舞台の効果音

演劇、ドラマ、映画、効果音、音効、サントラ、サウンドトラック、 プレゼン、劇、学校祭、音楽、BGM、SE、音、曲、学芸会、学園祭、発表会など ドラマについてや場面に応じた音楽などの話題を中心としたブログです。

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第81回アカデミー賞授賞式が、
2月22日(日本時間23日)に開催されますね。
皆さんもご存じの通り、
外国語映画賞(Foreign Language Film)部門に、
『Departures おくりびと』がノミネートされていますね。
どうなるか分からないけれど、すでにこれだけでも充分に素晴らしい。
また、長編アニメ賞には、『Wall-E ウォーリー』がノミネート。
これがうれしい。
ウォーリー 8
これまでの映画観客動員数を調べてみると、
公開以来5度も首位になっているし、
まぁ、たまにちらりと「地球が静止する日」に首位の座を渡したけれども、
結局、「レッドクリフ Part1」とほぼ同じぐらいの興業結果を残しているわけだ。
凄いなぁ~。
メインの作品賞の結果よりも、『おくりびと』と『Wall-E ウォーリー』が
どうなるかの方がよっぽど気になってしょうがない。

子供も大人も楽しめるという点で、
『Wall-E ウォーリー』は、かなりの傑作なんだと思う。
もうちょっと世間でも、
それなりのお褒めの評価をいただいてもいい作品なんじゃないかと
思ってしまいます。
ウォーリー1
舞台は29世紀。
人間は、汚染され尽くした地球を捨て、
宇宙船「アクシオム(AXIOM)」で生活している。
オープニングで、宇宙空間から大気圏を突き抜け、
霞がっかった雲の層から透けて見える地球の地上がズームアップ。
巨大な摩天楼のような高層ビル群かと思いきや、
そのすべてがゴミの山だったというのがいい。
そんな林立する高層のゴミの塔を
たったひとりになっても処理し続けているロボット、それがWALL・E(ウォーリー)。
人類が地球を去ってから700年間!、
他の仲間たちが壊れて動かなくなっても、
ただ黙々とゴミを圧縮し、積み上げ、塔を建て続けてきた。 
ウォーリー6
前半のWALL・E(ウォーリー)の孤独。
その『孤独』の描き方がこれまた実にいい。
大都会に一人ぼっちで生活している律儀なサラリーマンみたいな生活だ。
身につまされる大人も多いことだろう。
そこそこ身ぎれいにしていて、
わりとしっかり暮らしている。
が、VTRでミュージカル『ハロー・ドーリー!』を
憧れながら、羨ましそうに観る毎日。
ほんとにこれって、独身男の孤独な生活ですよね。
この丁寧な描き方が、後半に向けて、
相手の指に自分の指を絡ませることで思いを伝える動機づけ
というか大事な愛情表現のための布石として、
非常に効果的なものとなっている。
この部分で昔の『ショートサーキットの№5』とは、
似て非なるものとなった。
ウォーリー4
ともあれ、まったくのセリフ無しで、
映像と効果音のみで表現される実に人間的なロボットの『孤独』…。
そんなのを観ていると、
「死は孤独であるかもしれない。
しかし、生きているほど孤独であるはずがない。」
なんてな厳しいことを精神科医のアクセル・ムンテが言っていたのを
ふと思い出してしまう。

ちなみに、
監督であるアンドリュー・スタントンは、
「主人公がひとりだけ地球上に取り残されたロボットというのがあり、
地球上に誰もいなくなるという状況がどんなものかを考えた時に、
住めないほどゴミが貯まってしまった世界にしようと思いついた。
そのゴミの山を片付けているロボットというのは、
人類の尻拭いしているようなところもあって面白いし、
彼がゴミの山から、
かつてどういう人類がそこにいたのかということを発見の過程も描けるからね」
と、語っている。
「ファインディング・ニモ」の制作中に、
アンドリュー・スタントンは、そんな発想を得ていたとは、いやはやではある。
大したもんだと思う。
ウォーリー5
そして、
ある日、上空から巨大な宇宙船が着陸し、
中から現れた白く輝くロボットEVE(イヴ)。
WALL・EとEVEとのやりとも非常に上手くできている。
それは、
WALL・Eのこれまでの孤独の終わりであり、
ともに生きる者たちとの新しい絆の始まりでもある。
特に、EVEが地球の再生のシンボルである植物を体内に収納したとたんに、
まったく動かなくなってしまう場面でのWALL・Eの動きが切ないなぁ。

