舞台の効果音

演劇、ドラマ、映画、効果音、音効、サントラ、サウンドトラック、 プレゼン、劇、学校祭、音楽、BGM、SE、音、曲、学芸会、学園祭、発表会など ドラマについてや場面に応じた音楽などの話題を中心としたブログです。

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時は幕末。
この国に住むすべての階層の人間たちが、
国の将来を語り、この国の未来を夢見、
ある者は、現実の逆境の中から抜けだそうとし、
ある者は、天から与えられた自らの才能を信じ、
とにもかくにも、力いっぱい天下国家を論じることを許された時代。
見上げれば空、
青空、
今と変わらぬその空の向こうに、
この時、この国の彼らが見たものは何か…。

「幕末から維新にかけての時代は、
日本という国家にとっての青春時代だったのではないか」と
小説家司馬遼太郎は語っていた。
竜馬にしても高杉晋作にしても、活躍した英雄たちのそのほとんどは、
みーんなティーンエイジから活躍しだして、20代後半か30才そこそこで死んでいる。
新しい西洋の事物に無邪気に驚き、
旧態然とした幕藩体制に閉塞感を感じて、
男たちのエネルギーが爆発したあの頃。

いいですね。

NHK『篤姫』をついつい観てしまった。
本当はあんまり期待していなかったのだが、非常に内容が良かった。
オープニングからして、音効担当の吉俣良さん(ついに大河ドラマからもオファーが来たということで喜ばしい)による弦楽重視のメインテーマもいい。

もちろん、
宮崎あおいを全面に打ち出した映像もなんというか
フェミニンなものをコンセプトにしているようで、美しかった。



原作は、あの宮尾登美子の「天璋院篤姫」
江戸幕府13代将軍徳川家定の正室であり、その後大奥を預かった篤姫を描いた小説。
あんまりメジャーではないうえに、残念ながら小説としては文体も固く面白くない。
NHK制作サイドもよくぞこの原作をチョイスしたものだ。

確かに、
増税と借金にあえぐ地方の代表例としての薩摩と
都会である江戸との格差なんかは、
現代の状況と類似しているし、
「女性の品格」などでも言われているような女性の生き方というテーマをかぶせつつ、
コンテンポラリーな感じで意味はある。
とにかく原作選びの段階から、NHKサイドもそれなりの苦労の跡が感じられる。

そんなやりにくそうな原作である上に、
この篤姫さんは、
これまでの歴史上では、そうとうマイナーな人だし、
諸説によってはせいぜいあの和宮をいじめた人物程度の認識しか与えられていない。
実際の白黒写真のお顔などを見ても、かなり意志の強い表情で写っていらっしゃる。

最近だと『大奥』(菅野美穂が主演した時の)で、
その名前が知られたぐらいなのではないだろうか。
『大奥』で、瀧山(浅野ゆう子)と熾烈な対立をしながら、
新しい女性の生き方を模索する人としての天璋院篤姫(菅野美穂)が描かれていた。
このバトルは凄まじいものがあった。
やはりフジテレビは企画力は強いのだ。



「『篤姫』は薩摩・島津家の分家に生まれながら第13代将軍・徳川家定の正室となり、
幕末の激動の時代を生きた「篤姫」の生涯を辿る。
第1回の放送は於一(篤姫の幼名)の誕生から、
薩摩藩を揺るがした島津家のお家騒動前までが描かれる。」

という事前のNHK側のPR通り、
第1話「天命の子」は、映像も美しく、テンポもよい状態で仕上がっていた。

チーフ・プロデューサーの佐野元彦さんによると
「ホームドラマ的要素を強め、
夫婦や家庭での日常、さらに篤姫が自分にとっての家族(大奥の女性達)を
最後まで守り抜き、その中で一途に平和を願い続ける姿を深く描いていきたい。」
というような制作発表での説明もあったが、

今回の第1話の中に、
すでにそんな篤姫の方向性が凝縮して描かれていたようにも思う。
島津家に生まれ、徳川家定に嫁ぎ、
彼が死んだ後は大奥を取り仕切り、
そして江戸城無血開城へと物語は展開していく長いドラマとして、
そこに向かうさまざまなプロットもちりばめられていた。
薩摩藩の現状、
島津家の状態、
於一の父や母の想い、
また於一そのもの性格設定などが、
上手に表現されていた。
しかも品良く。



