舞台の効果音

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『CHANGE』の脚本を担当している福田靖さんは、
きっと相当苦しんで、今回のシナリオを書き上げたのではなかろうか。
昨年の『ガリレオ』では、福山雅治をはじめとして、
出演するタレントの魅力を生かしつつ、
原作である東野圭吾の作品をベースにして独自の優れた構成力で作っていた。
本人もインタビューで、
「誰に対しても『面白いから見てみてよ』と視聴者の目線で勧めることができた作品」と答えていた。
そんな伸び伸びした感じとはちょっと違う印象を今回は受ける。
(この『ガリレオ』での福田靖は、
従来の自分の作風から脱皮しようとして成功した作品だったからなのかもしれない。)
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さて、『CHANGE』第1話の視聴率が23.8%だったということで、
「政治を題材にしたものとしてはなかなかのでき、さすが木村拓哉」とか、
逆に、「内容が薄すぎて、木村拓哉主演のドラマとしては最低だ」とか、
「春ドラマでは先行している『ごくせん』に完敗した」などと、
賛否両論といった感じで、各方面から言われている。

評論家であれ、視聴者でれ、見る側というのは本当に厳しいものだなぁと思う。
視聴率に関して言うならば、
木村拓哉さんご本人の存在感や芸達者ぶり、および人気は、相変わらずなので、
この視聴率という数字に影響を与えているファクターは、
ドラマの脚本や演出そのものなのでしょう。
個人的な興味でいうならば、『CHNGE』の脚本を担当している福田 靖さんが、
苦しみながらもどんな仕事をしたのか?という点にある。

世の脚本家という仕事はなんともはや切ないものがある。
そして、ともすれば過酷なテレビドラマ業界にあって、
「脚本家というのは、業界の消耗品になっているのではないか?」
と感じてしまう時もある。
これまで幾多の脚本家たちが一瞬脚光を浴びてすぐに売れっ子となり、
あっという間に使われなくなるというサイクルを何度も見てきた。
あまりにも辛い。本当にきついなぁ。
その冷酷なまでに厳しいサイクルは、
一発屋の芸人や歌手のそれより露骨だったりもするわけだ。

脚本家だって、物語を生み出す作家の一人であり、
心の中で追い求めているテーマは、そんなに多いわけがない。
例えば、太宰治の処女作『晩年』の短編たちと、
自殺の前に書かれた後年の『人間失格』を比較しても、
追いかけているテーマは、どんなに年月を経ても、
結局ほぼ同質のものだったりするのは、誰でもが知っていることだと思う。
ようするに次々に物語を連発して生み出すということがどんなに困難なことか。
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それでも、たとえば、
コメディーに強い三谷幸喜が「個人(集団)を特殊な状況に追い込む」
という思考法で、数々のドラマを生み出してきたとするなら、
それでは、今回の福田靖がこれまで作ってきたドラマに共通して、
ドラマの底辺に流していたテーマというか、モチーフというのは何だろうか?

現在46才の福田靖、1990年代半ばから脚本家に転身し、
脚本家としての代表作には、
知っての通り、HEROシリーズや救命病棟24時シリーズ、海猿シリーズがある。
そのどのドラマの中においても、ここぞというシーンには、
福田靖流のトーンが流れている。

例えば、映画1作目の『海猿』。
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訓練中、突然変化した潮流に流され、
潜水訓練中の仙崎のバディである三島が岩に挟まれてしまう。
深い海の底で、残されたボンベはひとつ。
しかも、片道分しかない。
だが、仙崎はバディである三島を決して見捨てなかった。
そして、仲間の訓練生たちも……。
訓練生であるために、規律上は救助にいけない、しかしもう時間はない。
わずかしないボンベの酸素も底を尽き、仙崎も意識を失いかけそうになった時、
すべてをかなぐり捨ててやって来た救助訓練生たちのシルエットが見える。

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海猿2

誰かを支えるために、海上保安庁の男たちが感情を表に出さず、
黙々と装備をし、全員が一斉に行動し始める…というのが実にいい。

そんな構成を抽象化すると、以下のようになる。
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①誰か(何か)のために、主人公は必死に活動する。
②その主人公のあまりの必死さのために、仲間たちとのトラブルを起こす。
③そして、事件。
④ぎりぎりまで主人公は努力するが、うまくいかない。
⑤そんな中、ついに仲間たちが主人公を助けるべく一丸となって行動する。
⑥その結末が、成功しても失敗しても、次につながる何かを手にする。