再び訪れた孤独…

「孤独を味わうことで、
人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。
いずれにせよ、人格が磨かれる。」
byニーチェ

「孤独とは、港を離れ、海を漂うような寂しさではない。
本当の自己を知り、この美しい地球上に存在している間に、
自分たちが何をしようとしているのか、
どこに向かおうとしているのを知るためのよい機会なのだ。」
byアン・シャノン・モンロー
などと言った格言めいた言葉もあるけれど、
なんにせよ、WALL・EとEVEを観ていると、
『孤独』の重みを感じるぶんだけ、
他者と手つなぐことのぬくもりの有り難さと貴重さを思ってしまう。
そういう意味で、
この映画『Wall-E ウォーリー』は、
ファミリー向けのアニメなのかもしれないが、
非常に品格のある作品であり、
ピクサー社の作品の中でも相当に秀逸なものだと思う。
どうでもいいことなのかもしれないが、ぜひ、賞などひとつ手に入れてほしい。

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ウォーリー2

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アカデミー賞、ノミネート作品資料

作品賞[Best Picture]
[ノミネート]
●『The Curious Case Of Benjamin Button ベンジャミン・バトン/数奇な人生』
●『Frost/Nixon フロスト/ニクソン』
●『Milk ミルク』
●『The Reader 愛を読むひと』
●『Slumdog Millionaire スラムドッグ$ミリオネア』

長編アニメ賞[Animated Feature Film]
●『Wall-E ウォーリー』
●『Kung Fu Panda カンフー・パンダ』
●『Bolt ボルト』

外国語映画賞[Foreign Language Film]
●『The Baader Meinhof Complex』(ドイツ)
●『The Class』(フランス)
●『Departures おくりびと』(日本)
●『Revanche』(オーストリア)
●『Waltz With Bashir』(イスラエル)

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ウォーリー3




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フジ系列の『ヴォイス~命なき者の声~』(月曜後9・00)がスタートしましたね。
昨年の民放のTVドラマについては、
どういうわけかそんなに興味がひかれなくて、
結局のところ一年間を通して映画の話題を書きつないできちゃいました。
ところが、先日、TVをたまたまつけていて、
『ヴォイス』の冒頭を何の期待もなく観たら、
最初の3分ぐらいで、これはそれなりの実力の持ち主が作った脚本であり、
演出なんだなぁということをふと感じてしまいました。
不思議なもんです。
凄いというわけではないが、
そこそこのクオリティーを持っている。
そういうタイプのドラマなんだと思います。
ヴォイス 2
しかもドラマでの表現というか描き方のクセが、
どこかで観たことのある感じ。
「医大の法医学ゼミに所属する学生たちの奮闘を描く」
という遺体を題材にした法医学的なドラマのパターンは、
海外ドラマの『CSI』や『BONES』などにもあるけれど、
『ヴォイス』からうける印象はちょっと違う。
その妙な感触って何だろうとずーっと思っていたら、
これって2007年の4月からやっていた『プロポーズ大作戦』から
受けた印象と同じなんだなぁ。
全然シチュエーションも違うんだけれども同じ匂いがする。

もちろん調べてみれば、『ヴォイス』の脚本家は、
「プロポーズ大作戦」も手がけた金子茂樹さん。
脚本 - 金子茂樹
プロデュース - 瀧山麻土香、東康之
演出 - 成田岳、松山博昭、石井祐介
音楽 - 吉川慶
ヴォイス 21

なるほど~。
やっぱりね、人間って脚本上でドラマや会話を転がすためには、
それぞれやりすいベースというかパターンがあるんだなぁと思ってしまう。

瑛太の連続ドラマ及び月9枠初主演作『ヴォイス〜命なき者の声〜』の
キャストとドラマの基本となる会話の転がし方は、
突き詰めると『プロポーズ大作戦』と同質なわけで、
たとえば、以下のキャストの配置の仕方をご覧になっていただきたい。