母である樋口可南子と子役の於一との「人の役割とは」というくだりも良かった。
この場面は、篤姫の今後と長い長い物語のスタートを切るベクトルの一つではあるが、
とても効果的だった。

念のため、宮尾登美子の原作「天璋院篤姫」には、このような場面はない。
NHK「篤姫」のほとんどのストーリー展開は、原作はあったとしても、
脚本を担当している田渕久美子さんのオリジナルと考えてよい。


この田渕久美子さんの脚本で、
すでに優れている部分は、
篤姫と並んで
原作にはない小松帯刀(瑛太)を物語の軸に一本さしこんでいることだと思う。
「篤姫」は、原作をもとにしてそのまま描くと
せいぜい良くてもフジ系列の「大奥」程度になってしまう。
物語の幅が、大奥のいざこざに終始しては大河ドラマの良さも薄れる。
しかし、小松帯刀という存在の導入によってそれを回避し、
逆に、西郷、大久保らの幕末の志士とのからみも描きやすくなるようにした所が
いいアイディアだし素晴らしい。



しかも、
肝付尚五郎(やがて小松帯刀)を頼りなさそうな人物として表現していることも
高いシナリオ技術のあらわれだろう。
脚本家田渕久美子の実力を感じる。
小松帯刀に扮する瑛太さん本人の話によると、
リハに入るまでに資料を読み込み役作りに励んでいたのだという。
ただ、この小松帯刀というのが、
本来歴史上では有能な人物(西郷や大久保らに指示を出し、
薩摩藩を支えた統率力のある人)だったのに、
それほどスポットライトが当たっていないということで大変苦労したらしい。
そんな訳で、きりっとした二枚目で演技しようとしたら、
演出からいきなり三枚目的なイメージを求められたので、
今回のややぼーっとした頼りなげな演技になっているという。

ようするに、小松(瑛太)は篤姫を引き立てるため、
ダメ男に見えるけれども器のデカイ男」という
意図的な描き方をしているということだ。

島津斉彬からさずかったふたりの赤子への「お守り」という小道具も、
原作にはない脚本家田渕さんの細かな配慮が利いている。

また、キャストもとにかく豪華なのには驚くかぎりだ。
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篤姫:宮あおい      島津忠剛:長塚京三    お幸:樋口可南子
島津忠敬:岡田義徳     菊本:佐々木すみ江    島津斉彬:高橋英樹
島津斉興:長門裕之     お由羅:涼風真世     英姫:余貴美子
小松帯刀:瑛太       肝付兼善:榎木孝明    調所広郷:平幹二朗
小松清猷:沢村一樹     お近:ともさかりえ    西郷隆盛:小澤征悦
大久保利通:原田泰造    有馬新七:的場浩司    フク:真野響子
大久保利世:大和田伸也   幾島:松坂慶子      小の島:佐藤藍子
広川:板谷由夏       高山:左時枝       徳川家定:堺雅人
徳川家慶:斉木しげる    徳川家茂:松田翔太    滝山:稲森いずみ
お志賀:鶴田真由      本寿院:高畑淳子     歌橋:岩井友見
阿部正弘:草刈正雄     徳川斉昭:江守徹     堀田正睦:辰巳琢郎
井伊直弼:中村梅雀     勝海舟:北大路欣也    孝明天皇:東儀秀樹
和宮:堀北真希       観行院:若村麻由美   近衛忠熙:春風亭小朝
庭田嗣子:中村メイコ    坂本龍馬:玉木宏     お龍:市川実日子
松平慶永:矢島健一     伊達宗城:森田順平    ジョン万次郎:勝地涼

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民放で、
これだけのメンバーを集めたらギャラがどれだけかかるか想像するだに怖ろしい。
営業で、強力なスポンサーを何社もかき集めてこなければならないわけで、
低料金でこれだけの人材を集めることが可能なNHK大河の真骨頂という所だ。

