
力をこめて言うと、連は吹き出した。なんで、笑うんだよ。
人が必死で真面目に決定的に…。
「スタート勝負だよ、50mは」
連は何気ない調子で言った。さらりと口にした「勝負」という言葉が耳に残った。
「勝負しよう」
俺は言った。負けるのわかりきってるけど。
連はまた俺の目を見た。奴は何も言わなかったけど、茶化したりはしなかった。


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女性の作家なので、
男同士の会話については、
きっと錯覚して美化している部分もあるのだとは思うのだけれども…、
とりあえず、上の部分だけでも読んでみると、やっぱい気恥ずかしいですか?
青春というもの自体がそもそも気恥ずかしいものなのだから、きっとそれでいいのです。

それでも、
原作を1巻でも読み終わると、
なんとなく走り出したい気分になりますね。
自分の体と相談しながら、
「自分なりに、
もっている筋肉の限界まで動かしてやらなければだめなんじゃないか?」
みたいな気分にさせられます。

ドラマ化についても、それなりに期待いたしましょう。

■佐藤 多佳子さんの主な作品
1989年、『サマータイム』で小説家デビュー。
1998年、『しゃべれどもしゃべれども』『ハンサム・ガール』
1999年、『イグアナくんのおじゃまな毎日』
2003年、『黄色い目の魚』
2007年、『一瞬の風になれ』



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