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『ヴォイス』           『プロポーズ大作戦』
加地大己(瑛太)   ←→ 岩瀬 健(山下智久)
久保秋佳奈子(石原さとみ) ←→ 吉田 礼(長澤まさみ)
石末亮介(生田斗真)  ←→ 多田 哲也(藤木直人)
桐畑哲平(遠藤雄弥)   ←→ 鶴見 尚(濱田岳)
羽井彰(佐藤智仁)   ←→ 榎戸 幹雄(平岡祐太)
夏井川玲子(矢田亜希子) ←→ 奥 エリ(榮倉奈々)
佐川文彦(時任三郎)   ←→ 妖精(三上博史)
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いやはや構成的によーく似ています。
さらにもうちょっと抽象度を上げて分類すると以下のような感じ。
①物語の主軸であり(恋愛感情も含む)、柱となる主役とヒロイン
②会話のお笑い部分を担当しながら、会話に厚みをつける男のコンビ
③ヒロインとはちょっとタイプの違う女性キャラ1名
④イケメンで主役とは対極のタイプの男性キャラ1名
⑤物語の指針やテーマにまつわる台詞を担う年長者の役柄
ヴォイス 15
とにもかくにも、
①~⑤のキャラクターでドラマを動かすのが、
きっと金子茂樹さんにとってはやりやすいのでしょう。
金子さんは、これまでの脚本からしても実に頭がいい人なんだと思う。
たとえば、
単純で直線的になりやすい会話の部分を
ちょっとした小ネタの笑いのやりとりで緩和する技術が上手だ。
ヴォイス 3
さらに金子さんの特徴は、
あえて物語の「枠」を自分なりに定めて書こうとしている形跡があること。
『プロポーズ大作戦』ならば、主人公が過去に戻り、
彼女との距離を縮めようとして努力して、
不完全なままに現在にかえってきて、
思い出のスナップ写真が若干変わるのを見るという「枠組み」。

今回の『ヴォイス』ならば、当然ながらドラマごとに新しい遺体に直面し、
その遺体に秘められた真実を、
主人公らが想像力を駆使して追求する。
その追求の仕方を定型的な枠として定着させようとしている感じがする。
今回のドラマ作りの難しさは、
気の利いた「遺体の真実」のアイディアをどう捻り出すかですよね。
第1話なら、「手のひらを空に向けて死んだ中年男の真実」でした。
第2話は、
「生卵を入れたビニール袋を持ったまま、
自宅の近所で倒れていた35歳の男の真実。
しかも警察は急性の心臓死を疑うが、妻は、
最近までアメフトの選手だった夫が急死するとは信じられない。
東凛大の佐川は佐野の手に感電した痕を見つける。そこで…。」
これぐらいの予告を見ると、
自分だったら、どんなドラマにするだろうとついつい考えてしまう。
ふーむ、ハテ?、けっこうなパズルだ。

ともあれ、第1話「失われた命を救う医学」の平均視聴率は17.7% だったらしい。
好調な出だしですね。
第2話の内容を勝手に想像しながら、来週を待ちましょうか。
ヴォイス 20
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「別れの場に立ち会い、故人を送る。それは何より優しい愛情に満ちている…。」
                                             『おくりびと』より

1月8日、
「キネマ旬報」によると、2008年邦画第1位は『おくりびと』と発表された。
下馬評通りというのも何なのだが、
『おくりびと』は、
昨年公開された他の優れた邦画作品を一歩リードし、第1位を受賞した。
この映画は、身内の大切な誰かをおくった後に観ると、実にこたえる映画ではある。
「笑って、泣けて、深く心を打つ…、そんな映画をつくりたい!」
というのが、監督をはじめとする制作スタッフの願いだったのだそうだが、
それがまさに実現化した。
昨年の邦画界にはさまざまな良い作品が排出されている。
この『おくりびと』は、
コミカルな面とそれこそ品格のある部分がほどよく共存して、
いわば賞をとりやすいタイプの映画なのではないだろうか。
【邦画ベストテン】
第1位 おくりびと  第2位 ぐるりのこと。
第3位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
第4位 トウキョウソナタ 第5位 歩いても 歩いても
第6位 闇の子供たち 第7位 母べえ
第8位 クライマーズ・ハイ 第9位 接吻 第10位 アフタースクール
おくりびと8
さて、『おくりびと』の内容についてですが、