さらに、
通常の大河ドラマなら、主人公の幼少期を数回に分けて表現していたが、
今回は、
篤姫の幼少期であった「於一時代」を
子役の永井穂花ちゃん、岩本千波ちゃんらの二人でバトンパスして、
後半にはもう男装の宮あおいが登場してきたのにも驚いた。
しかもそれは不自然でもなく表現されていたのが素晴らしい。

加えて、以下のNHKから発表されているスタッフの陣容を見ていただきたい。
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原作:宮尾登美子(『天璋院篤姫』) 脚本:田渕久美子
音楽:吉俣良           時代考証:原口泉、大石学 建築考証:平井聖
衣装考証:小泉清子      武術指導:林邦史朗   所作指導:西川箕乃助
邦楽指導:本條秀太郎      香道指導:三條西尭水  囲碁指導:梅沢由香里
薩摩ことば指導:西田聖志郎
語り:奈良岡朋子
制作統括:佐野元彦   演出:佐藤峰世

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時代考証など民放に比較して充実している上に、
「薩摩ことば指導」というのも面白い。
知っての通り、
薩摩弁は、江戸幕府の大目付らの探索を回避するための
一種の暗号として生まれた方言で、実に難しい。
(ちなみに、薩摩弁はその難しさゆえに
太平洋戦争の日本軍の暗号のベースとしても採用されたぐらいだ)

香道指導は、ともさかりえ演じる「お近様」用としても大事なのだろう。



もっとも興味深いのは、囲碁指導の梅沢由香里さんの存在である。
第1回でも、篤姫(宮崎あおい)と肝付尚五郎(瑛太)が囲碁をしていた。
こういうシーンというのもけっこう珍しいのではないかと思う。
前述の「お守り」の話題のあとで、碁をしつつ、
「囲碁がお下手なんですね」などと篤姫が言ったりしている。
篤姫と尚五郎のタイプの差を意図的に表現したシーンだった。

碁をする方ならすぐお分かりだと思うが、
瑛太さんがまず囲碁盤の中央に黒石を置いたりしているけれども、
通常こんな天元(中央)からは打たない。
すでに一手目からあえて下手だとわかるように、
「ヒカルの碁」の監修をしたプロ棋士の梅沢由香里が指導しているのだろうと思う。

やがて、この囲碁盤を挟みながら、
このふたりはかなり重要なセリフを言い合うことがこの先にもあると予想される。
細かいけれども囲碁盤にもその意味合いをきっと表現するはずであり、楽しみだ。


第1回「天命の子」では、阿蘇山を背景とした青空が美しかった。
幕末の志士たちの夢と
篤姫の未来が
シンボリックに表現されていたように感じる。
おまけに
ナレーションの達人、奈良岡朋子さんの語りをお久しぶりという感じで聞けるのも嬉しい。

また、ひとつ日曜日の楽しみが増えたと思う。


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コメント

はじめまして、
非常に詳細な記事で驚きました。
本当に見たくなってきますね。
ここまで記事の書き込まれているブログもはじめてみました。
またちょくちょくよってみますね^^
2008/01/08(火) 00:07:07 | URL | 虎龍 #-[ 編集]
大河ドラマ
NHKの大河ドラマ「篤姫」というのですね。
よく目にすると思っていました。
hinamiraiさんのように詳しく知っていれば面白さは倍増するのでしょうね。
ドラマを見る前に予習するのもよいものですね。
2008/01/08(火) 01:28:45 | URL | たくたくろ #-[ 編集]

いやー私は恥ずかしながらあまりTV見ないのですが、この前TV見てて宮崎あおいさんを見て若手の売れないタレントかと思い
「この子絶対売れるで!」と嫁さんに言って
失笑を買ったのでした。
とほほ・・・
2008/01/08(火) 22:28:57 | URL | zin #-[ 編集]

しまった・・・・又見逃しちゃいました。
土曜日の午後から、再放送とかありますよね。
この原本、何年か前に読みました。
興味有りです。
2008/01/08(火) 23:04:34 | URL | ゆめごころ #-[ 編集]
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