舞台の効果音

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「別れの場に立ち会い、故人を送る。それは何より優しい愛情に満ちている…。」
                                             『おくりびと』より

1月8日、
「キネマ旬報」によると、2008年邦画第1位は『おくりびと』と発表された。
下馬評通りというのも何なのだが、
『おくりびと』は、
昨年公開された他の優れた邦画作品を一歩リードし、第1位を受賞した。
この映画は、身内の大切な誰かをおくった後に観ると、実にこたえる映画ではある。
「笑って、泣けて、深く心を打つ…、そんな映画をつくりたい!」
というのが、監督をはじめとする制作スタッフの願いだったのだそうだが、
それがまさに実現化した。
昨年の邦画界にはさまざまな良い作品が排出されている。
この『おくりびと』は、
コミカルな面とそれこそ品格のある部分がほどよく共存して、
いわば賞をとりやすいタイプの映画なのではないだろうか。
【邦画ベストテン】
第1位 おくりびと  第2位 ぐるりのこと。
第3位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
第4位 トウキョウソナタ 第5位 歩いても 歩いても
第6位 闇の子供たち 第7位 母べえ
第8位 クライマーズ・ハイ 第9位 接吻 第10位 アフタースクール
おくりびと8
さて、『おくりびと』の内容についてですが、

みなさんも感じられているように、
まずは映像が美しかったですね。

舞台になっているのは庄内平野。
時が流れ、季節が変化していくその様は、
まるでそれぞれの人間たちの一生にも似て、ほのかな哀愁も含まれているようだ。
苦悩しながらも、納棺師として成長して行く主人公大悟。
そして、
心に優しい緑の山河、
時折うちつける時雨、
目に鮮やか紅葉、
切なく降りしきる雪、
季節は巡って、再び満開の桜と風に流れる花びらたち、
どれもこれも、実に品の良い風景の中で物語は展開されていた。
登場人物たちも、ある種、風景の一部のようでした。
おくりびと10

ともあれ、チェロ奏者がひょんなことから納棺師に
なってしまうという伊丹十三監督風の企画は、
もとはと言えば、主演の本木雅弘さんがプロデューサーにもちかけたものだという。
「旅のお手伝い」という文句と高額の給料なんかに目がくらみ、
旅行代理店か何かではないかと勝手に勘違いして納棺師の事務所に入るところや、
本木くんが死体役で葬式のPVを撮られてしまうあたりは、
実に上手に描かれている。
おくりびと3
物語で描かれるさまざまな遺体たち、
老女の腐乱した遺体と現場の異臭…。
若い女性の遺体と思いきや性同一性障害で悩んでいたニューハーフの死化粧、
無念にも幼い子供を残して死んでしまった若い母親の死と家族、
女子高生のように憧れのルーズソックスを履かされるお婆ちゃんの遺体、
女好きで、けっこう家族に迷惑をかけたはずなのに、最後までモテモテのお爺ちゃんの亡骸。

大事な人が逝ってしまうのは、
それがどんな人物であれ、
当然ながらあまりにも悲しい…。
そんな悲しみに暮れる家族や親族を前に、
流れるような所作でことをすすめる納棺師。
葬式という日本的な美意識に満ちた儀式の中、
卓越した精神とそれを能のような一分の隙もない身体表現の見事さ。
山崎努も相変わらずクールな怪演でいいし、
脇役たちも地味にうまい。
まして、バックに流れる久石譲さんの効果音(チェロの作品)も、
これまた品良くはまっている。
おくりびと6

結局、映画を見終えると、
つい「広末涼子の演技が一本調子だ」とか、
「脚本の後半、30年ぶりに出会う父親の死と握りしめていた「石」にまつわるくだりは、
やや強引すぎて、もうちょっと脚本段階で
深めることができたのではないかと悔やまれる」
なんてなことも言いたくはなる。
ただ、そんな部分を圧倒的に越えて伝わってくるのは、
納棺師たちの遺体に対する「リスペクトの念」であり、
一つの人生の終焉をいかに大切に扱うかという思いやりの形だ。
最近の日本人がどこかに忘れてしまった感覚のひとつではないかと思う。

おくりびと7
エンド・タイトルでも再度見せてくれる本木くんの納棺の所作の美しさ。
この納棺の様子はなんと1カット長廻しで撮影されており、
編集も何もされていないことが充分にわかるだけに、
かなり凄みのあるものになっている。
この映画のためにチェロ演奏と納棺師のそれぞれの技術を同時にマスターし、
しかも相当に高いレベルにまでどちらも達した本木くんの努力はまさに賞賛に値する。

ご存じの通り、不況、派遣切り、パレスチナ情勢、火災や殺人、強盗事件、
定額給付金がなんやらなどというお粗末な政局の不安、
いやはや本当に殺伐とした時代ではある。
この時代に、
『おくりびと』で表現されていた死とそれへの対峙の在り方は、
改めて「生きていること」についてを考えさせられる。

そういえば、最近流行っているセラピー関係の書籍の最後にこんな一節があった。
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今日という日…。
「あなたがくだらないと、
思っている今日は、
昨日亡くなった人が
なんとかして生きたかった
なんとしてでも生きたかった
今日なんです」

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おくりびと9

※ちなみに、日本アカデミーでは、「優秀作品賞」に以下の作品が選ばれた。
『おくりびと』
『母べえ』
『クライマーズ・ハイ』
『ザ・マジックアワー』
『容疑者Xの献身』

最優秀賞については2月20日(金)に発表されるそうだ。
今回はけっこう粒ぞろいの作品群なので、どうなるかちょっと気になる。

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