みなさんも感じられているように、
まずは映像が美しかったですね。

舞台になっているのは庄内平野。
時が流れ、季節が変化していくその様は、
まるでそれぞれの人間たちの一生にも似て、ほのかな哀愁も含まれているようだ。
苦悩しながらも、納棺師として成長して行く主人公大悟。
そして、
心に優しい緑の山河、
時折うちつける時雨、
目に鮮やか紅葉、
切なく降りしきる雪、
季節は巡って、再び満開の桜と風に流れる花びらたち、
どれもこれも、実に品の良い風景の中で物語は展開されていた。
登場人物たちも、ある種、風景の一部のようでした。
おくりびと10

ともあれ、チェロ奏者がひょんなことから納棺師に
なってしまうという伊丹十三監督風の企画は、
もとはと言えば、主演の本木雅弘さんがプロデューサーにもちかけたものだという。
「旅のお手伝い」という文句と高額の給料なんかに目がくらみ、
旅行代理店か何かではないかと勝手に勘違いして納棺師の事務所に入るところや、
本木くんが死体役で葬式のPVを撮られてしまうあたりは、
実に上手に描かれている。
おくりびと3
物語で描かれるさまざまな遺体たち、
老女の腐乱した遺体と現場の異臭…。
若い女性の遺体と思いきや性同一性障害で悩んでいたニューハーフの死化粧、
無念にも幼い子供を残して死んでしまった若い母親の死と家族、
女子高生のように憧れのルーズソックスを履かされるお婆ちゃんの遺体、
女好きで、けっこう家族に迷惑をかけたはずなのに、最後までモテモテのお爺ちゃんの亡骸。

大事な人が逝ってしまうのは、
それがどんな人物であれ、
当然ながらあまりにも悲しい…。
そんな悲しみに暮れる家族や親族を前に、
流れるような所作でことをすすめる納棺師。
葬式という日本的な美意識に満ちた儀式の中、
卓越した精神とそれを能のような一分の隙もない身体表現の見事さ。
山崎努も相変わらずクールな怪演でいいし、
脇役たちも地味にうまい。
まして、バックに流れる久石譲さんの効果音(チェロの作品)も、
これまた品良くはまっている。
おくりびと6

結局、映画を見終えると、
つい「広末涼子の演技が一本調子だ」とか、
「脚本の後半、30年ぶりに出会う父親の死と握りしめていた「石」にまつわるくだりは、
やや強引すぎて、もうちょっと脚本段階で
深めることができたのではないかと悔やまれる」
なんてなことも言いたくはなる。
ただ、そんな部分を圧倒的に越えて伝わってくるのは、
納棺師たちの遺体に対する「リスペクトの念」であり、
一つの人生の終焉をいかに大切に扱うかという思いやりの形だ。
最近の日本人がどこかに忘れてしまった感覚のひとつではないかと思う。

おくりびと7
エンド・タイトルでも再度見せてくれる本木くんの納棺の所作の美しさ。
この納棺の様子はなんと1カット長廻しで撮影されており、
編集も何もされていないことが充分にわかるだけに、
かなり凄みのあるものになっている。
この映画のためにチェロ演奏と納棺師のそれぞれの技術を同時にマスターし、
しかも相当に高いレベルにまでどちらも達した本木くんの努力はまさに賞賛に値する。

ご存じの通り、不況、派遣切り、パレスチナ情勢、火災や殺人、強盗事件、
定額給付金がなんやらなどというお粗末な政局の不安、
いやはや本当に殺伐とした時代ではある。
この時代に、
『おくりびと』で表現されていた死とそれへの対峙の在り方は、
改めて「生きていること」についてを考えさせられる。

そういえば、最近流行っているセラピー関係の書籍の最後にこんな一節があった。
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今日という日…。
「あなたがくだらないと、
思っている今日は、
昨日亡くなった人が
なんとかして生きたかった
なんとしてでも生きたかった
今日なんです」