_______________________________________

だいたいこんな感じの構成が、
福田靖さんの心にある重要な骨子なのではないかと思う。
それが、形を変えながら変奏曲のようにして、
どのドラマでも見え隠れしている。
『海猿』のテレビヴァージョンでも、
映画2作目『LIMIT OF LOVE 海猿』でも同様の現象をあえて作っている。
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第十管区海上保安本部に異動となった海上保安官の仙崎大輔(伊藤英明)。
そこで、9階建てのビルに相当する大型フェリー「くろーばー号」の座礁。
愛車を心配して避難命令を無視していた海老原真一の避難誘導をしていた仙崎と
彼のバディ・吉岡(佐藤隆太)が、ガソリン漏れによる車両の爆発で避難路を絶たれ、船内に閉じ込められてしまう。
絶体絶命のピンチ。
最後まであきらめようとしない仙崎。
しかし、遂にフェリーが完全に沈没してしまう!
救出活動をあきらめかけていた本部の各スピーカーから、
待機させられ続けていた他の救難隊員からの、出動要請が次々に入ってくる。
待機命令を無視して、各救難部隊が独自にしかし一斉に救助活動を開始する。

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海猿1

仙崎の必死の活動を
見守り続けた名もない無数の男たちの命がけの救援という部分が、やっぱりいい。

しつこいようだが、最近の映画版『HERO』でもまた同じ。
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東京地検城西支部へと久利生公平(木村拓哉)が戻ってきた。
今回は、芝山検事(阿部寛)が起訴した過失致死事件を任される。
初公判で容疑者が犯行を全面否認するところから意外な展開を迎える。
刑事事件の無罪獲得数日本一という蒲生(松本幸四郎)が弁護を担当し、
背後に潜む事態の大きさを久利生は感じる。
それは代議士の花岡にが受け取ったとされる1億円の贈収賄疑惑の
アリバイに関わる裁判だったのだ。
苦闘の末、容疑者のアリバイを覆す携帯電話の写メールが発見された。
なぜなら、城西支部のメンバーが一丸となって、
火災現場で写メールを撮っていた無数の野次馬たちを調べ、
たった一枚の証拠写真を探り当てたからだった。

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HERO

仲間たちが久利生のために、
全力を挙げて可能性がゼロに近い証拠物件を探したという事実のもって行き方が、
やはり福田さんっぽい感じとなっている。

昨年の早い時期、福田さんの所に、
「木村拓哉主演で、政治家を題材にしたドラマを」というオファーがあったのだと思う。
ヒットを連発しながらも、
ドラマにしにくい「政治家」という題材で、
もし自分の得意技である「主人公を仲間たち(ある種の集団)が支える」という構成を
入れるとするなら、どのようにストーリーを運んでいくかをなどなど、相当悩んだはずだ。
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『CHANGE』の第1話での主人公朝倉の人物設定は、
①代議士の父を持ち、収賄事件をきっかけに政治に嫌悪感を持つ。
②子どもにもなめられる気弱な面を持つものの、人には好かれる。
③天体が好きで、星をよく眺める。

もうちょっと、キャラクターの設定にいくつかの要素がほしいし、
なんらかの傷やコンプレックスをつけた方がいいのかもしれない。
第1話が、薄っぺらく見えてしまった原因の一つが、早すぎる展開と人物設定の安易さだ。
ただ、これは、まだ間に合うし深めることは可能だ。

そして、主人公朝倉を最後に支えたのは、
朝倉が父の収賄事件を認め謝罪したことを受けて、
主人公に投票した名もない無数の有権者たちの投票行動とあいなった。
ただ海上保安庁の海猿のメンバーのように絵柄にはしにくいので、
直接的な感動につながらない。

ちょっと残念ではあるが、衆議院議員としての活動が主となる第2話を、
事実上の第1話としてスタートさせようとしているのかもしれない。
まだ、敵の姿も浮かび上がってこないし、
主人公朝倉を支えるのを最終的には「国民全体」にしようとするなら、
かなりの荒技が必要だ。難しい。
納得できるリアリティが必要なのだ。
しかも、その中にこれまでのような感動はあるのだろうか?
でも、
そんなことを考えると、シナリオ上の問題をきっと解決したであろう福田靖さんの
「答え」が非常に気になる。
もし、予想もしない答えを用意していてくれたらどんなにいいだろうか。
そういう意味でも、『CHANGE』は実に観たいドラマだと思う。

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