舞台の効果音

演劇、ドラマ、映画、効果音、音効、サントラ、サウンドトラック、 プレゼン、劇、学校祭、音楽、BGM、SE、音、曲、学芸会、学園祭、発表会など ドラマについてや場面に応じた音楽などの話題を中心としたブログです。

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筋金入りの酔っぱらいという人がどうやら世の中にはいるらしい。

田舎の山や川で遊ぶ野生児だった彼女は、
なぜかしら小学生の頃から酔っぱらいのオヤジたちに囲まれて、
家庭で、酒に親しんでいた。

二日酔いで「もうお酒なんて飲まないよ!」と
まるで中年のおっさんのように山に誓ったりしていたなんてなことは、
ランドセルを背負った小学生の時代からすでにスタートしている。

怖ろしい。

小中高とアルコールの神は傍らで微笑み、

彼女の酔っぱらいとしての武勇伝は、
大人になるとさらに大輪の花を咲かすことになる。
一升などは軽く飲み、泥酔の中、何をやったのかは翌日あんまり覚えていない。
飲んだ翌日には、
知らない人間たちが自分の部屋に寝ていたり、
知らないうちに持ってきた「大売り出し」の旗竿に驚いたり…。
血尿、肝炎なんのその
気がつけば膨大な量の飲み屋の領収書に蒼ざめる…。

そして、さらに気がつけば
『平成よっぱらい研究所』などというマンガも描いている。

彼女の名は、二ノ宮知子、
筋金入りの酔っぱらいであり、『のだめカンタービレ』の作者でもある。




思うに、
酔っぱらいという存在は、
よく言えば
常に自分の心の無意識層とアルコールを通じて対話しようとしている人」なのではないか。
ただ、
たいていの場合、最終的には飲み過ぎて、
どう対話したかどうかも記憶に残らなくなってしまうのが残念なのだが…。

さて、『のだめカンタービレ』第2夜をありがたく観させてもらった。

幸せなことだ。

これも、もとはといえば、
あの酔っぱらいの頭脳から生まれてきたのだから、
人間というのはつくづく不思議な生き物ではある。



第1夜では、初めての国際指揮コンクールに挑戦する千秋の姿を、

そして第2夜では、
指揮者として着実に歩みを進めていく千秋と自らを比べて焦りを感じながらも、
伯爵家の元貴族に演奏者として招かれ、自分なりの活路を見いだして行く
のだめの様子を中心に描かれていた。

若松プロデューサーと武内監督、
そして70名以上にものぼる制作スタッフとキャストの努力の結晶だった。

レギュラーシリーズよりも磨きのかかったクラシックとギャクの融合を
楽しみにしていてください
」と
事前に語っていた若松プロデューサーの言葉どおりの作品となった。

フジテレビドラマ制作センターの歴史に残る傑作だと思う。

さて、
昨日のブログで、『のだめカンタービレ』の第1主題は、

「千秋真一」に代表されるような優秀で真面目かつやや頑固で狭い生き方をしている存在

「野田恵」のようになんらかのことで見た目は悪いが、一種天才肌で、純粋で打算のない個性
との対比にある

という当たり前のようなことをいかにももっともらしく書いてしまった。
恥ずかしいが、それでも、
二ノ宮さんの作品には、やっぱり
常にこの『対比的なキャラクターがおりなすことによる物語の発展という構造』が
存在している。

ドラマ制作スタッフもこのあたりの意味合いを深く理解して、
明確で美しくコミカルな表現とその編集をしているのだと思う。

大したものだ。



だが、『のだめカンタービレ』の主題は、「対比構造」だけでなくもう一つある。

それは、
「二ノ宮知子」という女性としての生き方とその不安の中にもう一つの主題が隠されている。

思い返せば、この『のだめカンタービレ』のきっかけは、

一升瓶が転がっている散らかった部屋で、
音大生の女の子がグランドピアノを弾いているという、
リアルのだめ(当時、音大生)の一枚の写真からだった。

美しい森に月の光がさしこむ先にピアノが置かれていれば、
一色まことの『ピアノの森』になり、
ゴミためのような部屋にピアノが置かれてあれば、
二ノ宮知子の『のだめカンタービレ』になったというわけだ。

※ちなみにこのリアルのだめの写真とコメントは「 Kiss on line:インタビュー」
(http://www.kisscomic.com/interview/0211_ninomiya_tomoko/index.html#top)
で見ることができる。