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おくりびと9

※ちなみに、日本アカデミーでは、「優秀作品賞」に以下の作品が選ばれた。
『おくりびと』
『母べえ』
『クライマーズ・ハイ』
『ザ・マジックアワー』
『容疑者Xの献身』

最優秀賞については2月20日(金)に発表されるそうだ。
今回はけっこう粒ぞろいの作品群なので、どうなるかちょっと気になる。

ついに『天地人』がスタートしました。
昨年の『篤姫』は、これまでにない高視聴率を誇る物凄いドラマになっちゃいましたが、
この『天地人』はどうなるのでしょう?
天地人2
なにせ『篤姫』全50回の平均視聴率は24.5%!
まず、幕末を舞台とした大河ドラマとしても過去最高、
しかも過去10年の大河ドラマとしては最高の視聴率なのだそうだ。
恐るべし『篤姫』。
『篤姫』がなぜ良かったのかということについては、
主役の宮崎あおいをはじめとする役者たちが素晴らしかっただとか、
全話通じて「ホームドラマ」であり、それが分かりやすかったなどと、
その理由についてのご意見もさまざまだったりする。
でも、基本的にはベースとなる脚本が良かったのでしょうね。
あの分かりにくい宮尾登美子の原作『天璋院篤姫』を
魅力的なものに変化させた田渕久美子さんの力量たるや大したもんです。
ちなみに、私の知り合いの某脚本家くんは、
「篤姫なんかは何もドラマティックなことをしていなくて、
どこが面白のよくかわからない!無血開城だってそれほど大したことじゃない」と、
言い張るのですが…。
そういうのって、極論すると「戦争好きな男の意見」なんじゃないかと思う。
私の周りの女性陣は、ついつい録画した映像を何度も観てしまうという人ばかり。
「女の道は一本道」とか「人には役割がある」など、劇中に台詞として語られた思いが
きちんと50話の脚本の中に貫徹していたのが素晴らしいんですよ。
天地人1
あんまり世間の評論家たちが、
批評として言葉にしていないのが不思議なのですが、
この『篤姫』という物語は、
本質的には「人間関係改善」の物語なのだということですよね。
男たちの血なまぐさい戦闘のシーンなどはなくても、
篤姫がステップアップするたびに直面する人間関係について、
ともすれば敵対状態となってしまう人々との関係を、
彼女のまっすぐな言動によって打開していくさまが心地よかったのだと思う。
篤姫の前に何らかの障害として、
かつて立ちはだかった調所広郷、島津斉彬、英姫、島津斉興、
徳川斉昭、徳川家定、和宮、井伊直弼、徳川慶喜…など、
全員が篤姫と見事に融和していく。
天地人3
私たちの日常にふいに訪れる「戦闘」は、
刀の斬り合いでもなければ、殴り合いでもなく、
ただひたすらに「人間関係の悪化」、これしかない。
ご存じのとおり、人は会話している際には、同時に2種類の交流をしている。
一つは声に載せた「言葉」の交流であり、
もう一つは、言語にならない無意識的な「好悪の感情」のやりとり。
ドラマ『篤姫』における脚本・演出で特筆すべき優れた点は、
会話におけるその2種類の交流の変化を丁寧に描いたことにある。
そこにこそ人間関係に対して繊細な人(例えば女性の視聴者)が
このドラマに惹かれる部分であったのだと思う。
そして「家族」というもっとも絆の強い人間関係の描き方にほっとさせられた。
会社でも学校でも家庭でも、人間関係をとりむすぶのには大変で、
つねに悩まされる今という時代に、
まさにぴったり適合していたドラマだったのではないかと思う。天地人8
さて、前置きが長くなってしまったけれども、
これから続く『天地人』という物語、NHKの制作スタッフとしては、
当然ながら『篤姫』で成功した今という時代へのリンクの仕方を
なおさら意識してドラマ作りをしているのだと思う。
今回、それを端的に表現しているのが兼続の「義」と「愛」。
薄汚れ、欲望に満ちた「利」を求める数多くの人間たちの生き方と、
それとは対照的に、「愛」を重んじ、「義」を貫き通した直江兼続の生き方。
これが、今回のテーマとなるんですね。
世のサラリーマンが喜びそうな現代社会とのオーバーラップも当然意識しての主題。
原作は、火坂雅志さんの小説『天地人』。
脚本は、テレビ小説『どんど晴れ』を手がけた小松江里子さん。
天地人7
火坂さんの小説は、読んでみるとそれなりに楽しめるものの、
これを50話の脚本に直すとするならば、かなりの智恵がいる。

