舞台の効果音

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レッドクリフ 4

再び春は巡ってきて、
『レッドクリフ Part Ⅱ/未来への最終決戦』も4月10日に公開。
赤壁の戦いも、やっとクライマックスに突入するわけで、
孫権軍と劉備軍との連合軍vs曹操の大軍の戦いがダイナミックに描かれる。
いいですね~。
レッドクリフ 7
それにしても、ジョン・ウー監督っていう人は、
この映画で何を伝えたかったのだろう?
ふと思ってしまう。

早くも『レッドクリフ Part Ⅱ/未来への最終決戦』の試写会などを経た人たちから、
さまざまなレビューが寄せられている。
ただ、その多くは映像は素晴らしいものの、
脚本があまりにも弱いという批評が多い。
それは、前作の 『Part Ⅰ』においてもそうだったけれども、
特に今回は散々な言われようだ。
レッドクリフ 6
かつて香港時代に監督したアクション映画でブレイクしたジョン・ウー監督。
アクションシーンにおいて、たとえ暴力的で血なまぐさい場面であっても、
非常に美しく撮影する。
その美意識のために、
「バイオレンスの詩人」と言われていることは周知の事実。
いわゆるジョン・ウーアクション。
彼の作品で多用されたアクション表現のパターンとしてよく挙げられるものは、
・ 両手に銃をもって華麗に立ち回る「二丁拳銃」アクション
・ 戦闘中に飛ぶ白い鳩
・ 同時に拳銃を向け合う2人の人物
・立て続けのカット割りからのスローモーション
そんなことは、多くの人が知っているわけであり、
今回の『レッドクリフ』においても、銃を剣や槍に変え、同じ手法で挑んでいる。
ご本人は、自分は「暴力否定論者」だと語っているし、
スラム街で育った子供の頃に、
まわりから暴力を受けたという嫌な思い出がたくさんあるらしい。
暴力の残酷さを訴えたいとか、
「鳩」には、「平和」の意味を込めているともインタビューなどで答えている。
レッドクリフ 12

だが、その割にはどうも根っからのアクション好きなんではないだろうか。
それは戦争反対と主張する哲学者や思想家などに、
意外と戦車好きや戦闘機マニアが密かにいたりするのと同じなのではないかと思う。
むしろ、徹底的に暴力を描き、その中でしぶとく生き抜いていくヒーロー的な存在に
何かしら自分の憧れを投影しているかのように思えてならない。
周瑜(トニー・レオン)と孔明(金城武)などについては、
きっと監督自身がスラム街の中で、
虚弱でみじめな自分を忘れるために、
わくわくしながら読んでいた子供の頃の思い入れが、
ストレートに表現されているんだろうと思う。
レッドクリフ 3
しかも超人的に強くて格好いい趙雲子龍などは、
特にジョン・ウー監督のお気に入りなんだろうし、
だから、三国志の後半に登場してくるはずの趙雲と赤壁時代の周瑜が、
本来だったら出会うはずもないのに、一緒になって戦ったりしている。
監督の自分の子供の頃のコンプレックスを昇華させたものが、
『レッドクリフ』なんでしょうね。
そう考えると、意外と暴力好きな矛盾する自分を自重する意識というか、
自戒としてのシンボリックなあらわれが、
やたら出てくる「鳩」の存在なんじゃないかと思う。
レッドクリフ 8
西暦208年、魏呉蜀が争う中国・三国時代。
もうこの舞台設定でなんでもありなんですよ。
別に三国志演義などに気を遣う必要はない。
ただ、赤壁の戦いで基本となる2つのシーンは、当然はずしていないわけで…。
①「10万本の矢」の場面
大切な武器である4万本の矢を持ち去った劉備の責任を問われた孔明は、
わずか20隻の船を藁で覆い尽くし、
あえて濃霧の中を敵船の待つ領域まで漕ぎ出して、
弓矢の一斉攻撃を受けてまんまと10万本の矢を収集する。
レッドクリフ 14
②「曹操軍の2000船にもわたる大船団への火計 」の場面
風向きの変化を計算に入れて連合軍が放った“火の玉攻撃”が、
風に煽られて2000隻を炎で包み込んで行くクライマックス。
これらの非常に有名な場面は、
それこそ子供の頃のジョン・ウー監督そのものが、
自分の目で直に見て確かめたかった場面なのではないかと思う。

結局、100億以上の制作費をかけて、
ジョン・ウー監督は無意識のうちに子供の頃の夢を、
映画というものに体現させたのだ、きっと。
レッドクリフ 1
ちょっとだけ、子供の頃と違うのは、
ジョン・ウー監督がそれなりの大人なわけで、
「女」の存在も映画としての厚みをつけるために、
描きたいという欲にかられたふしがある。
周瑜の妻・小喬(リン・チーリン)が曹操の陣中へ行くエピソードや
曹操軍に潜入した尚香の恋愛とその悲劇が、
彼の「欲」のあらわれなんでしょう。
同時に、そこが脚本の弱さと世間から批評される理由にもなっている。
個人的には、一見脚本上の弱点に見えるところが、
本来描きたかったものであり、魅力なのだと思う。
したがって、
この『レッドクリフ』のⅠとⅡは、
どちらも監督がやりたくてたまらなかったものが、きっちり表現されている作品なのだ。
世の批評家がなんと言おうと、
そして作品の善し悪しよりも、
やりたいことを表現したからいいのだ。

ついでに、それをやり抜いてしまったそのこと自体が実に羨ましい。

ともあれ、春ですね。
みなさんが、新しいそれぞれの場所で良いスタートをきれるように願っています。

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レッドクリフ 2



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