ただ、これもそんなに単純なことではなくて、
その汚い部屋とピアノとリアルのだめの様子が、
二ノ宮さんの生活に似通ったものがあったからだろう。



二ノ宮さんの作品全編を通して、
先ほどの「対比構造」を見ることができるのだけれども、

もう一つは、
のだめのような女の子は、成長できるのか?そして、愛されるのか?」という問いかけが、
いつもいつも描かれている。

二ノ宮さんの描くコメディータッチの表現は、非常に面白い。

でも、その背景にあるのが、二ノ宮さん本人のコンプレックスであり、
心の中の底知れぬ不安だったりするのだと思う。
それを思うとちょっと切ない。
彼女の作品に出てくる主人公の女性は、
当然ながら二ノ宮さんの一部が投影されたものだ。

そのそれぞれの中に,
二ノ宮さん本人が密かに滑り込み、
「こんな酔っぱらいでずぼらな私だけど、わたしは成長できるの?」とか、
「わたしも良い面はあるとは思うんだけど、彼から愛してもらえるのだろうか?」
という問いに対して、
ある一定のシチュエーションを作り、
その中でシミュレーションし続けてきてるような気がしてならないのだ。

それは女性として、誰しもが感じるテーマであり、
自分のだらしなさやダメさ加減をさらにいっぱい強調して描くことによって、
なおさらこの主題を問いかけているようにも思う。

第2夜の放送の中で、オクレール先生とのだめのピアノに対する会話がとても良い。

あのかつてハリセンとともに完成させた「もじゃもじゃ組曲」をオクレール先生が弾き、
のだめが、ここは強く、ここは楽しげになどと注文しながら、
やがて、モーツアルトの楽譜に対しても、
同じように書かれていない思いと対話するという意味にのだめが気がつく。


千秋との関係もフランスでの留学についても行き詰まっていたのだめが
復活のための切符を手にするというべき瞬間が良く描かれていた。



それは、二ノ宮さんなりの自分自身に対する答えの部分のひとつなのだろう。
まっ、二ノ宮さんの場合は、そうは分かっていてもまた酒を飲む。
へべれけになった翌日に、
再び、後悔まじりに、
「わたしは成長できるの?」・「わたしは愛されるの?」
と自問自答を繰り返してしまうのではないだろうか。
この彼女の第2主題というべき問いはこの先も続いてなされるのだろう。
二ノ宮さんは、酔っぱらいだけど、実に真面目な人なのだ。

第2夜については、
あの場面は良かった、
この部分が面白かったなどなど、
『のだめカンタービレ』を観たそれぞれの人が楽しそうに感想を言うと思うので、
これについてはあえて書かない。

ただ、二ノ宮知子さんはずっと表現し続けている「わたしは成長できるの?」とか
「わたしは愛されるの?」についての答えは、
どちらも「イエス」だ。

なぜなら、
今日の放送を自分のことのように観ていた女性はきっといろんな人から愛されているし、
のだめを応援しながら観ていたその心そのものが、
まさに自分を成長させる糧になっているはずだからだ。

まして、それを生み出した作者なら、いわんやおや(大学入試以来ひさびさに使った)である。

切なくて素敵な夜だった。

最後に、フジテレビドラマ制作スタッフの皆さんにあらためて感謝ですね。

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コメント
酒飲み
なんと作者は大酒飲み?だったのですね。
酒を飲まないといいたいこと言えないというのはわかります。つい余計なことも言っちゃうんですよね。

でも芸術家って、そんな職人みたいなところがあるのだと思います。
2008/01/06(日) 12:46:18 | URL | たくたくろ #-[ 編集]

よく分析されてますねえ。
「のだめ」見逃してしまったことが、悔やまれました。
2008/01/06(日) 13:40:50 | URL | ゆめごころ #-[ 編集]
このブログいいですね。
このブログいいですね。
更新を楽しみにしています。

もしお時間がございましたら
私のブログにも遊びに来てくださいね。

http://diary-english.seesaa.net/
2008/01/06(日) 14:01:47 | URL | diary-english #-[ 編集]
あぁ・・・
飲茶の人生初めての二日酔いは小学生でした
┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~
それだけです・・・・
2008/01/06(日) 17:11:51 | URL | 飲茶 #4SF8grPA[ 編集]
平成よっぱらい研修所:所長
所長の二宮知子さんの漫画は我が家の家宝となっておりますv-12
所長よりも過激な女性と先日飲みました!
生垣にダイビングする女性(綺麗形の方ですが)生まれて初めて見ました。いい経験でいたよ!(内容は過激すぎて一言では言えない位のものでしたv-12
2008/01/06(日) 20:00:29 | URL | はらぐろ #SFo5/nok[ 編集]
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