第1回「五歳の家臣」(75分)にしても、
まずは、秀吉と兼続とのやりとりで、
「利」と「義」のテーマ性をシンボリックに表し、
「義」を重んじる上杉謙信のキャラクターを
好戦的になっている上田衆とのシーンで描き、
主人公の与六(直江兼続)と喜平次(上杉景勝)との幼き日々の出会いとその家族を、
表現するという超過密な内容になっていた。
頑張っていたなぁ。
この大変な1本分だけでも、小松さんの実力がよくわかる。

期待できると思う。

天地人4
ただ、もともとの火坂さん小説の欠点なのだけれども、
次はどうなるのだろうというような意外性のある部分が足りない。
昨年の『篤姫』などでは、歴史の流れは予定調和で分かっていても、
どこらへんで「人間関係が改善されるのか」
という妙にハラハラドキドキさせられるような部分が意図的に用意されていた。
(ひとえに脚本のうまさによるのだが)
今回の『天地人』ではそのあたりをどう処理するのだろうか?
ちょっと気になる面ではある。
天地人6

また、第1回の中で、意図的に表現されている兼続の母お藤の「紅葉の教え」と
「北斗七星」のたとえは、原作にはなく脚本家小松さんの手によるオリジナル。
これが、50話を通して効果的に全編を貫けるだろうか。
さらには、与六(兼続)の泣くシーンが意図的に多い、
弱さと優しさを抱えた兼続がしだいに強く成長していくための布石のようにも思える。
子役の加藤清史郎くんの演技はかなり上手であったし、
その後を引き受ける妻夫木聡は、もともと泣き上手。
(ぐじゃぐじゃに泣いている妻夫木くんはかなり魅力的ではある)
弱さと人間味をさらけだした演技が、うまくはまってくれることを祈るのみだ。
オープニングから察するに、大がかりな撮影やCGなどについても見所は多い。
ちなみに、武田双雲くんの書がタイトル「天地人」だけでなく、
劇中の旗の「毘」や「龍」に使われていて、
いいんだけれども、それを見るとふと現代に引き戻されるような気分になる。

また、大島ミチルさんの効果音については、
これまでの仕事ぶりをからしてそんなに期待はできないし、
ある程度の平凡さでやむなしというところ。

さわやかに、清々しく、1年間を駆け抜けてくれたらとも思う。
何はともあれ、来週を楽しみにしたい。

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天地人5


新年あけましておめでとうございます!
新しい年になっちゃいました。
みなさんにとって、最良の年になりますように願っています。
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さて、今回は、第59回NHK紅白歌合戦について。

過去10年で最少の53組で行われた紅白。
昨年の58組と比較しても、その少なさは特徴的でした。
2003年では62組、2005年でも60組だったわけで、かなり少ない。
少数精鋭?という感じであり、エンターテインメント番組部の近藤保博部長さんによると、
「歌をじっくりと聴かせる紅白」ということなんだそうだ。
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確かに、下のそれぞれの歌手やグループの持ち時間も、
ほとんどが4分以上なわけで、過去の紅白に比べても珍しい状況だ。
(昔は、初出場だったら2分!という扱いの歌手もいた)
紅白での歌手たちの持ち時間にはご存じの通りいろんな意味合いがある。
たとえば、
その歌手のNHKにおけるステータスであったり、
制作サイドの歌手に対する視聴率への期待であったり、
芸能事務所の思惑や貢献度、今後の関係性であったり…などなど。
それはもう大変な重みがあるわけだ。
北山たかしさんなんかも、北島三郎事務所の強力なプッシュというかねじ込みが
あってこそそれなりの持ち時間をもらって、
舞台の上に立っていられるという、いやはや。
逆に、相変わらずNHKは、
「桑田佳祐」、「竹内まりや」、「B’z」ら大物たちに振られっぱなしで、
今回はとうとうドリカムさえも呼ぶことはできなかった。
結局、交渉で成功したのは、北京五輪のテーマを手がけたミスチルで、
下の持ち時間の一覧を見れば分かるとおり、6分~7分も彼らに渡し、
NHKでももっとも広い101スタジオで演奏していただくという
超VIP待遇とあいなった。
(結果的に、2分、3分、4、5分と、歌手に対してのランキング付けができあがっている。
ちなみに、5分の持ち時間が与えられれば一流歌手扱い)
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また、ジャニーズ事務所も、SMAPとTOKIOという2枠のしばりがずっと続いているため、
他の人気者たちはいつまでたっても紅白に出場できない。
そんなお家の事情というのか、お抱えの他の歌手やグループの不満のはけ口として、
今年も大晦日の民放で「ジャニーズ・カウントダウンライブ」に参加させるという処理を
せざる得ない状況が続いている。

