舞台の効果音

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映画『容疑者Xの献身』とテレビドラマ土曜プレミアム『ガリレオΦ』を観た。

まず映画『容疑者Xの献身』の原作は、
ご存じの通り東野圭吾の推理小説。
第134回直木賞受賞作でもあるという。
かつてこの『容疑者Xの献身』をめぐる本格ミステリーかどうかの論争も
あったぐらいで、それなりの価値のある作品ではある。
読んでみると、
犯罪トリックなどについても巧妙な伏線があり、
同時に人物描写もいつになくいい。
東野圭吾さんの作品にしては、良くできているようにも思う。
容疑者Xの献身
しかし、映画『容疑者Xの献身』を観た後の感想としては、
これは『ガリレオ』ではない。
湯川学という主人公をはじめとして、脇役もほぼ同じなのにである。
個人的な感想としては、もともと東野圭吾の作品は、
どれもこれもアイデア勝負だけで、本当の意味での深みや面白みがない。
そういう彼の長編『容疑者Xの献身』が映画化されるとするならば、
制作スタッフと脚本家はどうするのか?
それが、事前から興味のある点であった。
テレビドラマ『ガリレオ』シリーズ全10話は、
2007年フジテレビ10月クールで放送され、
平均視聴率は、21.9%という驚異的な数字を残している。
その人を惹きつける作品になった原因は、
プロデューサーをはじめとする制作スタッフや脚本家のアイデアによって、
東野圭吾の作品を換骨奪胎したり、構成を変化させたことにある。
なのに今回の映画『容疑者Xの献身』は、
かなりの面で東野圭吾の原作にほぼ忠実な進行の仕方となっていた。
テレビドラマでの『ガリレオ』の黄金パターン形式はとっていなかった。
ちなみに、この黄金パターンというのは、私が勝手に言っているだけのことなので、
ちょっとだけ紹介しておきます。
容疑者Xの献身6
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①殺人事件が起こる。
(それは、通常の殺人事件に比較して、
超常現象的要素を感じさせるものでなければならない。
それが、薫(柴咲コウ)が湯川のもとに行く建前となる)
②湯川学(福山雅治)のもとで事件の概要を説明する薫。
(ここでは、湯川こと福山君の魅力を引き出す何かをさせていなければならない)
③湯川と薫の調査。
(ここでは、事件の本質もさることながら、
二人の資質の差が(感情的なタイプと論理的なタイプ)が
もたらす妙な会話が展開されなければならない)
④そして、湯川が事件を解くカギに気がつく。
 (なぜか、数式をそばにあるもので変人っぽく描く。)
⑥湯川の推理を実証する場面。
(謎解きの部分になる。作家にとっては、アイデアが要求されるのでつらい)
⑦湯川と薫の二人のシーン。
 (事件にまつわる小ネタで集結)
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容疑者Xの献身2
ともあれ、映画のシナリオ上の骨格は、基本的には原作通りになってしまっていた。
なぜなんだろう?

今回の脚本も担当しているのはあの福田靖。
このお方の昨今の仕事ぶりは凄まじい。
テレビシリーズでのガリレオ(2007年、フジテレビ)、
CHANGE(2008年、フジテレビ)
上海タイフーン(2008年、NHK)
ドラマ土曜プレミアム『ガリレオΦ』(2008年、フジテレビ)
そして、映画では、
HERO(2007年)、犯人に告ぐ(2007年)容疑者Xの献身(2008年)
20世紀少年(2008年)などなど、もうたまらなく大忙しだ。
まさか、忙しいから原作通りの脚本にしたわけではあるまい。
上層部からの指示なのか、
直木賞作品という部分に敬意を表したのか、それは分からない。
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30代の花岡靖子は離婚経験があり娘美里とアパートでの二人で暮らしている。
靖子の元夫が富樫慎二が彼女の居所を突き止め、
訪ねてきた。
昔同様に暴力を振るう富樫を殺してしまった靖子と美里。
殺人後の放心状態の母子に救いの手を差し伸べたのは、
隣人の天才数学者石神だった。
そして12月3日、
富樫の死体の発見。
警察は花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、
捜査が進むにつれ、アリバイを崩せなくなってしまう。
困り果てた草薙刑事と内海は、
友人の天才物理学者、湯川に相談を持ちかける。
すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。
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この脚本で、福田さんが原作に対して大きく手を加えた部分は、
湯川と石神が映画の後半で冬山を登山をするシーンだ。
この場面は原作にはない。
こういうあたりに、福田靖の脚本家としての意地みたいなものを感じる。
これも私の勝手な推測だが、
福田さんは、「東野圭吾の描いた湯川学の物語は面白くない」と
思っているはずだ。
また、物語に対しての理解力は、
東野圭吾よりも自分の方がはるかに能力は高いと思っているのではないかとも思う。
「東野圭吾の作品をテレビドラマ化するにあたっては、常に構成を変えなくてはならない。
特に「起承転結」で言うならば、「転」の部分を強化しなくてはならない」と、
思い続けてきたのだと思う。

