舞台の効果音

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「THE有頂天ホテル」から、約2年。
三谷幸喜監督の最新作
「ザ・マジックアワー」(2008年6月7日全国東宝系ロードショー)が、
公開されてから1週間以上がすぎた。
ご覧になった方も多いのではないかと思う。
素敵な作品でしたね。
笑える場面も上手にちりばめられており、
まさに上質のコメディーとなっていました。
公開2週間前から、
三谷幸喜監督自らがこれでもかというぐらいに行ったプロモーション活動も
身内や家族から「もういいんじゃないの」と言われるほどだったらしいけれども、
それなりの意味があったのではないかと思う。
個人的な感想としては、
この映画『ザ・マジックアワー』は、ラブレターみたいなもんだと思う。
映画という名のマジックアワー的な瞬間を生み出す映画屋たちと
そんな魔法の時間をとことん愛してきた数多くの映画ファンに宛てた
三谷幸喜からの心を込めた手紙。
マジックアワー2

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「赤い靴」の支配人を任されている備後は、
ギャングのボスの情婦マリに手を出したのがバレて窮地に陥る。
5日以内に伝説の殺し屋であるデラ冨樫を
探し出して連れて来なければ、殺されてしまう羽目になってしまう。
結局、備後は売れない俳優村田大樹を騙して殺し屋デラ富樫に仕立てることにする。
備後に主演映画を撮りたいと騙された村田は、
とうとうこのギャングの町守加護へやってきて、腑に落ちないストーリーの中、
必死に演技を始めるのだった…。
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三谷幸喜監督曰く、
ストーリーを考えている時に、
なぜか突然に「佐藤浩市がトランポリンで跳ねている」という映像が浮かんだという。
しかも、
「今回の映画はコメディーの要素が5、
人間ドラマ4、犯罪ギャング映画が1,アクションが1」ということなのだそうだが、
全部足して、どういうわけか11になってしまっているのも彼らしい。
個人的な感想としては、もしこの映画を2度以上観ると、
「人間ドラマ」の割合が「コメディー」の割合を越えてしまうのではないかと思う。
お笑いやコメディー抜きで、
「人間ドラマ」の側面だけでこの映画を見るならば…、
マジックアワー3

観客としては、当然ながら売れない役者村田大樹(佐藤浩市)の視点に立つわけで、
憧れの映画『暗黒街の用心棒』を思い浮かべて語ったり、
お守りにしている映画スタジオの歴史がこもった布きれを
握りしめているシーンなどには、哀愁とシンボリックな意味が込められている。
ましてや、村田大樹がひとりぼっちで映画館において、
『暗黒街の用心棒』を観ているシーンはなんだかとても哀しい。
そんな彼の心情を考えながら観てしまうと素直に笑っていいような場面も、
微妙にその笑いの質の意味合いが変わってしまって、
やたらと切なくなってしまう。
自分の顔が銀幕にアップになっているのを思わず見た時の村田の表情…、
また、かつての名優高瀬充(谷原章介→柳沢慎一)に出会う場面も、
どれもこれもが哀しく愛おしい。
それは、三谷監督自身の映画に対する憧憬や敬意を
村田大樹という役柄に背負わせているからなのだが、
監督自身が意図した設定以上に存在感があって、
「売れない役者村田大樹」という役柄が、
勝手に一人歩きをし始めているのではないかと思う。
マジックアワー1

それにしても、タイトルの「ザ・マジックアワー」とはいい題名ですね。
このタイトルになったきっかけは、
「THE有頂天ホテル」の撮影をしていた際に、
担当のカメラマンの山本英夫さんに、
「夕方、日がなくなった直後に撮ると一番きれいな夜が撮れる。
それを僕らはマジックアワーと呼ぶんです」と
教えてもらったのきっかけだったと三谷幸喜監督は言っている。
この「マジックアワー」という言葉には、
いろんな意味が込められているように感じますね。
「役者として」のマジックアワー、
「映画スタッフとして」のマジックアワー、
「人生として」のマジックアワー、
そして、「映画という表現方法」そのものが一種のマジックアワーであると。
マジックアワー5

ちなみに約2ヶ月の撮影で、今回もカメラを担当した山本英夫さんは、
ファインダーを覗きながら、この映画の撮影は本当に疲れたという。
「誰ひとりとしてテンションの低い人がいなくて。
そういう芝居をずっと見ていると、カメラマンってすごく疲れるんですよ。」と。
いつになくお茶目な佐藤浩市や
前半戦のシーンでアドリブを封印された西田敏行も、
騙す備後を演じた妻夫木聡のこれまで演じたことのない詐欺師的な味わいも
なかなか新鮮だった。
また、撮影に入って、
踊るだけだったはずなのに歌も歌うことになってしまった深津絵里の
「I’m  Forever Blowing Bubbles 」(『ギター弾きの恋』99年ウディ・アレン監督)
にも、山本カメラマンはしびれたという。
もちろん寺島進演じるジェントルなギャングの黒川もいい。
その上、中井貴一、唐沢寿明ら主演級の豪華な役者陣も
ワンポイントで登場する劇中映画の数々のシーンにおいても、
やっぱり役者たちの力が妙に入っている映画だったのではないだろうか。
その一つ一つの積み重ねが、
「かつての映画スタッフたちが、必死に関わってきたドラマ」への
オマージュになっている。
マジックアワー6

ただ、プロの脚本家であっても、
まだプロの映画監督ではないと自覚している三谷監督。
自分の映画監督として壁を打ち破ろうとした努力の跡が映画には見え隠れする。
たとえば、
これまでの3作品で多用していた得意技のワンシーンワンカット撮りの手法も放棄して、
なるべく映画風に撮ることを目指してきたという。
そして、
悩んで、疲れて、神経をすり減らしたあげくの果てに出現した「守加護」という架空の町。
美術の種田陽平が手がけた守加護の街のセット。
これは、見事だった。
「港ホテル」
「クラブ赤い靴」
「パラダイス通り」
「天塩ビル」…
リアルで贅沢な一級品のセット数々で、
日本の映画の歴史にも名を残すようなセットだと思う。
でも、それは、結局は「つくりものの町」。
まさに映画のセットのような港町を舞台に、
ウソの映画撮影を交えながら登場人物の心情を表現していく。
「この町は、映画のために作られた嘘の町なんだということを、
観客に意図的にばらすようにも作った」と種田さんは言っている。
「リアル」と「非リアル」との間をどのへんに置くかということが、
大きな課題だったという。
もともとギャングの抗争などという設定も含めて、
「日常を越えたリアリズム」にしなければ成立しない舞台となった。
マジックアワー4

この『ザ・マジックアワー』の劇中の監督役に故市川崑監督が出演している。
モニターの前にディレクターズチェアに座っている市川監督のまわりに、
本物の市川組のスタッフが取り囲んでいた。
もちろん三谷監督としても、
異常に気を遣って撮影していたらしい。
『ザ・マジックアワー』の中に、
市川監督ご本人の「スタート!」や「カット!」の声や姿がフィルムに残された。
撮影を終え、
三谷監督の映画監督ぶりを見ていた市川崑監督は、
「あなたの現場を見て、
初めて映画監督っていうのは重労働なんだってことを知ったよ」
と、笑顔で語ったという。

その笑顔こそは、
三谷監督が映画に向けて差し出した「ラブレターに対する返信」の一つではないかと思う。
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マジックアワー7


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