ついでに、とうとうハロプロ枠もアキバ系枠も無くなった。ハロプロの衰退です、さらばモー娘。
小室哲哉の例に漏れず、時代の流れを感じさせられます。

NHKの「歌の力・ひとの絆」という路線は、
3年間もので、来年までのプロジェクトだそうだ。
それはそれでいいのだけれども、
ただね~、NHKの裏方の実力そのものの低下が今年は特に目立つ。
酷いですよ、今回は。
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企画力・展開力・運営力など、
日本の株価と同じようにことごとく低落傾向にあるみたいだ。
担当ディレクターやカメラ関係、舞台関係のスタッフのメンバーが、変わったのだろうか。
やたらと超基本的なミスが多い。
まず、単純なカメラの切り替えでも、
あたふたしながら大小のミスをやらかしていたのは明白。
舞台裏を見せるというのは、一つのおもしろい趣向ではあるが…。
意図せずに舞台裏を見せてしまうのは恥ずかしい。

さらにいくつかピックアップして述べると、
①舞台転換で右往左往しているスタッフがむやみにカメラの枠に入っていた。
 例えば、
 下手の花道での司会者と歌手との会話の場面で、
 舞台袖に出入りするスタッフの姿が入っていたり…。(これ、わざとですかね)

②審査員とのインタビューのカメラの前を人が通過。(ありえない)
または、スモークで審査員(松坂慶子)の顔が見えなくなりそうになる…。
 (予想していないのか、慎重さに欠けるのか)

③フロアカメラの担当者が下手すぎる。司会者や歌手をうまくとらえられない。

④北京五輪のオープニングの影響なのか分からないけれども、
 舞台バックのマルチビジョンによるCG映像などは、時には効果的だが、使いすぎ。
 引きの映像では良いが、
 歌手がアップになった際のバックとしては悲惨(ドットが汚い)。
 経済的で、転換の時間も短縮できる長所はあるにしても、
 今年は、NHKホールの舞台担当の名人芸的な技術がまったく見られなかった。 

⑤大道具の転換でのスタッフの罵声(指示する声)が密かにマイクに拾われていたり…。

そんな基本的なミスと並行して、もともとの企画の練り方が浅く、
エコ、2008年の話題、ブラジル移民100周年、エンヤなどと繰り出しても、
インパクトは少ないは、重みはないはで、どうしようもない。
 結局は、民放で売れた素材を「羞恥心」「相棒」のイメージに頼るしかない。
ただ、かといって、羞恥心&Paboの応援に来た一発屋系の芸人たち(小島よしお、
ダンディ坂野、金剛地武志、波田陽区)もぎこちなく、
特に、波田陽区なんかは、わざとかどうかは知らないが、
こけた上に他の芸人の旗竿で顔面を強打したりと、実に惨めだった。
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昨年の平均視聴率が39.5%、
平成11年までは少なくとも50%は越えていた怪物番組のはずだった。
今年はさらに、麻生首相の支持率のように落ち込むのだろうか。

とにかく紅白歌合戦は、良くも悪くも日本の「今」を表現してしまう番組ではあると思う。
NHK制作スタッフとしては、意図的に日本を盛り上げようとしたり、
不況を乗り越える人間同士の絆の力を表現しようとしたのかもしれないが、
無意識的に伝わってくるのは、得体の知れない不安だったりする。
昨年の食品偽装、金融不安、株価暴落、政局混迷、大量解雇などなど、
先行き不透明な変な胸騒ぎというか、
不安というのが意図せずに表現されてしまった「不況の紅白」であったように思う。