それが、今回でいうなら、それが登山のシーンなわけだ。
数学と物理の世界で孤高のふたり。
そして、特に石神の心象風景である孤独、二人が対峙する環境を
どうしてもこのような場所に設定したくなったのではあるまいか。

また、『容疑者Xの献身』は、重厚な人間ドラマとは世間的に言われているものの、
東野圭吾というのは、自分のアイデアを生かし切れない作家のようにも感じる。
その典型的な例が、
数学の天才石神が学生時代から取り組んでいた「四色問題」の
取り扱いだ。
(ちなみに、今は四色定理。
いかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗るには
4色あれば十分だという定理)
「四色問題」は、石神という男を表現するには、
実にシンボリックだ。
隣り合う者とはいつも同じにならない…、
四色問題は石神という孤高で孤独な男を説明するのには最高の材料なのに、
なぜか本来の原作を読んでもイマイチ伝わってくるものが少ない。
気がつかない人もいるかもしれないというぐらいだ。
それを鮮やかに、福田靖での脚本では表現している。
この技術、大したものだと思う。
容疑者Xの献身3

同じく「P≠NP問題」や「歯車」という例えなども、
東野さんより切れよく表現している。
こんな箇所にも福田さんの意地とプライドが表れているように思うが、
どちらにせよ『容疑者Xの献身』が、
自分の好みの面白さを備えないと感じていたのだろうと思う。
季節は寒々とした冬であり、
献身とはいってもあまりにも哀しく独善的な献身…、
苦悩するがゆえに年齢不詳の湯川(福山雅治)でさえも、
スクリーンにおいて石神同様に老けてしまったように感じる。
ようするに、
TVでの軽快でポップなテイストがなくなってしまっている。

と、そんなことを思っていたら、
草薙が湯川の才能にじかに触れるきっかけとなった、
大学時代のとある出来事も描かれるスペシャルドラマ『ガリレオΦ』が
10月4日に『容疑者Xの献身』の公開日と合わせて放映されていた。
こういうのって異例なことだと思う。
「作風もさることながら、
秋から冬にかけて撮影された映画と、
この夏に撮影されるドラマは、絵柄の風合いも全く異なりますし、
いろんな意味で対極にある作品となるはずです。
一つの世界観を共有しながらも、どこまで彩りの異なる作品が生まれるのか、
是非とも注目していただきたい。」と、鈴木プロデューサーは語っている。
一つの世界観の中で描かれる、二つの異なる『ガリレオ』ではあるものの、
こちらのテレビ放映の方が、
テレビならではのいい加減さやお笑いの部分を含めて、
本来の『ガリレオ』なのだと制作サイドが主張しているようで、
妙な感じではある。
もしかすると、『ガリレオ』は、東野圭吾の著作権の問題をクリアしつつ、
やがてフジのお抱えの脚本家たちによって、
オリジナル作品として生み出されることになるかもしれない。

ちなみに、NHKは10年1月から放送予定の「大河ドラマ」が、
「龍馬伝」に決まったと発表。脚本を担当するのは福田靖。
これもまた、頭脳の限りを尽くして50話ほどの脚本を描くことになるのだろう。
恐るべきことだと思う。
容疑者Xの献身4


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