舞台の効果音

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やっと『PLUTO』(プルートウ)の第5巻が刊行された。
なかなかこの作品も世の中に出てこない。
ずいぶん待ち焦がれたような気がする。

この『PLUTO』は、
手塚治虫原作の「鉄腕アトム 史上最大のロボット」をベースとして、
漫画家浦沢直樹によって描かれたものだ。

※手塚治虫の原作では、アトムと対立する最強のロボットの名が「プルートウ」であり、
それが今回の浦沢さんの作品のタイトルになっている。

よくぞまぁ、手塚治虫の作品をもとに独自の解釈を展開できるものだと思う。
浦沢さんにとっては、憧れであった先輩の作品世界の中に踏み込み、
そのレイアウトを独自の視点で大改革してしまっている。
それは、
漫画家として、
浦沢直樹が手塚治虫に対し、まるで無謀な戦いを挑んでいるようにも思える。
なぜ、こんなにも気力も知力もかなり必要とされることができるのだろうか?
その戦いを支えている秘密はなんなのだろうか?
やたらと気になる。

■さて、とりあえず内容について
大まかなあらすじは----------------------------------------------------
人間とロボットが共生するようになった時代。
スイス最強のロボット、モンブランが殺された。
同じ頃、ドイツのロボット法擁護団体の幹部が殺害された。
二人の遺体の頭部には“角”の様な物がほどこされていることからユーロポールが誇る高性能刑事ロボット、ゲジヒトは同一人物による犯行と考え捜査を進める。ゲジヒトは犯人の標的が自分を含めた7体の、大量破壊兵器になりうるロボットたちだと考え…。
※主人公は、アトムではなく刑事ゲジヒト
-------------------------------------------------------------------

浦沢直樹さんかぁ…、
以下に載せた作品群など累計発行部数1億以上になるという。
これは凄い。

特に、浦沢さんの漫画の最大の特徴というのは、
登場人物たちの独特の表情にあるのだろう。時として、実に複雑な感情を有する表情が描かれていることがある。
奥深い感情だったり、
心のコンプレックスと対峙しているかのようだったり…。

浦沢さん本人も、この表情の描き方については、
「苦しいのか、悲しいのか、悩んでいるのか、
どうともとれる表情になれば、いい顔が描けたと思いますね」
と語っている。

なるほど、能面の表現にも近いものが、マンガの中に表現されているわけだ。

-------------------------------------------------------------------
パイナップルARMY(ビッグコミックオリジナル)
YAWARA!(ビッグコミックスピリッツ、小学館)
MASTERキートン(ビッグコミックオリジナル、小学館)
Happy!(ビッグコミックスピリッツ)
MONSTER(ビッグコミックオリジナル)
20世紀少年・21世紀少年(ビッグコミックスピリッツ)
PLUTO(ビッグコミックオリジナル)
-------------------------------------------------------------------

どれもが、ヒット作であり、
特に「MASTERキートン」・「MONSTER」・「20世紀少年・21世紀少年」などでは
非常に複雑なストーリーを展開をさせている。




それにしても、
「連載漫画2本、
月に5回の締め切りという過密スケジュールをこなす強烈な売れっ子である一人の漫画家が、
そんなに複雑なストーリーを思考することができるのだろうか?」
一時期そんなことも人ごとながら気になっていたものだ。

それが、
今年の1月27日の「プロフェッショナル 仕事の流儀」で
浦沢さんの特集を観て氷解した。

それは、デビュー当時から編集者としてともに作品を作ってきた
プロデューサー長崎尚志の存在だ。
浦沢さんは確かに凄いのかもしれないが、
ストーリー作りという土俵では、同じレベルでこの長崎さんは凄いのかもしれない。

浦沢マンガのストーリー作りおよび作画作業の流れは、
-------------------------------------------------------------------

①二人(浦沢と長崎)があらすじを独自に考え、それをぶつけ合う中から生み出される。

②「ネーム」と呼ばれる作業
・ページをコマ割りし
・大まかな絵とセリフを描き込む
(漫画家の創造性が最も問われる作業)

③「ネーム」が完成すると、
 長崎にFAXし、最後の打ち合わせを行う。

④背景を描くアシスタントとともに原稿を仕上げていく。
-------------------------------------------------------------------

②のネームが完成した時に、
強烈な疲労感が残るという、
その感覚が強ければ強いほど、良い物ができるのだそうだ。
とりあえず、
作画はともかく、ストーリーは長崎さんとの一種の合作なんだと思われる。

個人的に思うには、
③の「ネーム」の完成直後の長崎との電話やFAXなどでの打ち合わせが
ものすごく大事なのではないかと思う。

最初の段階で、
二人でストーリーを生み出すとき、
最終的には、同じイメージを観ているはずである。

ところが、浦沢さんが作画などをはじめると
細部にもこだわる必要が当然できてきて、
逆に、スタート段階で二人で思い描いたイメージを見失いやすくなるはずである。

そこで、いち早くできた作品(ネーム)を長崎さんに送ってその判断を仰ぐことになる。
なぜなら、長崎さんはずっとスタート段階でのイメージを心の中で保存していたわけで、
現在時点の作品との相違がはっきりと分かるし、指摘できる。
これもまた、勝手な私の推測ですが、
長崎尚志さんも直接的にはマンガは描かないにしても、
浦沢さんと一緒に想い描いたストーリーの果てを
ひたすら併走しながら思考を続けてきた上で、
その途中経過である「ネーム」を見ているのではないだろうか。
そうでなければ、的確な指示はできない。
作品が完成するまでは、浦沢さんと長崎さんのそれぞれの頭脳に、
微妙に違う同じ作品が存在し続けているのだ。

その関係は、
原作者である脚本家と役者を指導する演出家との関係とも似ているかもしれない。
きっと
長崎さんの存在が浦沢作品の根幹をなしているし、
その根底を支えているのだと思う。
浦沢さんという漫画家の深層心理にまでシンクロしながら、
相談にのっている長崎さんの存在。
今後の作品作りにおいても欠かすことのできない、秘密のファクターの一つであろう。

さて、
浦沢直樹が生まれて初めて漫画で感動した作品が、
手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソードのひとつである
「地上最大のロボット」であった。
2000年頃、
手塚治虫の息子である手塚眞さんにそのリメイクをお願いしたらしい。
何度かの交渉の末、
そのリメイクを了承した席で手塚は浦沢に、
オマージュでもパロディーのような作品ではなく『PLUTO』を
本当の意味での浦沢作品としてを描くことを要望したという。
手塚眞さんも映像畑でのクリエーターであり、
その辺の機微は心得ていたのではないかと思う。

その後、
きっと浦沢さんは長崎さんとかなりの深い論議をしながら、
ストーリーのイメージを決めたのに違いない。
この部分は想像を絶する苦労があったはずだ。

ちょっと難解な感じではあるものの、
この5巻までにちりばめられているプロットの意味がはっきりと表現されたならば、
とてつもない名作となることだろう。

なぜなら、
作中の主人公の刑事ゲジヒトの苦悩は、まさに現代人の苦悩に直結する。
手塚治虫によって記号化された空想上のアトムではなく、
刑事ゲジヒトこそが、まさに今を生きる私たちそのものだから…。


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