ただ、氷川きよしが歌い終わった段階で、予定よりきっと遅れていたはずだったのに、
最後の蛍の光の合唱のエンディングをぴたりと11:45に帳尻を合わせたのはお見事。
当たり前であるところに、実はそれなりの職人芸がまだ存在していたように思う。
結局、
仕事に対する丁寧さと誇りの堅持、これが課題なのではないだろうか。
日本人全体の「人間性の向上」が、
今の閉塞した状況の打開に必要なんだと、いまさらながら痛感させられた。

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前半 第1部
1浜崎あゆみ (10) 「Mirrorcle World」 4分
2布施明 (24) 「君は薔薇より美しい」 4分
3GIRL NEXT DOOR (初) 「偶然の確率」3分
4美川憲一 (25)「さそり座の女2008」4分
5 伍代夏子 (15) 「京都二年坂」3分
6北山たけし (4)「希望の詩」 4分
7 藤岡藤巻と大橋のぞみ (初) 「崖の上のポニョ」4分
8東方神起 (初)「Purple Line~どうして君を好きになってしまったんだろう?」 4分
9水森かおり (6) 「輪島朝市」4分
10 Aqua Timez (2)「虹」 4分
11 木山裕策 (初)「home」4分
12 秋元順子 (初) 「愛のままで…」4分
13 キマグレン (初) 「LIFE」4分
14いきものがかり (初)「SAKURA」 4分
15前川清「東京砂漠」4分
16川中美幸 (21) 「二輪草」 4分
ブラジル移民100周年
宮沢和史 in ガンガ・ズンバ & ザ・ブーム
「島唄~ブラジル移民100周年 紅白スペシャル・バージョン」
17 藤あや子 (16)「紅い糸」4分
18 WaT (4)「36℃」 4分
19 中村美律子 (13) 「河内おとこ節」 4分
20ポルノグラフィティ (7) 「ギフト」 5分
21 大塚愛 (5)「愛」5分
22 平井堅 (6)「いつか離れる日が来ても」 5分
23 坂本冬美 (20)「風に立つ」4分
24 秋川雅史 (3)「千の風になって」4分
SAVE THE FUTURE
エンヤ
「オリノコ・フロウ~ありふれた奇跡」
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後半 第2部
1Perfume (初) 「ポリリズム」 3分
2ジェロ (初) 「海雪」 4分
3SPEED (4) 「White Love (Re Track)」5分
4TOKIO (15)「雨傘」 4分
5 青山テルマ feat.SoulJa (初) 「そばにいるね」4分
6水谷豊 (初) 「カリフォルニア・コネクション」 4分
7 絢香 (3) 「おかえり」4分
8徳永英明 (3) 「レイニー ブルー」4分
9 倖田來未 (4) 「TABOO」4分
10 五木ひろし (38)「凍て鶴」4分
11 アンジェラ・アキ (3)「手紙~拝啓 十五の君へ~」5分
12森山直太朗 (3)「生きてることが辛いなら」4分
13( aiko (7)「KissHug」4分
14 羞恥心 with Pabo (初)「羞恥心~陽は、また昇る 紅白スペシャル」 5分
15 コブクロ (4) 「時の足音」5分
16平原綾香 (5)「ノクターン」 5分
17EXILE (4) 「Ti Amo」5分
18小林幸子 (30)「楼蘭」 5分
19 北島三郎 (45)「北の漁場」 5分
20一青窈 (5) 「はじめて」 5分
21 中島美嘉 (7) 「ORION」 5分
22Mr.Children (初)「GIFT」 7分
23 石川さゆり (31)「天城越え」4分
24SMAP (16)「この瞬間、きっと夢じゃない 紅白SP」 5分
25天童よしみ (13)「道頓堀人情」4
26森進一 (41) 「おふくろさん」 5分
27和田アキ子 (32)「夢」 5分
28氷川きよし (9)「きよしのズンドコ節」 5分
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